春の成果を発揮、大学王者相手に奮闘!

ラグビー慶大

 関東大学対抗戦(対抗戦)3連勝と好スタートを切った慶大。第4戦は、全国大学選手権7連覇中の絶対王者・帝京大だ。対抗戦優勝を目指す上で越えなければならない大きなカベに慶大は果敢に挑む。前半からスクラムで優位に立ち先制点を奪うも、帝京大の高い攻撃力に押され失点を重ねた。後半も失トライでリードを許し苦しい展開となるが、試合終盤には2連続トライで追い上げを見せる。31-42で敗れたものの、帝京大相手に手応えをつかんだ試合となった。

 前半序盤は両チームとも攻撃をしかけるもトライにはつながらず、膠着(こうちゃく)状態が続いた。試合が動いたのは16分、スクラムから自分たちの攻撃のリズムを作り、最後はSO古田京が突破し中央にトライ。絶対王者に今季初となる失トライを与え、先制点を挙げる。しかし、ここから徐々に帝京大が力を発揮し始めた。21分にラインアウトモールからトライを許し同点とされると、その8分後にはディフェンスの一瞬の隙を突かれ逆転を許す。その後も自陣で耐える時間が続き、40分にはゴール前からインゴールをこじ開けられた。このまま前半終了かと思われたが、慶大は最後まで食らいつく。相手のペナルティーを誘い、前半終了間際に古田のPGで3点を返した。得点としては押されながらも全体的にディフェンスで粘りを見せ、10-21で試合を折り返す。

攻守ともに存在感を見せた古田

 後半は前半とは対照的に開始早々から試合が動いた。自陣でペナルティーを犯すとゴール前で相手にラインアウトからモールを組まれトライを奪われてしまう。しかし、慶大も負けてはいない。16分にはパスで徹底的につないで相手を右に左にと揺さぶり、最後はSH中鉢敦がラックサイドの隙を突いてトライを挙げた。だが、後半に入って相手の運動量に押され、立て続けに失点してしまう。それでもこの日の慶大は簡単には終わらなかった。33分、帝京大のスクラムからボールを奪うと途中出場のフランカー山中侃がゴール前まで持っていき、最後はプロップ渡邊悠貴が中央横に決める。さらに5分後、ラインアウトモールで完全に帝京大を押し込んで、フッカー松岡大介がトライを奪った。その後もセットプレーで相手に圧力をかけ続けるが、得点にはつながらずノーサイド。31-42で対抗戦初の敗北を喫した。

スクラムなどセットプレーで相手を圧倒する場面が多く見られた

 王者のカベはやはり厚かった。一度リードを許すと、点差がなかなか埋まらない。トライされた後、帝京大から点を取り返す力が慶大にはなかった。いかに継続して得点を重ねることができるか、攻撃面での見直しが必要となる。しかし敗北したとはいえ、今回の試合の意義は大きい。スクラムやブレイクダウンで帝京大からボールを奪うなどセットプレーの強さが光った。春から取り組んできた成果が着実に表れている。さらに終盤で見せた追い上げなど今後の試合に向けて弾みのつくゲーム内容だった。次の試合は伝統の慶明戦だ。大学王者・帝京大相手にみせた食らいつくラグビーをぜひ見せてほしい。

(記事 渡邉歩、写真 矢野聖太郎、太田萌枝)

関東大学対抗戦
慶大 スコア 帝京大
前半 後半 得点 前半 後半
10 21 21 21
31 合計 42
【得点】▽トライ 松岡、中鉢、古田、渡邊 ▽ゴール 古田(4G、1PG)
※得点者は慶大のみ記載
コメント

金沢篤ヘッドコーチ

――きょうの試合を振り返っていかかがですか

きょうの選手の戦いぶりにつきましては誇りに思います。しかし結果としては負けてしまっていて、何かを達成したということではないので、次に向けて補強していきたいと思います。6トライを帝京大に取られた後、得点を取り返す力が慶大にはまだありません。自分たちのスタイルを出す必要性が見えた試合だと思っています。

――トライを減らすためにどのようなことをすればよいと感じていますか

ハーフウェイライン付近でどのように試合を展開するかが難しいところで、そこでのペナルティーが自陣ゴール前のラインアウトを呼んでしまいました。そこでトライを集約されていたので、この部分を修正できればトライを抑えることができると感じています。

――アタックはいかがでしたか

アタック面はあまりよくなかった印象です。しかしセットプレーからプレッシャーをかけてFWが前に出てくれたことから得点につながったと思います。シンプルな部分ですがフィジカルなど春から取り組んできたことが花開いた印象です。

NO・8鈴木達哉主将

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうの試合につきましては『BEAT THE BREAKDOWN』をテーマにやってまいりました。前半は自分たちのブレイクダウン、そしてセットプレーでも帝京大にプレッシャーをかけることができて、こちらのペースで試合を進めることができました。しかし帝京大の力強いアタック、ブレイクダウンなどこちらが注意していた部分で圧倒されました。結果としては何も成しえていません。ただ自分たちが目指してきた方向性は間違っていなかったと思える試合でした。これからも精進していきたいと思います。

――目指してきた方向性について具体的に教えてください

王道であるセットプレー、自分たちの体を当てるプレーで逃げないことを目標にしていました。帝京大に圧倒された部分もありましたが、夏よりも戦えていることがきょうの結果につながっていると思うので、方向性は間違っていないと感じています。

――スクラムで帝京大を押す場面が何度もありました

自分たちのスクラムを貫くことを目指していました。やはりフィジカルの面では他大学と比べて劣る面が多いので、必ず低く相手に会わせない組み方を目標としていまして、やっと実を結びました。特に帝京大に向けた対策をしていたわけではなく、自分たちのスクラムを組めたのかなと思います。

――スクラムからターンオーバーを演出する場面が見受けられました

スクラムでターンオーバーする時は声を掛け合いながら8人全員で押すことを意識しています。その意識によってまとまって押すことができました。