【連載】早慶レガッタ直前特集『ONE』対校エイト:青木洋樹×中島湧心×森長佑×阿部光治

漕艇

 第5回に登場するのは、昨年の全日本大学選手権(インカレ)にエイトクルーとして出場した阿部光治(スポ3=愛知・猿投農林)、青木洋樹(スポ2=東京・成立学園)、中島湧心(スポ3=富山・八尾)、森長佑(スポ3=福井・若狭)。対校エイトの中核を担う4人に、昨シーズン抱えていた思いから早慶レガッタへの思いまで、それぞれの胸中を伺った。

※この取材は3月30日にオンラインで行われたものです。

昨年の結果には全然満足していない

中島

――昨シーズンは様々な困難もあったと思いますが、インカレではエイトで出場されました。どのようなシーズンでしたか

森長 自粛期間ということもあって練習できない期間が長かったのですが、自粛明けから練習を再開して、地道な努力が実ったとは感じていますね。

青木 大会が全日本(全日本選手権)とインカレしかなく、モチベーションを維持することが難しかったです。そこはお互いに高め合って頑張りました。

阿部 結果を求めたかったのですが、どこかで自粛のせいにしていたような歯がゆいシーズンでした。今年はそのようなことはなしに、正々堂々と勝負していきたいですね。

中島 僕も結果には全然満足していないです。チームとしては年々雰囲気が良くなってきているので、今年こそ優勝を目指して頑張りたいと思います。

――昨年の早慶レガッタが中止になった時はどのようなお気持ちでしたか

森長 やりきれない悔しさが残りましたね。

青木 「なんでやれないんだ!」とは思いました。

――最近では、阿部選手と青木選手は日本代表選考会に出られましたが、出場されてみていかがでしたか

阿部 早慶レガッタと時期が被っていて、高校の頃は選考に集中できたのですが、そこの両立が大変でした。

青木 昨年の10月頃から要項が出ていて、その時から代表になりたいという思いはずっと持っていました。代表は一人乗りでレースに出るのですが、阿部さんと同じで1週間前くらいまでエイトで練習をしていて、1週間で調整してレースに臨むというところが難しかったところではありました。しかし代表にはなりたかったので、そこへの思いは熱く持っていましたね。なんとかやり遂げたという感じはします。

――これからどのようなステップで日本代表が決定するのですか

青木 今月(3月)の後半にレースがあって、そこで日本代表候補を決めました。ここで候補を絞り、そこから合宿で代表にするかしないかが決まります。今の時点ではまだ代表ではありませんが、代表に近い位置にはいると思います。

めちゃくちゃ勝ちたい

青木

――皆さんにとって早慶レガッタはどのような舞台ですか

森長 昨年はコロナによって早慶レガッタが中止になってしまったので、今回が初めての早慶レガッタということで、緊張もありますが楽しみでもあります。

阿部 初めて見た早慶レガッタの印象は、インカレとは違いエイトのためだけに開催される大会なので盛り上がり方が、まず違います。勝ったあとも、桜橋の熱が冷め切らない様子を僕は見ていたので、初めての出場なのですが、しっかりと勝てるように頑張りたいです。

中島 僕たちは早慶レガッタがシーズン最初の大きな大会でもあるので、ここで勝つことでシーズンの勢いをつけたいと思います。

青木 僕は出たことも生で見たこともないのですが、一昨年の動画を見てみても応援団がいて、ゴールに人がいっぱいいて、その中で勝った時の喜びはすごく大きいと想像しています。だから、めちゃくちゃ勝ちたいなとは思っていますね。頑張りたいです。

ーーエイトだからこその魅力はありますか

阿部 速い!

森長 とにかくスピードが出たら速いのですが、ばらつきがあると進まなくなります。他の種目よりも、合わせるということが大事だと思いますね。

中島 速い人が多く乗っていれば、エイトも速くなるわけではなくて、どう8人で合わせられるかということが求められる種目だと思うので、より団結力やユニフォーミティーが求められる種目です。そこが魅力ですね。

青木 エイトはチームで一番速い8人を集めているので、その大学の総合力が現れると思います。だからこそ他の大学には絶対に勝たなければいけませんし、チーム力が試されるのがエイトだと思いますね。

最後までぶれずに漕いでいく

森長

ーーそんな特徴のあるエイト競技ですが、それぞれご自身のポジションと持ち味を教えてください!

