敗者復活戦で3艇がはい上がり準決勝へ

漕艇

 全日本軽量級選手権(軽量級)2日目、この日は気温が上がり、常に逆風が吹コンディションの中、男女合計6艇が敗者復活戦に臨んだ。うち3艇がこのレースを勝ち上がり、あすの準決勝進出を決めた。一方残りの3艇は敗者復活戦敗退となり、悔しくもレースを終えた。

 午前のレース、まず登場したのは男子舵手なしペア。前日のレースでは全体3番目のタイムながら慶大に惜敗し、敗者復活戦に回った。課題として挙がったスタートで大きく飛び出すと、競る相手のいないレースとなり独走。後半にややタイム落ちがあったものの、2位に20秒以上の大差をつける圧勝で準決勝進出を決めた。バウの石橋広陸(スポ4=愛知・豊田北)は、「あしたどういうプランで戦うかをきょうのタイムカーブを見て決めている」と語る。準決勝までに2本のレースを消化したことが、プラスにはたらくかもしれない。続いて登場した女子シングルスカルの藤田彩也香(スポ1=東京・小松川)は、前日のレースで同じ1年生の女子シングルスカル2艇が準決勝進出を決めたことを受けて、「このレースで絶対に(準決勝に)上がらなくてはいけないと思って臨んだ」と背水の陣で臨んだ。予選では失敗だったというスタートを決めると勢いに乗り、前半で1艇身以上のリードを奪う。差を広げることこそかなわなかったものの、見事1着で準決勝進出を果たした。

前日の反省を生かし1着でゴールした藤田

 午後のレースでは、厳しい結果が並んだ。男子ダブルスカル、女子舵手なしクォドルプル、男子舵手なしクォドルプルの3艇が敗戦。全艇に1年生が乗っているとは思えないほどそろった漕ぎを見せていたが、社会人を含む全日本クラスの壁は高かった。最後に登場したのは、男子エイト。前日の予選では敗れたものの、整ったブレードワークで非凡なユニホーミティーを見せており、この日のレースに期待がかかった。6番の金子怜生(社3=東京・早大学院)が「しっかり頭をとってから楽なレース展開をしようという話をしていた」と語ったように、スタートから飛び出すと後半まで1位を守る。ラストスパートで1艇にかわされたものの、粘りの漕ぎで前日負けた相手に打ち勝ち、準決勝進出を決めた。

2着に滑り込み準決勝進出を決めた男子エイト

 最終日の準決勝以降に駒を進めたのは、前日の予選を突破した3艇を加えた計6艇。出場の9艇中6艇が多くのレースを経験することは、大きなプラス要素だ。男子では優勝が期待される舵手なしペア、女子では全艇が準決勝進出を決めたシングルスカルの1年生3人が頼もしい。勢いに乗り、最終日でさらなる好結果を期待したい。

(記事、写真 喜田村廉人)

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結果

【敗者復活戦】

▽男子部

【ダブルスカル】

S:鈴木利駆(スポ1=静岡・浜松西)

B:舩越湧太郎(スポ1=滋賀・膳所)

7分36秒77 【4着 敗退】

【舵手なしペア】

S:東駿佑(政経4=東京・早大学院)

B:石橋広陸(スポ4=愛知・豊田北)

7分24秒77 【1着 準決勝へ】

【舵手なしクォドルプル】

S:得居亮太(法4=東京・早大学院)

3:伊藤大生(スポ3=埼玉・南稜)

2:中川大誠(スポ1=東京・小松川)

B:有田雄太郎(法4=東京・早大学院)

6分39秒60 【4着 敗退】

【エイト】

C:徐銘辰(政経2=カナダ・St.Andrew‘s highschool)

S:藤井拓弥(社2=山梨・吉田)

7:飯尾健太郎(教3=愛媛・今治西)

6:金子怜生(社3=東京・早大学院)

5:川田翔悟(基理2=東京・早大学院)

4:伊藤光(文構3=東京・神代)

3:尾崎光(スポ3=愛媛・今治西)

2:川田諒(社3=愛媛・松山東)

B:山中裕一郎(スポ2=埼玉・本庄第一)

6分29秒00【2着 準決勝へ】

▽女子部

【シングルスカル】

藤田彩也香(スポ1=東京・小松川)

8分33秒59 【1着 準決勝へ】

【舵手なしクォドルプル】

S:田口えり花(商4=埼玉・浦和一女)

3:尾嶋歩美(スポ1=埼玉・南陵)

2:松井友理乃(スポ1=愛媛・今治西)

B:奈良岡寛子(教1=青森)

7分33秒44 【3着 敗退】

コメント

【男子ダブルスカル】
B:舩越湧太郎(スポ1=滋賀・膳所)

