連載第1回目は201号室のFB廣野晃紀(社4=東京・早実)とSH平野航輝(スポ3=長崎南山)にお話を伺った。名前が一文字違いで血液型や趣味も同じという仲良しBKコンビのお二人に今季の早大ラグビー蹴球部や寮生活、切磋琢磨して共に『荒ぶる』を目指す仲間たちの存在について語っていただいた。
※この取材は7月17日に行ったものです。
敗戦を経て意識が変化
春季を振り返る廣野
――春季全体を振り返っていかがでしたか
廣野 最終戦で帝京大に負けたっていうのは、やっぱり実力差というか、現段階の力の差を思い知らされましたね。
平野 そうだね。
――力の差というのは具体的にはどのようなところに現れたのでしょうか
平野 (帝京大は)ボール継続力が強いっていう感じで、あまり(早大が)ボールを取れないというのが印象的でした。僕はBしか出ていなかったので、Aチームのコンタクトとか当たりとかはわからないんですけど、Bもやっぱり個々が良いので、ボールを継続されても、どっかしらで大きいヒットとかビッグプレーをしてターンオーバーするシチュエーションを作らなきゃダラダラ食い込まれるんですよね。そこを次の夏の試合のときには改善したいです。
廣野 そうですね…、僕も同じような意見です(笑)。
――平野さんが春季特に印象に残った試合というのも、やはり帝京大戦ですか
平野 慶大戦とか帝京大戦ですね。慶大戦まではあまり相手が強くなかったこともあってある程度勝てていたんですけど、慶大戦で一気に点差を付けられて負けたので、僕自身もそこで大分意識が変わった感じですね。
――慶大戦の敗戦をきっかけにチーム全体の意識も変わってきたのですか
廣野 僕は委員じゃないけど委員会に参加させてもらっていて、慶大戦で負けた後にはやはり意識を変えなくちゃいけないという話になりました。昨年勝っていたチームにこれだけの差をつけられたので、もう一回現段階の自分たちの力を見つめ直してやっていかないと絶対勝てないぞということで。
平野 慶大とすごく差を付けられた感があったから、コンタクトの点とかでも意識は変わりました。
廣野 垣永(真之介主将、スポ4=東福岡)とかも結構焦ってたよね。みんな飛ばされてたので。
平野 ディフェンスの意識とかはそこから徐々に上がっていったかなとは思います。
――意識改革につながったという点で意味のある敗戦だったんですね
廣野 やっぱりそういう風に考えていかないとっていう感じですね。
――春季を通して成長したところはどんなところだと思いますか
廣野 難しいですね(笑)。
平野 チームのこととか偉そうなこと言えないからね(笑)。
廣野 でもやっぱりコミュニケーションは取れるようになってきたよね?どう?
平野 最初の中大戦からコミュニケーションについては言ってきたから、BKがFWをリードするというのは大分できてきたかな。
廣野 中大戦のときは全然声が出ていなくて、そこから課題に挙がっていて。でも結局明大戦や帝京大戦ではよく声が出ていたよね。コミュニケーションは増えたと思いますし、自分たちで考えて声を出せるようにはなったと思います。前はリーダーしか声を出していなかったので。まだまだ少ないけれど全体としても声が出るようになってきたと思います。
――BKは昨年の4年生が抜け、主力のメンバーが変わったことがコミュニケーション不足につながったのでしょうか
廣野 そうですね。昨年はいまの4年生、特にBKが出ていなくて、小倉(順平、スポ3=神奈川・桐蔭学園)とか布巻(峻介、スポ3=東福岡)とか平野とか昨年もいた選手が中心になって声を出していたので、僕たち4年生がもっと積極的に声を出していかなればならないなと意識が変わってきたかなと思います。
――4年生が引っ張っていこうという感じなんですね
廣野 そうですね。4年生が変えていかないというふうにはなっているのかな。
――春季を通して見つかった反省点はありますか
廣野 フィジカルの差は感じるよね、やっぱり。フィジカルについては例年言われているんですけどね…。
平野 課題かぁ…。(試合中)食い込まれはするけど、あとあとみんなバッキングとかができたから直接の課題は…。最後らへんは粘り強くなったし。
廣野 あ、あとやっぱりチャンスで取り切ることかな。俺たちは『ワンショット』というスローガンでやっているんですけど、やっぱりそういうところでまだまだというか、チャンスはあったのに取り切れなかったところがありました。逆に相手に取らせてしまったりということもあったので、そういうところが改善点ですね。
