男子ペアが社会人を相手に準優勝を果たす

漕艇

全日本ローイング選手権 5月22日~24日 東京・海の森水上競技場

 完全優勝を果たした早慶レガッタから1ヶ月、全日本ローイング選手権(全日本)が開催された。9月に控える全日本大学選手権(インカレ)に向けて、今大会では社会人チームも相手にハイレベルなレースが繰り広げられた。早大からは6種目に出場し、5種目がA決勝に進出。その中で男子ペアが準優勝を果たした。

 女子種目では、ダブルスカル、クォドルプル、軽量級ダブルスカルが出場。ダブルスカルは、準決勝で序盤に許したリードを縮められずA決勝進出はならなかったが、B決勝では2着に入り、総合8位でフィニッシュした。クォドルプルは準決勝で3着に食い込みA決勝に進出。しかし決勝では社会人チームに引き離され、学生勢では2位となる総合5位でレースを終えた。軽量級ダブルスカルは敗者復活戦からA決勝進出を決めたが、序盤で先頭から大きく差をつけられ、結果は総合6位となった。

 男子種目にはフォア、エイト、ペアが出場。フォアとエイトは熾烈な準決勝を突破しA決勝に進出したものの、社会人を相手に善戦及ばず、いずれも総合6位でレースを終えた。男子ペアには、早慶レガッタ・第二エイトでストロークとバウを務めた“アウトペア”、白山惺之(政経2=東京・早大学院)、平賀俊丞(スポ2=東京・小松川)が出場。予選では、スタートから勢いよく飛び出し、東レ滋賀とともに後続を引き離す展開に。先頭をキープしていたが、1500メートル地点で並ばれ、最終盤でかわされて2秒差の2着フィニッシュ。1着は逃したものの、危なげなくA決勝進出を決めた。

 予選の2日後に行われたA決勝は、逆風と高波という難しいコンディションの中、早大は予選同様、好スタートを切って先頭に立つ。しかし、500メートル地点で東レ滋賀にリードを許すと、その後は必死に追いすがったものの、差を詰めることができず。それでも最後まで2位をキープし準優勝を果たした。レース後、白山は「想像以上の結果」と振り返りつつ、日本一に届かなかった悔しさもにじませた。

スパートをかける男子ペア

 多くの種目がA決勝進出を果たしたものの、入賞は男子ペアの1種目にとどまった早大。しかし、日本のトップレベルの選手たちとしのぎを削った経験は、今後の成長に大きな糧となるだろう。今大会で味わった悔しさをバネに、インカレでは他大学を圧倒する漕ぎに期待したい。

(記事 長屋咲希、写真 石渡太智)

コメント

白山惺之(政経2=東京・早大学院)

ーー2位入賞、そして学生1位となりました、今のお気持ちを教えてください

 2位という結果にはかなり驚いています。というのも、予選が終わるまでは自分たちがどこまで通用するのかが全くわからず、決勝Aへの進出という目標を漠然と設定してレースに臨みました。なので、順位や他のクルーを意識するというよりは、自分たちの練習の成果を発揮しよう、という点に重きを置いていました。予選・決勝とも練習通りの満足のいくレースができ、想像以上の結果もついてきたという感じです。ただ、優勝した東レ滋賀さんに予選では肉薄でき、日本一に手が届くところまで行けただけに、優勝を逃したという悔いは少し残りました。

ーー早慶レガッタからどんな練習を積んできましたか

 これまであまりペアの経験がなく、かつ早慶レガッタに向けてはエイトで練習を行っていたため、約1カ月の練習期間で不安定なペアに適応するのに苦労しました。また、早慶レガッタは3750メートル、全日本選手権は2000メートルとレースの距離が大きく異なります。全日本選手権に向けては、より一層のスピードやスタートのスプリント力を求めた練習を行ってきました。レースの2週間前頃には、目標以上のスピードを安定して出し続けられるようになり、自信をもってレースに臨むことができました。

ーー決勝の波のコンディションはいかがでしたか

 特にスタートから500メートル地点までは、かなり逆風が強く波が高いコンディションでした。波の影響で100点のロケットスタートを決めることはできませんでしたが、他のクルーは自分たち以上に波に翻弄されている様子だったので、落ち着いて漕ぐことができました。隅田川で培ったラフコンディションへの耐性が発揮できたのではないかと思います。

ーー決勝のレースを振り返ってください

 スタートから落ち着いて漕ぐことができたため、300メートルあたりでトップに立てたのは理想の展開でした。ただ、500メートル過ぎには優勝した東レ滋賀さんにリードを許すこととなり、レースの主導権を握られてしまったのが敗因だと感じています。そこから東レ滋賀さんにリードを広げられては、私たちが差を詰めるべくアクションを起こすが追いつけず、という展開が終盤まで続きました。先行してレースを俯瞰できる東レ滋賀さんの思い通りにレースを運ばれてしまい、リードを広げたまま逃げ切られる結果となりました。ゴール付近では3位のTeamSSPさんの猛追に遭いましたが、序盤のリードを保ってなんとか2位でゴールできました。

ーーインカレに向けて意気込みをお願いします

 早慶レガッタから約1カ月という短い期間ではありましたが、全日本選手権に向けた練習期間・レース本番を通して大きく成長することができました。来たる夏の期間、さらに練習を積み重ね、フィジカル・テクニックとも大幅にレベルアップしたいと思います。2人ともインカレにおいて出場する種目は全く決まっていませんが、今回掴みきれなかった日本一を目指します。