待ちに待った瞬間だ。東京・明大八幡山グラウンドで、ついに関東大学対抗戦(対抗戦)が開幕。この試合は感染症拡大防止のため無観客で行われ、試合は両大学の部員のみが見守った。明大の対戦相手となったのは、昇格組の立大。明大にとっては、結果とともに内容も求められる試合となった。明大は前半4分に敵陣深くでのラインアウトからトライを奪い先制すると、そのまま得点を重ねていく。前半だけで6つのトライを挙げ、主導権を手中に収めると、後半も勢いそのままに5トライ。ルーキーの活躍も目立ち、73ー15で開幕戦に勝利した。結果を見れば快勝だが、パスミスや反則の多さも目立ったこの試合。反則から立大にトライを献上する場面もあり、手放しでは喜べない内容となった。
明大はSO山沢京平、LO片倉康瑛といった主力を欠いたメンバーで臨んだ一戦。初戦の緊張感もあり、明大は序盤からミスが目立った。前半4分にWTB石田吉平のトライで早々に先制したものの、前半7分には反則によるPGを献上し3点を返される。その後も反則をとられる場面が多く、グラウンドからは「ノーペナ(ルティでいこう)」という声かけなど、改善の姿勢が見られた。難しい状況のなか、活躍を見せたのは新戦力たちだ。前半10分にはルーキーのLO山本嶺二郎が、NO・8箸本龍雅からのパスに反応。そのままインゴールにねじ込み対抗戦初トライを挙げた。このトライで明大に流れを引き戻した山本嶺。ラインアウトでも自慢の高さを見せつけチームに大きく貢献し、前評判に違わぬ実力を見せた。ラインアウトモールでの押し込みや、接点での強さといった地力の高さでミスをカバーした明大。前半16分の繁松哲大、21分の松本純弥のトライなどでさらに点差を広げた。46分にはWTB髙比良隼輝がセンターライン付近でボールを受けると、ステップでディフェンスをかわしロングラン。インゴールを駆け抜けスコアを38-3とし、そのまま前半を折り返した。
ラインアウトで高さを見せた山本嶺
後半に入っても、主導権を握っていたのは明大だった。キックオフボールをキャッチすると攻撃に転じる。多くのフェーズを重ねる攻撃となったが反則なしで攻め上がっていき、最後はCTB齊藤大朗がターンでディフェンスをかわしトライ。試合を通して、キックではなくパス回しでエリアを獲得するという意識が強く出ていた。その後、後半8分に再び反則からトライを献上したものの、15、18分に明大が立て続けにトライ。スコアを59-8とし、相手に流れを渡さなかった。着実に得点を重ねた1つの要因が、SO池戸将太郎の存在だ。ルーキーながら司令塔として攻撃を形作ると、キックでは10本中8本を成功。16得点を挙げ、この試合のMOM(マンオブザマッチ)に選出された。しかし、後半20分付近からは明大にとって難しい時間帯に。立大の丁寧なパス回しに明大の規律の乱れが重なり攻め込まれると、インゴールを明け渡し被トライ。その後もピンチを迎えたが、ここでは固いディフェンスを見せ立大の反撃を食い止めた。すると後半30、41分にはCTB児玉樹が立て続けにトライ。途中出場ながら、声掛けなどの面でも存在感を発揮した。児玉のトライでスコアを73ー15とし、そのまま試合終了。開幕戦勝利を収めた。
冷静にゴールを決める池戸。この試合のMOMにも選出された
開幕戦勝利を収めたが、規律の部分で課題が残った明大。しかし、山本嶺、池戸などの新戦力の活躍により、層に厚みが増していることは間違いない。山沢、片倉などが復帰した後のメンバー争いにも注目である。昨年果たせなかった大学日本一に向け歩み始めた明大。次に迎え撃つのは青学大だ。負けられない戦いが続く対抗戦、一戦たりとも目が離せない。
(記事 横澤輝、写真 渡邉彩織)
関東大学対抗戦 | ||||
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明大 | スコア | 立大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
6 | 5 | T | 0 | 2 |
4 | 5 | G | 0 | 1 |
0 | 0 | P | 1 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
38 | 35 | 計 | 3 | 12 |
73 | 合計 | 15 | ||
【得点】▽トライ 石田、山本、繁松、松本、齋藤2、髙比良、辻、飯沼、児玉2 ▽ゴール 池戸(8G)、児玉(1G)) | ||||
※得点者は明大のみ記載 |
