第4回に登場するは、初めてエイトの一員となる濵野圭吾(商3=埼玉・春日部)、小林里駆(スポ3=静岡・浜松西)、三浦武蔵(商3=山梨・吉田)の3人。そんな勢いのある3人ですが、早慶レガッタの勝利には彼らの奮起が欠かせません!
※この取材は3月28日にオンラインで行われたものです。
かっこいい憧れの舞台へ
三浦
――まず初めに、昨シーズンについて簡単に振り返っていただきたいと思います。昨シーズンは様々なことがありましたが、その中でも全日本大学選手権(インカレ)で三浦選手は舵手なしペアで4位になりました。どのようなシーズンとなりましたか
三浦 なかなか練習できない期間が2か月ほどあり不安などもありましたが、相方の先輩と練習を積んでいくなかで4位という次につながるような結果を出すことができたことはすごくよかったと思っています
小林 エルゴメーターという、ボートの動きを再現できる機械があるのですが、早稲田大学漕艇部では選考においてその数値を重視しています。2000メートルを全力で漕いだ数値を測るのですが、彼(三浦)は最近、なぜかは急にぶち上げてきて、本当にどうしたんだろうというくらいに成長していますね(笑)
三浦 昨シーズンはインカレには出られたのですが、全日本選手権(全日本)にはエルゴメーター2000メートルのタイムの足切りで出られなくて。それが悔しかったので、対校エイトに乗れたらいいなと思ってオフシーズン頑張りました
――濵野さんは昨シーズンのインカレでは舵手付きフォアで2位になりました。どのようなシーズンでしたか
濵野 大学からボートを始めて、1年生の時はまだ技術的にも全然漕げずにインカレや全日本にも出られなかったのですが、昨年は初めてインカレや全日本に出るということで気合を入れて水上は頑張ったつもりです。しかし正直こんな順位(全日本、インカレともに2位)をとれるとは思っていませんでした。コーチの方も驚いていたと思います(笑)。運も味方につけたシーズンを送れたかなと思います。逆にエルゴメーターの方はベストの記録が1年生の2月ごろから、あまり伸びていないのでこれからまた伸ばしていければいいかなという感じですね
――小林さんは同じく舵手付きフォアで2位になりました。昨シーズンの振り返りをお願いします
小林 僕は1年生の時は何も結果を残すことができずに、みんな成績がパンフレットに書いてある中で自分だけ白紙という切ない思いをしていました。今回インカレで結果を残せて心から安心したというか、今までの努力が正しい方向に向いていたのかなと思えたので、個人的には満足していますね。それと、、、正直なところ自分には好きな人がいて、その好きな人にかっこいいところを見せたいという一心で頑張れました!『愛のフルドライブ』ともいいますか(笑)。その人がいたおかげで、コロナなどでしんどい時期がありましたが頑張れた部分があったので、そこには本当に感謝していますし、その人がいなかったら2位という結果も取れなかった気がします。僕たちは練習をめちゃくちゃ頑張っていたのは間違いないとは言えるので、本当に結果が出せてよかったなと思います。ちなみにその好きな人とは付き合えて今5か月目になりました!
濵野 こういう子です。小林くんは(笑)
――3者3様の昨シーズンを過ごされたんですね(笑)ここからは早慶レガッタについてお伺いします。皆さんにとって早慶レガッタとはどのような舞台でしょうか
三浦 自分は高校生のころから早慶レガッタは早稲田と慶應しか出られないということで、憧れを持っていました。去年はセカンド(第二エイト)で出場する予定だったのですが中止になってしましました。今年は開催できるということで、ずっと出たかった想いをぶつけたいと思いますし、他の大学にはない特別な思いを持った大会かなと思います。
濵野 僕は漕艇部に入る前は早慶レガッタのことを3大早慶戦の1つとして知っていただけでしたが、観客として観た1年生の時に、かっこいいなと思い入部を決めました。僕も昨年はセカンドで出る予定だったのですが、今年は早稲田の対校の一員として、その舞台で漕げるというのは不思議な感じがします。1年生時の自分のように、早慶レガッタを観てボートをかっこいいと思って漕艇部に入ってくれる人が増えればいいなと思います。特別な感情で臨みたいと思ってます。