――きょうの大会を振り返っていかがでしたか

きのう1艇身差、2秒くらいで負けたところには勝ちたいなと思っていたのですが、途中で抜かされたところがありました。きょうはきのうよりもスタートは良い感じで出られたのですが、1年生同士ということやまだ入って1カ月2カ月ということがあり、後半の体力不足を感じたのでやはりこれからは後半を課題にしていきたいなと思っています。

――常に盛り上がりのあるクルーでしたが声を出そうと意識されたのでしょうか

そうですね。僕は高校のときもバウをやっていて一番後ろのポジションで結構声をかけることが多かったので、特にラストスパートのときも横のクルーと並んでいたのでそこはしっかり勝てるようにいきたいなと思って声をどんどん出していました。

――きょうの目標はどこに置いていましたか

きょうは5艇中2艇上がりできのうに比べれば敗者復活戦でレベルは落ちるので、まずはきのう僅差で負けたところに勝つことと、敗者復活戦から上がることを目標にしていました。

――きのうときょうの試合を比べていかがでしょうか

途中風とかもあったのですがしっかり一本一本落ち着いてリラックスしながらいけたというところが良かったです。

――漕艇部での生活はいかがですか

結構最初に思っていたよりも楽しくて、先輩も優しくて良い雰囲気だなと思っています。

――今後の目標を教えてください

シーズンに入ってインカレ(全日本大学選手権)であったり全日本(全日本選手権)であったりと、どんどん上のレベルの大会に出て行ったりとかその選考もあるので、しっかり先輩に負けずに1年生として頑張っていきたいです。

【男子舵手なしペア】
B:石橋広陸(スポ4=愛知・豊田北)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

きょう東(駿佑副将、政経4=東京・早大学院)と話していたのは、1クオーターで絶対に昨日よりいいタイムを出そうということでした。そこで、1クオーターで攻めるレースがしっかりできたので良かったと思います。そこがきょうの収穫です。

――昨日はスタートが課題だと東選手がおっしゃっていましたが、そこの修正はできたということでしょうか

そうですね、修正できました。

――ゴールタイムを見ていかがですか

きのうよりも少し風が強かったので、そこであまり変わらないタイムを刻めたのは、スタートでプラスアルファがあったからこそだと思います。後半で失速してもダイムが出せたので。そこをあしたは、前半出しつつ、昨日できた後半でタイムを上げて、相対的にタイムを上げられればいいと思います。

――後半のタイム落ちがありましたか

そうですね。最初上げて1000メートルまでは維持できたんですけど、1250メートル過ぎから少し鈍り始めてしまったので、そこをあした改善していきたいと思います。

――新たに見つかった課題はそこですか

そうですね。後半のところで維持できればいいなと思います。

――技術的な部分はいかがでしたか

技術的な部分では予選もそんなに悪い感じはなかったので、後はどちらかというと戦術、タクティクスの部分を東と意識してきたので、準決勝、決勝ともう一度レースプランを組み直して自分たちの勝ちパターンにつなげられればいいなと思います。

――あしたに向けての準備は

もう今は、あしたどういうプランで戦うかをきょうのタイムカーブを見て決めているので、後はそれを忠実の再現できるかだと思います。

――あしたへの意気込みを一言お願いします

優勝します。それに限ります(笑)。

【男子エイト】
6:金子怜生(社3=東京・早大学院)

――昨日ときょうのレースを振り返っていかがですか

昨日のレースは一度もトップをとることなくレースを終えてしまいました。500メートルまでの差をずるずると引きずってしまった結果かなと。明治大学Bを差し切れなかったという反省がかなりあったので、本日はしっかり頭をとってから楽なレース展開をしようという話をしていました

――実際にきょうのレースの展開を振り返っていかがですか

後半もうちょっと粘りたかったというところはあるんですけど、昨日の反省を生かしてきょうに臨んだという面に関しては、やろうとしたことができて、収穫があったレースだったと思います。

――ブレードワークがそろったクルーに感じます

乗った時点から、漕いでいる長さ、レンジといった部分は結構合っていたクルーだったので、それは強みであり、練習から引き続いて体現できたかなと思います。

――練習ではどんな部分を重点的に意識していましたか

パワーがないクルーで、なおかつ軽量級ということなので、なるべくまとまって、8人同じ水を同じように押す、統一感というところを意識して練習してきました。

――きょうの試合後には艇のバランスを意識した練習をされていましたね

明日のレースが勝負で、もう一度基本を固めてからという話になり、貴重な時間だったのでああいう練習をしました。

――きょう特に崩れてしまった部分の修正というわけではないですか

そうですね。より良いものが出せるように、ということですね。

――今大会の目標は

表彰台を狙いたいと思っています。

――あしたへの意気込みを一言お願いします

あしたは勝っても負けても2レースあるということなんですけど、しっかり自分たちの持てる力を出し切って表彰台に昇れば、インカレ(全日本大学選手権)、全日本(全日本選手権)にいいかたちでつなげればいいと思うので、きょう以上に実力が出せたらいいなと思います。

