ラグビー蹴球部は23日、日本選手権3連覇中のサントリーサンゴリアスと合同練習を行った。定期的に社会人と体を当てる機会を設けており、社会人チームに出向くのは今回で4度目。「来週の帝京大戦に合わせて一番強いチームとやりたかった」(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)とあえて日本王者の胸を借り、学生王者・帝京大との一戦に向けて感触を確かめた。また、この日はニュージーランドへの短期留学から帰ってきたFB藤田慶和(スポ2=東福岡)も練習に参加。キレのある走りを見せ、一回り成長した姿を披露した。
アップを終え17時から始まった合同練習。まず初めはゲーム形式のコンタクト練習で汗を流した。相手はBチームといえども、大学生とは次元の異なるコンタクトレベル。最初は押し込まれ突破を許す場面が目立ったが、徐々に体が慣れてくると早大らしい粘り強いディフェンスを発揮。テンポの速いサントリーの攻撃にも、「よくディフェンスできていた」(プロップ垣永真之介主将、スポ4=東福岡)と素早く守備網を敷き、ダブルタックルで応戦した。
ダブルタックルで突破を阻んだ
続いて行われたのはFWとBKに分かれてのユニット練習。FWはスクラム練習を行った。マイボールと相手ボールを交互に繰り返し、練習の成果を確認。一気に押し込みターンオーバーする場面もあったが、「全部いいスクラムが組めたわけではない」(垣永主将)と精度の部分で課題を残した。一方のBKは、元セブンス豪州代表のピーター ヒューワットコーチが選手たちに直接指導。トライを取るための基本スキルやキックの教えを請いた。
コーチから指導を受けるBK陣
「いい意味で社会人のコンタクトレベルを体感できた」(垣永主将)と今回の経験は、選手にとって好材料になったに違いない。勝負の帝京大戦まで残された時間はあとわずか。「100パーセントの力を出し切れるように」(後藤監督)万全の準備を整え、11.3頂上決戦に挑む。
(記事 坂田謙一、写真 大口穂菜美)
コメント
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)
――本日のサントリーとの合同練習にはどんな意図があったのでしょうか
一つは定期的に社会人に胸を借りる機会を持とうと思ってスケジューリングしていました。このタイミングでサントリーを選んだのは、来週の帝京大戦に合わせて一番強いチームとやりたかったのと、合わせて感触を確かめたかったからです。
――感触を確かめたかったポイントはどこですか
基本的に社会人とやるときはコンタクトの部分なんですけど、そこは前回のリコーとの合同練習である程度感触を得られていて、きょうは特にディフェンスの部分で粘り強く、トライを簡単にとらせないディフェンス力を確認できればと思っていました。
――規律の部分はいかがでしたか
そこはダメだね。どうかなと思って見ていたんだけど、きょうもペナルティーをたくさん取られていたんで。まあこのくらいの相手になるともっと経験値を増やさないといけなくて、あと何回かこういう場を作ってあげれば余裕という部分も出てくるかなと思います。この部分に関しては正月に向けて継続してやっていきたいと思っています。
――スクラム練習では押し込む場面もありましたが、どう評価されていますか
まあこんなもんでしょう。ことしに関しては強みとして全面に押し出します。
――藤田慶和選手(スポ2=東福岡)も留学から帰ってきました
待望の帰国ですね。得点力になり得る存在ですから。あいつが入ればそれだけで雰囲気は変わると思いますよ。
――最後に来週の帝京大戦に向けて意気込みをお願いします
まだまだこのチームは発展途上なので、勝ち切れるかはなんとも言えないですけど、現時点でできるだけの準備をして、持てる力を100パーセント出すことができれば十分勝負に持ち込めると思います。100パーセントの力を出し切れるように頑張りたいです。
プロップ垣永真之介主将(スポ4=東福岡)
――サントリーとの合同練習ということでしたが、どんな気持ちで臨みましたか
自分たちがやりたいことが通用できればいいなと思っていました。
――コンタクトに関して手ごたえはいかがでしたか
よくディフェンスできていたと思います。接点に関してはある程度手ごたえを感じています。
――アタックでも2本トライを取りましたね
あそこまで上手くいくとは思っていませんでした。よかったと思います。
――スクラム練習では社会人相手にいいスクラムが組めていましたね
良くもあり悪くもありという感じですね。まだムラがあるというか、全部いいスクラムが組めるというわけではないので、持ち帰って修正したいと思います。
――きょうの一番の収穫は何ですか
いい意味で社会人のコンタクトレベルを体感できたのが一番の収穫だったと思います。
――来週に迫った帝京大戦に向けて一言お願いします
着々と準備が整っているので、いい結果が出せればと思っています。
FB藤田慶和(スポ2=東福岡)
――サントリーとの合同練習を終えて感想をお願いします
僕もまだ戻ったばかりでワセダの攻め方とかが全然わからなかったんですけど、厳しいことを言うのであれば(早大は)もっとできると思います。サントリー相手にもっとトライをとって、ディフェンスも前に出て差し込まれないようにできれば、大学相手の試合でも問題ないんじゃないかなと思います。
――早大のプレーで社会人相手にも通用したと感じたところはありましたか
ディフェンスで守れていた部分やトライを取られなかった部分はよかったと思うんですけど、ただ止めていただけなので差し込まれていたし、フェーズを制限してやっていたのでそれがなくなると絶対にトライを取られると思います。あそこで受けるんじゃなくて前で止められるようにならないとダメだなと思います。
――FWとBKに分かれて個人指導も受けましたが収穫はありましたか
基本のところや、崩れたときに数が余ってどう取り切るかということをやったので、トライを取り切れるような基本スキルというのを学べたかなと思います。
――ニュージーランド(NZ)留学を終えて、ご自身が一番成長したと感じる部分はどこですか
ここっていうところがあるわけではなくて、全て成長できたと思います。私生活でもラグビーの面でも人間的にも全部成長したと思います。
――本場でプレーするなかで、日本代表や早大にも持ち帰りたいと思った部分はありましたか
全部持ち帰りたいんですけど、日本のラグビーの良いところとNZのラグビーの良いところを半分半分取ったのが今の日本にとってベストなところだと思うので、全部NZのようにするというわけではなくてマッチさせて日本にとって一番いいと思うところを日本代表にもワセダにも伝えられたらいいなと思っています。
――藤田選手の今後の展望を教えてください
とりあえず自分の夢がスーパーラグビーなので、次はことし入れなかったアイテムカップに入ってスーパーラグビーの契約をもらえるように大学でも日本代表でも意識を高く持ってプレーして頑張りたいと思います。あとはこれから日本代表で4テストマッチあるので全部勝つことですね。世界トップ10のスコットランドも入っているんですけど、勝つ気持ちで行きたいですし、大学に関してもことしは優勝したいと思っています。