関東大学対抗戦(対抗戦)開幕2連勝と波に乗る慶大。この日はここまで対抗戦2連敗と苦しむ青学大と対戦した。格下相手に勝利を収めたい慶大であったが、『打倒慶大』を掲げる青学大の気迫あふれるプレーの前にミスが続出。最後まで自分たちらしいラグビーをすることができず、手痛い一敗を喫してしまった。
16年ぶりの敗戦に落ち込む慶大
慶大のキックオフで始まった前半。主導権を握ったのは慶大だった。5分、相手インゴール前ラインアウトから連続攻撃を仕掛け、相手のペナルティーを誘発。ゴール正面のPGをSH南篤志がしっかりと決め、まずは3点を先制する。幸先よく得点し、このまま慶大ペースで試合が進むと思われた。しかしながら9分、空いたスペースに走り込まれトライを献上。3-7とリードを許してしまう。逆転されても攻め続ける慶大だったが、青学大の出足の鋭いディフェンスの前にハンドリングエラーやペナルティーを連発。18分にPGを決めて1点差に迫るものの、20分、相手FWに近場を突破されて失トライ。その後もミスや相手の好守に阻まれてトライができなかった慶大は、6-14と8点差をつけられて前半を終える。
後半に入っても攻めきれず、青学大にPGで3点を追加され11点ビハインドとなった慶大。しかし25分、ついに待望のトライを挙げる。敵陣でのラインアウトから、FWとBKが一体となったアタックでゲインすると、最後はプロップ青木周大がインゴールに飛び込んだ。ゴールも決めて13-17と1トライで逆転可能な点差まで追い上げる。残り時間15分。慶大の逆転勝利か、青学大の大金星か――。観客が固唾(かたず)を飲んで見守るなか、一進一退の攻防が続く。時間が刻一刻と過ぎ、迎えた40分。慶大は逆転を信じ、自陣から攻めようと試みるも、ここで痛恨のターンオーバー。最後は再び相手のトライを許してしまった。ロスタイムにロック川原健太朗のトライで一矢報いたものの、最終スコアは18-24。青学大相手に16年ぶりの敗戦を喫した。
途中出場ながらトライを決めた川原
「春からやってきたことが出せなかった」(フランカー濱田大輝副将)。この言葉の通り、金星を挙げた筑波大戦のようなプレーができなかった慶大。また、ミスの多さに関しては前回の日体大戦からあまり改善が見られなかった。このままでは強豪校との試合で勝利することは難しいだろう。それでも、「負けたことをプラスに変えてこれからも頑張っていきたい」と濱田副将が語るように、この敗戦をきっかけにチームが変われるかどうかが重要だ。いまこそタイガー軍団の真価が問われるときである。
(記事 菅原拓人、写真 末永響子、高柳龍太郎)
関東大学対抗戦 | ||||
---|---|---|---|---|
慶大 | スコア | 青学大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
0 | 2 | T | 2 | 1 |
0 | 1 | G | 2 | 1 |
2 | 0 | P | 0 | 1 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
6 | 12 | 計 | 14 | 10 |
18 | 合計 | 24 | ||
【得点】▽トライ 青木、川原 ▽ゴール 南(2PG)、中村(1G) | ||||
※得点者は慶大のみ記載 |
コメント
和田康二監督
――きょうの試合を振り返って
本日は青学大さんの出足の鋭いディフェンスのラインなどに最後まで対応することができず負けてしまったことが非常に残念です。正しいところにボールを運ぶというのができていなかったところも多かったですし、運ぼうとしたときに一瞬のプレッシャーを受けてしまったり、相手の早い出足の鋭さにハンドリングのところでミスが出たりと、いわゆるスキルミスも目立ちました。
――ハーフタイムで伝えた修正部分はどこですか
まずアタックに関しては相手の出足が鋭かったので、逆に後ろのスペースが空いていて、そこのスペースをいかに攻めていくかというところなど、チャンスをしっかりものにしようということを伝えました。ディフェンスに関しては相手に少ないチャンスをものにされてしまった前半から相手のキーマンとなるような強いボールキャリアとなる選手が何人かいたので、そこをしっかりマークしようと話しました。
フランカー濱田大輝副将
――きょうの試合を振り返って
監督がおっしゃったとおりで、最初から青学大の陣地でディフェンスの部分で受けたかたちになってしまって、そこから立ち直そうとやっていたんですけれども、春からやってきたことをあまり出すことができずこういう結果になってしまったんだと思います。でもここで止まっているわけにはいかないので、負けたことをプラスに変えてこれからも頑張っていきたいと思います。
――やってきたことを出し切れなかった理由は何ですか
1対1のところであったりブレイクダウンに関しては春からやってきていることなんですけれども、相手の前に出てくるプレッシャーに打ち勝てませんでした。そこをもう少し、ラインを深くするということであったり、一人一人のあいだを詰めるであったり、そういうところを改善点として後半にいったんですけど、改善し切ることができませんでした。
――後半4点差に迫ったときの気持ちはいかがでしたか
僕個人といたしましては、点差が縮まった喜びというものは全くありませんでした。1プレー1プレー切り替えてフラットな状態で見て自分たちのやりたいことをまずやらなければならないと思ってやっていました。