地力の強さを示した早大D 厳しい展開の中で勝利を掴んだ

ラグビー男子

秋季オープン戦 10月13日 対東海大D 早大・上井草グラウンド

 10月中旬の日差しが照りつける中、早大・上井草グラウンドには多くの観客が集まり、早大Dの雄姿を見守った。試合が始まると、早大Dは素早い攻撃で相手にプレッシャーをかけるが、ミスが続き、決定機を生み出すことができない。先制点を奪ったものの、立て続けに失点を重ね、前半は12ー17と東海大Dにリードを許して折り返す。後半に入ると、早大Dはすぐさま得点を挙げて同点に追いつくが、再び相手にリードを奪われてしまう。それでも後半35分には逆転に成功。終盤には相手の猛攻に晒される場面もあったが、粘り強い守備でピンチをしのぎ切り、ノーサイドの笛が鳴った。東海大D相手に見事な逆転勝利を収めた。

ディフェンスに仕掛けるHO田中

 前半はSO池山昂佑(商2=東京・早実)のキックオフで幕を開けた。早大Dは得意の展開力を活かして次々とチャンスを作り出すが、ミスが続き、なかなか波に乗ることができない。しかし、今シーズンの強みであるスクラムで優位に立つと、再び攻撃の機会を掴む。前半10分、東海大Dのキックを池山が巧みに処理すると、CTB田尻遥也(文4=埼玉・早大本庄)からボールを受けたWTB杉野駿太(政経4=東京・早大学院)がビッグゲイン。続いてLO紀伊龍二(商3=東京・早実)が果敢にゴールラインへ迫る。そして、最後はHO田中健心(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が力強くインゴールに押し込んで先制。池山のゴールキックも成功し、7ー0とリードを奪った。その後も池山とFB北田琢麿(スポ3=埼玉・川越東)のロングキックで陣地を回復するが、東海大Dに着実に得点を重ねられ、7ー12と逆転を許してしまう。さらにピンチが続くも、池山の冷静なディフェンスコントロールで難を逃れる。前半30分、CTB丸橋怜央(商2=埼玉・早大本庄)を起点に、池山が相手ディフェンスの裏へ転がしたボールをWTB小澤アンディ(法3=千葉・流経大柏)がキャッチし、そのままインゴールへ飛び込む。ゴールキックは惜しくも外れたが、12ー12と振り出しに戻した。このまま前半を終えたかった早大Dだが、東海大Dがライン際でゲインし、そのままインゴールまで運ばれ、12ー17。リードを許したまま前半を終了した。

力強い走りを見せたWTB小澤ア

 後半の初めから途中出場したSO島田隼成(スポ1=福岡・修猷館)がファーストプレーから魅せる。キックカウンターから大きなゲイン、ディフェンスでは独走する相手に追いついてチームをピンチから救うビッグタックルを決めるなど、攻守の両面で存在感を発揮した。島田の活躍により勢いづいた早大Dは、CTB中谷波一土(人4=東京・本郷)のパスを受けた田尻がチャンスを演出すると、島田がボールをつなぐ。内側からスピードをつけて切り込んできた北田にボールが渡り、そのままインゴールに飛び込んだ。早大Dは再び17ー17の同点に追いつく。その後は両チームが得点を重ね合う一進一退の展開となり、スコアは27ー29。勝負が決まるラスト5分、早大Dは勝負をかけた。後半35分、FB鈴木寛大(スポ2=岡山・倉敷)が相手のミスを逃さずボールをキャッチし、大きく前進。その後のラックからNO・8原田恒耀(スポ2=福岡・修猷館)が自らボールを持ち出し、インゴールを叩き割り、逆転。島田のゴールキックも成功し、34ー29とリードを広げる。そのまま試合を終えたい早大Dだったが、東海大Dも簡単には引き下がらない。強みのフィジカルを生かし、ゴールライン深くまで攻め込まれる。ゲームキャプテンの杉野が「コンタクトの強い相手に一対一で勝負する」と述べた通り、早大Dは最後まで粘り強くファイト。東海大Dがディフェンスのギャップを突き、独走に持ち込まれたが、鈴木の持ち味である快足でカバー。ターンオーバーに成功し、九死に一生を得たところで試合終了。クロスゲームを34ー29で締めくくり、早大Dは見事な逆転勝利を飾った。