今季のワセダに思うこと
学年の印象について語る平野
――BKのお二人から見て、今季のFWの印象はいかがですか
廣野 本当に頼りになるよね!中心となる垣永と(金)正奎(教4=大阪・常翔啓光学園)だけじゃなくて、近藤(貴敬、社4=宮城・仙台育英)とかもね。本当にみんな声だけじゃなくて体でも引っ張ってくれるし。
平野 特に垣永さんとか正奎さんはもうね。
廣野 あの二人がいるとパッとまとまるので。
――やはり主将と副将の存在は大きいんですね
廣野 そうですね、それは大きいと思います。
平野 早慶戦は正奎さんが出ていなかったしね。
廣野 そうそう、その途端にみんな声がなくなっちゃって試合中どうしていこうかみたいなのがわからなくなってしまったので、やっぱり存在は大きいよね。
――昨年以前も現主将副将のお二人が引っ張っていくという感じはありましたか
廣野 そうですね。学年の中心は常にあいつらで、何かアクションを起こすときはあいつらがまとめてくれるっていう感じですね。
平野 昨年の練習中も、まだ3年生だったのに「3年が引っ張っていく」という感じで今年につなげようっていう気持ちが全面的に現れていて、ずっと頼りになる存在でした。
廣野 ラグビーのリーダーはそうですね。プライベートは全然アレなんですけど(笑)。
プライベートは(仕切っているのは)外勤のやつ、森村(健斗、人4=神奈川・桐蔭学園)とかなんで、プレー中はあんな感じなんですけど普段はしょうもないですね(笑)。
平野 ダジャレとか言うよね(笑)。
廣野 つまんないね(笑)。
平野 最近みんな反応しなくなったけど(笑)。
――チームワークが良いんですね
廣野 チームワークというか、仲が良いってだけですね(笑)。
平野 外勤と寮生の仲の良さっていうのが4年生の良いところですよね。
廣野 カベはないですね、全く。僕は元々外勤ですし、外勤と寮生という垣根なくみんなで言いたいことを言い合うという感じで(笑)。
――3年生から見た4年生の印象はいかがですか
平野 もう仲が良いとしか言えないですね。誕生日のときとかも垣永さんが中心となって毎回みんなでこういうの(※メッセージカードや写真で装飾された色紙)全員に絶対に作ってるので。
廣野 女性らしいですよね。意外性あるんですよ、あの人は(笑)。ブライダルの道に進みたいって言ってますしね(笑)。サプライズが好きなのでサントリー辞めたらサプライズの会社作るって言っています。
平野 へぇー!
廣野 本当に女子なんですよ、中身が(笑)。ラグビーのときと真逆ですね。
――ギャップがあるんですね
廣野 そうなんですよ。ギャップがあるのでそこを推していけばモテるんでしょうけど(笑)。なかなか推していかないよね、そこね(笑)。
平野 本当すごいよね、こういうの(※色紙)作るの。
廣野 すごいっすね。あとは(呉)泰誠(スポ4=大阪朝鮮)ですね。彼は外勤と寮生両方をつないでくれる存在ですね。あとは菱田(広大、文構4=埼玉・早大本庄)とかかな。泰誠、菱田、森村、金澤(男、社4=千葉・市川)とかを中心としてみんな仲良くやっていて、良い学年かなと思います。
――3年生の印象はいかがですか
平野 3年生はみんな個が強いですね。
廣野 確かに個が強いイメージあるね(笑)。みんな個性があるんですよ。それが混ざると絶対に強くなるし、ブレやすいっていうのもあると思うので。
平野 みんな実はすごく真面目だよね。(飯野)恭史(商3=東京・早実)とかもずっとグラウンドに残って練習してるし、清水(新也、スポ3=宮城・仙台育英)とかもフッカーになってからすごい一生懸命やっているので、実は真面目みたいなやつが多いですね。
――「実は」というと
平野 なんかおちゃらけているように見えてというか、みんな自分では「やってねーよ」とか言うんですけど、実はグラウンドにずっと残ってパスを放っていたりします。
廣野 それぞれ自分の道があってね、良いと思います。3年生になって結束力も増してきたし、良い方向に進んで来年は良いチームを作って欲しいですね。まだ考えたくないけど(笑)。
――まとめ役となっているのはどなたですか
平野 やっぱり小倉とか布巻がリーダーというか、練習のときとかは特に声を出していて。
廣野 プライベートは誰なの?
