5月とは思えない暑さの中、全日本軽量級選手権が開幕した。早大からは男子のみの計4艇が出場。うち半分の2艇が着順で準決勝進出を決め、残り2艇はあすの敗者復活戦に回ることとなった。
大会最初のレースに艇を出したのは、金子怜生(社4=東京・早大学院)と尾崎光(スポ4=愛媛・今治西)の4年生コンビの男子舵手なしペアA。スタートから終始トップを譲らず、およそ2艇身の差をつけて準決勝進出を決めたが、「課題の方が多かった」(尾崎)と満足はしていない。「優勝を狙えるスピードが出てきているので、優勝、メダルというのを狙っていきたい」。あさっての準決勝では、いかにリラックスして練習時の漕ぎが再現できるかが重要となるだろう。また同種目で出艇した伊藤光(文構4=東京・神代)と川田諒(社3=愛媛・松山東)の男子舵手なしペアBは、「コンスタントのレートが低くなってしまった」(伊藤光)と、力を出し切れず3着に。あすの敗者復活戦で2着までに入ることが、準決勝進出への必須条件となる。
高いユニホーミティーを見せる4年生ペア
さらに気温の上がった午後、男子舵手なしフォアがレースに臨んだ。レースを通してイーブンペースで漕ぐというプランのもと、スタートから順調に艇差を広げ見事1着でゴールラインを通過した。理想通りの展開に思われたが、終わってみるとタイムは全体で8番目。バウに座る藤井拓哉(社3=山梨・吉田)は「このままでは表彰台までいくには、もうひと踏ん張りしなければいけない」とあくまで冷静だ。またその後に行われた舵手なしクォドルプルは2年生以下の若いクルーで挑んだが、レース中盤から漕ぎの丁寧さに欠け、3着に終わった。舵手なしペアBと共に、あす敗者復活戦に臨む。
そろったブレードワークを披露した男子舵手なしフォア
準決勝進出を決めたクルーも、そうでないクルーも、課題の残る結果となったきょうのレース。ここからあす、あさってに向けて各自が見つけた課題をいかに修正していけるかがカギを握る。6月の東日本選手権や9月の全日本大学選手権を見据えて、まずはここで弾みをつけていきたい。
(記事 石塚ひなの、写真 石塚ひなの、金澤麻由)
結果
【予選】
▽男子部
【舵手なしペア】
早大A
S:金子怜生(社4=東京・早大学院)
B:尾崎光(スポ4=愛媛・今治西)
7分05秒65 【1着 準決勝進出】
早大B
S:伊藤光(文構4=東京・神代)
B:川田諒(社3=愛媛・松山東)
7分23秒67 【3着 敗者復活戦へ】
【舵手なしフォア】
S:飯尾健太郎副将(教4=愛媛・今治西)
3:高山格(スポ3=神奈川・横浜商)
2:鈴木利駆(スポ2=静岡・浜松西)
B:藤井拓弥(社3=山梨・吉田)
6分42秒00 【1着 準決勝進出】
【舵手なしクォドルプル】
S:中川大誠(スポ2=東京・小松川)
3:大野一成(法2=東京・早大学院)
2:加藤聖也(スポ1=愛知・豊岡北)
B:舩越湧太郎(社2=滋賀・膳所)
6分42秒46 【3着 敗者復活戦へ】
コメント
【男子舵手なしペアA】
B:尾崎光(スポ4=愛媛・今治西)
――この大会の目標を教えてください
自分たちはチームの中でも小柄な方なのですが、ユニホーミティーだったりテクニックだったりというところで補ってきて、優勝を狙えるスピードが出てきているので、優勝、メダルというのを狙っていきたいかなと思います。
――きょうのレースプランは
自分たちが一番強みだと思っているのはコンスタントであると考えているので、最初から力むことなくリラックスして入ろうということを考えて入りました。500(メートル)まではそんなに力を発揮せず、中盤にどんどん相手を突き放していこうというレースプランを組んでいました。
――実際のレース展開はいかがでしたか
最初の500メートルでそんなに力んでいるつもりはなかったんですけど、1、2艇身相手を離すことができて、そこで多少のオーバーペースがあったかなと感じて、そこから中盤以降少し苦しい展開が続いたかなという感じです。
――きょうのレースで良かった点と課題があれば教えてください
