接戦を制し3連勝! 対抗戦連覇に向け前進

ラグビー明大

 曇り空の下、関東大学ラグビー対抗戦(対抗戦)の第3戦が行われた。開幕から2連勝でこの試合を迎えた明大の対戦相手となったのは筑波大。前半戦のヤマ場ともいえる試合だ。この第3戦は明大にとって初の有観客試合。ラグビーファンにとっては待ちに待った瞬間であった。これまではなかった観客の拍手が、選手たちの力となっただろう。試合はこれまでの2試合とは異なり、接戦の展開となった。前半開始早々に先制するも、その後は一時逆転を許すなど一進一退の展開に。しかし、地力の高さを見せた明大。徐々に点差を広げ、33-17で勝利を収めた。

 試合はキックオフ直後に動いた。前半5分、敵陣深くでのスクラムを得た明大。最後はSH飯沼蓮がインゴールへ飛び込み先制点を挙げた。このトライを生かしたい明大だったが、ハンドリングミスにより流れに乗り切れない。前半10分には、反則で失ったボールでフェーズを重ねられる。ゴールライン付近で粘りを見せたが、最後は防ぎきれず被トライ。すぐさま2点差に詰め寄られた。その後も筑波大の固いディフェンスを突破できず反則を重ね、自陣での苦しい時間が続く。すると29分、ランによるゲインを許すとサイドへの展開を止められずまたも被トライ。スコアが7-12となり、逆転を許した。しかし、明大は落ち着いていた。33分にWTB石川貴大のトライとSO池戸将太朗のゴール成功ですぐさま再逆転すると、その後はFW陣の力強いゲインで攻め込んだ。前半終了間際、43分には敵陣でのラインアウトから反則なくフェーズを重ね、最後は今季対抗戦初出場のWTB小島昂がトライ。この得点で19-12と点差を広げた明大、7点差で前半を折り返した。

ディフェンスを突破する石川

 後半に入ると、試合は膠着(こうちゃく)した展開となった。両チームとも固いディフェンスを見せ、敵陣深くまで攻め込めない。その中で後半13分、明大にピンチが訪れる。ルーズボールをチェイスしたCTB森勇登が、危険なタックルにより10分間の退場となった。この苦しい場面でチームを支えたのは、主将であるNO・8箸本龍雅だ。自らボールを受ける機会を増やし次々とボールをキャリー。攻撃の起点を作り、明大を鼓舞した。試合後の会見では、「シンビンが出た時の方がいい守備が出来た」(箸本)と語ったよう、守備の面でもFW陣の強いプレッシャーやBK陣の素早い戻りなど、一体感のある守備で筑波大の攻撃を防いでいた。すると互いに無得点で迎えた26分、強みの1つであるラインアウトモールで押し込み認定トライを奪う。この得点の際、明大の選手たちはこの試合一番の喜びを見せた。その後、筑波大の意表を突いたパスにより1トライを許すも、45分にはCTB児玉樹からのロングパスを受けた途中出場のFL山本龍亮がインゴールに飛び込み勝負あり。33-17でノーサイドとなった。

ボールをキャリーする箸本主将

 今季の対抗戦において初の接戦となったが、明大はこのことを好意的に捉える。田中澄憲監督が、「今シーズン初めてのタフな試合(を経験出来た)」と述べたよう、これから迎える強豪との対戦に向け、好材料となったことは間違いない。3週間の連戦を3連勝で終えた明大。次の慶大戦までの2週間は、課題を修正するには十分な期間だろう。対抗戦制覇に向け、負けられない戦いは続く。

(記事 横澤輝、写真 細井万里男)

コメント

※記者会見より抜粋

田中澄憲監督

――きょうの試合を振り返っていかがですか

今シーズン初めてのスタジアムということで独特の緊張感があったと思います。筑波大学さんはタフですし、強いチームだということはわかっていたので、こちらとしても強いプレーを前半から選択していって、後半勝ちきるというのが今日のゲームプランでした。そういう意味では前半は想定内だったのですが、後半は筑波大学さんの良いプレーもありましたし、こちらが自陣でミスをしてしまった部分があったので、最後まで粘られてしまったのかなと思います。しかし、今シーズン初めてのタフなゲームだったので。毎試合成長していくことが鍵になると思うので、この経験を次の慶應大学さんとの試合にしっかりと生かしたいです。

――きょうの試合を終えて、慶大戦までどのように成長されていきますか

筑波大学さん同様、慶應大学さんもブレイクダウンなどで激しく競ってくると思います。きょうもブレイクダウンで何度かターンオーバーされるシーンがあったので、そこは次戦に向けてしっかりと改善しなければなりません。また、相手のディフェンスもあるため、取りきるということは難しくなってくると思います。しかし、少ないチャンスの中で仕留めるということはこれからプレッシャーをかけていく上で重要です。そこは精度を意識してやっていかなければなりません。

――途中でSOを池戸将太郎から齊藤誉哉に替えた意図はどのようなものでしょうか

池戸は1年生ながらよくやってくれていると思います。特に山沢(SO山沢京平)がいつもやっているポジションを1年生がやっているというのはとてもプレッシャーになっていると思いますし、負担でもあると思います。この試合も筑波さんのプレッシャーは大きかったですし、そのプレッシャーを分散するという意味でも後ろに昨年1年生で対抗戦を経験している齊藤誉哉がいるということも軽減になるのではないかと思ったので、齊藤をメンバーに入れました。