平野 プライベートはそれこそ本当にバラバラじゃない?
廣野 あー、やりゅう(山本龍平、商3=東京・都武蔵)とか新也もそうか。あいつらがまとめているイメージ。
平野 まとめているというか、ムードメーカー的存在ですね。
――別チームの取材でも、ムードメーカーとして山本さんや丹野さん(怜央、教3=北海道・札幌山の手)のお名前が挙がっていました
廣野 たしかに丹野もそうだな(笑)。
平野 ムードメーカーだったらそうだね。一発芸タイプ(笑)。
――平野さんは3年生だとどんなポジションですか
廣野 平野も我が強いのですが、それが良い面で、しっかりみんなの悪いところを言ってくれる存在ですね。みんな気を遣っちゃってなかなかそういうの言えないので、(平野が)ぱっと言ってしめてくれる感じですね。
平野 そんな(笑)?
廣野 っていう風にほめておく(笑)。
平野 4年生と絡むこと多いよね。
廣野 多いね。可愛いんでね、こいつね(笑)。
――学年の垣根を越えて仲が良いのですね
廣野 学年の垣根を越えているというかなめられてるのかな(笑)。
平野 いや、一応リスペクトしてます。
廣野 リスペクトしてるとか言ってますけど、普段はタメ語だもんね。
平野 尊敬してます。
廣野 まぁそれはそれで良いんですけどね(笑)。
――昨年はケガやポジション争いによりなかなかAチーム出場の機会を得られませんでしたが、プレー機会が増えた今季は何か気持ちに変化がありましたか
廣野 やっぱり赤黒着てプレーしているのは4年生が多かったりするので、(チームの)代表だというのは感じています。着られないやつもたくさんいてつらい思いをしているのに、僕が着ているということは、それだけ本当に重い責任を背負ってやっていかなければいけないので、その重さというのは感じています。でもそれがまだプレーに出ていないので、もうちょっと頑張らないといけないなという感じですね。やっぱり赤黒の重みは感じるよね。
平野 僕は昨年の菅平合宿でDチームまで落ちて、そこから菅平明けとかでちょっとずつ上げていったので、最初着られたときはすごく嬉しかったです。
廣野 つかみ取った感あったよね。
平野 うん。それだけに5分でも出れたのがすごく楽しかったので、今季はある程度出してもらってすごく楽しいっていう印象を僕は持っています。
――やはり赤黒を着てプレーすることは特別なんですね
廣野 特別ですね、やっぱり。
――後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)にはどのような印象をお持ちですか
平野 引き出し多くない?後藤さんから話しかけてくるようなことはあまりしないんですけど、分からないことがあって、こっちから尋ねると何でも返ってくるというか。後藤さんは基本的に自分で考えろと言っていて、その人の考えを尊重するタイプなんですけど、○○の方が良いと押し付けないで引き出しを増やしてくれるような人なんです。その会話が結構楽しいんですよね、ラグビーの引き出しをもらえるので。
廣野 なるほどね、すごいよね。僕はバカとしか言われないんですよ(笑)。
平野 今日もミーティングでめっちゃ言われてたね(笑)。
廣野 3年までずっとバカとしか言われてなくて、4年になって廣野って呼ばれるようになりました(笑)。そこはちょっと成長したんですけどね。監督は普段は結構怖くて、ぶっきらぼうで冷たいので本当に鬼軍曹って感じなんですけど、愛情があるんですよね。怒号もくらいますけど、信頼してくれているし、そういうところに愛情を感じるというか、僕たちもそれを返したいという思いがあるのですごく信頼し合っている関係にはあるかなと思います。すごく珍しい関係ですね。
――監督とは結構コミュニケーションを取られるのですか
廣野 コミュニケーション取りづらいですけどね、普段は(笑)。
平野 本当に監督からはしゃべりかけてこないので、気になることを聞けば何でも返ってくるという感じです。
廣野 コーチのときは聞いても返ってこなかったけどね(笑)。すっごく怖かったんですけど、監督になって優しくなりましたね(笑)。
