残り10分からの大逆転 慶大に劇的勝利!

ラグビー明大

 ここまでの関東大学対抗戦(対抗戦)で未だ無敗の明大。この日は先日の帝京大戦で奮闘し、波に乗る慶大との戦いに挑んだ。前半は出足の速い慶大のディフェンスに圧倒され、なかなか思うようにプレーができない。また、フランカー桶谷宗汰主将を含む主要メンバーを欠いた布陣で臨んだこともあり、チーム内の連携も乱れ、0−22で前半を折り返す。一方の後半では、途中交代した選手たちの活躍が光り、試合終盤に立て続けにトライを奪う。前半とは打って変わり、会場の声援も味方にプレーする明大。そして最後は渾身の粘りを見せ、ロスタイムに認定トライを獲得。31−29で劇的な逆転勝利を果たした。

 強烈な向かい風の中で始まったこの試合。守備の司令塔であるSO堀米航平が不在のチームには、まとまりが見られなかった。ディフェンスラインの乱れから相手選手の突破を許す場面が多く、前半だけで3トライを献上してしまう。さらに35分には、慶大SO古田京の華麗なドロップゴールなどもあり、慶大に流れを握られてしまった。一方の攻撃でも、コラプシングやノックオンなどのミスが目立ち、少ない好機をものにすることができない。一人一人がチームのために歩調を合わせる様子は見られず、課題の多い前半となった。

好判断でチームを勝利に導いた梶村

 逆転勝利に向け、後半の早い時間帯でトライが欲しい明大だった。しかし6分、ラインアウトのチャンスを得るも、簡単にターンオーバーされ逆にトライを許してしまう。後半も慶大ペースかと思われたが、10分、流れが大きく変わることとなる。NO・8前田剛の突破から、敵陣深くでペナルティーを獲得し、得意なモールへと持ち込む。最後はフッカー武井日向が押し込み、待望のトライを挙げた。この後、多くのリザーブを投入。徐々に息を吹き返し始める。少しずつ点数の差を詰め、35分の段階で17−29。2トライ2ゴールで逆転というこの緊迫した場面で、ルーキーがすばらしい活躍を見せた。38分にWTB山村知也が約70メートルの独走トライを決め、逆転への期待が高まる。会場にも明大コールが鳴り響き、この試合一番の盛り上がりを見せる中、試合は運命のラストワンプレーへ。ミスなくプレーをし、着実にゴールラインへと前進していく明大。それに対し、相手のディフェンスにもほころびが出始める。高い集中力で攻め続けた、10分にも及ぶロスタイム。その粘りもあり、値千金の認定トライが与えられた。その後は確実に途中出場のFB森田澄がキックを決め、大逆転。31−29で試合を終えた。

逆転トライを挙げ、喜びを爆発させる選手たち

 まさに劇的勝利だった。前半の悪い流れを断ち切り、逆転につなげることができたのは大きな経験となることだろう。しかし試合を振り返ると、慶大よりディフェンスライン、スクラムなどを含め、劣勢だった。主要メンバーのいない試合だったとはいえ、チームディフェンスやラインアウトなどの部分は、早急な立て直しが求められる。次なる相手は王者・帝京大。この試合での経験を糧に、チームプレーに磨きのかかった明大を期待したい。

(記事 大島悠輔、写真 本田理奈)

関東大学対抗戦
明大 スコア 慶大
前半 後半 得点 前半 後半
31 22
31 合計 29
【得点】▽トライ 武井、尾又、山村 ▽ゴール 松尾(4G)、森田(1G)
※得点者は明大のみ記載

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関東大学対抗戦Aグループ星取表(11月6日終了時)
  帝京大 明大 筑波大 早大 慶大 青学大 日体大 成蹊大
帝京大 11/20 14:00

秩父宮
12/3 14:00

秩父宮
○75-3 ○42-31 ○111-0 ◯134-3 ◯91-0
明大 11/20 14:00

秩父宮
○48-28 12/4 14:00

秩父宮
◯31-29 ◯60-5 ◯79-0 ◯70-0
筑波大 12/3 14:00

秩父宮
●28-48

●12-46 ●20-28 ◯15-13 ◯46-14 11/19 14:00

江戸川
早大 ●3-75 12/4 14:00

秩父宮
◯46-12 11/23 14:00

秩父宮
◯48-19 ◯45-40 ◯71-0
慶大 ●31-42 ●29-31 ○28-20 11/23 14:00

秩父宮
12/3 14:00

熊谷B
○55-0 ◯85-7
青学大 ●0-111 ●5-60 ●13-15 ●19-48 12/3 14:00

熊谷B
11/19 14:00

三ツ沢
○21-3
日体大 ●3-134 ●0-79 ●14-46 ●40-45 ●0-55 11/19 14:00

三ツ沢
11/26 14:00

江戸川
成蹊大 ●0-91 ●0-70 11/19 14:00

江戸川
●0-71 ●7-85 ●3-21 11/26 14:00

江戸川
※秩父宮は秩父宮ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、浜川は高崎市浜川陸上競技場、月寒は札幌月寒ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、熊谷Bは熊谷ラグビー場Bグラウンド、江戸川は江戸川区陸上競技場、海老名は海老名運動公園陸上競技場、慶大日吉Gは慶大日吉グラウンド、三ツ沢はニッパツ三ツ沢球技場。
関東大学対抗戦Aグループ順位表(11月5日現在)
順位 チーム 試合 得点 失点 得失 トライ
帝京大 453 37 416 69
明大 288 62 226 43
早大 213 146 67 33
慶大 228 73 155 33
筑波大 121 149 -28 18
青学大 58 237 -179
日体大 57 359 -302
成蹊大 10 338 -328
勝ち数の多い大学を上位とし、勝ち数が並んだ場合は同順位とする。

コメント

丹羽政彦監督

――この試合を振り返っていかがでしたか

前半は慶大のブレイクダウンのアタック、ディフェンスで非常に身体を張っていて、そこに対して受け身になってしまった。後半は少しそのあたりを修正でき、明大のペースに持ち込めたかなと思います。この試合は桶谷(フランカー桶谷宗汰主将)がいなくて、選手たち自身もこの状況で慶大には負けられないということが残り10分での集中力の高まりにつながっていったと感じました。途中のペナルティーでの選択には疑問もありましたが、あそこで3点を取るという学生の判断は非常に落ち着いていたと思っています。前年度の成績もあり、非常に期待が大きいですが一つ一つ、一生懸命やっていくチームですので、そういった意味ではこの逆転勝利はかなり大きいと感じております。次の帝京戦までにしっかり明大のベースをもう一度作り直して準備していきたいと思います。

SH兵頭水軍ゲームキャプテン

――この試合を振り返っていかがでしたか

監督のおっしゃっていた通り、前半ブレイクダウンで受けてしまってゲームのペースをなかなかつかむことはできなかったのですが、後半は約20点差ある中でこの点差ひっくり返せると全員信じていました。最後まで集中力を保って逆転できたことは自分を含め、チーム全員の自信にすごく結びついたと思います。