W杯開催に伴い、例年よりも2週間ほど早く開幕したラグビー関東大学対抗戦。開幕地として選ばれたのは、ラグビーの聖地、菅平にある長野・菅平サニアパークであった。前年の選手権優勝校である明治大学と筑波大学の試合は、会場まで駆けつけた3062人の観客に見守られながらスタートした。明治ペースでの試合展開が予想されたが、開幕戦ということで硬さが目立ち、前半は2分のトライ以降なかなか得点を重ねられない。しかし、徐々に流れをつかみ前半を26―12で終える。後半の先制点も明治があげたものの、筑波の猛攻に苦しみ一時は1トライ1ゴール差まで詰められる。だが、後半23分の筑波選手のシンビンを機に勢いを取り戻し59―33で試合終了。対抗戦初戦で勝利をものにした。
明治ボールでキックオフとなった前半開始早々、昨年の王者が動き出す。前半2分、マイボールラインアウトから右に展開し、WTB山村知也から内にパスを受けたFB雲山弘貴がトライをあげ先制。5―0となる。このまま試合は明治ペースで進むかと思われた。しかし、敵陣でプレーしながらもスローフォワードやノックオンなどの反則が続く。また、明治の強みであるスクラムでも筑波が粘りを見せ互角となったため、なかなか追加点をあげられない。そんな中、自陣22メートルライン付近で明治が反則を犯し、筑波はキックではなくスクラムを選択。そして、FB松永貫汰(筑波大)がディフェンスラインのギャップを突きインゴールを駆け抜けた。SO山田雅也(筑波大)のキックも成功し、筑波が逆転する。その後、明治は筑波にもう1トライを献上するが、前半30分以降は意地を見せ、30、33、39分と立て続けに得点し、26―12のダブルスコアで折り返した。
度々ゲインを見せた山村
後半2分、筑波のスローフォワードで明治はマイボールのスクラムを選択し、モールを形成。そのままNO・8坂和樹がトライし、山沢のキックも成功して7点を挙げ、12-33とさらに筑波を引き離す。だが、後半10分、明治のオブストラクションの反則からラインアウトを綺麗に入れた筑波は、WTB仁熊秀斗(筑波大)からCTB岡﨑航大(筑波大)にボールを回し、後半最初のトライをあげる。また、後半13分にも被トライし、得点は26-33となった。その後も筑波の猛攻に苦しみ、我慢の時間が続く。それを打開したのは山沢だった。後半19分、マイボールラインアウトから右に展開すると、ミスマッチを生かして個人技で突破し、得点まで結びつけた。そこで流れを取り戻した明治は、自陣での展開を許さないタックルやモールなどで反撃を始め、攻守が噛み合うようになる。また、筑波のフランカー中田都来のオフサイドが故意の反則とされシンビンで10分間退場となったことにより数的優位を獲得した明治は、1トライを献上しながらもフィジカルの差を見せつけ、後半26分から終了までに4トライをあげる。結果、59-33でノーサイドを迎えた。
隙を見逃さず独走トライを挙げた山沢
昨年の選手権覇者として、今年も日本一を狙う明治。対抗戦初戦で勝利を収めたものの、課題が残る試合であったと言える。今回の筑波大戦では、個々の能力の高さ、流れをつかんだ時の強さと体力があることを示した。その一方、好機を演出した場面での反則の多さやスクラムには改善の余地がある。昨年優勝校としてのプライドとプレッシャーを感じながら、紫紺のユニフォームを着た選手たちの連覇に向けた戦いは続く。
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※掲載が遅くなり、申し訳ありません
(記事 初見香菜子 写真 涌井統矢)
関東大学対抗戦 | ||||
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明大 | スコア | 筑波大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
4 | 5 | T | 2 | 3 |
3 | 4 | G | 1 | 3 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
26 | 33 | 計 | 12 | 21 |
59 | 合計 | 33 | ||
【得点】▽トライ 雲山2、森、箸本、坂、山沢、石川、飯沼、松岡 ▽ゴール 山沢(9G) | ||||
※得点者は明大のみ記載 |
関東大学対抗戦Aグループ順位表(9月8日現在) | |||||||||
