帝京大Bに劇的勝利 無敗記録を継続した

ラグビー男子

関東大学ジュニア選手権 9月15日 対帝京大B 帝京大・百草グラウンド 

 関東大学対抗戦(対抗戦)、早大の初戦から一夜明け、帝京大・百草グラウンドで関東大学ジュニア選手権(ジュニア選手権)が開幕した。今シーズン無敗を貫いている早大Bの応援に駆け付けた多くのファン。その期待を背に、選手たちは覇者・帝京大B戦に臨んだ。先制したのは早大Bだったが、アタックミスからトライを取り切られ振り出しに戻る。しかし、春シーズンから磨いてきた激しいディフェンスで帝京大Bに追加点を渡さない。早大Bはペナルティーゴールも成功し、17ー7で前半を折り返した。続く後半、6分に追加点を決め、このまま突き放すかに思われたが帝京大Bも簡単に主導権を渡さなかった。力強いランナーが次々とディフェンスラインに襲い掛かり、33分には27ー28と逆転を許す。しかし、負け知らずの早大Bはラストチャンスで逆転のトライに成功。34ー28でジュニア選手権の初戦を見事に勝ち切った。

ゲインラインを突破するFL安恒

 風が吹く中、早大Bのキックオフで始まった今試合。先に試合を動かしたのは早大Bだった。5分、帝京大BのハイパントキックをキャッチしたFB植木太一(人1=神奈川・関東学院六浦)が空中でタックルを受けたとしてペナルティーを獲得。SO服部亮太(スポ1=佐賀工)のロングキックで大きく陣地を獲得すると、早大Bはモールを形成した。帝京大Bのオフサイドを誘発すると、ゴール前まで侵入することに成功。またもモールを形成し、HO清水健伸(スポ2=東京・国学院久我山)が持ち出す。次のフェーズでFL牧錬太郎(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がボールキャリーすると、後ろから強烈なハンマーに入ったFL安恒直人(スポ4=福岡)。そのまま力強いドライブでインゴールに押し込んだ。15分にはPR新井瑛大(教2=大阪桐蔭)、LO萩原武大(スポ3=茨城・茗渓学園)を中心に鋭いタックルを連発。ディフェンスで帝京大Bを押し下げる。敵陣でボールを獲得し、追加点の兆しが見えた17分、アタックのミスボールが帝京大Bに収まり、そのままインゴールまで走り切られた。同点となった22分、早大Bは敵陣で獲得したスクラムでプレッシャーをかける。ブラインドに回り込んだWTB西浦岳優(社1=東福岡)がボールを受けると、ステップで次々とディフェンスをかわし、インゴールを駆け抜けた。続く30分、敵陣10メートルライン付近のスクラム一次攻撃から西浦がゲイン。オフロードを受け取った植木がタックラーを引きずりながら前進。テンポよくアタックを継続すると、帝京大Bはたまらず反則を犯してしまう。早大Bはそのペナルティーでショットを選択し、服部が確実に沈めた。17ー7と10点のリードを守り切り、前半が終了した。

ディフェンスに仕掛けるPR新井

 後半も先制したのは早大B。帝京大Bのオフサイドの反則から敵陣ゴール前まで前進し、ラインアウトモールを組んだ。帝京大Bは故意に崩したとして反則を取られたが、早大Bはプレーを続ける。さらにハイタックルのアドバンテージも獲得。後手に回った帝京大BディフェンスにCTB福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)が鋭く走りこみ、そのままトライ。24ー7と17点のリードを得た。12分、早大Bは連続でペナルティーを取られ、陣地を失うとそのままトライを奪われた。しかし、20分にまたもペナルティーゴールを決め、点差は13に。激しいディフェンスが光る早大Bだったが、帝京大Bはテンポを落とさずに雪崩れ込む。連続で2トライを奪われ、33分に逆転を許した。27ー28と1点差で迎えた37分、早大Bは敵陣22メートル付近でスクラムを得た。ラストチャンスと思われたアタックで早大Bは変則的なフォーメーションを組む。SOの位置に仲山倫平(法3=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)、強力なフィジカルを持つ福島の裏に服部が立ち、特殊な攻撃が来るかと思われた。しかし、仲山が選択したのはパスダミー。帝京大Bディフェンスの裏をかき、仲山がそのまま逆転のトライ。コンバージョンキックも成功し、34ー28。6点差で勝利した。

決勝の逆転トライを挙げたFB仲山

 春、夏に続き帝京大B相手に3連勝を果たした早大B。ゲームキャプテンを務めたSH清水翔大(文4=東京・早実)は、「苦しい時間帯でも自分たちが我慢し続けて早稲田のプライドを見せられたことが勝利の要因だと思う」と今試合を総括。「FW、BKどちらも接点で前に出る良いディフェンスができた」と安恒が振り返るように、フィジカルで引けを取らなかったことが収穫だろう。ルーキーの活躍も目覚ましい。逆転を許しても最後まで諦めずに戦い、勝利を奪い取った早大B。選手たちが求めるものは勝利、そして『赤黒』だ。貪欲に成長を続ける彼らは早大のメンバー争いをさらに激化させ、チームを新たなステップへと押し上げる。無敗の早大B、彼らの快進撃はまだまだ続いていく。

