女子2艇が準決勝へ、男子3艇は惜しくも敗退

漕艇

  風が強く吹く中で行われた、全日本新人選手権2日目。男子3艇と女子2艇が敗者復活戦に臨んだ。コンディションが悪い中でも健闘し、女子ダブルスカルの2艇が準決勝へと駒を進めた一方で、男子ダブルスカル2艇と男子舵手付きフォアは敗退。女子は翌日以降につながる、男子は来季以降に課題が残る結果となった。

 この日初めに出場したのは、男子ダブルスカルの舩越湧一郎(スポ1=滋賀・膳所)と大野一成(法1=東京・早大学院)の二人。入学前から競技を続けてきたこのペアの長所は、他の新人と違い「コンスタントで淡々とむらなく漕げる」点である一方で「スタートやラストスパートでなかなか上がらなくて、スプリント能力が低い」点が短所であると舩越が語ったように、序盤にわずかなリードを許すとそのまま差を詰めることができず、2着に終わった。しかし、敗退はしたものの、順風が強く吹いたこの日のレースでも確実に漕ぎ進められていたと言える。課題のパワー面を克服し、らいねん以降はチームに貢献していきたい。続いて出艇したのは同じく男子ダブルスカルの牟田宜平(商2=兵庫・三田学園)と瀧川尚歩(法1=香川・高松)の二人。瀧川が「ここまで順の風が吹いている中でのレースは初めてで、経験不足がもろに出てしまった」と語ったように、舩越・大野ダブルとは対照的に未経験者の2人はバランスの取りにくい順風が強く吹く環境に苦戦し、予選と同じ3着に終わった。今後は課題である技術面の向上に期待したい。最後に出場した男子舵手付きフォアは、500メートルで京大に出られると、「一人一人バラバラになってしまった」と川田諒(社2=愛媛・松山東)が話したように、その後は課題にしていた「リズム良く」漕ぐことができず、9秒差の2位。技術面でも体力面でも課題の残る結果となった。

スイープ経験の浅い中で力漕した男子舵手付きフォア

 男子3艇が敗退したのとは対照的に女子2艇は準決勝を決めた。先に出艇した女子ダブルスカルの尾嶋歩美(スポ1=埼玉・南稜)と奈良岡寛子(教1=青森)は前日5着から立て直し、予選全体5位のタイムを出した艇を抑えての1着と大躍進。予選では逆風に十分な対策ができず苦戦したものの、この日は得意の順風のコンディションで結果を出した。尾嶋がこの日のレースの良かった点として挙げた「大きな漕ぎ」を実践し、準決勝以降も勝ち上がっていきたい。そして、この日の早大で1番の漕ぎを見せたのは宇都宮沙紀(商1=愛媛・今治西)と三浦彩朱佳(文1=青森)の二人だった。予選は全体4位のタイムを出しながら惜しくも敗退したものの、この日は横風が吹く難しいコンディションの中、他艇に圧倒的な差をつけて準決勝進出を決めた。翌日のレースでは、「長さを生かした漕ぎ」で目標のメダルを狙っていきたい。

会心のレースとなった尾嶋・奈良岡の女子ダブルスカルB

 惜しくも男子3艇は敗退したものの、今後の課題が見つかる良いレースとなったはずだ。この日の試合を糧に来季以降飛躍していきたい。一方で、準決勝を決めた女子2艇は準決勝以降に期待できるレースを見せた。最終日も、より上の順位を目指して貪欲に戦っていきたい。

(記事 金澤麻由 写真 小松純也)

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結果

【敗者復活戦】

▽男子部

【舵手付きフォア】

C:菱谷泰志(スポ1=鳥取・米子東)

S:菅原諒馬(商2=東京・早大学院)

3:鈴木利駆(スポ1=静岡・浜松西)

2:川田諒(社2=愛媛・松山東)

B:山中祐一郎(スポ2=埼玉・本庄第一)

7分09秒47【2着 敗退】

【ダブルスカル】

早大A

S:瀧川尚歩(法1=香川・高松)

B:牟田宜平(商2=兵庫・三田学園)

7分42秒65【3着 敗退】

早大B

S:舩越湧一郎(スポ1=滋賀・膳所)

B:大野一成(法1=東京・早大学院)

7分15秒21【2着 敗退】

▽女子部

【ダブルスカル】

早大A

S:宇都宮沙紀(商1=愛媛・今治西)

B:三浦彩朱佳(文1=青森)

7分50秒40【1着 準決勝進出】

早大B

S:尾嶋歩美(スポ1=埼玉・南稜)

B:奈良岡寛子(教1=青森)

8分05秒16【1着 準決勝進出】

コメント

【男子舵手付きフォア】

2:川田諒(社2=愛媛・松山東)

