関東大学対抗戦 11月3日 対帝京大 秩父宮ラグビー場
春は7ー60、夏は38ー14。今季帝京大とは1勝1敗と互角の勝負を見せている早大。関東大学対抗戦(対抗戦)で帝京大に最後に勝利したのは丸尾崇真(令3文構卒=現神奈川タマリバクラブ)が率いた2020年のこと。今週末、秩父宮ラグビー場を舞台に4シーズンぶりの白星を奪取したい早大は「もう一段ステップアップして臨みたい」(大田尾竜彦監督、平 16 人卒=佐賀工)と王者打破に向け、着実に準備を重ねている。
前節は群馬・太田市運動公園陸上競技場で行われた青学大との一戦。青学大は今季、31年ぶりに筑波大に勝利し勢いに乗っていた難敵だった。しかし、結果は早大の圧倒。キックゲームで優位に立ち、コリジョンでも強さを見せた。安定感のある試合運びで次々と得点を重ね、計10トライ。早大らしい多彩なアタックが猛威を振るった。しかしこの試合で最も注目すべきはなによりディフェンスである。対抗戦が開幕してから今まで早大はインゴールを割らせていない。明大から先制トライを奪った青学大の確かな攻撃も真っ向から防ぎ切り、完封での勝利を見せた。
対する帝京大、絶対王者として大学ラグビー界に君臨する赤いジャージーは今季も圧倒的なパワーを見せつけながら4連勝。すべての試合でボーナスポイントを獲得し、勝ち点を伸ばしている。前節の慶大との一戦では、タイガージャージーの伝統のディフェンスをものともせずトライを量産。57ー19と大きく点差をつけて勝利した。帝京大の強みは「トライを取り切る力」だろう。敵陣のゴール前に侵入すると、FL青木恵斗をはじめとする強力なFW陣が次々に順目にアタックを仕掛け、コンタクトの強さを見せつけながら前進する。オフサイドラインを下げられ後手に回る守備の穴を的確に突く。シンプルに徹したラグビーだからこそ、覇者の風格がある。
早大の注目プレーヤ―、筆頭はやはりHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)。開幕戦の立大戦以降、日体大戦と青学大戦を欠場していた主将が満を持して登場する。スクラム、ラインアウト、ボールキャリー、タックル。彼のプレーの全てが必見だ。また、両LOの西浦剛臣(社4=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)と栗田文介(スポ3=愛知・千種)も復帰。2人の魅力はなんといってもフィジカルの強さを生かしたダイナミックなプレー。しかしブレイクダウンやダブルタックルなど影のプレーもこなせる献身性も大きな強みだ。ついに早大のタイトファイブが帰ってきた。強力な帝京大スクラムを正面から押し勝つ準備はできている。
迎えた乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負。早大にとっては対抗戦折り返しの第4節、ここで白星を飾ることは勝ち点以上の価値がある。試合を分けるのはやはりディフェンスだろう。帝京大のシンプルかつパワフルなアタックに対して、80分間集中した防御を貫きたい。今季の早大は圧力あるディフェンスに加え、一気に敵陣に攻め込む攻撃力も兼ね揃える。SO服部亮太(スポ1=佐賀工)のロングキックやFB矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)の天性のランニングは自陣深くからでも脅威になる。まさに堅守速攻を体現したラグビーだ。帝京大のフィジカルに引かず、常に前に出続ければ必ず勝機が転がり込む。さあ、『早稲田のプライド』を見せつけろ。
(記事 村上結太、写真 清水浬央)