青木 自分は5番で、真ん中の方にいるので、パワーを出すことが一番大事です。あとは、前からの指示を伝えることが大事ですね。まずは思いっきりパワーを出して船を進めるということが自分の役割です。自分の強みはラストスパートなので、ラストで声を出してチームを引っ張っていって、強烈なラストスパートのリーダーになれるように頑張っていきたいと思います。

阿部 僕は一番前で漕ぐので、皆が漕ぎやすい環境を作ることが大事で、癖なく漕ぐことが必要です。体力には自信があるので、みんなを引っ張っていけるように、ばてないで漕いでいきたいです。

森長 自分は7番というポシションで、ストロークに合わせてリズムを作るというポジションです。自分の強みは最後までぶれずに漕いでいけるということが自分の強みだと思うので、3750メートルという長い距離でもぶれずに、皆のリズムを作っていければと思います。

中島 森長の後ろのポシジョンで、前の二人が作ったリズムをうまく伝えるためのポジションです。正確に後ろにリズムを伝えることと、出力を出して前の二人をカバーすることを意識します。自分の強みとしては、一定の漕ぎができることだと思っていますね。

――新入生にボート競技や部の魅力を伝えていただけますか

阿部 厳しい上下関係はあまりないです。寮生活に関してもある程度の自由はあるので楽しいです。

森長 体育会系の堅さはなく、みんなでチーム一丸となって頑張っていこうというスタンスでやっています。先輩が怖いとかはないです。

中島 ボート競技は日本ではそこまで有名ではないんですけど、やってみると楽しくて、他の競技にはない魅力があります。川に行って船に乗るなんてあまりしないことだと思うので、非日常が味わえます。

青木 (漕艇部の魅力は)未経験者でも活躍できることですかね。対校エイトのクルーにも一人、大学から始めた人がいますし、セカンド(第二エイト)にも3人ほど乗っています。大学から始めた人をちゃんと育てる環境があるので、経験者でも未経験者でも成長できる場です。

動きを止めない意識で

阿部

――早慶レガッタにむけて詳しくお伺いします。現在、対校エイトが順調に仕上がっていると伺いましたが、皆さんの中で課題はありますか

阿部 隅田川は波が強いので、部としては手数で勝負する、速い漕ぎをしようというのを掲げています。そのために船を漕ぐ時、動きを止めない意識を持っているのでそこがもう少しできるようになれば良くなると思います。

中島 個人的には、ヘルニアの治療をしながら早慶レガッタに臨んでいますが、うまく向き合いながらスキルを個人としてあげていこうと思っています。

森長 隅田川は荒れるため、しっかり漕げるということがあまりないので手数で勝負していこうと、止まらない動きを意識しています。それをどんどん磨いていけたら勝てると思うので、練習しています。

青木 クルーの完成度としては、昨年の早稲田のエイトと比べたらはるかに良いものができてきていると思います。あとは、ずっと言い続けていることを本番まで再現性高くやっていくことと、慶應をなめたらいけないし油断大敵なので、自分たちのパフォーマンスを上げることに集中して、最高のものを出せればいいかなと思います。

――2回の隅田川練習を経て、隅田川特有の厳しさを感じましたか

阿部 隅田川は海が近いので基本荒れています。遊覧船も通るので、その時になってみないと分からない部分もあります。2回目の練習は波が結構荒れていて、しっかり漕げないというのは苦労しました。本番ももっと荒れると思うのでとにかく練習で磨いていければと思います。

ーー本番までどのように準備していきますか

中島 特別なことはなくて、これまで準備してきたことをより完成度高くというところですかね。

森長 早慶レガッタまでに気持ちを上げていって、本番をピークに持っていけるようにコンディションを合わせていきたいと思います。

阿部 これから練習も大変になってくる中で、けがせずに積み重ねられるように頑張りたいです。

ーー早慶レガッタに向けて意気込みをお願いします

青木 絶対勝ちます。

阿部 役満ツモります。(笑)

森長 一発ツモで。(笑)

中島 俺は真面目にいくよ。(笑)まずは絶対に勝つというのを目標にして、大差で勝って部としてもエイトとしてもシーズンに繋げられるように最高のパフォーマンスをします。

青木 言い直していいですか?慶應を「KO」します。

一同 (笑)

――みなさん、ありがとうございました!

(取材・編集 樋本岳 内海日和 後藤泉稀、写真 早大漕艇部提供)

◆森長佑(もりなが・ゆう)(※写真1番左)

2000(平12)年4月11日生まれ。183センチ、86キロ。福井・若狭高出身。スポーツ科学部3年。阿部選手らと麻雀にハマっているという森長選手。卓に留まらず、隅田川でも最上級の活躍を見たいですね!

◆阿部光治(あべ・こうじ)(※写真左から2人目)

2001(平13)年1月25日生まれ。180センチ、80キロ。愛知・猿投農林高出身。スポーツ科学部3年。クルーの要である阿部選手。1年次から一線で活躍してきた豊富な経験と緻密な研究の成果を隅田川の舞台で出し切ります!

◆中島湧心(なかじま・ゆうしん)(※写真1番右)

2000(平12)年10月24日生まれ。182センチ、80キロ。富山・八尾高出身。スポーツ科学部3年。けがと向き合いながらも待望のレガッタに向けて着実に準備を進めている中島選手。早稲田の完全優勝で幸先良いシーズンのスタートを切ります!

◆青木洋樹(あおき・ひろき)

2001(平13)年5月6日生まれ。177センチ、73キロ。東京・成立学園高出身。スポーツ科学部2年。上級生に混ざりながらも的確な分析をしてくださった青木選手。確かな技術とフレッシュなパワーで慶應を「KO」してくれるみたいです!