――まずきのうの予選のレース内容からお伺いしたいのですが

3番の鈴木(利駆、スポ1=静岡・浜松西)がスイープが初めてで、あんまりスイープの経験がないクルーで、10日間しか練習期間がなくて、しかも2000(メートル)のレースが初めてでした。まず収穫として2000メートル通してやれたのが良かったんじゃないかなというのがクルーの評価でした。東経大と法大にかなりぶち抜かれてしまって3着だったんですけど、かなり1と2に空けられての3着だったのでまだまだいいレースできたねという話にはならなかったので、もっと改善してぶち抜かれた二つにもう少し迫れたらいいかなという感じでした。

――レースプラン通りにはいかなかったということでしょうか

レースプランは割とコックスに任せていて、勝負どころはコックスに決めてもらって、最初のスタートスパートであったりラストスパートは何メートルから行こうかという話は決めていたんですけど、真ん中の500メートルから1500の間はコックスに任せていました。きのうは結構第1クオーターのタイムから第2クオーターでかなりタイム落ちがあったので、第2クオーターでしっかり勝負しないと前半の1000メートルで取られてしまうなという話だったので、きょうは割と第2クオーターにミドルスパートを置いて、前半勝負のレースプランで臨みました。

――きのうから敗者復活戦に向けて話し合ったことは何ですか

ビデオを見て、ハンズセット…漕いできて最後にファイナルしてから次の動作に移る時間を短くする、というか、一般的に言うとリズムをもうちょっと良くしようということと、キャッチアングルという…ファイナルとエントリーと全体的に前寄りの漕ぎにしようかとクルーで話し合っていきました。

――それを踏まえてきょうのレースはいかがでしたか

結構レース前の練習のときには全員意識して、「リズム良く」みたいな声も出ていました。始まって最初の300メートルくらいは京大と並んでいて、自分たちが今どういう漕ぎをしているのか客観的に意識できていたかなと思うんですけど、橋超えたくらいで(京大に)出られてしまったので、一人一人バラバラになってしまったのかなと。もうちょっと4人で決めた修正点を意識し続けられたら良かったのかなと思います。

――順風が強く吹いていましたが対策はされていましたか

もともと伴走自転車が3年生の尾崎さん(光、スポ3=愛媛・今治西)だったんですけど、尾崎さんから前(キャッチが)スリップしている船が多いという話をいただいていたので、しっかり前かけていこうと、いつもはワセダ自体があんまりガツガツいれずに優しく(水を)かけようという話をしているのですが、今回は強めに意識的にかけようかという話はしていました。

――このクルーの長所と短所を教えてください

短所から言うと、レースの敗因にもなったんですけど、テクニカルが未熟であったりフィジカルも決してすごくパワーのある選手がいるわけではなかったので、体力的な部分でまだまだだったかなと思います。長所としては雰囲気が良かったですね。練習から乗るのが楽しみというか、学年が1年生と2年生しかいないのでふざけてるというわけではないんですが、「あーだるいな、ほな出よか」みたいな感じで(笑)。練習は頑張るんですけど、ちょっと本音で言えるというかフランクな感じでやってこられましたね。あとはクルーキャプテンがストロークの菅原(諒馬、商2=東京・早大学院)だったんですけど、彼が本当にすごい自信家なので、彼を後ろ3人がおだててっていう流れが水上でもあったんですけど、陸上でもずっとそういういじりをしてました。まあ彼はいじりとは認識してないですけどそういう一面を彼は持っているので、菅原諒馬くんの人間性のおかげでクルーの雰囲気を盛り上げていけたんじゃないかなと思います。

――練習期間は短かったと思いますがクルーの完成度というのは

監督には伸び幅では一番良いんじゃないかというふうにおっしゃっていただいたんですけど、僕がバウサイ(バウサイド)だったんですけどストサイ(ストロークサイド)で漕ぐことになって、鈴木利駆はずっとスカル種目に乗っていたのでスイープは初めてで、かなり心配でクルー全体として間に合うのか、レースペースは今回レートが34コンスタントという話だったんですけど、34出せるかというレベルで最初始まって、バウペアはバランス取ったままストペアだけ漕いでという基礎の基礎みたいなメニューから入りました。まあ10日でレースが一応できるところまでは行って、勝てそうかな、勝てるかな、みたいなレースが最後できたので、伸び幅では良かったんですけどでもまあ不十分ではありますね。

