関東大学対抗戦(対抗戦)2連勝と好スタートを切った慶大。迎えた3戦目の相手は筑波大だった。立ち上がりから筑波大の勢いに押され先制点を取られると、そのままチャンスを得点につなげられない状態が続く。14-12とリードを許して試合を折り返したが、後半3分にフランカー木原健裕主将がトライを挙げ逆転。その後は流れをつかみ始め、着実にスコアを伸ばしていく。攻守ともに安定したプレーを見せた慶大は見事対抗戦3勝目を手にした。
筑波大のキックオフで試合が始まると、開始2分でいきなり試合は動いた。自陣に攻め込まれると、思いも寄らないタックルミスでそのままトライを許してしまう。筑波大に傾きかけた流れを取り戻したい慶大は8分に相手のペナルティーを誘い、敵陣5メートルからのスクラムを選択。近場を攻め続け、最後はプロップ青木周大がインゴールに押し込んで何とか同点に追いついた。しかし同点もつかの間、素早いクイックスタートからサイドをパスで抜かれるとまたもや失点。ディフェンスの甘さが露呈してしまった。その後は敵陣でアタックを続けるが、あと一押しが足りずなかなかゴールラインにたどり着かない。38分に木原が執念の1トライを返すも12-14と2点ビハインドで前半を終えた。
3つのトライに絡んだ木原主将
後半、木原の逆転グラウンディングで火が付いた慶大。筑波大のキックミスでボールを奪うと、6分にCTB石橋拓也がディフェンスをかわし加点。オフサイドによるペナルティーキックから3点を返されるが、ボールをキープし続け徐々に敵陣の奥へと侵入して行く。15分には華麗なパスプレーでフランカー廣川翔也がゴール下ど真ん中に楕円球をたたき込み33-17と順調にリードを広げた。しかしここから筑波大の長いアタックが始まる。ターンオーバーされた慶大は終盤までマイボールにすることができず、ひたすらディフェンスでしのぐ時間が続いた。意地のドロップゴールで3点を加えるが「最後の5分のところで足が止まってしまった」と木原は試合を振り返る。後半40分とロスタイムのラスト5分間でまさかの10失点と終盤危うい部分も見られたが、後半から強気に出たことが功を奏し36-29でノーサイド。大事な一戦で白星をつかみ優勝へ一歩近づいた。
石橋を中心としたバックス陣が慶大に勢いをもたらす
勝利を収めたとは言え、全体的に決め手に欠いていた慶大。パスミスもしばしば見られ、何より相手のミスやペナルティーに助けられたという印象を受けた。対抗戦後半に行われる宿敵早大や明大に勝利するためにはこれらの課題の修正は必至である。この開幕3連勝という良い流れを保ちつつ、反省点をしっかり見直し次戦へ備えていきたい。
(記事 田々楽智咲、写真 三佐川唯、藤巻晴帆)
関東大学対抗戦 | ||||
---|---|---|---|---|
慶大 | スコア | 筑波大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
2 | 3 | T | 2 | 2 |
1 | 3 | G | 2 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 1 |
0 | 1 | D | 0 | 0 |
12 | 24 | 計 | 14 | 15 |
36 | 合計 | 29 | ||
【得点】▽トライ 青木、木原2、石橋、廣川 ▽ゴール 矢川(4G)、星(1DG) | ||||
※得点者は慶大のみ記載 |
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コメント
和田康二監督
――きょうの試合振り返っていかがですか
対抗戦2連勝で迎えた3戦目ということで、慶大にとっては筑波大さんにチャレンジするということで、勝利したことは嬉しく思いますし、キャプテンの木原を含めて学生が一つになってこの勝利をつかめたのだと思います。
――このゲームではどのようなプランで試合を進めていってこうなれば良いなと考えていたかと、実際はどうだったかをお願いします
筑波大さんの強みはブレイクダウンの意識の高さと強さということだと思っていましたので、そこでアタックもディフェンスもチャレンジしろということと、後はこちらのアタックというよりはディフェンスのところはことしはずっとこだわっているので、我慢してしっかり守ってそこからアタックというのを目指そうという点です。後は相手に福岡君(堅樹、筑波大)を含めて非常にいいバックスがそろっているチームだと思いますので、その相手のバックスをいかに止めるかそういったところを意識していました。
――後半の勝負どころの部分で言うと33対17になったあとの長い筑波のアタックがあったと思うのですが、あそこの部分でしっかりディフェンスができていたのではないかとみている側では思ったのですが監督から見ていかがでしたか
残り10分切ってそこで取られて2スコアで逆転される可能性がありましたので、あの場面が勝負所だなと思って見ていましたし、ことしの春からディフェンスというのは我慢して規律よく反則せずに守るとうことはやってきましたので、それを選手が勝負所で体現してくれたと思います。ただ最後、ある意味勝負が決まってからの5分間に関しましては脇が甘かったと思いますし、ある意味いい反省が今後に向けてできたという試合だったと思います。
