昨年王者へのリベンジかなわず 大一番で「決定力」(神鳥監督)を欠き、今季初黒星

ラグビー明大

 両校のファンで埋め尽くされた秋晴れの東京・秩父宮ラグビー場。ここまで関東大学対抗戦(対抗戦)全勝の明大は、昨年の対抗戦を制した帝京大との大一番を迎えた。注目の先制トライは帝京大。1トライを取り返して追い上げを図った明大だったが、その後も2トライを追加されるなど攻撃を封じきれず、14点ビハインドで試合を折り返す。ペナルティーゴールで後半は先制したものの、これを最後に明大の得点は生まれなかった。終盤にかけて帝京大に3トライを許した明大は、11ー43で敗戦となった。

 帝京大のキックオフで試合は開始。早速自陣でターンオーバーされた明大はピンチを迎えるが、ゴールライン前で必死のディフェンスを見せ、間一髪帝京大の攻撃から逃れる。前半6分に先制点を奪われたものの、直後の10分に敵陣左奥深くでのラインアウトからモールで押し切り、HO松下潤一郎がインゴールへ。明大が2点差に迫り、両者主導権を譲らないせめぎ合いを見せる。その後も15分のマイボールラインアウトから左へ展開し、FB池戸将太郎のビッグゲインで敵陣奥深くまで攻め入るなどのチャンスはあったが、勝負どころでミスが目立ち、得点ができない時間が続いた。帝京大に1トライを追加された後の35分、少しでも点差を縮めたい明大は、敵陣22メートルライン中央付近でペナルティーキックを選択し、3点をあげる。しかしFB池戸のシンビン制度による退場なども絡み、ハーフタイム目前でさらに点差を広げられ、8ー22で前半を終えた。

ゲインするFB池戸

 後半に入ると両チームともにミスが目立ち、序盤からセットプレーの局面が増える。明大は後半6分、ゴールポスト目前で再びペナルティーキックを選択すると、これをCTB平翔太が確実に決めて点差を縮める。リスタート後の7分にはジャッカルに成功し、このまま波に乗っていくかと思われたが、帝京大ディフェンスにはばかられて得点には結びつかなかった。さらにラインアウトでのミスが直結してトライを許すなど、緊張感のある場面でプレーの精度を欠いてしまう。結果としてここから3連続トライを奪われた明大は、持ち味である速いパスワークを生かした攻撃を展開できないまま試合終盤を迎えた。40分、観客からの声援も大きくなる中、敵陣に入ったところでの帝京大スクラムでペナルティーを奪い、試合終了間近に再び攻撃へつなげる。会場の明大ファンもこの最終局面に期待を寄せたが、またもインゴール目前でノックオンがあり、待望のトライとはならなかった。王者帝京大を前に11ー43と点差を広げられた明大。昨年のリベンジは果たせず、悔しい敗戦となった。

パスを出すPR為房

 CTB廣瀬雄也主将を欠いて挑んだ帝京大との一戦。今試合のトライは前半のモールトライ1つのみで、ここまでの5試合と比較すると得点力を欠いた明大だったが、LO山本嶺二郎ゲームキャプテンは「良い部分や収穫は沢山あったのでそこをこれからにしっかりつなげていきます」と話し、続く試合へ前向きな姿勢を見せた。次戦は国立競技場で行われる伝統の早明戦。「勝負所でのプレーの精度と、チャンスで取り切る決定力」(神鳥監督)に磨きをかけ、どのチームを相手にしても明大らしさを発揮し、一戦一戦で確実に勝利をつかみにいく。

 (記事 濵嶋彩加、写真 川上璃々、西川龍佑)

コメント

※記者会見より抜粋

神鳥裕之監督

――試合を振り返っていかがですか

 今日はありがとうございました。素晴らしい環境で最高の相手と試合をするということで、なんとしてもこの壁を乗り越えたかったのですが、結果は非常に残念です。ですが80分間戦い続けた選手たちを誇りに思います。まだシーズンは終わっていませんので、ここからどうやって這い上がっていくかの勝負だと思います。しっかりと気持ちを切り替えて、次の早大戦に向かっていきたいと思います。

――この試合を通して手応えをつかんだところはどのような点ですか

 セットプレーのところでは、帝京大もいいところがありましたが、昨年からずっと負けているという印象があった中で、今日の試合においては自分たちのかたちを多く見ることができて、よかったかなと思っています。

