戸田ボートコースの沿道の桜も見頃のピークを迎える中、1週間後に控える早慶レガッタの観漕会が開催された。昨年に引き続き、早大女子エイト対慶大女子エイト、慶大対校エイト対早大第二エイト、早大対校エイト対慶大第二エイトの計3レースが行われ、応援に駆け付けた人々が熱視線を送った。
最初に発艇したのは女子エイト。レースは本番の半分の距離である500メートルで実施された。早大はスタートから飛び出し、250メートル付近では1艇身差をつける。その後も慶大を寄せ付けず、終わってみれば10秒近いリードを奪って勝利した。早慶レガッタ29連勝中である『ワセ女』の貫禄を見せつけるかたちとなったが、「隅田川ではどうなるか分からないので油断大敵です」という木下弥桜女子主将(スポ4=和歌山北)の言葉通り、節目の30連覇に向けて気を緩めることなく最善の準備を進めたい。
スタートから慶大女子エイトを突き放した
男子部の2レースは本番の3750メートルより短い、1000メートルで行われた。早大第二エイトは、昨年から対校エイトのクルーを多く擁する慶大対校エイトに序盤から先行を許し、2着でのフィニッシュ。ただ、川田翔悟(基理4=東京・早大学院)は「どちらかというとそっちの方(本番の距離)が得意なのかな」と語っており、この日も課題として挙がっている動きのむらに修正を施し、早大史上初の4連覇を目指す。最後に出艇した対校エイトは、慶大第二エイトに苦戦を強いられた。750メートルまではわずかなリードを保ったものの、そこから慶大第二エイトに抜け出されてしまう。しかしここで早大も離されずに食らい付き、ゴール目前で逆転に成功。0.36秒差で辛くも勝利を収めた。慶大対校エイトが安定した漕ぎを披露したが、あくまで本番は来週の3750メートルの隅田川。藤井拓弥主将(社4=山梨・吉田)は「本番ではいいローイングを見せたい」と意気込んだ。
第二エイトは慶大対校エイトに大きく引き離された
合同記者会見でクルーの仕上がりについて尋ねられた早慶両主将は、およそ半分ほどと答えた。それほどまでにこれからの1週間の調整期間は大きな意味を持つのだろう。早大の3年連続完全優勝か、はたまた慶大が『水の王者』の誇りを示すか。その答えは1週間後の隅田川に委ねられる。
慶大の第二エイトと終始競り合った早大対校エイト
(記事 石井尚紀、写真 関飛人)
結果
【女子エイト】
C:奈良岡寛子(教3=青森)
S:三浦彩朱佳(文3=青森)
7:木下弥桜女子主将(スポ4=和歌山北)
6:宇都宮沙紀(商3=愛媛・今治西)
5:安井咲智(スポ3=東京・小松川)
4:南菜月女子副将(教4=新潟南)
3:尾嶋歩美(スポ3=埼玉・南稜)
2:藤田彩也香(スポ3=東京・小松川)
B:松井友理乃(スポ3=愛媛・今治西)
1分38秒64 【1着】
【第二エイト】
C:山田侯太(商3=東京・早大学院)
S:中川大誠(スポ3=東京・小松川)
7:川田翔悟(基理4=東京・早大学院)
6:牟田宜平(商4=兵庫・三田学園)
5:鈴木利駆(スポ3=静岡・浜松西)
4:岩松賢仁(スポ2=熊本学園大付)
3:船木豪太(スポ2=静岡・浜松北)
2:舩越湧太郎(社3=滋賀・膳所)
B:土屋夏彦(スポ4=山梨・吉田)
3分14秒14 【2着】
【対校エイト】
C:菱谷泰志(スポ3=鳥取・米子東)
S:坂本英皓副将(スポ4=静岡・浜松北)
7:髙山格(スポ4=神奈川・横浜商)
6:堀内一輝(スポ4=山梨・富士河口湖)
5:菅原諒馬(商4=東京・早大学院)
4:瀧川尚歩(法3=香川・高松)
3:田中海靖(スポ3=愛媛・今治西)
2:川田諒(社4=愛媛・松山東)
B:藤井拓弥主将(社4=山梨・吉田)
3分2秒16 【1着】
コメント
内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南)※合同記者会見より
――抱負をお願いします
神山監督新体制の慶応と初の対戦ですので抜かりなくやってきています。慶応さんもそうだと思いますが、我々も目指すのは来週の3750メートル。そこに向けてコンディションを調整していきます。きょうの慶応さんのローイングを見て、非常に対校もセカンドも強いということをまざまざと見せつけられましたので、あと1週間しっかり調整して、胸元を借りるつもりでがんばっていきたいと思います。よろしくお願いします。
【対校エイト】
B:藤井拓弥主将(社4=山梨・吉田)※合同記者会見より
――抱負をお願いします
早稲田大学としましては今年、完全優勝、3連覇が懸かっています。対校エイト、第二エイト、女子エイト全ての種目において勝利というのはなかなか難しいと思いますが、昨年、一昨年と続けてきた勝ちを守るという姿勢ではなく、あくまでも勝ちに貪欲に食らい付いていくというスタイルは昨年から引き続き変えずにいきたいと思っています。残り1週間できることは限られてきますが、出場する選手だけではなく、マネジャー、トレーナー、応援してくださるOBのみなさま、保護者のみなさまと一緒に心を一つにさらに磨きをかけて、本番ではいいローイングを見せたいと思います。