小林 ボートはマイナーな競技ですが、隅田川の舞台で、とても多くの歓声や応援する人たちに囲まれて漕げるということは、自分たちからしてもとてもうれしいです。ちやほやされたいんですよ、自分は(笑)。自分は浪人して大学に入っているのですが、高校生の時から早稲田のボート部には憧れていて、しかも今年は対校エイトで漕げるということで、あまり実感は湧いていないのですが、早稲田を背負って戦えるということはすごく嬉しいです。
――そのような憧れの舞台で、対校エイトのクルーに選出された際の心境はいかがでしたか
三浦 自分は、最後の1枠をめぐってレースをして、対校エイトに乗ることが決まりました。決まった時はすごくうれしかったのですが、ここから対抗エイトのクルーとして頑張らないといけないというプレッシャーも感じました。勝たないといけない、「やるぞ」という覚悟をつけました。
濵野 自分は早慶レガッタのクルーが発表される日のエルゴメーターの数値があまりよくなかったので、シートレースなしで対校エイトのクルーに選出されるとは思っていなくかったです。うれしいというよりは「本当に自分が対校エイトに乗っていいんだろうか」という気持ちでした。僕ら3人の他のメンバーが本当にすごくて、日本を代表するようなメンバーでそこに迷惑はかけられないので一生懸命頑張らないといけないと思いました。
小林僕ら3人はメンバーに入るか入らないかのギリギリのラインにいたので、メンバー発表の時には気が気でなかったのは確かだったと思います。
高いレベルのドライブを
小林
――ご自身のポジションについて、求められることなどポイントを教えていただけますか
三浦 自分は2番という後ろから2番目に乗っているのですが、ほとんど全員の漕ぎを見ることができるので、動きがそろっているか常に確認しながら、ずれていたらそこを指摘できるようにするのが自分の役目だと思います。ポジションとは関係ないのですが、自分は(チームの中で)一番体力がないので、やる気や声を前面に出してチームの士気を上げたいと思っています。
濵野 僕は三浦くんの前の3番なのですが、真ん中の人は技術というよりはエンジンとなって一生懸命漕ぐことが求められるポジションなので、3750mという長い距離の中で常に高いレベルのドライブを出すことが求められます。特に真ん中の4人はそれに専念できるので、頑張って漕ぐというところですかね。あとは僕も練習中は声を出すタイプなので、気づいたことがあればいろいろと言うようにはしています。
小林 僕はこの2人の前の後ろから4番に乗っているのですが、圭吾くん(濵野)が言ってくれたようにエンジンとして艇を進めるということと、2人よりも真ん中のポジションであるゆえ、後ろにもリズムを伝えなければいけないです。というのも、隅田川のような荒れたコンディションの中ではリズム良く安定した漕ぎを追求する必要があるので、日頃からリズムをクルー全体で意識しています。
――隅田川の印象はいかがですか
濵野 とても難しいです。隅田川には観光の遊覧船やスピードの速い船などのボートとは別の船が通るのですが、そういった船が波を起こしてうねりを作るので、波が高くなります。また、風も吹いて艇が揺れるので安定した漕ぎをするのが難しい要因かなと思います。いつも練習を行っている戸田はボートだけが通るので、少し荒れるだけなのですが隅田川は様々な船が通ることで、漕ぐことが難しい川となっています。
――早慶レガッタを盛り上げためにたくさんのマネージャー陣を中心に様々な企画をされていると思います。この動画は見て欲しい!ということはありますか
小林 僕の出番はこれまでにも1回あったのですが、この後もう一度みんなが腹筋している中で、僕がその人たちの股から変顔して出てくる動画で登場するので楽しみにしていてください!
三浦 早稲田大学漕艇部のPVですかね。全部見てください(笑)。
濵野 あまりカウントダウンとは関係ないのですが、過去の早慶レガッタの動画を見てコックスが解説する動画があるのですが、この動画は漕艇が知らない人が見ても面白いかなと思います。
――濵野選手は大学から競技を始められたということで、大学から競技を始めようと考えている新入生に向けてもメッセージをお願いします!