――帝京大にもう一度戦って勝つためには何が必要になりますか

 今日のような緊張感がある試合の中での勝負所でのプレーの精度と、チャンスで取り切る決定力が今日の勝敗を分けた部分かなと思います。このチームは素晴らしいポテンシャルを持っていると信じていますので、厳しい相手に対してそれを発揮できるようにこれから鍛えていきたいと思います。

LO山本嶺二郎ゲームキャプテン

――試合を振り返っていかがですか

 本日はありがとうございました。残念な結果に終わってしまったのですが、良い部分や収穫は沢山あったのでそこをこれからにしっかり繋げていきます。またミスボールやルーズボールへの反応のところに課題が見つかったので、次の早大戦に向けて修正して、今日の借りは選手権で必ず返したいと思います。

――接点の部分での感触はいかがでしたか

 プレーしてる身としては基本的に互角だと感じていました。ブレイクダウンではお互いいい精度で戦えていて、悲観的になるところはありませんでした。ですが帝京大が流れに乗ってくると食い込まれることもあったので、その部分でもフィジカルで勝ち続けるということは今後も取り組んでいきたいです。

――途中からスクラムで押すシーンも見られましたが、試合中の修正などがあったのですか

 ファーストスクラムは良かったのですが、帝京大の修正が素晴らしく前半は後手に回ってしまいました。ハーフタイムにもう一度まとまろうという話をして、8人がまとまれた結果いい修正ができたかなと思います。

――ラインアウトについてはいかがですか

 サインチョイスに問題はなかったと思っているので、あとはクオリティの部分で、少しでもボールが低くなってしまったりリフターが上がれていなかったら、帝京大のような身長の高いチームは競ってくるので、この先八幡山に戻ってクオリティを上げていこうと思います。

――手応えをつかんだところはありましたか

 1番はモールです。ファーストトライをモールで取り切った部分はFWにとってすごく自信になりました。

 

関東大学対抗戦
明大 スコア 帝京大
前半 後半 得点 前半 後半
22 21
11 合計 43
【得点】▽トライ 松下 ▽ゴール 平(2PG)
※得点者は明大のみ記載
 
関東大学対抗戦Aグループ星取表
  帝京大 明大 早大 慶大 筑波大 立大 青学大 成蹊大
帝京大

○43-11

6T5G1PG

◯36-21

5T4G1PG

12/2 14:00

秩父宮

◯73-0

11T9G

◯83-0

13T9G

〇80-0

12T10G

〇117-5

19T11G

明大

◯11-43

1T2PG

12/3 14:00

国立

◯66-40

10T8G

◯40-21

6T5G

◯97-7

15T11G

〇87-7

13T11G

〇93-12

15T9G

早大

●21-36

3T3G

12/3 14:00

国立

11/23 14:00

国立

〇38-35

6T4G

〇64-7

10T7G

◯54-17

8T7G

◯70-7

10T10G

慶大

12/2 14:00

秩父宮

●40-66

6T5G

11/23 14:00

国立

●18-21

3T1PG

〇28-21

3T2G3PG

◯31-20

4T4G1PG

◯46-16

7T4G1PG

筑波大

●0-73

0T0G

●21-40

3T3G

●35-38

5T5G

〇21-18

3T3G

12/2 14:00

熊谷

〇68-0

10T9G

〇73-7

11T9G

立大

●0-83

0T0G

●7-97

1T1G

●7-64

1T1G

●21-28

3T3G

12/2 14:00

熊谷

〇28-10

4T4G

〇28-21

4T4G

青学大

●0-80

0T0G

●7-87

1T1G

●17-54

2T2G1PG

●20-31

2T2G2PG

●0-68

0T0G

●10-28

1T1G1PG

12/2 11:30

熊谷

成蹊大

●5-117

1T0G

●12-93

2T1G

●7-70

1T1G

●16-46

2T2PG

●7-73

1T1G

●21-28

3T3G

12/2 11:30

熊谷

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、国立は国立競技場、熊谷は熊谷ラグビー場、敷島は群馬・アースケア敷島サッカー・ラグビー場、小田原は神奈川・小田原市城山陸上競技場、大和は神奈川・大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場、AGFはAGFフィールド。