課題の方が多かったと思うんですけど、良かった点は最初に頭を取ることができたのはすごく良かった点かなと思います。いろいろ状況判断をしながらレースを運ぶことができたので、そこは良かったかなと思います。逆に課題の方が多く見つかったレースだったかなという気がしていて、ウォーミングアップの段階からなかなかいい艇速というのを出すことができなくて、そのまま(レースに)入ってしまったかなと思いました。コンスタントもなかなかいい漕ぎはできなくて少しばたつきながら入ってしまって、本当はもっと楽に漕ぐことができたかなと思います。すごく苦しいレースだったかなと思います。
――あさっての準決勝までにどのように修正していきますか
自分たちは練習のときすごくいい漕ぎができていたので、その練習のときの漕ぎをしっかりレースでできるように、リラックスすることであったり自分たちの課題を明確にして、できることだとは思うのでそれを実現するだけかなと考えています。
【男子舵手なしペアB】
S:伊藤光(文構4=東京・神代)
――きょうの事前のレースプランを教えてください
前半250(メートル)にしっかりスパート(をして)入って、500(メートル)辺りからしっかりとコンスタントにいって、中盤とミドルで足蹴りの立ち上げを入れて、ラスト300(メートル)くらいからスパートに入る、という感じですね。
――実際はいかがでしたか
実際は、ほぼレースプラン通りでした。ラストもほぼレースプラン通りですね。
――500メートル地点で既に3位でしたが、スタートについてはいかがでしたか
監督も出艇前におっしゃっていたのですが、そんなに勢いをつけて最初の頭を取る(先頭でいくということ)のではなくて、徐々に、最初はじっくりじっくり。2000メートルなので、最初に1位でも、その後もずっと1位をキープできるわけではないので、そこはしっかりと慌てずに、1本1本(漕ぎを)長く、という感じで。そんなにスタートで出る、というイメージではなかったです。
――前回の戸田レガッタから時間があまり空かない中での今大会でしたが、川田諒選手(社3=愛媛・松山東)との相性はいかがでしたか
川田との相性はめちゃくちゃ良いと思います。確かに(戸田レガッタから)2週間くらいしかなかったのですが、一緒にペアで乗っていることは、これより前も何回もありますし、彼も合わせることがすごくうまい選手なので、なんとかもってこられたかな、と思います。
――きょうのレースの良かった点と悪かった点を教えてください
良かった点は、そんなにレートに固執せずに、しっかりと自分たちの(漕ぎの)長さをキープしたままいくことができたことです。逆にそれが悪かった点でもあるのかな、と思うのですが。(レースで)隣の京大とズルズルいってしまったので、あしたも隣に京大がいると思うので、そこはミドルから突き放すイメージで、いきたいと思います。
――その課題をあすの敗者復活戦に向けてどのように改善されていきたいですか
そうですね、基本的にコンスタントのレートが低くなってしまったので、あまり高いレートで通すつもりはないのですが、1本1本自分たちが長く焦げるレートで漕いで、(きょうは)ラストは結構上がったので、(あすは)ラストはせめぎ合いになると思うので、そこをしっかりと決めていければな、と思います。
――最後にあすに向けての意気込みをお願いします
あしたは敗者復活戦で、1位上がりではないと準決勝に進むことはできないので、そこをしっかりと取って、他のペアもフォアもクォド(クォドルプル)も頑張っているので、そこにいい意味で流れをつくっていけたらな、と思います。
【男子舵手なしフォア】
B:藤井拓哉(社3=山梨・吉田)
――今大会はどのような位置付けで臨まれましたか
そうですね、早慶戦(早慶レガッタ)でいい滑り出しをすることができたので、インカレ(全日本学生選手権)に向けてこのままリズムをつくっていこう、ということで。早慶戦からあまり時間が経っていなく、急ピッチで仕上げたクルーなのですが、夏に向けてステップアップをする大会と(して位置付けていました)。
――個人としての目標も同様でしょうか
そうですね。このあとに東日本選手権という大会が控えていて、それがインカレの前哨戦ということで、部全体としてもそちらの方に比較的高いウエイトを置いているので、ホップステップジャンプのポップじゃないですけど、そこでいい弾みを付けて、東日本選手権、インカレ、といければいいかな、と思います。
――きょうのレース展開を教えてください