NO・8箸本龍雅主将

――きょうの試合を振り返っていかがですか

個人的にもチーム的にも、点差は広げることができませんでしたが、よい試合ができたと思います。きょうの試合を見てもらうと「明治やられてるな」という印象だと思うのですが、個人的には1点差でも勝てれば良いので、そういうところで勝ち切ることができたというのはよい経験になったと思います。その中でも課題はたくさん見つかったので、そのようなところはプラスに捉えて、これからまた1週間空けてしっかり調整してチームとしての厳しさを持ってやっていこうという、気が引き締まるゲームになったと思います。

――スクラムの仕上がりの印象はいかがですか

前三列は昨年から総入れ替えになりましたが、僕達がフォローするというより、前三列はリザーブも含めそのようなところに危機感を持ってやっていると思うので、逆に引っ張っていけるくらいの3人が揃っているのかなと思います。

――後半序盤、なかなか点が取れない中でシンビンが出ましたが、その時はメンバーにどのような声をかけましたか

相手の筑波にはいいランナーがいたので、もともと意識はしていたのですが、しっかりディフェンスをセットして前に出ていこうという話をして、よりコミュニケーションを取りました。逆にシンビンが出た時の方がいいディフェンスができたのではないかと思います。

――そのあとにボールキャリーの回数が増えたように感じられましたが、ご自身はどのような印象ですか

僕自身ボールキャリーが強みであることもあって、やはりボールを継続したいと思っていましたし、明治がずっとアタックできればしっかり時間も使うことができます。そのようなところで、自分が起点になっていけたらなと思い、ボールキャリーをすることを意識しました。チームを前に出してやりたいという気持ちでした。

――筑波大のディフェンスについてどのように感じましたか

ブレイクダウンが強いというのは前から話していたのですが、強いところに当てるというのは意図的なところがあって、そこにFWが当てて早い球出しをすれば、BKが広いスペースを生かしてくれるという意図でアタックしていました。しかし、ブレイクダウン後の質の部分で課題があって、いいところにボールを出せませんでした。アタックがうまくいかなかったのも、ブレイクダウンで筑波さんにプレッシャーをかけられたところにあると考えています。

ロック片倉康瑛

――きょうの試合を振り返っていかがですか

久しぶりのスタジアムということですごくワクワクしました。初めてMOMをいただけてうれしい限りです。僕はユニットの部分で引っ張っていきたいと思っていて、前半のスクラムやマイボールラインアウトで練習でやったことができたのはすごくよかったです。しかし、リザーブが入ったスクラムなどはまだまだ課題がたくさん出てきた試合だと思うので、そういうところでレベルアップしたいなと思います。

――スクラムの仕上がりの印象はいかがですか

昨年のスクラムは強く、一列目が全員変わってしまったのですが、今年のスクラムは昨年と比べるのではなくて、自分たちのスクラムを組もうということでフッカーの選手らを中心に僕たちが引っ張っていってもらっているという感じです。スクラム練習の度にみんなで集まって、フッカーがリーダーとなって話すことでいいスクラムが組めているのかなと思います。

関東大学対抗戦
明大 スコア 筑波大
前半 後半 得点 前半 後半
19 14 12
33 合計 17
【得点】▽トライ 飯沼、石川、小島、認定トライ1 ▽ゴール 池戸(2G)、齊藤誉(1G)
※得点者は明大のみ記載
 
関東大学対抗戦Aグループ得点表(10月18日現在)
チーム 勝ち点 試合 得点 失点 得失 トライ
帝京大 12(15) 3 3 0 0 274 27 247 39
明大 12(15) 3 3 0 0 188 42 146 29
早大 12(15) 3 3 0 0 163 33 130 25
慶大 8(10) 3 2 0 1 171 35 136 26
筑波大 4(4) 3 1 0 2 64 106 -42 8
青学大 0 3 0 0 3 31 251 ‐220 4
立大 0 3 0 0 3 27 197 ‐170 4
日体大 0 3 0 0 3 15 242 ‐227 2
( )内の数字はリーグが全試合実施された場合にボーナスポイントを加算した際の勝ち点。
 
関東大学対抗戦Aグループ星取表
  明大 早大 帝京大 筑波大 日体大 慶大 青学大 立大
明大

12/6 14:00

秩父宮

11/22 13:00

秩父宮

◯33‐17

11/7 14:00

秩父宮

11/1 14:00

秩父宮

◯82‐10

◯73‐15

早大

12/6 14:00

秩父宮

11/1 11:30

秩父宮

11/7 11:30

秩父宮

◯70‐5

11/23 14:00

秩父宮

◯47‐21

◯46‐7

帝京大

11/22 13:00

秩父宮

11/1 11:30

秩父宮

◯54‐17

◯98‐10

12/6 14:00

熊谷

◯122‐0

11/8 14:00

上柚木陸上

筑波大

●17‐33

11/7 11:30

秩父宮

●17‐54

12/6 11:30

熊谷

◯30-19

11/23 14:00

AGFフィールド

11/1 13:00

熊谷B

日体大

11/7 14:00

秩父宮

●5‐70

●10‐98

12/6 11:30

熊谷

●0‐74

11/1 13:00

青学大G

11/23 11:30

AGFフィールド

慶大

11/1 14:00

秩父宮

11/23 14:00

秩父宮

12/6 14:00

熊谷

●19‐30

◯74‐0

11/8 11:30

上柚木陸上

◯78‐5

青学大

●10‐82

●21‐47

●0‐122

11/23 14:00

AGFフィールド

11/1 13:00

青学大G

11/8 11:30

上柚木陸上

12/5 13:00

大和スポーツセンター

立大

●15‐73

●7‐46

11/8 14:00

上柚木陸上

11/1 13:00

熊谷B

11/23 11:30

AGFフィールド

●5‐78

12/5 13:00

大和スポーツセンター

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、明大Gは明大八幡山グラウンド、上柚木は上柚木公園陸上競技場、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場。