大学選手権準決勝・展望

ラグビー男子

 全国大学選手権決勝への切符を懸け1月2日、早大は筑波大と激突する。FWの早大、BKの筑波大という構図で、両者の強みを存分に押し出したゲーム展開が予想される。大学選手権セカンドステージではお互い3戦全勝と仕上がりは上々で、接戦は必至。両者のプライドがぶつかり合う準決勝、軍配はどちらに上がるのか。

 初戦から強豪校との連戦が続くなど、関東大学対抗戦(対抗戦)では調整に苦しんだ筑波大。結局対抗戦は4位に沈み、昨季王者としては屈辱の結果となってしまった。しかし、スターティングメンバーが固まったことでチーム力は着実に向上。以前は個々の高い能力に頼りがちだったが、現在はチームとしての戦い方が浸透しつつある。そんな筑波大の武器は、豪華タレントをそろえるBK陣だ。日本代表経験を持つSH内田啓介主将をはじめ、フィジカルとスピードを兼ねる好選手がラインナップに名を連ねる。中でも、ルーキーSO山沢拓也の台頭は見逃せない。前回の早大戦で対抗戦初スタメンを勝ち取ると以降はレギュラーに定着。キック力だけでなく突破力にも長けており、内田とのハーフバックスは早大にとって脅威となるに違いない。

筑波大の心臓部として多彩な攻撃を組み立てる内田主将

 一方の早大は、FWの出来がキーポイントとなりそうだ。そこでカギを握るのは、フッカー須藤拓輝(スポ4=東京・国学院久我山)。セカンドステージの中大戦で負傷退場しその影響が懸念されるが、須藤を軸にセットプレーで優位に立ち、筑波大BK陣にプレッシャーを与えたい。大型FWを擁する筑波大は、決して一筋縄ではいかない相手だ。だが今季の早大は、FWに強いこだわりを持って臨んできた。セカンドステージでもFW陣は他大学を圧倒。シーズンを通して鍛え抜かれた早大の強力FWが、そう簡単に負けることはないはずだ。またこの試合から、明大戦後ケガで戦線を離脱していたSO小倉順平(スポ3=神奈川・桐蔭学園)が先発メンバーに復帰。対面・山沢とのSO対決にも注目が集まる。

セットプレーのキーマンとなる須藤

 対抗戦では早大が勝利を収めたが、スコアは20―17という僅差。後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)も「(筑波大は)対抗戦序盤にやったときと、完全にいまは別のチーム」と警戒を強めている。だが対抗戦での勝利は、選手たちに『勝つイメージ』を植え付けた。対抗戦では昨季、一昨季と筑波大に敗れてきたが、苦手意識はすでに払拭(ふっしょく)。あとは80分間、自らの力を出し切るのみだ。「いままでやってきたことの集大成」(フランカー金正奎副将、教4=大阪・常翔啓光学園)。5年ぶりの『荒ぶる』に向け、ここでは負けられない。1月12日、決勝の舞台には赤黒が立つ。

(記事 北川翔一、写真 戸澤美穂)

  

早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
大瀧 祐司 文4 神奈川・横浜緑ケ丘
須藤 拓輝 スポ4 東京・国学院久我山
◎垣永 真之介 スポ4 東福岡
黒木 東星 スポ4 東福岡
芦谷 勇帆 スポ4 京都・伏見工
金 正奎 教4 大阪・常翔啓光学園
布巻 峻介 スポ3 東福岡
佐藤 穣司 スポ2 山梨・日川
岡田 一平 スポ2 大阪・常翔学園
10 小倉 順平 スポ3 神奈川・桐蔭学園
11 深津 健吾 スポ3 東京・国学院久我山
12 坪郷 勇輝 商4 東京・早実
13 飯野 恭史 商3 東京・早実
14 荻野 岳志 先理3 神奈川・柏陽
15 藤田 慶和 スポ2 東福岡
リザーブ
16 光川 広之 スポ3 神奈川・公文国際
17 清水 新也 スポ3 宮城・仙台育英
18 佐藤 勇人 スポ3 秋田中央
19 大峯 功三 スポ3 福岡・東筑
20 植田 耕平 スポ4 東京・本郷
21 辰野 新之介 文構4 神奈川・桐蔭学園
22 水野 健人 人4 大阪・東海大仰星
23 滝沢 祐樹 基理2 福島
※◎は主将、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷)