慶大、対抗戦を最高の形でスタート

ラグビー慶大

 慶大は関東大学対抗戦(対抗戦)の初戦に昨季の対抗戦王者・筑波大と対戦。ここ2年対抗戦5位に沈んでいた慶大だが、和田康二新監督が就任した今春は順調に勝ち星を重ね、好調な滑り出しを見せていた。きょうの開幕戦は立ち上がりこそリズムに乗れずにいたが、相手のミスをつく攻撃で得点を重ねる。後半は特にディフェンス陣が奮闘し、20―12で大金星を勝ち取った。

 前半は慶大キックオフでスタートした。雨が降り出しコンディションが悪い中、慶大は序盤から積極的に攻めていく。だが、ミスでチャンスをものにできず、12分にはゴール前のモールから抜け出した筑波大に先制点を奪われる。なかなか流れをつかめない慶大だったが、19分に敵陣ゴール前10メートルスクラムから捕球すると、細かいパスで左右へ展開し、最後は大外に構えていたWTB下川桂嗣がトライ。続いて26分にはSO宮川尚之主将がPGを落ち着いて決め、逆転に成功する。ところが35分にFWリーダー、プロップ三谷俊介が負傷交代してしまう。一時慶大に緊張が走ったが、42分に相手のキックミスから好機を得ると、SH南篤志が筑波大ディフェンスの穴を突いて突破。この試合でキックが絶好調だったFB児玉健太郎がパスを受けてインゴールへと叩き込み、前半を13―7で折り返した。

キックコントロールがさえた児玉

 三谷に引き続き宮川もケガで交代し、不安なスタートを切った後半だったが、「(キャプテン、FWリーダーの不在で)逆にチームの士気が高まった」(フランカー濱田大輝副将)というように、後半も選手たちの集中力が途切れることはなかった。14分に相手ラインアウトボールを奪取すると、フランカー木原健裕が相手ディフェンスを引きずりながら執念のトライ。22分にはキャッチミスからゴールライン際まで一気に攻め込まれたが、好ディフェンスで対応した。その後も慶大の持ち味である『魂のタックル』で相手をシャットダウンするなど疲れの色が見えた筑波大に対し終始リードしていた慶大だったが、35分に惜しくもトライを許してしまう。それでも最終スコア20―12で堂々たる勝利を挙げた。

トライを決めた木原

 和田監督も濱田も「チャレンジ」という言葉を使って振り返った今回の試合。特に意識していたという一対一やディフェンスにおいてもチーム全体が効果的に機能していた。しかし和田監督はあくまでも「目標は(全国)大学選手権での勝利」と先を見据える。進化する慶大に次戦も期待が高まる。

(記事 高柳龍太郎、写真 加藤千暁、目黒広菜)

関東大学対抗戦
慶大 スコア 筑波大
前半 後半 得点 前半 後半
13
20 合計 12
【得点】▽トライ 木原、下川、児玉 ▽ゴール 宮川(1PG)、佐藤(1G)
※得点者は慶大のみ記載
コメント

和田康二監督

――きょうの試合を振り返って

本日は(関東大学)対抗戦初戦ということで特別な一戦だったと思うんですけれども、選手たちが今まで練習でやってきたことをしっかり出してくれました。昨年の対抗戦優勝校及び(全国)大学選手権の準優勝校である筑波大さんにチャレンジしようと試合に挑みましたが、本当に選手たちがよくやってくれて勝利することができたので大変嬉しく思っています。一方で対抗戦はまだ始まったばかりということで、このあとも対抗戦、大学選手権と続いていきますので、勝って自信をつけて、(悪いところは)反省して、次の試合に向けてチームで頑張っていきたいと思っています。

――勝因は何だとお考えですか

チーム160人全員のまとまりで勝ったと思います。

――主将とFWリーダーが負傷で抜けた時はいかがでしたか

試合では想定外のことも起きると考えていましたし、代わりのメンバーを入れるということもシミュレーションしていたことなので慌てることなくできました。そのあとは残ったメンバーも二人のために頑張ろうという気持ちでむしろプラスになった面もあったと思います。

――今後について

春夏と個々の基本プレーずっと練習していまして、その点に関してはこの試合でもまだまだ課題は見つかりました。ですがやはり目標は秋シーズン対抗戦で勝つというよりは大学選手権で勝つということなので、それに向けてやっていきたいと思います。

フランカー濱田大輝副将

――きょうの試合を振り返って

今回の試合は対抗戦初戦ということで、緊張しているメンバーも何人かいたんですけれども、それは関係なく僕らはチャレンジャーであるという気持ちを忘れずに戦おうと試合前に全員で話し合いました。入りの20分、後半の20分をまず集中して、筑波大の強いディフェンスであったりアタックであったりを激ろうとみんなで意思統一しながら春夏やってきたことを出そうということだけを考えてやりました。その中で良い結果がついてきたんですけれども、まだまだ対抗戦は始まったばかりなので、これからも頑張っていきたいと思っております。

――徐々に調子を上げていった印象でした

春夏と個々のフィジカルだったり、一対一のところにこだわっていたので、ブレイクダウンでは一対一で負けないということだったり、シンプルなところを一人一人が勝つということをみんなで言い続けていました。それを40分間通してできたことで相手の体力がなくなってきたときに良い流れをつかめたのかなと思います。

――核となる主将とFWリーダーが抜けて不安はありませんでしたか

監督の言葉にもありましたが、逆にチームの士気が高まったのかなと。不安が顔に出ているメンバーも何人かいましたが、その分体を張って勝とうと声を掛けあって、そこからみんなの目の色が変わって良い結果になったと思っています。