【女子シングルスカル】
藤田彩也香(スポ1=東京・小松川)

――きょうのレースを振り返って

きのうの予選では自分の思うように身体が動かなくて、あまりタイムも順位も良くなかったので、また他の同期の2人がもう準決勝に上がっているということもあって、きょうのレースは、「このレースで絶対に(準決勝に)上がらなくてはいけない」と思って臨みました。スタートから出ることができてそのまま離せたので、レース展開としてはよかったかなと思います。

――きのうのレースを振り返って

きのうのレースはスタートから離されて、そこから自分のレースができずにじりじりと離されてしまいました。その点できょうは、最初に出て他の艇が見える位置で漕ぐことができたのでよかったです。

――きのうから修正した点はありますか

スタート500メートルまで回転を落とさないことです。きのうのレースでは早い段階でレートを落としていていましたが、それだとやはりスタートで出ることができないので、少し長めにスタートのスパートを刻みました。

――スタートが上手くいったレースだったということですね

最初の1本目から6本目までがきのうは全然上手くいかなかったので、そこはレース前のレースアップでしっかり確認しました。そこは上手くいった要因だったかなと思います。

――最初で突き放したあとはどんなことを考えながら漕いでいましたか

「もっと離そう」と思っていましたが、なかなか思うように離すことができなくて、焦りまではいきませんが、不安を感じながら漕いでいました。

――あすへの意気込みをお願いします

あしたはきょうよりももっと厳しいレースになると思うので、「絶対に上がる」という強い気持ちを持って攻めるレースを意識して挑みたいです。

【女子舵手付きクォドルプル】
S:田口えり花(商4=埼玉・浦和一女)

――今大会を振り返って

きのうはスタートから思いきっていくという目標は達成できたんですけど、コンスタントのあとからだれてしまって、そこで立命大に出られてしまって、ラストスパートを決めきれずに終えるという負け方をしてしまって。きょうの敗者復活戦ではスタートはきのうと同じように思い切り出して、各クオーターの初めで一回一回立て直して粘っていこうという話をしました。でもなかなか体力的にも技術的にも至らない部分があって、後半にかけて落ちてしまいました。

――きょうのレースの敗因はどこにあるのでしょうか

細かいミスがあったのも大きかったのですが、私の技術もそうですし、1年生も技術的にも体力的にも至らない部分もあって。私は伸びしろだと思ってるんですが、1年生はまだ伸びてない部分もあって。そういった色んな要素がきょうのばらつきにつながったと思います。

――1年生のお話がありましたが、1年生3選手の印象はいかがですか

私の後ろに1年生が乗っているということで、後ろから元気よくバックアップしてくれて、私としては基本的には漕ぎやすいです。私が学年が上なので教えるという立場にはあるんですけど、私も彼女たちから色々教えられることはあって、気づかせてもらってることも多いので、お互い活気のある良い関係だと思っています。

――きょうの漕ぎの良かった点は

1000メートルまでの勢いが良かったところです。きのうはスタートで出たその後に落ちてしまったんですけど、きょうはコンスタントに入ってからも力強く漕ぐことが出来たところが良かったです。

――悪かった点は

悪かった点というか、改善すべきところとしては、3クオーター、4クオーターと勢いが無くなってきたところでもう少し立て直して、あと逆風にも耐えられる、安定した漕ぎが出来れば良かったなと思います。

――今大会に向けて技術的に重きをおいて練習したところはありますか

全体的に後ろよりの漕ぎになりやすかったので、ファイナルからキャッチに向けて、すぐに体重を乗せる、戻すというところに重点を置いていたんですけど、レースに入るまではファイナルに焦点を当てて、レース期に入ってからは体重を乗せてそのままキャッチを狙うという点に移行していたので、そこでぶれてしまったという…。きょうは最終的にはキャッチ方面で狙っていけたのは良かったかなと思います。

――次の大会への意気込みを教えてください

女子部全体としてはインカレを目標にしています。ことしはパワーのある1年生がたくさん入って来たので、その子たちに上級生が負けないように、勝てるようにパワーアップしたいということと、クルーボートに乗った時に全員で勝てる力を着けて、個人とチームどちらの力も着けられるようにパワーアップしたいと思います。私個人としては軽量級に出るような選手なので、フィジカル面で筋量があまり確保出来ていなかったり、2000メートル程度の中距離で持続的にパワーを維持できない時があるので、弱味を潰していきたいです。