平野 そのへんに関しては俺は何も言わない(笑)。
――今季のチームについて、変わってきていると感じる部分はありますか
平野 今季から橋本セッションが行われていて、練習時間の尺が短くなったので、一個一個の練習に対してみんな集中してやっているイメージがあります。
――橋本セッションとはどのようなものなのですか
廣野 今年新しくフィットネスコーチになった橋本新さんという方がいるんですけど、主にアジリティとかフィットネスとかを担当されていて、その人のセッションが毎回の練習の前に30分間行われていて、それを橋本セッションと呼んでいます。時間が短くなったのに加えて、アジリティの効果もあるので変わってきていますね。昨年よりも変わったというか僕たちの代が以前よりも出てきているイメージがあって、団結力というのが練習中からも出ているのかなという気がしますね。それがチームの輪を生んでいるというか、帝京大戦でBチーム以下が本当に良い試合をしてくれたのも4年生が中心となってまとめていました。
平野 Bは泰誠さんとか古賀さん(壮一郎、教4=福岡・筑紫)とかマジー(間島陸、商4=東京・早大学院)がまとめてくれていますね。
――やはり4年生が後輩を引っ張っているのですね
廣野 そうですね、でも僕は引っ張れていないんですけどね(笑)。でもやっぱり仲が良いおかげで3年生とかもすごく良く声を出してくれるので良い関係だと思いますね。
平野 廣野さんも…引っ張ってると思うよ?(笑)。
廣野 ありがとう、棒読みだ(笑)。
――春の新体制特集では、間島選手と藤近選手(紘二郎、政経4=神奈川・桐蔭学園)がBKのキーマンに廣野選手の名前を挙げていましたが、同期の方からも期待されていかがですか
廣野 いやー、本当ですか?気を遣ったんじゃないですか(笑)。でも本当にありがたいですね。いつも一緒にいる仲が良い二人なので、そういってもらえるのはすごくありがたいことなんですが、それに応えられるようなプレーはまだ全然できていないので頑張ります。
平野 廣野さんは(プレー中)フラフラ~っとしていつの間にか抜けてるもんね。人のいないスペースに上手く入り込んでいて。
廣野 褒められることあんまりないので照れますね(笑)。
平野 (褒められるのは)こういうときだけね(笑)。
――逆にお二人が注目している選手はいらっしゃいますか
平野 俺はずっとHB団を組んでるから、マジー(間島)とかは信頼してますね。昨年の菅平合宿の帝京大C戦からずっと一緒にやっているので、やりやすいし、信頼している部分としては一番大きいです。(上のチームに)上がるときも基本的に一緒で、練習中も俺が投げたいときは最後までずっと一緒にやって取ってくれますね。
廣野 いつも一緒に練習してるもんね。
平野 良いパートナーですね。
――お互い高め合ってきたのですね
平野 高め合ってきたというか、二人で成長してきた感じですね。自分が蹴りたいときは取ってもらったりとか、逆もあったりして。
――廣野選手はいかがですか
廣野 バックスリーという見地から言うと土肥(将也、人4=東京・三鷹)ですかね。土肥は本当に実力のある選手でチームがつらいときに活躍してくれる感じですね。
平野 帝京B戦のときもね、すごかったよね。そこで取るかっていうところで取ってくれて、良い意味で裏切られるといか。
廣野 僕個人としても土肥とはすごく仲が良くて、一緒にバックスリーを組みたいという思いがあるので、僕がFBで土肥がWTBで一緒にプレーするっていうのが夢なんですよね。
――他大に注目している選手はいらっしゃいますか
平野 小学校の時から一緒の人ぐらいですね。世田谷ラグビースクールで一緒にやっていた人が慶大に多いので、例えばSOの清水周大(慶大)とか名頭薗泰輝(慶大)っていう選手とは戦友って感じですね。しょっちゅうご飯とかも行くので。慶大とは交流が多いです。
「ワセダでやることしか考えていなかった」(廣野)
廣野はトライを取ることでチームに貢献する
――お二人がラグビーを始めたきっかけは何ですか
