【連載】インカレ直前対談 【第1回】W4X+:奈良岡寛子×藤田彩也香×安井咲智×宇野聡恵

漕艇

 昨年の全日本大学選手権(インカレ)で優勝を果たし、女子部の総合優勝に追い風をもたらした女子舵手付きクォドルプル。今年も総合優勝のために重要な役割を担うこのクルーに乗る奈良岡寛子(教3=青森)、藤田彩也香(スポ3=東京・小松川)、安井咲智(スポ3=東京・小松川)、宇野聡恵(スポ2=大分・日田)の2、3年生四人にインカレへの意気込みやクルーの雰囲気について伺った。

※この取材は8月6日に行われたものです。

今シーズンを振り返って

冷静に今季の振り返りを語る奈良岡

――夏休みに入ったばかりですが、今はどんな練習をしていますか

奈良岡最近はレートの低いメニューで長い距離を漕ぐ練習が多いです。

――体のコンディションはどうですか

安井暑くて、梅雨の明けた週とかは結構きつくてみんなバテてたんですけど、だんだん暑いのにも慣れてきてキレは出てきてるかなという感じです。

――今の部全体の雰囲気はどうですか

藤田花火大会があって、それが終わってしまってもう合宿と大会しかイベントがないので、そこに向けて集中できてるんじゃないかなと思います。

――安井さん、藤田さん、奈良岡さんの3人は4月の早慶レガッタに出場していますが、そのレースを振り返ってどうでしたか

奈良岡ここ二人(安井と藤田)がU23の選考に出ていて、9人全員で練習できたのが1週間ぐらいだったんですけど、その中でそれぞれが今までやってきたものを出すことができて、結構いいレースができたかなと思います。

安井上級生として後輩にいい姿を見せて、かつ30連覇がかかっていたので、いい緊張感の中で練習できたし、期間が短くてクルー内で衝突することもなかったので、いいペースで早慶戦まで行けたかなと思います。

藤田練習期間が短かった分、1回の練習の質を高めたことがレースでしっかり出たかなと思います。

――早慶レガッタ後の全日本選手権には安井選手、藤田選手、宇野選手は舵手なしクォドルプルに出場しましたが、そのレースはどうでしたか

安井あまり自分たちの望んでいた結果ではなかったので、悔しい部分はありました。去年もこの3人は舵手なしクォドルプルに出ていて、そのときは感情的に悔しかったんですけど、今回は技術的に悔しくて、「もっとあーすればよかったね」っていうことがどんどん出てきたレースでした。

――今季のレースを振り返って、課題や成長した点はどこですか

奈良岡成長した部分は、全体的に見て体を大きく使って1本を漕げるようになったことです。クロアチアのコーチからいろいろと教えてもらって、今までは前(キャッチ)の方にフォーカスしていたのが、今はフィニッシュにかけて加速させていくようになって、漕ぎのイメージが変わってきて、それを体現できるようになったところが成長したかなと思います。その一方で、フィジカルが追いついていないところがあって、それがレースの後半で出ることが課題です。

――今クロアチアのことが出ましたが、クロアチア流の漕法の習得は今どの段階にきていますか

藤田前のキャッチの部分はだいぶハマってきているとは思うんですけど、掴んだ水をぶら下がって押し切ることに関しては、イメージはあるんですけど、完成しきってないかなと思います。

終始笑顔で対談が行われた

――ここから話は変わりますが、2年生と3年生の学年のカラーを教えてください

宇野(2年生は)個性が強いです。漕手が3人しかいなくて、3年生と比べたら少ないんですけど、おのおののキャラクターが違って、結構しょうもない話で盛り上がれます(笑)。

安井人数が多すぎて、どう言ったらいいのかわかんないぐらいごちゃごちゃしている学年です。ただまとまりはあって、情報をいっぱい出し合ってどうにかしていくスタンスの学年です(笑)。

――学年や部で流行っているものはありますか

安井今のところないので、合宿とかでこれから出てくると思います。

――オフの日は何をして過ごしていますか

宇野出かける時は友達と買い物とかするんですけど、寝る時はずっと寝ています。

藤田基本寝ています。

――今年の夏に「これしたい!」というものはありますか

宇野花火も海をしちゃったので…

藤田プールに行きたいです。それぐらいかな。

「先輩を優勝させることが1つの目標」(藤田)