――監督就任2年目ですが、チームとしてきょねんより進歩している点はありますか
毎年毎年やはり新しいチームだと思いますので、きょねんはきょねんのチームで、ことしはきょねんのチームを超えていこうということでやっていますし、ことしのチームの特徴はメンバー15分の13が4年生と控えを含めてかなりの4年生がメンバーに入って、きょねんからの経験を積んでいる選手がいるというのはことしのチームの特徴ですし、彼らが4年生としてまとまっている、持っている意識もそうですし、期待を持って見ていた試合ですし、キャプテンの木原を中心にもとまっていると思います。
――試合の中でのまとまり、修正のコミュニケーションの良さはご覧になっていかがですか
春先はちょっともたついた時期もありましたので、苦しい時にどういう方に持っていこうとか、きょうも先制トライとかはイージーに行かれた時もあったんですけど、そういう状況でも動じず試合を運べたのかなと思います。
フランカー木原健裕主将
――試合を振り返っていかがでしたか
最初の明学大戦と青学大戦の2試合で今の僕たちのチームの課題はブレイクダウンのフィジカルの強さだったので、特に分析で筑波大さんがブレイクダウンを取ってくるということだったので、練習は常にブレイクダウンの意識をしていました。最初の前半のところで良い形でアタックできたのですが、やはり外に振った時にバックスでターンオーバーされたり一人が孤立したところでターンオーバーされたりするシーンはあったので、後半に自分たちのビハインドで迎えたのですが、皆このまま行けるという感じだったので後半アタックのところで強気にいってこのようなかたちになったと思います。しかしラストワンプレーで取られたことと、最後の5分のところで取られたことは反省点なので次に修正したいと思っています。
――このゲームではどのようなプランで試合を進めていってこうなれば良いなと考えていたかと、実際はどうだったかをお願いします
筑波大さんがすごくテンポを出してくるチームだったので、しっかりそれにリアクションをして、攻める。そのあと、ディフェンスはしっかり止めてチャンスが回ってきたら、僕たちが用意したアタックをして、こちらもテンポを出して、ひとつのブレイクダウンを出して、球を出してフォワードのワークレートで勝つという風に試合を進めました。
――ブレイクダウンで、前半は筑波の勢いがある時間があったと思うのですがそこから流れを変えていくというのは、慶応としては修正したのか、ゲームの中で変えていったのかいかがでしたか
やはり最初の20分はどこのチームもフィットネスがあって元気で個々の能力も高いので僕たちも互角もしくはそれ以下だと思っていたので、30分以降相手の足が止まったなと感じたところから慶大の時間だということで、そこから僕たちの春から重ねてきた練習量の差などが試合の時に出せたと思います。
――試合の入りのところでトライを取られたあと攻め込んで、ペナルティーがあって、そこはショットを狙ってもでもおかしくない場面でしたがそこで勝負にいった意図は
最初フォワードがモールで取りたいというのがあったので、そこで勝負できるというのはみんなの中で統一されていたので、そこはショットじゃなくてタッチに出してモールで勝負しました。ターゲットであったモールで1トライするというのはそれを達成できたのですごくよかったと思います。
――試合の入りで福岡君にトライを取られるというのは、ある意味警戒していった部分だったと思いますが
かなり警戒していたんですけど、相手が逆目に振ってきてそれに対してこちらの選手の枚数が薄くて、空いたところをスキルが高いのでそこを行かれてしまったというかたちですね。その後は何があっても、監督からもお話あったんですけど、何があっても慌てないでしっかり自分たちがやってきたことをやろうと思って切り替えました。
――後半の勝負どころの部分で言うと33対17になったあとの長い筑波のアタックがあったと思うのですが、あそこの部分でしっかりディフェンスができていたのではないかとみている側では思ったのですがキャプテンから見ていかがでしたか
33対17という16点差で選手たちの中ではまずは3点でも良いから、とにかくスコアを取ることを考えていたのですが、相手にボールが渡ってしまい、長いレースをしてまとめられたのですが、最後のところでかなりリフレッシュな選手たちが入ってきたのでそこで僕自身は運動量を出して欲しかったのですが、やはりまだ試合経験も少ない選手がたくさんいたので、ちょっと受けてしまったことと最後の5分のところで足が止まってしまったので、次は最後まで集中力を切らずにプレーすることが課題だと思います。
――2本目に決めたトライが決勝トライとなりましたが、自分自身のプレーについてはいかがでしたか
ラッキーボールもあれば、しっかり自分でキープしてパスを出すなど良いプレーができたと思います。僕自身高校時代に、最後に福岡高校に敗れてしまい、その時のキャプテンがきょうは出ていなかったのですが筑波大で、またその時福岡くんにラストワンプレーの逆転トライで負けて悔しい思いをしたので、とにかく筑波に対する思いは人一倍ありました。それがこのように体現できてすごく嬉しいです。