関東大学対抗戦Aグループ順位表(10月4日現在) | |||||||||
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チーム | 勝ち点 | 試合 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失 | トライ |
帝京大 | 4(5) | 1 | 1 | 0 | 0 | 98 | 10 | 88 | 14 |
明大 | 4(5) | 1 | 1 | 0 | 0 | 73 | 15 | 58 | 11 |
早大 | 4(5) | 1 | 1 | 0 | 0 | 47 | 21 | 26 | 7 |
筑波大 | 4(4) | 1 | 1 | 0 | 0 | 30 | 19 | 11 | 3 |
慶大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 19 | 30 | ‐11 | 3 |
青学大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 21 | 47 | ‐26 | 2 |
立大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 15 | 73 | ‐58 | 2 |
日体大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 10 | 98 | ‐88 | 1 |
( )内の数字はリーグが全試合実施された場合にボーナスポイントを加算した際の勝ち点。 |
関東大学対抗戦Aグループ星取表 | ||||||||
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明大 | 早大 | 帝京大 | 筑波大 | 日体大 | 慶大 | 青学大 | 立大 | |
明大 | * |
12/6 14:00 秩父宮 |
11/22 13:00 秩父宮 |
10/18 14:00 熊谷 |
11/7 14:00 秩父宮 |
11/1 14:00 秩父宮 |
10/11 13:00 明大G |
|
早大 |
12/6 14:00 秩父宮 |
* |
11/1 11:30 秩父宮 |
11/7 11:30 秩父宮 |
10/18 11:30 熊谷 |
11/23 14:00 秩父宮 |
10/11 13:00 早大G |
|
帝京大 |
11/22 13:00 秩父宮 |
11/1 11:30 秩父宮 |
* |
10/11 13:00 帝京大G |
◯98‐10 |
12/6 14:00 熊谷 |
10/18 13:00 帝京大G |
11/8 14:00 上柚木陸上 |
筑波大 |
10/18 14:00 熊谷 |
11/7 11:30 秩父宮 |
10/11 13:00 帝京大G |
* |
12/6 11:30 熊谷 |
11/23 14:00 AGFフィールド |
11/1 13:00 熊谷B |
|
日体大 |
11/7 14:00 秩父宮 |
10/18 11:30 熊谷 |
●10‐98 |
12/6 11:30 熊谷 |
* |
10/11 13:00 慶大G |
11/1 13:00 青学大G |
11/23 11:30 AGFフィールド |
慶大 |
11/1 14:00 秩父宮 |
11/23 14:00 秩父宮 |
12/6 14:00 熊谷 |
10/11 13:00 慶大G |
* |
11/8 11:30 上柚木陸上 |
10/18 13:00 慶大G |
|
青学大 |
10/11 13:00 明大G |
10/18 13:00 帝京大G |
11/23 14:00 AGFフィールド |
11/1 13:00 青学大G |
11/8 11:30 上柚木陸上 |
* |
12/5 13:00 大和スポーツセンター |
|
立大 |
10/11 13:00 早大G |
11/8 14:00 上柚木陸上 |
11/1 13:00 熊谷B |
11/23 11:30 AGFフィールド |
10/18 13:00 慶大G |
12/5 13:00 大和スポーツセンター |
* |
※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、明大Gは明大八幡山グラウンド、上柚木は上柚木公園陸上競技場、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場。