――仕上がりはいかがですか
慶応さんと同じく半分くらいだと思います。本番想定の練習は何度も繰り返していますが、やるたびに課題は見つかりますし、成長しているところも見つかっているので、残り1週間でもう一度突き詰めて、完成度を高くしていきたいです。
――新たに取り組まれていることはありますか
昨年の冬から基礎的な体力面の向上を目指して、身体強化のメニューに関しては例年以上に力を入れて取り組んでいます。また一昨年からOB、OGの皆さんからご支援いただいているクロアチアへの遠征で得た技術や知識をもう一度磨いていって、それを自分たちの身にしようとこの冬は突き詰めてきたので、一味違った早稲田大学を見せられると思います。
――早慶レガッタの魅力は
早慶戦は早稲田と慶応の一騎打ちで、勝ちか負けしかない、0か100しかないというのが大きな魅力で、絶対に負けられない戦いの中で両校共に全身全霊で漕いでいくので、その熱量を感じ取っていただければと思います。
C:菱谷泰志(スポ3=鳥取・米子東)※合同記者会見より
――抱負をお願いします
日頃の練習で荒川やコースで慶応さんの漕ぎを見てきたんですけど、きょう実際に慶応のセカンドエイトと並べて、やっぱり速いなというのが印象です。大会まであと1週間あるので、チーム理念の『ONE WASEDA』の下に一丸となって完全優勝ができるように頑張っていきたいです。
【第二エイト】
7:川田翔悟(基理4=東京・早大学院)
――慶大の対校エイトと漕いでみて振り返っていかがですか
やっぱりトップスピードは目を見張るものがあったなという印象です。
――早大の第二エイトの仕上がりはいかがですか
割といい感じで仕上がってきてはいるんですけど、まだむらがあるというか。いいのが出せるときはすごくいいんだけど、ちょっとうまくいかないときはズルズルいっちゃうかなみたいなところはあるので、そこのむらをなくしていくのが残り1週間でできることかなと感じます。
――きょうのレースではそのむらの部分は
きょうは良くなかったですね。
――本番までの1週間でどのようなことに取り組んでいきたいですか
1週間で何か新しいことはできないので、今まで大事にしてきたものをどんな状況でも再現性高く出せるようにしていくトレーニングはやっていく必要があるかなと思います。あとはやっぱり隣に相手がいると少し緊張して力んでしまったりするところがこのクルーはまだ顕著に出るので、そういう精神的な部分の持っていき方も1週間でやっていけたらいいかなという感じですね。
――本番はきょうよりもっと長い距離になりますが、第二エイトはその距離にも適応はいかがですか
どちらかというとそっちの方が得意なのかなという感じです。それに向けて練習してきたので、きょうみたいな距離だとなかなか普段やっていることとは違う感じになってしまったかなと思います。長い距離は比較的いいんじゃないかなという感じです。
――本番への意気込みをお願いします
自分たちが出せる一番いいパフォーマンスが出せればおのずと結果は付いてくるのかなと信じているので、自分たちのいい漕ぎをして勝てればいいなと思います。
【女子エイト】
7:木下弥桜女子主将(スポ4=和歌山北)
――きょうのレースを振り返られていかがですか
レースプランとしてはスタートで出て落ち着いて漕ごうというイメージがあって、実際にスタートから出ることができて、油断をせずに漕ぎ切れたことは良かったと思います。
――慶大とレースをしてみてどのようなことを感じましたか
お花見レガッタに慶応さんが出ていて、その時は1分50秒だったんですけど、今回は1分48秒で2秒縮めてきていますし、静水で自分たちが1分38秒で10秒の差をつけることができても隅田川ではどうなるか分からないので油断大敵です。
――チームとして残りの1週間をどのように過ごしていきたいですか
レースを迎える準備で詰められていないところがあるので、しっかりとレースに集中できるように、レースでいい漕ぎができるように、アップからしてもそうですし、道具の準備もそうですし、そこから詰めていければいいなと思います。レースの内容に関しては、スタートのクオリティーをもう少し高くできればまだまだ離せると思うので、そこもやっていきたいです。
――現在の心境はいかがですか
正直まだ始まるんだという実感はないです。きょうの観漕会をしてイメージが湧いたというか、気持ちが高まりつつあります。
――最後に早慶レガッタに向けて意気込みをお願いします
きょうの観漕会で女子はかなりの差をつけて勝つことができたんですが、そこで油断をせずに自分たちでクオリティーを高めて早慶戦に臨みたいです。そして早慶戦では必ず30連覇を達成して、セカンドと対校にいい流れをつくりたいと思います。