全艇が予選を通過できず…敗者復活戦に望みを懸ける

漕艇

 4年生にとっては早大の一員として臨む最後の大会である全日本選手権(全日本)が開幕した。初日のきょうは女子部からシングルスカルに1艇、男子部から5艇の計6艇が予選に出場。社会人の洗礼を受け、風の影響なども受けた結果、早大勢は予選通過がかなわず、出場した全艇が敗者復活戦へ回ることとなった。

 この日初めに出艇したのは、全日本初出場となった女子シングルスカルの大崎未稀(スポ1=福井・美方)だ。スタート直後から早大OGの大石綾美(平26スポ卒=現アイリスオーヤマ)に先行され、大崎と他の2艇はぐんぐん引き離される。大崎は中大と2位争いを演じるが、中盤で失速し、後れを取ってしまう。しかしその後のラストスパートが奏功し、2着でフィニッシュ。「敗者復活戦はタイムを上げていきたい」とあすのレースに闘志を燃やしている。続いて、早大からは男子舵手なしペアに金子怜生(社4=東京・早大学院)と飯尾健太郎(教4=愛媛・今治西)の4年生ペアが出艇。社会人の強豪・NTT東日本に先行されるものの、必死に食らいつく。しかし、後半にじわじわと差を広げられ、惜しくも2着でのゴールとなった。男子舵手なしフォアは下級生中心のクルーで出場。序盤はトップの明大を追走したが、仙台大に差されて3位に後退する。先を行く2艇がトップ争いを見せる中、ラストスパートをかけたものの及ばず、3着でのフィニッシュとなった。

4年生同士の男子舵手なしペア。今大会で有終の美を飾りたい

 主に上級生で構成された男子舵手なしクォドルプルは、スタート時に横風の影響を受け、出遅れる。その後もなかなか立て直すことができず、前を行く3艇から大きく離されてのゴールという不完全燃焼のレースとなった。敗者復活戦ではスタートをきっちり決め、目標である準決勝につなげたい。そして、男子舵手付きフォアは社会人クルーなど強豪がそろう厳しい組での出艇。「後半に(スピードを)落とさない」(コックス山田侯太、商2=東京・早大学院)という思い描いたプラン通りのレースができず、5位に沈み、他のクルーと同様に敗者復活戦へと回った。そして最後に登場したのは、全日本大学選手権とは大きくメンバーを変更して臨んだ男子エイト。パワーに自信を持つだけにスタートを決めたかったが、隣を行くトヨタ紡織と競り合う展開に。中盤になると早大は失速し、徐々に引き離されてしまう。最後まで逆転はかなわず、そのまま2着でゴール。国内最大の大会だけに強豪クルーがひしめいているが、花形種目で底力を見せつけたい。

厳しいレース展開となってしまった男子舵手付きフォア

 初日は、出場したクルーがことごとく敗者復活戦へと回り、振るわない結果となった。しかし1艇でも多くが準決勝へ進むため、きょう得た課題を修正してあす以降のレースに臨む。また、今大会は4年生の引退試合でもある。4年間の集大成として早大のプライドを示し、学生最後のレースを笑顔で終えたい。

(記事 加藤千咲、写真 新開滉倫)

結果

【予選】

▽男子部

【エイト】

C:徐銘辰(政経3=カナダ・St.Andrew‘s highschool)

S:井踏直隆副将(文構4=東京・早大学院)

7:坂本英皓(スポ3=静岡・浜松北)

6:菅原諒馬(商3=東京・早大学院)

5:伊藤大生主将(スポ4=埼玉・南稜)

4:田中海靖(スポ2=愛媛・今治西)

3:堀内一輝(スポ2=山梨・富士河口湖)

2:藤井拓弥(社3=山梨・吉田)

B:尾崎光(スポ4=愛媛・今治西)

6分11秒90 【2着 敗者復活戦へ】

【舵手付きフォア】

C:山田侯太(商2=東京・早大学院)

S:高山格(スポ3=神奈川・横浜商)

3:瀧川尚歩(法2=香川・高松)

2:鈴木大雅(スポ4=埼玉・県浦和)

B:土屋夏彦(スポ3=山梨・吉田)

7分09秒64 【5着 敗者復活戦へ】

【舵手なしフォア】

S:中川大誠(スポ2=東京・小松川)

