先週青学大に敗戦し、関東大学対抗戦(対抗戦)初黒星を喫した慶大。目標とする対抗戦優勝のためにはこれ以上の負けが許されない状況の中、今季対抗戦Aグループに昇格したばかりの成蹊大と対戦した。冷たい雨が降りしきり、コンディションの悪さに苦しめられるも、終始リードを保ち相手を大きく引き離して圧勝。計10トライを挙げ、実力の差を見せつけた。
風上に立った前半、慶大は序盤から積極的に攻撃を仕掛ける。7分、敵陣でのマイボールスクラムから右へ展開すると、CTB佐藤龍羽が大外にキックパスを放ち、キャッチしたWTB関東申峻がグラウンディング。幸先よく先制した慶大は、その後もモールを押し込み大きく前進するなどFW陣が健闘を見せる。15分にはスクラムからの攻撃でプロップ青木周大がトライ。12-0と相手を引き離すも、直後に失点を許してしまう。敵陣でプレーしながらも雨によるハンドリングエラーやペナルティーでチャンスを生かせず、しばらく得点を奪えない時間が続くが、34分ようやく試合が動く。スクラムからのサインプレーでSH南篤志がインゴールを割ると、続く38分にもカウンターアタックを仕掛けてボールをつなげ、WTB服部祐一郎が相手ディフェンスをなぎ倒しながら独走トライ。ケガからの復帰戦となったこの試合で早速ファインプレーを見せた。さらに前半終了間近にも1トライを返し、24点リードで後半へとつなげた。
復活戦で活躍を見せた服部
迎えた後半、前半ラストの勢いのままプレーを進めたい慶大であったが、なかなか好機をつかめず試合は膠着(こうちゃく)状態に。しかし13分、SH猪狩有智がゲインすると、素早くサポートに入ったNO・8森川翼がインゴールに飛び込み流れを取り戻す。25分には自陣深くで相手ボールを捕球し、服部が左サイドを80メートル近く独走して追加点を挙げる。見事な走力を見せ、好調をアピールした。28分にはディフェンスの隙を突かれトライを献上するも、その後は慶大ペースに。FB下川桂嗣が相手タックラーを振り払いピッチを駆け抜け2連続得点。点差を大きく広げる。ラストワンプレーまで慶大の勢いは衰えず、CTB石橋拓也のビッグゲインからパスを受けた途中出場のNO・8徳永将が右サイドからインゴールを陥れてノーサイド。トータルスコアを62-14とし、対抗戦3勝目を挙げた。
2度の独走トライを挙げた下川
相手に大差をつけて勝利したものの、ライバル校が完封した相手に2トライを許すなど課題も残ったこの試合。得点後の気の緩みから相手に押される場面が目立った。残る試合はいずれも強豪校相手。山場に向けいま一度気を引き締めなければならない。2週間後に控えるのは明大戦。春シーズンは接戦の末競り負けており、一筋縄ではいかない相手だ。因縁のライバルにリベンジを果たす時がきた。主力を欠いた厳しい現状を打破できるか。進化する慶大に期待がかかる。
(記事 大口穂菜美、写真 加藤千暁、目黒広菜)
関東大学対抗戦 | ||||
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慶大 | スコア | 成蹊大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
5 | 5 | T | 1 | 1 |
3 | 3 | G | 1 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
31 | 31 | 計 | 7 | 7 |
62 | 合計 | 14 | ||
【得点】▽トライ 青木、森川、南、服部2、関東2、下川2、徳永 ▽ゴール 矢川(5G)、中村(1G) | ||||
※得点者は慶大のみ記載 |