(記事 村上結太、写真 西川龍佑、大林祐太)

コメント

SH清水翔大(文4=東京・早実)ゲームキャプテン
ーー今日のチームコンセプトを教えてください
 ゲームテーマは「ゲインラインバトル」と「ガッツセット」をテーマに試合に臨みました。
ーーテーマについて詳しく教えてください
 早稲田が夏から特に重点的に取り組んでいたところで、帝京大が相手でゲインラインで引いてしまうとどうしても劣勢になるので、そこで引かずに自分たちから先手を取り続けたいと思いこのテーマにしました。
ーーチームとしてアタックで意識していたことはありますか
 内側のFWのポッドで前に出続けること。そこでゲインラインバトルを体現することが大事になるなと思っていました。
ーーテンポの速いアタックが見られましたが、個人として何か意識していましたか
 そこが早稲田の生命線だと思っていますし、僕の強みでもあるのでそこを生かしたいなと思っていました。
ーーチームのディフェンスの出来栄えはいかがでしたか
 ディフェンスは良かったかなと思います。ディフェンスでは特に横とのつながりを意識して、1人にならないということを意識し続けていたのですが、80分間全員が横とつながって戦い続けられたのは良かったかなと思います。
ーー勝利につながった1番の要因はなんだと思いますか
 ゲームテーマにしていたゲインラインバトルの部分で、接点において全員が前に出続けられたということと、苦しい時間帯でも自分たちが我慢し続けて早稲田のプライドを見せられたことが勝利の要因だと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
 これからも試合は続いていくので、一戦も落とさずに全部勝利で終えられるようにしたいです。個人的には対抗戦や選手権にメンバーとして絡めるように一戦一戦を大事にしていきたいと思います。

PR新井瑛大(教2=大阪桐蔭)
ーー個人のコンセプトはなんですか
 ガッツ、スクラムです。
ーースクラムを振り返って、出来たこと、課題点
 スクラムは8人まとまって優勢に組めたので良かったと思います。
ーーモールを振り返って
 ファーストインパクトがまだまだ足りなかったです。ただ、ファーストインパクトがなくても修正して止めきれたところは良かったと思います。
ーー次戦への意気込み
 次は日体大、慶応大とあるのでしっかりハードワークして勝ち切りたいです。

FL安恒直人(スポ4=福岡)
ーー個人のコンセプトを教えてください
 ゲインラインバトルです。帝京大さんはフィジカルが強いので、接点のひとつひとつの場面で前に出ることを意識していました。
ーーチーム全体のディフェンスの出来はいかがですか
 FW、BKどちらも接点で前に出る良いディフェンスができたのではないかと思います。
ーー昨年のジュニア選手権の順位決定戦、このグラウンドで帝京大で敗れましたが、今回はなにか特別な思いはありましたか
 自分が出た試合で帝京大学さんになかなか勝つことができなかったこと、そしてジュニア選手権という公式戦で戦うということで、特別な気持ちはありました。
ーー次戦への意気込みをお願いします
 次の試合、どんな試合に出ても相手をドミネート、『Beat Up』できるように頑張ります。

WTB西浦岳優(社1=東福岡)
ーー今日の個人としてのゲームコンセプトをお願いします
 夏休みの最終戦である天理戦からあまりいいプレーができていなくて、トライも取れず、夏合宿を通しても1トライしか取れなかったので、W T Bとしてトライを取ることができたので1つの目標を達成することができました。
ーー自身のトライのシーンを振り返ってみて率直な感想をお願いします
 F Wのみんなが身体を張って一生懸命前で止めてくれていたおかげで相手がミスしたボールを僕がトライできただけで、これからもトライを取れるように貪欲に頑張りたいと思います。
ーーBチームでの公式戦、どのような気持ちで試合に臨みましたか
 自分自身の憧れだった早稲田での初めての公式戦ということで素直に嬉しい気持ちと、しっかり活躍して赤黒を着たいといった強い気持ちを持って試合に臨みました。
ーーゲームを通してハイパントを使う機会が多かったですが、チームとして何か狙いはありましたか
 キックチェイスの仕事は上井草でもたくさんしてきましたし、帝京大もハイパントをたくさん使ってくることはわかっていたので、自分たちもハイパントでいい流れを作ることを意識していました。またキッカーの服部亮太がいいキックを蹴ってくれるのでチームのプランとしてやっていました。
ーー最後に次戦に向けての意気込みをお願いします
 これから秋のシーズンに入って試合もたくさんあると思うので、1試合1試合を大事にして、赤黒を着れるように頑張ります。



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