――この大会で得たもの、今後に生かしていきたいことはありますか

自分は2年なので、来年は3年になるんですけど、今までは4年生と同じクルーであったり3年生と同じクルーであったり引っ張ってもらって後輩はついていくということが多かったのですが、今回は1・2年のクルーだったので自分が最上級学年だったんですけど、来年以降そういった機会が増えてくると思うので、そういう面でクルーメークであったり後輩をどう盛り立てるかとかどう練習付き合っていくかという面で勉強になったという感じです。

【男子ダブルスカルA】

S:瀧川尚歩(法1=香川・高松)

――きょうは順の風が強かったと思われますが、何か対策されて臨まれましたか

順風でやるとキャッチが難しくなるので、そこを意識して漕ごうと二人で牟田さん(宜平、商2=兵庫・三田学園)と話し合って対策を練りました。

――やりにくさはありましたか

やはりありましたね。逆に比べると、順では技術的なことが大事になってくるのですが、僕とかはまだ1年生でボートを始めて半年くらいなので、自分がやりたいところができなかったレースになってしまいました。

――順風が強い状況でのレースは初めてでしたか

ちょっと風が順の時はあったのですが、ここまで順の風が吹いている中でのレースは初めてで、経験不足というものがもろに出てしまった試合なんじゃないかなと思います。

――バランスで苦労されている印象を受けました

それはもうきょうだけではなく、練習の中でもバランスが良くないという課題がありました。そのために二人で話し合って対策をして改善はしていったのですが、きょうは風の影響もあって、悪いところがもろに出てしまったという感じでした。

――昨日の予選から改善されたことはありますか

監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)などからは、フィニッシュが終わった後にハンズで手と手を合わせることに関して指導を受けました。そこができるようになるとバランスが改善されるので、そこを一番意識して行いました。

――昨日の予選ときょうの敗者復活戦ではどちらのほうが手応えがありましたか

僕としては昨日ですかね。昨日はスタートやラストスパートは上手くはいかなかったのですが、真ん中のコンスタントレートは自分たちがやってきた練習でのベストかそれ以上のものが出せたと思っています。それに比べるときょうは悪いところがずるずると続いてしまって、最後まで修正することができなかったという印象があります。

――短い期間でクルーを組むことになりましたが、今大会を経て成長した点はありますか

僕も技術的にはまだまだですし、牟田さんもケガ明けで結構リハビリ期間も長くて今回が久しぶりのレースで、お互い手探りの状態で始まったのですが、ワンモーションワンモーション二人の息が合ったりとか、課題になっていたキャッチでフライアップせずに、素直に入れるというところも徐々に良くなっていったので、一日一日成長を実感できるクルーだったと思います。

――全日本級の大きなレースは初めてかと思われますが、緊張することはありましたか

緊張はあまりしなかったです。僕は浪人して入ってきたのですが、その時のセンター試験の方が緊張しました(笑)。

――今シーズン最後の大会となりましたが、改めて1年目のシーズンを振り返っていかがですか

この全日本新人の1カ月前に東日本新人という大会があって、その大会で僕はダブルで優勝することができたのですが、今回全日本級の大会が初めてで、レベルの高さや自分の実力や、体力、経験が足りていないなということを感じました。もちろんそんな甘いスポーツではないと思うので当然なのですが、また来年主力として活躍できるように、これからのシーズン努力していきたいなと思えました。終わりは悔しい感じでしたが、その悔しさをバネにして、来年以降活躍したいです。

――来年の目標は

早慶戦(早慶レガッタ)に出て慶大に勝つというのが、一番の憧れで目標です。またインカレ(全日本大学選手権)や、全日本(全日本選手権)に出て結果を残すというのが来年の目標です。

【男子ダブルスカルB】

S:舩越湧一郎(スポ1=滋賀・膳所)

――まず、今回のクルーの長所と課題を教えてください

長所は、新人だと最初に飛ばしていって後半バテバテになるというクルーが多いんですけど、そこをしっかり抑えて、コンスタントで淡々とむらなく漕げるということだと思ってます。短所はスタートやラストスパートでなかなか上がらなくて、スプリント能力が低いということが、まだまだ課題かなと思います。

――ではまずきのうのレースを振り返っていかがですか

2000メートルのレースはすごく久々で、練習でも(期間が限られていたため)一回も漕いでいなかったので…身体はついてくるんですけど心臓の方がなかなか苦しかったです、最後は。でも大きなミスというのはなくて、気持ちよく漕げたは漕げたと思います、もともと逆風のレースは得意じゃないんですけど。

――3着で敗者復活戦へという結果についてはどう受け止めていましたか

残念ではあったんですけど、日々漕ぐたびに成長しているので、「次はもっといいスピードが出せる」「前を向いていこう」という風に話していました。

――きょうの敗者復活戦は強い順風の中でのレースとなりました

きのうよりも波が高くてミスオールも何本かありました。スタートは相手の方が少しはやくて、後半で詰めようと思っていたんですけど、1.5秒差くらいでそのままいってゴールしてしまいました。スプリント能力で1500メートルくらいから詰めていければ相手もバテていたと思うので、やっぱりそこは短所で、長所に変えていきたいと思いますね。