そうですね、昨年までは、第1クオーターの500メートルで先頭に出て、そのまま逃げ切るというパターンが多かったのですが、今回は比較的第1クオーターをそこまで全力でいく、というよりは、イーブンペースでいって、第1クオーターから第5クオーターの最初から最後まで同じペースを守り通していこう、というような感じでいました。それを比較的体現することができたかな、と思います。
――きょうのレースはスタートから他艇に差を付けて、ラストでは大きな差が付いたと思いますが、これは事前の予想の通りでしょうか
なんとも言えないですね。私たちとしては、他の艇に差を付けようということを考えていた訳ではなく、あくまでも自分たちのペースを守っていこう、と考えていたので、結果的に他の艇とは差が付きましたけど、意識的にそういったことをしていたわけではないです。
――きょうのレースで良かった点と見つかった課題を教えてください
そうですね、良かったのは、艇の進むリズムを終始一定で進められたことですね。落ち着いたペースでいくことができました。途中でリズムが崩れて失速してしまいそうになった時も、4人で艇を立て直すことができたので、非常に良かったかな、と。課題というか、結構いいリズムで漕ぐことができたのですが、終わってからタイムを見てみると、全体で8番目のタイムで、このままでは表彰台までいくには、もうひと踏ん張りしなければいけないのかな、と。ここで慢心せずに、より追い込みをかけることができたらな、と。
――準決勝までにどのような点を改善しようとお考えでしょうか
そうですね、きょうは第1クオーターで先頭に立ってしまったので、そこから自分たちのペースじゃないですけど、試合をコントロールすることができてしまったのですが、準決勝では第1クオーターから並ばれる、場合によっては(前に)出られていたりすることも予想できるので、そういうところでも焦らずに、自分たちのリズムをキープして、終盤にかけて巻き返すことができるようにしていけたらいいかな、と思います。
――最後にあさっての準決勝に向けて意気込みをお願いします
基本に忠実に頑張っていきたいと思います。
【男子舵手なしクォドルプル】
S:中川大誠(スポ2=東京・小松川)
――この大会の位置づけを教えてください
そもそも部の方針として減量しないで出られる選手が出るというか、軽量級の選手でどこまでやれるかチャレンジしてみようかという感じです。
――クルーとしての目標はありますか
1年生主体の若いクルーなので、恐れずに挑戦していって、その結果たどり着いたところが、という感じです。もちろん優勝は狙っていますがそこに固執するのではなくて、一人一人の個々の能力を成長させるということでやっています。
――きょうのレース展開について振り返っていかがでしたか
頭は出ることができたんですけど、その後甘さが目立ったかなという感じでした。大体出たらそのままいけてしまうパターンが非常に多いのですが、今回は最初に出てその後いまいち落ち着いて船を進ませることができなかったので、そこでバタバタしている間に(他艇に)行かれてしまったかなという感じです。
――1年生もいますがクルーの雰囲気はいかがですか
2年生3人と1年生1人で、まあ1年生も浪人生なので年は一緒なので、雰囲気も良くコミュニケーションが取りにくいなどもなくうまくやれているかなと思います。
――戸田レガッタもあってかなり短い期間での調整だったのではないですか
先週の火曜日に練習を始めて、2週間もなく、1週間半くらいですね。
――きょうのレースで良かった点や課題があれば教えてください
良かったところはスタート出て、トップスピードは割と出ていたので、スピード感というのは良かったのではないかと思います。中盤にかけてレンジが短くなってきてしまうというのと、ブレードが(水に)深く入りすぎてしまっていたので、せっかく進ませているものに対して自分たちでスピードを殺しにいってしまっているという感じで。そんなに難しい課題ではないと思うので、あしたはそこ(レンジ)を長さを取ってというところで修正できたらいいと思います。
――あしたはどんなレースがしたいですか
スタート出ていけるというのはわかったので、出たところでどうやってレースの主導権を握って進ませていけるかというところが大事になってくると思います。きょうはその主導権を途中で逃がしてしまったので、そこを握ったままいければいいのかなと思います。