最後に追いつくことができず…対抗戦初の黒星

ラグビー慶大

 昨年は3点差、そして今年は5点差——。関東大学対抗戦の第4戦目は、ついに王者・帝京大との対戦。「大学日本一」を掲げるチームとして、帝京大戦は絶対に落とせない戦いだ。慶大は開始6分に先制トライを決めるも、帝京大のスピード感ある攻撃を止めることができない。7−24で試合を折り返すと、得点を重ね、後半32分には19−24に。歴史的勝利を飾れるか、と会場の慶大ファンも沸いたものの、最後はマイボールラインアウトを2本連続で失敗し攻撃の芽を自ら潰してしまう。対抗戦初の黒星となった。たった5点、その5点が大きかった。

 SO古田京主将のキックオフから始まると、開始6分でフランカー川合秀和がボールを奪い真ん中へ押し込み先制し、古田の正確なキックも決まる。しかしそこからは帝京大のスピード感ある攻撃、確実なディフェンスに押され、なかなか敵陣でプレーすることができない。開始10分にはCTB尾﨑泰雅(帝京大)に自陣でインターセプトされると、そのまま60メートル独走を許し早くも同点に追いつかれてしまう。その後もサポートの人数が多い帝京大に太刀打ちできず連続得点を許し、逆に慶大は1点も追加できず7−24で勝負は後半戦へ。

川合のトライで王者相手に先制点を挙げた

 しかしこのままでは終わらなかった。フォワード陣はスクラムやモールでは王者に引けを取ることなく、かと思えばBK陣も積極的なアタックで相手を何度も突破した。後半12分には中央からSH江嵜真悟からボールを受けた古田が、左にいたWTB宮本瑛介に大きくパスしそのままインゴールを叩き割る。30分には古田、CTB栗原由太から、今回はWTBで出場した丹治辰碩がパスを受け取ると、持ち前の鋭いステップで相手をかわし右にトライを挙げた。19−24。残り10分弱を残して5点差。会場に詰めかけた多くの慶大ファンが、もしかしたら…と思っただろう。しかし、ラストは自滅してしまった。39分、そして42分のラストワンプレーのマイボールラインアウトでミスを2連発。最後はそのボールを帝京大に奪われ、外に出されて涙のノーサイドとなった。

変幻自在なステップを魅せた丹治

 この結果を、主将の古田は「結果がすべて」と振り返る。得点こそ5点差だったものの、慶大は今回のマイボールスクラムの成功率が約6割に落ち込むなど、課題が見られた試合となった。しかし、悪い面ばかりではない。フォワード陣の踏ん張りや、BK陣の個々のアタック能力が光った試合となった。今回の敗戦を受けて、課題をどのように修正できるかが今後の課題となってこよう。次回は昨年全国大学選手権で昨年2位の明大との対戦だ。チームの目標「大学日本一」をかけて、次からも負けられない戦いが続く。

(記事 石名遥、写真 富田夏帆)

関東大学対抗戦
慶大 スコア 帝京大
前半 後半 得点 前半 後半
12 24
19 合計 24
【得点】▽トライ 川合、宮本瑛、丹治、 ▽ゴール 古田(2G)
※得点者は慶大のみ記載
コメント

金沢篤ヘッドコーチ

――きょうの試合を振り返っていかかがですか

力の差はそんなに大きくないと思っています。ですけど、自分たちのやろうとしていることがなかなかできない時間帯があって、最終的にそれが勝ち負けに響いているとは思っているんですけれども、選手は非常にいいパフォーマンスしてくれたので次につなげて。明大や早大と当たりますけれども、そこしっかり勝ち切れるように準備していきたいと思っています。

――今日ラインアウトは本当に良いところで全部ミスしていましたが何かあったのでしょうか

単純にスキルなので、そこを磨いていくしかないと思います。何か風とかそういうことではなくて、自分達のミスで帝京のゴール前のスクラムと最後のペナルティーによる2回のラインアウトを(失って)。そこは最後逆転できるかもしれないというチャンスだったのでクローズアップされますけれども、現実的にはそこまで試合の経過とかそういうのを含めてなので。それはミスでも何でもないですし、単純に個人のスキルをこれから上げていくしかないと思います。