――コンディションとしては順風でたまに横風の入る難しいものでしたが、漕ぎの内容としてはいかがでしたか

僕は滋賀県出身で、(練習をしていた)琵琶湖は風が強くて荒れるのは個人的に慣れていて、漕ぎにくかったとかミスが多かったということはなかったです。それでも目標の7分10秒にはまだ足りていないので、順風だったらしっかりとスピードを出せる漕ぎができたらなと思います。

――1日目と2日目のレースを比較していかがですか

漕ぎ自体は1日目の方が良かったかなとは思うんですけど、2本目は相手が見えていてまだ希望があったというか、楽しかったですね。

――今大会通してポジティブな要素はありましたか

やっぱりコンスタントでずっと同じレートで淡々と漕げたというところですね。僕はストロークの経験があまりないんですけど、そこをしっかり出せたというのは良かったかなと思います。

――入部して最初のシーズンが終了します。どんなことを学んだシーズンでしたか

やっぱり高校の時とは全然違って、高校のレースだと予選で(1レースにつき)3艇上がりとか、敗者復活で2艇上がりとかだったんですけど、大学では軽量級(全日本軽量級選手権)とか、全日本(全日本選手権)とか、今回も全部1艇上がりなので、その中で上がっていくとなると(全体の)1位、2位、3位くらいを狙えるレベルでないといけないので。大学生、社会人、レベルが高いです。まだ1年生ですけど、(ことしと)同じような感じにならないようにしっかり自分のレベルを上げられたらなと思います。

【女子ダブルスカルA】

B:三浦彩朱佳(文1=青森)

――きのう宇都宮選手(沙紀、商1=愛媛・今治西)が得意だと話していた順風でのレースになりましたが

きょうは順風と言っても横から吹く様な順風で、最初のスタートの方は流されてしまってうまくいかなかったな、と思うところがあって、2クオーター、3クオーターから順風にだんだんとのれてきて、良いリズムで漕ぐことができたのかな、と思いました。

――きのうよりもリズムの良い漕ぎに見えましたが、何か変えた所などはありましたか

フィニッシュの部分がきのうはもったりとしたリズムになってしまったので、フィニッシュの部分で素早くハンズを前に出すという部分を意識して漕ぎました。

――長さが長いことが強みだと伺いましたが、その点を生かしたレースはできましたか

きょうは長さを生かした漕ぎはできてなかったですね。ちょっと短くなってしまった部分があったのかな、と思ったので、あしたのレースはその長さを生かした漕ぎをしていきたいな、と思いました。

――準決勝、決勝と残り試合がありますが、意気込みをお願いします

まだ2人とも1年生で、その上練習期間も10日間と短かったのですが、メダルを目指して一つ一つのレースを丁寧に、貪欲に狙っていけたらいいな、と思います。

【女子ダブルスカルB】

S:尾崎歩美(スポ1=埼玉・南稜)

――昨日5位に終わったということでどのような課題が残りましたか

昨日は思うように自分たちの漕ぎができず、タイムとしてもあまり良くなくて5位に終わり、漕ぎが小さかったというのが課題としてあったので、きょうはしっかり漕ぎを大きくして進めていくことを2人で意識していきました。

――きょうは順の風が強く、加えて横の風もありましたが、どういう対策をしましたか

スタートで少し風が吹いていたので、真っ直ぐに艇をスタートさせるのではなくて、風を考えて横にして、途中風が強いところがあるということもわかっていたので、風が強くなっても焦らずに落ち着いていこうと2人で意識を固めて望みました。

――実際に落ち着いてレースできましたか

はい。風が強いところもあって、橋を越えた500メートル過ぎから風が強かったのですが、しっかりスタート前に2人で話していたので、そんなに慌てて崩れることもなく、そこは良かったかなと思います。

――順の風と逆の風で、得意不得意ありますか

順の風の方がいいです。昨日はとても逆で、あまり逆の練習ができてなかったというのもあり、対応できなかったというのが反省でありました。

――きょうのレースを終えて、何か課題はありますか

昨日より2人ですごく成長できたレースだったのですが、その中でもまだ自分たちの良さを出せるなと思っていて、明日は結構競るレースになると思うので、しっかり落ち着いて自分たちのレース展開をやっていくところで、明日も継続して大きな漕ぎをできればなと思います。

――最後に準決勝への意気込みをお願いします

自分たちのレースをしたいです。