――ここからはインカレについて聞いて行きます。まずは、このクルーが編成された経緯を教えてください

奈良岡まず、女子全員がシングルスカルでタイムトライアルをして、その結果を見つつ総合優勝するベストな編成を監督が決めました。

――このクォドルプルの強みや特徴は何ですか

安井(背は)小さいけどパワフルに動くことができて、試合やラストスパートに向けての気持ちの持って行き方が結構似ていて、最後にかけてどんどん盛り上がっていくことが強みかなと思います。

――このクルー内のそれぞれの役割を教えてください。

安井奈良岡はコックスなので、みんなが動きやすいテンポで話すべきことを話すこととまっすぐに舵をきってもらうことと、選手が感覚的に鈍くなってわからないことを伝えてくれることが役割だと思います。

藤田安井の役割は、ストロークとしてのリズム作りが一番大切な役割かなと思います。あとは、4人が同じ感覚で漕ぐためにストロークとしての感覚をフィードバックすることも役割の1つかなと思います。

藤田さんは、一番後ろで前の3人の動きや艇全体の一体感を見て、声をかけたり、みんなで漕いでる感を出したりするポジションかなと思います。

奈良岡宇野は、彩也香(藤田)が一番声を出すんですけど、ここぞという場面で声を出してくれることが多く、2年生が声を出してくれると3年生の気持ちが入ります。あとは、パワフルやエンジン的存在と言った役割があります。

――クルー全体の雰囲気は、今どうですか

藤田最近自分たちのリズムや感覚が全員で合ってきているので、結構いい雰囲気の中で練習できているなと思います。

――このインカレでの目標を教えてください

全員せーの…『優勝』です!

――優勝を目指す上で、どんなレースを展開して行きたいですか

安井スタートを出て艇差をしっかりと空けて、そこからレースを先行してゴールまで行きたいです。

――インカレでの意気込みをお願いします

宇野先輩たちとクォドルプルに乗るのは今シーズン最後なので、しっかりと自分のポジションとしての役割を果たしつつ、去年より余裕のある勝利を掴みたいです。

藤田乗っているクルーのメンバーに4年生が1人いるので、その先輩を優勝させることが1つの目標です。あとは今シーズン最後のレースなので、次に繋げるためにも勝ちたいです。

安井4年生の先輩は、まだ大きな大会で優勝がないので、初優勝で引退できるように花を添えることができればなと思います。もう1つは、早稲田の女子はどの大学よりも強くて勝つのが当たり前だという状況を今までの先輩たちが積み上げてきてくださっているので、私たちもそれをしっかり引き継いでいけるような、そう思われるようなレースをしていきたいです。

奈良岡私も、4年生のためにも確実に優勝を取りに行かないといけないなと思います。あとは、総合優勝のためにも、クォドルプルでしっかり優勝して、引退する先輩方に花道をつくりたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 関飛人)

◆奈良岡寛子(ならおか・ひろこ)(※写真中央左)

1999(平11)年3月10日生まれ。164センチ。青森高出身。教育学部3年。コックスという名の司令塔。的確な判断で勝利へと導く姿に期待がかかります!

◆藤田彩也香(ふじた・さやか)(※写真左)

1999(平11)年1月30日生まれ。159センチ。東京・小松川高出身。スポーツ科学部3年。バウとして最後尾から艇を盛り上げる藤田選手。レースでも声からクルーを支え、優勝を狙います!

◆安井咲智(やすい・さち)(※写真右)

1998(平10)年7月24日生まれ。159センチ。東京・小松川高出身。スポーツ科学部3年。対談では積極的に話してくれた安井選手。ストロークとして艇のリズムを作って、クルーをけん引します!

◆宇野聡恵(うの・あきえ)(※写真中央右)

1999(平11)年12月18日生まれ。162センチ。大分・日田出出身。スポーツ科学部2年。終始笑顔で話してくれた宇野選手。持ち前のパワフルさと明るさでこの艇のエンジンとなってくれることでしょう!