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順位 | チーム | 試合 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失 | トライ |
1 | 帝京大 | 1 | 1 | 0 | 0 | 78 | 7 | 71 | 12 |
1 | 早大 | 1 | 1 | 0 | 0 | 68 | 10 | 58 | 10 |
1 | 慶大 | 1 | 1 | 0 | 0 | 35 | 3 | 33 | 5 |
1 | 明大 | 1 | 1 | 0 | 0 | 59 | 33 | 26 | 9 |
2 | 筑波大 | 1 | 0 | 0 | 1 | 33 | 59 | ‐26 | 5 |
2 | 青学大 | 1 | 0 | 0 | 1 | 3 | 35 | ‐32 | 0 |
2 | 日体大 | 1 | 0 | 0 | 1 | 10 | 68 | ‐58 | 1 |
2 | 成蹊大 | 1 | 0 | 0 | 1 | 7 | 78 | ‐71 | 1 |
勝ち数の多い大学を上位とし、勝ち数が並んだ場合は同順位とする。 |
関東大学対抗戦Aグループ星取表 | ||||||||
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帝京大 | 早大 | 慶大 | 明大 | 筑波大 | 青学大 | 日体大 | 成蹊大 | |
帝京大 | * |
11/10 14:00 秩父宮 |
11/30 11:30 秩父宮 |
11/24 14:00 秩父宮 |
11/4 14:00 駒沢 |
9/14 15:00 大和 |
9/8 15:00 帝京大G |
◯78‐7 |
早大 |
11/10 14:00 秩父宮 |
* |
11/23 14:00 秩父宮 |
12/1 14:00 秩父宮 |
9/15 16:00 ケーズデンキ |
9/8 16:00 早大G |
11/4 11:30 駒沢 |
|
慶大 |
11/30 11:30 秩父宮 |
11/23 14:00 秩父宮 |
* |
11/10 11:30 秩父宮 |
9/8 11:00 たつのこF |
11/4 14:00 上柚木 |
9/14 11:30 秋葉台 |
|
明大 |
11/24 14:00 秩父宮 |
12/1 14:00 秩父宮 |
11/10 11:30 秩父宮 |
* |
11/4 11:30 上柚木 |
9/15 15:00 足利 |
9/8 15:00 明大G |
|
筑波大 |
11/4 14:00 駒沢 |
9/15 16:00 ケーズデンキ |
9/8 11:00 たつのこF |
* |
11/30 14:00 江戸川 |
11/24 14:00 敷島 |
11/10 14:00 熊谷B |
|
青学大 |
9/14 15:00 大和 |
9/8 16:00 早大G |
11/4 11:30 上柚木 |
11/30 14:00 江戸川 |
* |
11/10 11:30 熊谷B |
11/24 11:30 敷島 |
|
日体大 |
9/8 15:00 帝京大G |
11/4 14:00 上柚木 |
9/15 15:00 足利 |
11/24 14:00 敷島 |
11/10 11:30 熊谷B |
* |
11/30 11:30 江戸川 |
|
成蹊大 |
●7‐78 |
11/4 11:30 駒沢 |
9/14 15:00 秋葉台 |
9/8 15:00 明大G |
11/10 14:00 熊谷B |
11/24 11:30 敷島 |
11/30 11:30 江戸川 |
* |
※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、足利は足利市総合運動公園陸上競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、明大Gは明大八幡山グラウンド、菅平は菅平サニアパークM/C、筑波大Gは筑波大つくばグラウンド、敷島は群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、たつのこFは茨城たつのこフィールド、ケーズデンキはケーズデンキスタジアム水戸、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。