矢崎が先発出場 新生日本代表始動

ラグビー男子

リポビタンDチャレンジカップ2024 6月22日 対イングランド代表 国立競技場

 5月30日にラグビー日本代表のスコッドメンバーが発表された。現役の早大生からは主将の佐藤健次(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が選出。リーグワンでチームを優勝に導く活躍を見せた原田衛(東芝ブレイブルーパス東京)や、日本代表のキャプテン経験もある坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)といった名選手が揃うフッカーのポジションで、見事メンバーに食い込んだ。さらに練習生として2年生の矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)が宮崎県で行われる強化合宿へ帯同する運びとなった。また早大出身の選手では昨年のワールドカップでも中心メンバーとして活躍を見せた齋藤直人(令2スポ卒=現東京サントリーサンゴリアス)や長田智希(令4スポ卒=現埼玉パナソニックワイルドナイツ)ら4人が選出された。

日本代表の中核を担うSH齋藤(写真中央手前)、CTB長田(写真中央奥)

 メンバー発表から3週間後の6月22日、新生日本代表初の対外試合としてリポビタンDチャレンジカップ2024が行われた。ラグビー発祥の地イングランドの代表を国立競技場に迎え、エディー・ジョーンズ新監督のもと日本代表の新シーズンが幕を開けた。注目が集まったのは早大の矢崎。6月20日に発表された試合登録メンバーに、フルバックの先発選手として名を連ねたのだ。チーム最年少となる20歳での大抜擢だった。

スタメン出場のチャンスを掴んだFB矢崎

 試合はキックオフ直後にSO李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)のペナルティーゴールで日本代表が先制に成功。その後も敵陣で早い攻撃を展開しチャンスを作り、ゲームの序盤から日本代表が攻め続ける展開。エディー監督の掲げる『超速ラグビー』を体現したかに思えたが、チャンスを得点に繋げることができず、イングランド代表の攻撃力を前に連続失点を許した。後半には66分、69分と立て続けにトライを奪うも反撃は及ばず。最終スコア17ー52とし、チームの初陣を勝利で飾ることはできなかった。

試合後に言葉を交わすCTB長田(写真右)と佐藤(写真左)

 「今までの人生にないくらい緊張して」いたと代表初キャップのプレッシャーを語った矢崎。前半から何度かボールに絡むシーンを見せるも世界の壁に阻まれ、持ち前の爆発的なスピードや鋭いステップを見せることはできなかった。「出し切れてはいない」と悔しさを滲ませた一方で、「いい形でもらえれば」と今節のプレーから今後の成長に期待する言葉も漏らす。後半55分の交代直前のプレーでは、ゴール前までゲインしたWTBジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)からオフロードパスを受け取り、代表初トライのチャンスを迎える。この決定機にイングランド代表のSOマーカススミスがたまらずアーリータックルの反則を犯しイエローカードで一時退場。矢崎のトライとはならなかったものの、世界レベルの実力に近づいたことを示す場面になったのではないだろうか。

インゴールに迫るFB矢崎

 イングランド戦では8人の選手が日本代表デビューを果たした。エディ監督も「次のレベルのプレーヤーを育成する」と若手や、これまで出場機会の少なかった選手の成長に注力する姿勢を見せている。リポビタンDチャレンジカップはマオリ・オールブラックスとの2連戦を含め、残り4試合が予定されている。惜しくも今節の試合メンバー入りを逃した佐藤も代表初キャップを獲得する日は遠くないだろう。これからも世界で戦う赤黒の戦士たちから目が離せない。

(記事 西川龍佑、写真 ラグビー部提供)

 コメント 

WTB矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)

――試合に向けて緊張などはありましたか

 (試合に)出る前は、正直今までの人生にないくらい緊張していて、正確に言うと昨日が一番緊張していて、ジャージーをもらってホームでイングランドを相手に先発の15番で出させていただくという実感がどんどん湧いてきて、昨日の夕方くらいが一番緊張していました。逆に今日はいいマインドでできたかなと思います。

――力を出し切れた実感はありますか

 力を出し切れていたらもっと結果は変わっていたと思うので、出し切れてはいないです。もっとボールに絡むプレーを多くするべきだったと思います。

――実際にイングランドの選手と戦った感触はいかがですか

 強いフォワードとキックも上手くてランもできるバックスで、あたってみても硬かったですし、当たり前ですが、簡単にはいかないなと感じました。

――通用する部分があったと感じますか

 いい形でボールを受けることができたら、前半の最初もノックオンで終わってしまいましたが、相手と半身ずらして体も裏に出ていたと思いますし、上手くコミュニケーションをとってバックフィールドのカバーも上手くできたと思います。

――この経験をこれからどう生かしていきたいですか

 このイングランド戦でファーストキャップをもらえたことは大きな財産になると思うので、この経験を積み重ねていって2027年(のワールドカップで)、日本がトップ4に入るときに、もっとチームからもファンからも信頼される存在になりたいと思っています。