春季ジュニアオープン戦 6月16日 対帝京大B 早大・上井草グラウンド
6月16日午後3時にキックオフした早大B対帝京大B。同日に行われたC戦、A戦で敗北を喫した早大は何としても勝利し、帝京大に一矢報いたい一戦。選手たちは並々ならぬ思いで試合に臨み、立ち上がりから帝京大Bにプレッシャーをかける。前半2分、先制に成功した早大Bは7分にも追加点。序盤からペースを握った早大Bは失点を許すものの、24ー19とリードを保って前半を折り返す。後半は前半よりもさらに緊張感のある試合展開に。後半9分に帝京大Bに逆転を許すと、負けじと早大Bは18分に再逆転。このシーソーゲームを制したのは早大Bだった。帝京大Bに2点のリードを奪われて迎えたノータイムで早大Bは決着のトライを挙げ、38ー33で待望の白星を飾った。
試合開始早々からスコアが動く。2分、帝京大Bのオフサイドから敵陣に入り込んだ早大Bはラインアウトから逆サイドに大きく展開。ルーキーのFB植木太一(人1=神奈川・関東学院六浦) が力強いランでゲインすると、フォローに走っていたWTB三浦哲(文構 4=東京・早実) がパスを受け取ってトライ。早大Bが序盤で先制に成功した。続く6分には帝京大Bのレイトチャージの反則で大きく陣地を得ると、敵陣22メートルライン付近で形成したラインアウトモールで帝京大Bは再びペナルティー。速攻を仕掛けたSH清水翔大(文 4=東京・早実)からボールを受けたFL山本竜大(教 3=東京・早実) がインゴールを叩き割り、スコアは12ー0となった。12分、早大Bは反則から失点を許してしまうものの、24分に相手ボールスクラムで帝京大Bのコラプシングを誘う。敵陣まで前進したラインアウトでテンポよくアタックを継続すると、植木がフィジカルの強さを見せた。次々とタックルを振りほどき、そのままインゴールまで走り切るとスコアは19ー5に。続く29分、帝京大Bの再開のキックオフをキャッチし、自陣から積極的に攻撃を仕掛けた早大B。WTB鈴木寛大(スポ 2=岡山・倉敷)がゲインすると、オフロードパスを受け取ったPR新井瑛大(教 2=大阪桐蔭)がブレイク。一気に敵陣22メートルラインを突破。ボールを大きく展開し、このままトライを取り切るかに思われたが、帝京大Bにインターセプトを許し、追加点を献上。さらに35分には飛び出した早大Bディフェンスの穴を突かれ、ついに19ー19と同点に追いつかれてしまう。しかし、前半終了間際に敵陣ゴール前でラインアウトを獲得した早大Bはラインアウトからモールを組む。停滞したモールからボールをさばき、CTB中谷波一土(人 4=東京・本郷)の強いヒットで前に出る。順目に素早く走っていた仕事人、FL粟飯原謙(スポ 3=神奈川・桐蔭学園)がインゴールに飛び込み、24ー19と5点のリードを得て前半を折り返す。
後半、立ち上がりを制したのは帝京大B。早大Bは9分に自陣ゴール前でのスクラムを献上すると、痛恨のペナルティー。クイックで再開した帝京大Bアタックを捕えきれず、逆転を許してしまう。その後は両チームの圧力あるディフェンスが光り、アタックのミスが増える。16分、中盤で得たマイボールスクラムの一次攻撃でまたも植木がゲインすると、帝京大Bのオフサイドを誘発。敵陣ゴール前でモールを組んだ後、粟飯原とNO・8鈴木風詩(社 4=国学院栃木)の強烈なボールキャリーでトライライン目前にまで迫る。「『シンプル』なアタックを意識」していたSO仲山倫平(法 3=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ) がディフェンスの隙間を見逃さず、インゴールに飛び込んだ。コンバージョンキックもきっちりと決め、31ー26と再逆転に成功した。しかし28分、早大Bはスクラムでペナルティーを奪われると直後のラインアウトモールを押し込まれ、失点。31ー33とまたも逆転を許した。続く35分でもスクラムで反則を犯し、自陣深くまで攻め込まれる早大Bだったが、ここで圧巻のディフェンスを見せる。「絶対にトライを取られてはいけない、足を引いてはいけないということが全員の意識としてあった」と鈴木風が振り返るように、帝京大Bの強力なアタックに対して一切の引けを取らず、ターンオーバーに成功。試合が早大Bに傾く。40分、一つのミスも許されない緊張感に満たされた場面で早大Bは鋭い攻撃で次々と自陣から前進していく。帝京大Bはたまらず2連続でペナルティーを犯し、さらに陣地を広げる。早大Bの継続したアタックで帝京大Bディフェンスの綻びを生み出すと、的確に突破を図ったのはゲームキャプテンの中谷。フォローに走っていたCTB佐々木豪正(文 2=東京・早実) がサヨナラ逆転トライを挙げ、早大Bは38ー33で勝利した。
「『Beat Up』、相手を倒すということにひたすらフォーカスしていました」(中谷)。粘り強いディフェンス、そしてノータイムでトライを取り切った集中力は早大Bの大きな武器となるはずだ。一方でPR山口湧太郎(スポ 3=神奈川・桐蔭学園)が「(帝京大Bの)変化をつけてきたスクラムに対して自分たちの形を作ることができなかった」と評価するように、スクラムでのペナルティーを減らしていくことで、さらに常勝軍団として進化していくだろう。この春シーズンでBチームは全勝を達成し、早大ラグビー部のスタンダードを押し上げる。貪欲に『赤黒』を狙う彼らの成長から目が離せない。
(記事 村上結太、写真 濵嶋彩加)
コメント