平野 僕は小2からなんですけど、父がもともとアメフトをやっていたので最初はタグフットボールをやっていて、タックルがないからつまんないって言い出して、タックルがあるラグビーをやることになりました。
廣野 僕はずっとサッカーをやりたかったんですけどね。
平野 俺もサッカーやりたかった(笑)。
廣野 やっぱりラグビーはマイナーだけど、サッカーとかバスケとかは目立ってかっこいいじゃないですか(笑)。僕なんかは一番仲良かった友達がラグビーを始めたので、一緒にやるかという感じで始めました。僕は小1からなんですけど、武蔵野ラグビースクールでの最初の6年間はやっぱりアレですね、ずっとサッカーやりたくて(笑)。
――サッカーはやらなかったのですか
廣野 サッカーは結局やってないですね。サッカーに憧れてはいたんですけど、やっぱり自分はラグビーやるしかないなと思ってラグビーをやって、結果的にはよかったなと感じています。
――廣野さんは早実中に進学してラグビーを続けられましたが、ワセダにこだわった理由は何ですか
廣野 語るの恥ずかしいね(笑)
平野 言って下さいっ。
廣野 僕はワセダでラグビーをやりたかったので早実に入ったんですよ。小6のとき、当時関東学院大が強かったんですけど、早大対関東学院大の大学選手権の決勝を見に行きまして、本当に満員近く観客が入っていて、関東学院大もよかったんですけど多くの人がワセダを応援していたんですね。僕は当時ラグビーをやっていてもサッカーみたいにもっとちやほやされたいという思いもありましたし、やっぱりこれだけの人が応援してくれるチームはそうそうないので、自分もこういうチームに入って1軍で出れたらそういう存在に近づけるじゃないかなと思って憧れたという感じですね。そこからはワセダでやることしか考えていなかったです。
――今季は早実出身の選手の活躍が目立ちますね
廣野 本当にすごく嬉しいですね。やっぱり早実のやつらは放っておけないというか、気心が知れているやつらですし、一緒に出れることは嬉しいです。でも僕のイメージだと僕が入った時のワセダは強豪校出身の選手ばかりだったので、こんなに早実が起用されているのはチームが弱くなっているのかなとも感じます。でも底上げにはつながっていると思うので、嬉しいですね。名に恥じぬように頑張りたいと思います。
平野 最初とは打って変わってよくしゃべるね(笑)。
廣野 ちょっと抑え目にします(笑)。
――平野さんが早大を選んだ理由は何ですか
平野 僕も真面目にラグビーの試合を1試合分観られるくらいしっかり観だしたのが小学校高学年とかなんですが、そのとき強かったのがワセダと関東学院大で、そういう試合を見ていてやっぱりワセダは良いなという思いを抱きました。
――ずっとワセダに憧れがあったんですね
平野 そうですね、小学校の卒業アルバムにもワセダに入りたいって書いてあって。
廣野 夢かなえたんだね、すごいね。
平野 そう、だから成人式のときいろんな人にめっちゃ言われた。
廣野 よく入ったなってな。
――ちなみに今の夢はなんですか
平野 かなっちゃったからな。ACミラン入っとくか(笑)。
廣野 サッカー大好きなんでね(笑)。
平野 ずっと二人でサッカー観てるんです(笑)この前のチャンピオンズリーグもしっかり録画してガッチリ観たね。
廣野 夢本当にこれでいいの?(笑)
平野 もちろん大学日本一です!
兄弟のような存在
普段から仲の良い両選手
――入寮はいつですか
平野 僕は入学時です。
廣野 僕は4年からです。まだ5カ月くらいですね。
――寮生活のメリット・デメリットはどんなところですか
廣野 メリットで言えば、いつもみんながいるので楽しいですね。デメリットで言えば、プライベートがないので、ひとりでいたいときはちょっと(笑)。どこかに出かけちゃったりしますね。外勤のみんなに会えないのは少し寂しいですね。
――ストレス解消法を教えてください
平野 高校のときからこんな(寮生活)だから、マジーの部屋とかでよくしゃべるんですけど、僕はストレスはたまらないですね。慣れてるからかな。あ、ウイイレ!