濵野 大学から始められる部活として選択肢に挙がると思うのですが、部活ということでなかなか踏み込めない人もいると思います。ただ、少しでも気になったら来てほしいです。僕らの部活は上下関係が厳しいわけではなく、みんな自由にやっていて優しく接してくれるます。やはり一回乗ってみないと分からないですし純粋に楽しいと思うので、一度来てみるのがいいと思います。僕以外でも未経験で活躍されている方が多くいて、今の副将も大学から競技を始めて活躍されているので、経験がないことを怖がる必要は全くないです。やる気があればみんな歓迎してくれるので。また早慶レガッタはありがたいことに三大早慶戦と言われているので、早慶戦だし見るかくらいの感じで見て、ぜひ漕艇部に興味を持ってほしいです。多くの新入生に入ってほしいですね。
まだまだ成長できる
濵野
――順調に調整が進んでいると伺ったのですが、対校エイトの強みはどんなところですか
小林 勝ってから言いたいよね(笑)。
一同 (笑)。
小林 クルーのみんなが頼りになりますし、一緒に乗れて幸せだなと思っています。なので、自分も絶対に頑張れますし、いいクルーだと思っています。
濵野 4年生が主将とコックスで2人。2年生が1人であとは全員新3年生なのですが、年が近い分、誰にでも気を遣わずに意見がガンガン言い合えることと、クルー全体の雰囲気としても誰かが気を遣っているとかはないので、そこがいいなと思います。あとはコックスの方が指示を出してくれるのですが、今のクルーはその声への反応がいいと思います。
三浦 パワーがすごいなと思っています。前の4人はエルゴもすごく速いですし、技術もありつい最近までU23の選考に出ていた人も何人かいるので、パワーという面ではすごく強みだと思います。
――一方で現在の課題はありますか
濵野 何回か隅田川に行って練習する機会があるのですが、そこで本番と同じ3750メートルを漕ぐ際の1分間のレートとしては、まだ低いと思っています。高いレベルで維持することを(本番までに)突き詰められるかなという感じです。基本的には順調だと思います。
三浦 隅田川は普段の戸田とは違い荒れていて漕ぎづらく、そういった環境への対応がまだ十分ではないので、そこを突き詰めていければいいかなと思います。
小林 個性的な人が多すぎるということですかね。というのもみんな穏やかな感じなので、慶応に対しての強い対抗心は今のところ感じられないですね(笑)。なので、もう少し慶応へのライバル意識を持ってやれたらいいと思います。勝つので安心していてください!
――どのように準備をしていきたいですか
三浦 先ほど自分で挙げたようにラフコンディションでの対応と早慶戦なので慶応を倒すという強い気持ちを持ってやっていきたいです。
濵野 クルーとしてまだまだ成長できる部分があるので、勝つためにも一つずつ課題をつぶしていきたいです。そのためにも、一回一回の練習を無駄にせずやっていくのが一番の近道だと思います。あとは勝った時用の祝杯を用意しておくことですかね(笑)。
小林 直前に風邪をひいたり、けがをしたりしてしまえば元も子もないので、体調管理をしっかりしたいです。というのも高校の全国大会の際に、2日前の球技大会で指を折ってしまい、出られなかったという苦い経験があるので、早慶戦に出て隅田川で漕ぐためにも、体調管理は万全にしていきたいです。
――いつもの対談では、最後に意気込みを色紙に書いてもらっています。もし今色紙を書くなら何という言葉にしますか
三浦 ボート1つの差を1艇身というのですが、それを10個分ということで、「10艇身つけます」でお願いします!
小林 僕は「隅田川で愛のフルドライブ」でお願いします。中継でも『フルドライブ』している姿を見てほしいです!
濵野 僕は『僕のヒーローアカデミア』という漫画が好きなので、「プルス・ウルトラ」でお願いします(笑)。
――ありがとうございました!
(取材・編集 樋本岳 足立優大 渡邊悠太、写真 早大漕艇部提供)
オンライン取材でしたが、色紙を自前で用意してくださいました!
◆濵野圭吾(はまの・けいご)(※写真左)
2000(平12)年9月12日生まれ。179センチ。75キロ。埼玉県・春日部高出身。商学部3年。大学から漕艇競技をはじめた濵野選手ですが、3年目にして対校エイトのクルーに選出される大躍進をされています。さらに向こうへ、「プルス・ウルトラ!」
◆小林里駆(こばやし・りく)(※写真中央)
1999(平11)年9月28日生まれ。176センチ。75キロ。静岡県・浜松西高出身。スポーツ科学部3年。プライベート面でも順調だという小林選手。その勢いのままに、隅田川で一層の輝きを放つ小林選手の姿から目が離せません!
◆三浦武蔵(みうら・むさし)(※写真右)
2001(平13)年2月23日生まれ。171センチ。71キロ。山梨県・吉田高出身。商学部3年。色紙にはご自身の名前でもあり、隅田川のすぐ隣にそびえたつ東京スカイツリーの高さでもある「強調634(ム・サ・シ)本」と書いていただきました!一本一本にすべての力を注ぎます!