後半からの出場で試合の流れを変えたSO島田

 シーソーゲームとなった今試合。早大Dは難しい試合展開の中でも勝利を収め、自らの実力を証明した。田中が「先週からスクラムにこだわっており、ヒットの部分でしっかり相手を押せたことが良かった」と振り返るように、春から磨き続けてきたスクラムの強さが発揮された。今試合ではディフェンスラインを整備する指示が至る所から飛び交っており、今シーズンの早大ディフェンスの成長を象徴しているようだった。一方で、紀伊は「自分の強みを出しながら、少しでも上のカテゴリーで戦いたい」と語るように彼らは更なる活躍に燃える。シーズンを通して「部内競争を強化させたい」と大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)が述べるように、彼らの活躍はチーム力の底上げにもつながる。『荒ぶる』そして『赤黒』を目指す選手たちの更なる活躍に期待が高まる。

(記事 大林祐太、写真 高木颯人)

コメント

WTB杉野駿太(政経4=東京・早大学院)ゲームキャプテン
ーー今日のチームとしてのコンセプトを教えてください
 東海大さんはコンタクトが強いチームなので、そこに対して一対一で勝負することはチームとして心がけていました。
ーー今日のBKのアタックを総括してください
 通じてる部分は沢山あったんですが、自分たちが上手くやろうとし過ぎたせいで、簡単に回してしまい、相手のディフェンスにくらうことがありました。自分たちの強みとしている縦への突進を出せれば良かったかなと思います。
ーー今日の試合を通して出たBKのディフェンスの課題をお願いします
 大きく分けて課題は2つあります。1つ目は相手の左右に揺さぶってくるアタックに対してディフェンスラインを整理できなかったところです。2つ目はフォワードとバックスの間を抜かれる場面が多かったので、バックスがフォワードをコントロールするところが主に課題としてあがりました。
ーー自身のアタックについて振り返ってください
 今日はボールタッチ数が少なくて、自分のチャンスを作ることができなかったので、ボールタッチ回数を増やすことは次の試合以降での課題ではあるのですが、キックカウンターのところなどWTBとしての仕事はできたので良かったと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
 まだまだシーズンは続くので、1つでも上のチームで出れるように頑張ります。

HO田中健心(スポ1=神奈川・桐蔭学園)
ーー今日の個人としてのゲームコンセプトを教えてください
 前回のプレーであまり良くないプレーがあったので、今日は基礎から見直してやることを意識していました。
ーー今日のスクラムについて教えてください
 スクラムについては先週からこだわっていたということもあって、ヒットの部分でしっかり相手を押せたことは良かったんですけど、足の詰め方など課題が見つかったので、次の試合までに修正しようと思います。
ーー個人のフィールドプレーについて教えてください
 今回の試合のフィールドプレーは良くて、ボールキャリーのところは結構できたかなと思っています。特にあたった後にもレッグドライブをできたところとかは良かったと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
 まだ僕はDチームなので、着実に確実なプレーや安定したプレーをしてチームの信頼を得られるような選手になりたいです。

LO紀伊龍二(商3=東京・早実)
ーー今日の個人的なコンセプトを教えてください
 アタックではまずタメを意識することをテーマにしていました。帝京戦では(ディフェンスに)詰められてしまう場面が多かったので、アタックでプレッシャーを出すことを意識していました。ディフェンスに関しては、タックルを待ってしまうことが自分の課題だったので、いつもより思い切って入ることは意識していました。
ーーそれを踏まえてアタックを振り返っていかがですか
 ファーストキャリーでノックオンをしてしまって、プレーの雑さが出てしまった部分もありましたが、全体としてスペースに走り込む意識が少しずつついてきたので、これからは丁寧さと低さを意識していきたいです。
ーーディフェンスについてはいかがですか
 ディフェンスは出足に関しては悪くなかったのですが、まっすぐ出られなかったりとか、肝心のタックルですぐ足が止まってしまう部分があったので、正しいセットからのストレートアップと、足を止めないタックルを磨いていきたいなと思います。
ーーラインアウトの組み立てはどうでしたか
 今日は取れる場所で飛び続けようということを考えていたのですが、自分が手いっぱいだったのもあってブレてしまう部分もありました。あとはベーシックな部分で、リフトを上げ切るとかそういう部分へのこだわりが出れば、もっといいラインアウトになったかなと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
 残りの試合も少なくなってきたので、毎試合を大事にしながら、自分の強みを前面に出して、少しでも上のカテゴリーで戦えればなと思います。

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