廣野 ひたすらサッカーしているね(笑)。いい意味でプライベートにしてくれるので、お互いとしては2人でいても別に嫌ではないです。
――オフの日の過ごし方は
廣野 金澤、菱田、土肥とかと仲良いのでよく遊んでます。
平野 僕は割と外に出ていくタイプですね。学校の友達とそういうときにしか遊べないので。深津(健吾、スポ3=東京・国学院久我山)とはちょいちょい遊びに行ったります。深津の車で連れて行ってもらったり。お台場に行ったし、この前も御殿場アウトレットにも行ったし。
廣野 おしゃれだもんね。
平野 廣野さんにはかなわないですよ(笑)。
――プレー面でのお互いの印象は
平野 廣野さんはふらーっと相手のいないところに行っていつの間にか抜けてます。
廣野 これ恥ずかしいね(笑)。負けん気が強いんですよ。だから大きな相手に立ち向かっていくし、自分からどんどん勝負していくし。
――生活面ではいかがですか
平野 いっぱいあるよ!みてくださいよ吹き出し!(ポスターに手書きの吹き出しに「ちゃんとテレビと電気を消しましょう」の文字)。最初、入寮してきたときなんでもつけっぱなしで出て行くので。
廣野 エコになれない人間なので。
平野 でも最近消すからね。
廣野 私生活のことは注意されてます。消しなさいとか干しなさいとか(笑)。平野に関しては、しっかりしてますよ。畳むのもきれいだし、時間管理もしっかりしてますし。奥さんはすごい楽だと思います(笑)。
――部屋の決まりごとはありますか
廣野 ないですね。
平野 前は廣野さんが一回電気消し忘れたら100円とかやってました。
廣野 昔ね。忘れちゃうと寮でバツがついちゃって、たまると坊主になってしまうので、僕がミスったら平野も坊主にしなきゃならないんで。
平野 一回もなったことないから絶対に嫌なんですよ。
――ここは理解できないということはありますか
平野 最初は(片付けられないことに)びっくりしましたけど、慣れた。
廣野 僕からすればきれい過ぎます。
――遊びに行く部屋はありますか
平野 マジー(間島)の部屋!あと、須藤さん(拓輝、スポ4=東京・国学院久我山)の部屋でウイイレ(ウイニングイレブン)を。
廣野 サッカーやってます。
平野 近さん(藤近)がよく来るよね。
廣野 藤近は寂しくてここの部屋に来るんですよ。寂しがり屋なんで。僕が帰ると、僕のベッドで寝てます。
平野 iPadを自分のって言い出すもんね。
廣野 僕のiPadを自分のって言って勝手に使ってたりとか。でもかわいいやつですね(笑)。僕は大瀧(祐司、文4=神奈川・横浜緑が丘)の部屋に行ってます。あそこすごく落ち着くんですよ。
平野 新幹線でもいっつもとなりですよ。
廣野 入寮の時期も同じでしたし、お互い気心知れてますね。
――お二人が仲が良いのは同部屋になってからですか
廣野 そんなことないよね。初め、僕は平野に対抗心燃やしてビビってたんですけど、僕が2年のときにBチームで一緒に出たときに声かけてくれて、こいついいやつだなと思ってそこから話したりしてました。
平野 普通にしゃべりかけてて、1年のときもちょいちょい練習終わったあと部室で話したり。
廣野 カッコつけてるんですけど、弟なんですよ。甘えてくるんで、そこがかわいいところで、僕は好きなんですよ。
――兄弟のようですね
平野 一文字違いはやっぱちがうな。
――部屋のこだわりは
平野 廣野さんのベッドです。めっちゃふかふかなんですよ。たまにここで爆睡することあるもんね。
廣野 寮で一番いいベッドなんじゃないかと思うんですけど。自宅から持ってきました。
平野 くれないかなーって思ってるんですけどね。
廣野 (2段ベッドの)上は平野です。びっくりしましたよ。こんな部屋に2段ベッドがあるなんて。
平野 夏は大変なんですよ。熱がこもって。全然上と下の温度が違って。また上のベッドで立つと、もわーっていう空気が溜まってて。上り下りも大変です。
「自分にベクトルを向ける」(平野)
平野はポジション争いが熾烈なSHでレギュラー定着を狙う
――春から「自律」ということを目指していますが、生活面で心がけていることは
平野 授業にちゃんと出る。
廣野 授業面に関しては出れるときは出て、学生の本分はそっちなんで。
――ラグビーのことも含めて、ご自分の考える「自律」とは