CTB中谷波一土(人 4=東京・本郷) ゲームキャプテン
――今日のチームとしてのコンセプトを教えてください
『Beat Up』、相手を倒すということにひたすらフォーカスしていました。
――試合終盤、帝京大に深く攻め込まれた場面で長いフェーズを耐えきったディフェンスを振り返っていかがですか
試合前から我慢が必要になる相手だということはわかっていたので、一人一人が体を張ったディフェンスを遂行できた結果かなと思います。
――ラストプレーのトライは自身のブレイクがきっかけとなりましたが、あのプレーを振り返っていかがですか
ハーフタイムの時に大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)から「アタックマインドを常に持て」と言われていたので、継続して攻め続けるということを意識していました。最後のプレーはとても長いフェーズでしたが、最終的にトライと取り切れたことはチームとしても、個人としてもうれしかったです。
――今後の意気込みをお願いします
先週復帰したばかりなので試合勘を取り戻しつつ、4年生として上を目指す姿をチームメイトに見せていければなと思います。
PR山口湧太郎(スポ 3=神奈川・桐蔭学園)
――今日の個人のコンセプトを教えてください
帝京大さんはセットプレー、特にスクラムが強力なチームなのでまずはそこで勝負をすると共に、フィールドプレーでは身体をぶつけ合うコリジョンの場面で引かないということを意識していました。
――今日のスクラムを振り返っていかがですか
ヒットまでは良かったのですが、その後に回ってしまうなど安定させることができなかったので、そこが改善点だと思います。
――スクラムでのペナルティーが多かったですが、どのような課題が挙げられますか
相手が(力を)かけてきたり、かけてこなかったりと変化をつけてきたスクラムに対して自分たちの形を作ることができなかったことが原因だと思います。自分たちの形を作るということをまずは練習から確認していきたいです。
――今後の意気込みをお願いします
夏合宿、そして秋シーズンと続いていくので、自分としてもチームとしても強くなれるように、今日課題として挙がったセットプレー、そしてフィールドプレーの細かいところに集中して改善していきます。そしてそれらを秋の本番で繋げていきたいと思います。
SO仲山倫平(法 3=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)
――今日の個人のコンセプトを教えてください
春の集大成だったので、『シンプル』にこれまでやってきたことを出すつもりでプレーしていました。
――その達成度はいかがですか
やってきたことはそれなりに出せたかなと思います
――アクシデントもあり前半から出場する場面もありましたが、チーム全体のアタックを振り返っていかがですか
1人目が強いヒットをしてロングリリースをする、ということをチーム全体で意識していました。今日はそれがしっかりできたことで結果に表れているのではないかと思います。アタックを継続したうえで、様々なオプションを選んで攻撃することができたので良かったのではないかと思います。FWは良かったのですが、BKがもっと前に出なければアタックが停滞してしまうのでそこが課題だと思います。
――後半、SOとして出場するにあたってどんなアタックを意識していましたか
『シンプル』なアタックを意識していました。魅了するようなプレーではなく、泥臭く前に出るアタックを意識していました。そのなかで仕掛けるところやプレッシャーをかけるところなどメリハリを持ってプレーできたかなと思います。
――今後の意気込みをお願いします
フィジカルアップに努めなければならないと思っています。大田尾監督からも「スイッチをオンにする」とお話があったので、ここからもう一度スイッチを入れたいです。実際、今日は帝京大にAチームとCチームで負けているのでその差をひっくり返せるように、Aチームで赤黒を着て勝利を掴めるプレイヤーになれるように頑張ります。
NO・8鈴木風詩(社4=国学院栃木)
――今日の個人のコンセプトを教えてください
ファーストインパクトやボールの接点で引かない、前に出続けるというところを意識しました。
――ディフェンスを振り返っていかがですか
後半出場だったこともあり、相手のアタックスピードに乗られてしまってやりたいことができませんでした。最後の最後に僕がタックルを外してしまってゲインされたのも4年生としてやってはいけないことであり、今後伸ばしていかなくてはいけないところだと思います。
――特に終盤、帝京大Bに深くまで攻め込まれながらも長いフェーズを耐えた場面がありましたが、その場面をを振り返っていかがですか
個人としてなのですが1回抜かれてしまって、ここでトライを取られたら負けてしまうと思って必死に戻って必死にタックルし続けました。それが皆にも伝わっていて、絶対にトライを取られてはいけない、足を引いてはいけないということが全員の意識としてあったのかなと思います。
――最後に今後の意気込みをお願いします。
僕はAチームに定着しているというわけではなくメンバー争いも激しいですが、この競争環境があるからこそ『日本一』そして『荒ぶる』に近づくと思っているので、そこにフォーカスして頑張りたいと思います。また4年生として、チームを見続ける、チームとして何が必要か考え続けるということもやっていかなくてはいけないなと思います。
メンバー