試合終了後のCTB栗原由太主将の表情は、先週とは一転、満面の笑みとなっていた。筑波大に逆転負けしてから1週間。前回の敗戦からどこまで修正できたかが鍵となる今試合は、成蹊大との対戦となった。慶大は前半3分、幸先よく先制点をあげ、そのまま流れをつかむかと思われた。しかし反則が続き、押してはいるものの得点には結びつかない場面も散見される。だが、フッカー原田衛の3トライ、SO中楠一期の精度の高いキックがあり、前半だけで47点を奪った。後半も、NO・8山本凱が4トライを挙げる活躍をみせ、キックを任されたWTB高木一成も着実に7本を成功させて、ノーサイド。慶大は、今季対抗戦初の3桁得点で対抗戦前半を終えた。
前半開始早々、試合は動く。3分、慶大の持ち味の低く鋭いタックルを受けた成蹊大のラックからボールがこぼれる。それを見逃さなかったSH若林俊介が相手ディフェンスをかわしそのままトライ。好調な滑り出しとなった。このまま勢いに乗りたい慶大だが、スクラムでのアーリーエンゲージやホールディングなどミスが続く。一方の成蹊大も、反則を重ねてしまい、なかなか慶大陣地でプレーができない。そんな中で、BK陣はディフェンスのギャップをつき、FW陣はフィジカルの強さが光るなど、慶大は選手それぞれが自らの良さを存分に発揮していく。また、モールを形成し押し切って得点を挙げるなどチームプレーも見せ、38分までに7トライ6ゴール。しかし、40分、ノットロールアウェイの反則から、成蹊大ボールとなり、自陣22メートル内でのプレーを許す。ピンチを迎えたが、ゴールラインを死守するディフェンスで成蹊大のノックオンを誘い、47―0で前半を折り返した。
チーム最多4トライを決め、MOMに選ばれたNO・8山本凱
慶大のキックオフで始まった後半。敵陣10メートルライン付近でのラインアウトを成功させた慶大は、ラックからの素早い球出しから細かくパスを回し、ラインブレイク。徐々に前進する。そして後半1分、山本がタテ突破し、最後は若林がグラウンディング。後半最初の得点を奪った。続く4分、ハーフウェイライン付近での成蹊大ボールのラインアウトをカットした慶大は、相手ディフェンスを上手くかわした若林の大きなゲインの後、山本が走り込んで右隅にトライ。攻撃の人数がそろっていないながらも、冷静に展開した。また、9分、13分にも山本が得点を挙げ、さらに成蹊大を突き放していく。その後は我慢の時間が続いたが、31分に追加点を獲得。試合終盤になると、成蹊大の選手の足が止まり始め、その隙をついて次々に得点を奪う。そして、慶大に101点目が入ったところで試合終了。100点ゲームとなった。
司令塔の1年生SO中楠一期 今試合でも正確なキックを見せた
終わってみるとスコアは101-0と対抗戦初の3桁得点、さらに無失点に抑えた慶大。その勝利の喜びは、栗原主将の笑顔が物語っていた。前回は屈辱の敗戦を喫したこともあり、いつも以上に気持ちも入っていたと推測される。それは、スクラム、ラインアウトなどセットプレーが安定していたことや、個々のアタックの力強さにも表れていた。その一方、課題も見えてきた。慶大はチームディフェンスを強みとしているが、今試合では特に後半でそれが崩れてしまった。また、反則で好機を逃すなどミスも目立つ。これらの課題に真剣に向き合い、休止期間にどれだけパワーアップできるか。対抗戦前半を良いかたちで終えた慶大フィフティーンの今後の戦いにも注目したい。
(記事 初見香菜子、写真 千葉洋介、山口日奈子)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
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関東大学対抗戦 | ||||
---|---|---|---|---|
慶大 | スコア | 成蹊大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
7 | 8 | T | 0 | 0 |
6 | 7 | G | 0 | 0 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
47 | 54 | 計 | 0 | 0 |
101 | 合計 | 0 | ||
【得点】▽トライ 山本4、今野3、原田3、若林2、相部、川合、安田 ▽ゴール 高木(7G)、中楠(6G) |
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※得点者は慶大のみ記載 |
関東大学対抗戦Aグループ順位表(9月17日現在) | |||||||||
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順位 | チーム | 試合 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失 | トライ |
1 | 明大 | 3 | 3 | 0 | 0 | 301 | 38 | 263 | 45 |
1 | 早大 | 3 | 3 | 0 | 0 | 212 | 18 | 194 | 32 |
1 | 帝京大 | 3 | 3 | 0 | 0 | 217 | 44 | 173 | 33 |
4 | 慶大 | 3 | 2 | 0 | 1 | 150 | 20 | 130 | 22 |
5 | 筑波大 | 3 | 1 | 0 | 2 | 58 | 125 | ‐67 | 9 |
6 | 日体大 | 2 | 0 | 0 | 3 | 40 | 230 | ‐190 | 5 |
6 | 青学大 | 3 | 0 | 0 | 3 | 10 | 207 | ‐197 | 1 |
6 | 成蹊大 | 3 | 0 | 0 | 3 | 19 | 293 | ‐274 | 3 |
勝ち数の多い大学を上位とし、勝ち数が並んだ場合は同順位とする。 |
関東大学対抗戦Aグループ星取表(9月17日現在) | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
帝京大 | 早大 | 慶大 | 明大 | 筑波大 | 青学大 | 日体大 | 成蹊大 | |
帝京大 | * |
11/10 14:00 秩父宮 |
11/30 11:30 秩父宮 |
11/24 14:00 秩父宮 |
11/4 14:00 駒沢 |
◯80‐7 |
◯59‐30 |
◯78‐7 |
早大 |
11/10 14:00 秩父宮 |
* |
11/23 14:00 秩父宮 |
12/1 14:00 秩父宮 |
11/4 11:30 駒沢 |
|||
慶大 |
11/30 11:30 秩父宮 |
11/23 14:00 秩父宮 |
* |
11/10 11:30 秩父宮 |
11/4 14:00 上柚木 |
|||
明大 |
11/24 14:00 秩父宮 |
12/1 14:00 秩父宮 |
11/10 11:30 秩父宮 |
* |
11/4 11:30 上柚木 |
|||
筑波大 |
11/4 14:00 駒沢 |
* |
11/30 14:00 江戸川 |
11/24 14:00 敷島 |
11/10 14:00 熊谷B |
|||
青学大 |
●7‐80 |
●0‐92 |
11/4 11:30 上柚木 |
11/30 14:00 江戸川 |
* |
11/10 11:30 熊谷B |
11/24 11:30 敷島 |
|
日体大 |
●30‐59 |
11/4 14:00 上柚木 |
●0‐103 |
11/24 14:00 敷島 |
11/10 11:30 熊谷B |
* |
11/30 11:30 江戸川 |
|
成蹊大 |
●7‐78 |
11/4 11:30 駒沢 |
●0‐101 |
11/10 14:00 熊谷B |
11/24 11:30 敷島 |
11/30 11:30 江戸川 |
* |
※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、足利は足利市総合運動公園陸上競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、明大Gは明大八幡山グラウンド、菅平は菅平サニアパークM/C、筑波大Gは筑波大つくばグラウンド、敷島は群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、たつのこFは茨城たつのこフィールド、ケーズデンキはケーズデンキスタジアム水戸、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。