――必ずしも完璧なゲームではなかったと思いますが、その中でのこのスコアということで、手ごたえを感じた部分と悔しい部分どちらが大きいでしょうか

良い準備が春からしっかり出来ていますので、自分たちの力を出せば普通にできるとは思っています。普通に自分たちの力を発揮するというのが難しいので…相手もいることですし。そういう意味では、そこは帝京大の方が自分たちより上だったいうことだと思います。

SO古田京主将

――きょうの試合を振り返っていかがですか

結果が全てだと思います。

――どうしても勝たなければいけない敵だと思いますが、気持ちの中でいつもの試合と何か違った部分はありましたか

相手はもちろん帝京大さんですし。いつも全力で戦うということをやっていますけれど、いつも以上に気持ちは入って。冷静には戦えていたと思うので、前半で適応出来なかったのは自分たちの力なのでという反省があります。

――試合中前半の苦しい時間帯や後半の苦しい時間帯で、それぞれどんな言葉を投げかけましたか

自分たちがアタックすれば前に出れるということは前半の最初のトライで感じていたので、そこにいかに持っていくかを言うことを話し合いました。

――帝京との力の差というのは毎年戦っている中でどれだけ近づいた実感がありますか

勝てる力はずっと持っていると思っているので。それがやっぱり自分たちのスキルが足りない部分が試合の中であったと思うので…はい。

 

関東大学対抗戦Aグループ星取表
  帝京大 明大 慶大 早大 筑波大 日体大 青学大 成蹊大
帝京大

11/18 14:00

秩父宮

〇24-19

11/4 14:00

秩父宮

12/1 14:00

熊谷

〇90-7

〇141-7

〇113-7

明大

11/18 14:00

秩父宮

11/4 11:30

秩父宮

12/2 14:00

秩父宮

〇66-21

〇31-17

〇88-0

〇110-0

慶大

●19‐24

11/4 11:30

秩父宮

11/23 14:00

秩父宮

〇35-24

〇84-17

12/1 11:30

熊谷

〇68-14
早大

11/4 14:00

秩父宮

12/2 14:00

秩父宮

11/23 14:00

秩父宮

〇55-10 〇68-10 〇123-0 〇99-5
筑波大

12/1 14:00

熊谷

●21-66 ●24-35 ●10-55 11/18 14:00

敷島

○73-31

11/3 14:00

上柚木

日体大

●7-90

●17-31

●17-84

●10-68

11/18 14:00

敷島

11/3 11:30

上柚木

12/2 14:00

熊谷B

青学大

●7-141

●0-88

12/1 11:30

熊谷

●0-123

●31-73

11/3 11:30

上柚木

11/18 11:30

敷島

成蹊大

●7-113

●0-110

●14-68

●5-99

11/3 14:00

上柚木

12/2 14:00

熊谷B

11/18 11:30

敷島

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、足利は足利市総合運動公園陸上競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、明大Gは明大八幡山グラウンド、慶大Gは慶大日吉グラウンド、三郷はセナリオハウスフィールド三郷(三郷市陸上競技場)、筑波大Gは筑波大つくばグラウンド、敷島は群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場、味スタ西は味の素スタジアム西競技場、上柚木は上柚木公園陸上競技場。
 
関東大学対抗戦Aグループ順位表(10月21日現在)
順位 チーム 試合 得点 失点 得失 トライ
帝京大 368 40 328 53
早大 345 25 320 52
明大 295 38 257 44
慶大 206 79 127 30
筑波大 128 187 -59 19
日体大 51 273 -222 7
成蹊大 26 390 -364 4
青学大 38 423 -385 6
勝ち数の多い大学を上位とし、勝ち数が並んだ場合は同順位とする。