廣野 同期で頑張っている人がたくさんいて、Aチームで出られていない人たちでも遅くまで残って練習したりだとかしているので、そういう人たちに恥じないように自分で頑張っていこうかなというところですね。「自律」ではないんですけど、みんなが頑張っていることを感じて、僕も頑張っていこうということはいつも考えています。
平野 ムズイ。きょねんの夏合宿で言われた、自分にベクトルを向けるっていうことを徹底しています。どうしてミスが起こったのかを簡単に人のせいにしないで、全て自分にできたことはなんだったのか考えてやるっていうことです。
――夏合宿で強化したい点を教えてください
平野 自分にベクトルを向けて、一つ一つのプレーで考えてプレーしていきたいです。
廣野 僕は2つあります。ひとつはタックルですね。帝京大戦でそのせいで負けているので。あとは流れを変えていけるようにアタックの部分を変えていきたいなと。もともとの売りはそっちなので。
――夏合宿の終盤に帝京大戦があり、帝京大がターゲットになりますね
平野 チームとしてのターゲットは帝京大かもしれないですけど、自分はいまBチームなので、上に行くためにどの試合も全部ターゲット試合で全力を出し切りたいです。
廣野 いまある課題を少しでもつめられるように。帝京大とやるチャンスは本当にないので、日本一を取るために課題を潰していこうと考えてますね。負けたくないですね。
――後藤監督が日頃「数で勝つ」ということをおっしゃっていますが、それについてはどのように考えていますか
廣野 とにかく走れってことです。普段から練習中でも走れるところは走りまくって、きついことを自分でやるっていうことを意識してやるってことを考えていきたいですね。
平野 きついときにきつい選択?
廣野 そうそうそう。そういうのあったね。前監督の言葉なんですけど。
――ポジション争いも激化が予想されますね
廣野 絶対あると思います。それが必要ですし、そういうふうにやっていくことでみんながレベルを上げていくというか底上げしていくことも大事ですし。僕はやっぱり4年のみんなと出たいので、誰が出てくるといいとかはないですけど、4年生が頑張ってくれると嬉しいですね。もちろん平野とも出たいよね。
平野 競争ないと伸びないし、それがワセダのいいところだから。競争をもっと楽しんでやっていきたいです。
――ご自分のプレーのアピールポイントは
廣野 僕はやっぱりディフェンスですね。好きなのはアタックなんですけど、ワセダのFBはディフェンスです。
平野 もっとプレーの引き出しを増やしていきたいです。裏が空いたら間島さんから蹴るんじゃなくて自分から蹴って、地域を作ったりチャンスを演出したり、引き出しをもっと増やせればいいのではないかなと思います。
――『荒ぶる』を取るために必要なことは何だと思いますか
廣野 難しいですね。やっぱり部員全員の力が大事ですけど、4年がみんなの良いところを引き出していけるようにやってかないといけないので、残りあとどれくらいかっていうこと毎日毎日大切にして、どうしたら帝京大に勝てるかをみんなが考え抜いてそれを帝京大にぶつけられれば。ひとりひとり考えることが大事なのではないかなと思います。まだわかんないですけどね。簡単なことではないので。
平野 狂う。ネガティブイメージの狂うではなくて、ひとつタックルを楽しいと思えるような、緊張感を楽しいと思えるように、ピンチのときの苦しい時間もそうですけど僕の場合はSHなのでテンポ上げるとかそういうことがメインなんですけど、そういうところの緊張感をもっと楽しめるようになれば結果はついてくると思っています。
――ファンの皆さんに一言お願いします
廣野・平野 ことしは廣野と平野が暴れます!
――ありがとうございました!
(取材・編集 大口穂菜美、高橋真耶)
廣野晃紀(ひろの・こうき)
1991年4月23日生まれのB型。177センチ、84キロ。東京・早実高出身。社会科学部4年。ポジションはWTB/FB。天然でいじられキャラだという廣野選手。年下の平野選手との掛け合いは仲の良い兄弟のようで、とても和やかな雰囲気でした。プライベートでも学年をつなぐキーパーソンとして大活躍ですね!
平野航輝(ひらの・こうき)
1992年12月11日生まれのB型。169センチ、71キロ。長崎南山高出身。スポーツ科学部3年。ポジションはSH。オフの日はまとめてショッピングに行くという平野選手。先日の北風祭ではおしゃれなハットをかぶって、ひときわ目立っていました。熱いプレースタイルとともに、ファンションのスタイルにも注目です!