3:鈴木利駆(スポ2=静岡・浜松西)

2:舩越湧太郎(社2=滋賀・膳所)

B:川田翔悟(基理3=東京・早大学院)

6分41秒29 【3着 敗者復活戦へ】

【舵手なしクォドルプル】

S:川田諒(社3=愛媛・松山東)

3:牟田宜平(商3=兵庫・三田学園)

2:伊藤光(文構4=東京・神代)

B:大野一成(法2=東京・早大学院)

7分03秒86 【4着 敗者復活戦へ】

【舵手なしペア】

S:金子怜生(社4=東京・早大学院)

B:飯尾健太郎副将(教4=愛媛・今治西)

7分17秒11 【2着 敗者復活戦へ】

▽女子部

【シングルスカル】

大崎未稀(スポ1=福井・美方)

8分41秒61 【2着 敗者復活戦へ】

コメント

【男子エイト】

S:井踏直隆副将(文構4=東京・早大学院)

――全日本大学選手権(インカレ)から男子エイトのメンバーが大きく変わりましたが、どういった意図がありますか

インカレの結果とクルーメークのしやすさというところを考えた上でこれがベストなのかなと監督と主将とで現在のクルーになりました。

――このクルーでのご自身の役割はどう考えていらっしゃいますか

ストロークなので基本的にはリズムをつくるところに集中してやっています。

――このクルーの強みは

インカレのときのクルーよりパワーがあると思うので、その持ち味のパワーを発揮できるかというところだと思います。

――このクルーの練習はいつぐらいからでしたか

今の3年生がインカレ後に10日間くらい遠征に行っていたので、そこから帰ってきてすぐでした。9月下旬くらいですかね。

――この大会での目標は

出場する以上、優勝を目標に掲げています。

――最後の全日本選手権(全日本)になると思いますが、個人的にはどういった大会にしたいですか

全日本の特にエイトはレベルが高い種目なので、そこに優勝というところを目指して挑戦していくというところを後輩に示していければいいかなと思います。

――きょうのレースはどういったプランを持って臨まれましたか

やっぱりパワーは持ち味だったので、スタートでしっかり出ようというところで、結果的にトヨタ紡織に出られてしまったんですけど、いい位置にはつけていたのでそこはよかったかなと思います。

――そこから離されてしまったのはどのあたりからですか

大体1000メートル地点ですかね。

――相手がスパートをかけてきたということですか

僕らが少し落ちた感じはありますね。

――その原因として思い当たるものはありますか

コンスタントの全体の質というところで、トヨタ紡織に劣っていたのかなと思います。

――あすの敗者復活戦に向けて修正していきたい点は

スタートはそのままで、そこからどう運んでいくかというところだと思います。

――改めてあすこういったレースがしたいというのがあれば教えてください

あした負けたら終わりなので、そこはどの大学やチームも同じだと思うので、その雰囲気に飲まれずにむしろ僕らが威圧感を持って敵に当たっていければいいかなと思っています。

【男子舵手なしクォドルプル】

B:大野一成(法2=東京・早大学院)

――今大会の目標はどのように設定されていますか

予選で落ちても、せめて敗者復活戦で上がってきて、3日目には残れるようにというのが目標でした。

――このクルーの強みは

上級生が多いクルーなので落ち着いて焦ることなくレースに臨めるということと、パワーはあるクルーだと思うので、その点は強みだと思っています。

――きょうのレースプランは

やっぱり周りが速いクルーだという自覚はあったので、できるだけスタートから置いていかれないようにということで300メートルから400メートルをスタートスパートにして、ラストスパートは大体300メートルくらいにしようということは決めていたんですけど、思っていたよりスタートで蛇行してしまって、なかなかスタートが決められない中、他の船に出られてしまって、思っていたよりスタートから付いていくようなレースができなかったと思っています。

――スタートで蛇行した原因は思い当たりますか

ときどきバランスを崩すことがあるクルーだったので、練習からいまいち決まりきらない部分が出てしまったのかなというのはあって、練習から風の影響を比較的受けやすいとはわかっていたんですけど、それが試合に出てしまったかなと思います。

――スタートでは風の影響を感じましたか

スタート直前に少し風は収まったんですけど、やっぱり横風があったりして少し漕ぎにくい環境だったかなという気はしました。

――スタートでは出遅れてしまいましたが、切り替えようとしたのはどのあたりでしたか

クルー全員で立て直そうとはしたんですけど、リズムがそろい切らない状態で、おそらくそのまま第2クォーター第3クォーターに入ってしまって、波の影響も受けながら、設定してたレースのレートに思うように戻せずに、決まりきらない感じで長いコンスタントに入っちゃったかなという感じはします。

――バウの大野選手から仲間のクルーを見て、修正すべき点は見つかりましたか

練習からドライブ中の押し方がそろってなかったっていうことが、軽いリズムで進み過ぎるっていうことにマイナスに働いちゃったかなということと、フィニッシュ周りエントリー周りの空中でのブレードの動きを滑らかにすることができれば、もっとレートを上げて漕ぐことができたのかなと思います。

――あしたの敗者復活戦はどのように臨みたいですか

タイムを見れば自分たちより速いクルーが全然あるんですけど、きょうスタートからあまり決まりきらないレースをしてしまったので、とにかくスタートで自分たちの思うようなスタートを出して納得できるレースをして、少しでも上の順位に立てればいいなと思います。

【男子舵手付きフォア】

C:山田侯太(商2=東京・早大学院)

――5着という結果をどのように受け止めていますか

僕らの組み合わせは他の組み合わせと比べても厳しいなと思う部分はありました。なので、僕らの中では順位よりもタイムで、後半に落とさないというところを狙っていきました。結果として5着で悔しいところはあるんですけど、それ以上に自分たちの漕ぎができなかった、目標としたタイムに届かなかったことが悔しいです。

――今回の目標は何だったのでしょうか

目標タイムは6分40秒だったんですけど、第1クォーターで仕掛けて取るとかではなくて、2,3,4を落とさない、特に第3クォーターが辛くて落ちやすいので、そこを第1クォーターと変わらずキープすることが目標でした。

――500メートルから1000メートルにかけて順位がひとつ上がりましたが、これはペースを上げたのでしょうか

いえ、そのときトヨタ自動車に負けていたんですけど、それはトヨタ自動車が失敗しただけだと思います。自分たちがペースを上げたりはしていないですね。落ちたら早めることはしていたので、順位を気にするよりは平坦でいこうと思っていたので、落とさないようにはしていました。

――今回のクルーの強みはどこにあると思いますか

身長が高くてレンジが長いので、1ストロークでしっかり伸びるところだと思います。

――きょうのレースを通して修正点はどこだと思いますか

きょうは難しいコンディションの中で目標とした漕ぎとは遠かったかなと思います。練習してきたものも出せませんでした。色々あるんですけど、まずリズムが乗り切れなくて、4人で合わせ切れなかったかなと思います。水中の後ろ周りとそれからつながるフォワードのところ、割と全般なんですけど、全般的にリズムを直して、リズムが良くなればレンジも伸びてくると思うので、修正したいと思います。

――あすの敗者復活戦へ向けての意気込みをお願いします

きょう悪かったと自覚している分、まだ修正できる点はあると思うので、タイム的には遅い方なんですが、修正点は見つけられているので、しっかり修正して明後日の準決勝に絶対進みたいと思います。

【女子シングルスカル】

大崎未稀(スポ1=福井・美方)

――初めての全日本選手権だったと思うのですが、どういう目標をもって臨まれましたか

元々高校の時にスカルのレースっていうのが出てなかったので、とりあえず1つでも上野順位を狙うようにしました。

――きょうの予選のレースプランはどのようなものでしたか

今日のレースプランは、同じ組に昨年の優勝者(大石綾美、平26スポ卒=現アイリスオーヤマ)がいらっしゃったんですけど、自分のリズムを作って漕ぐっていうことを目標にしました。

――他の組も含めて全体の中でどう評価しますか

まだ中盤で落ちた分タイムが遅いので、そこをもっとしっかり粘って、あしたの敗者復活戦はタイムを上げていきたいです。

――明日の敗者復活戦に向けてどういうレースにしたいかを教えてください

きょうの欠点は中盤の落ちだったので、そこをしっかり粘って落ちを少なくするっていうのと、きょう戦った相手がまたいるので、きょう勝ったからって油断せずに、あしたも勝って敗者復活戦から上がりたいなと思います。