男子シングルスカルが準決勝進出、強豪ぞろいの大会で成長

漕艇

 劇的な結果に終わった早慶レガッタから一週間。出場のなかった早大の一部選手たちは、愛知県で行われる中日本レガッタに参加した。社会人チームや中部の強力なクルーが腕試しを図るこの大会で、早大からは男子シングルスカル、男子エイトそれぞれ1艇ずつが出場し、シングルスカルの鈴木利駆(スポ1=静岡・浜松西)が準決勝に進出した。

 レースは初日から快晴の空模様。まず男子シングルスカルの予選に出場した鈴木利は、自身でも「スタートでもっと出せたのに少しセーブしてしまった」と振り返るように、スタートから出遅れると、その遅れを取り戻すことができず、最下位でのゴールとなってしまう。敗者復活戦に回り、2位以内で準決勝進出という状況に置かれる中、予選でのミスを見事に修正した。高いレートで前半から僅差の2位につけると、後半に入っても勢いを落とさず漕ぎ進める。2着でゴールし見事翌日の準決勝に駒を進めた。その準決勝は自身以外が全員社会人選手という厳しい組み合わせ。前日以上に序盤から勝負するプランで漕ぎ進めるも格上の社会人には敵わず、5着でゴールとなった。しかし、シーズン初めの4月、2日間の3レースでさまざまな相手と当たり、それぞれ異なるレースを展開したことは、まだ1年生の鈴木利にとって大きな糧となるはずだ。

厳しい環境下で準決勝進出を果たした鈴木利

 一方の男子エイトは苦しい大会となった。出場した8クルーのうち、社会人チームが3艇。他大学も対校クラスの選手をそろえる強豪艇ばかりの中、早大クルーはスイープオールを握ったばかりの1年生を含む下級生主体の編成で挑んだ。ストロークの冨田剣志(スポ4=愛媛・今治西)が「(クルーの仕上がりは)6、7割くらい」と語る状況の中、予選は序盤から出遅れ敗者復活戦へ。なんとか食らいつき決勝進出を果たしたいところだったが、敗者復活戦でも他艇に追いすがることはできず、悔しい最下位でレースを終えた。

男子エイトは敗者復活戦で敗れた

 まだシーズン序盤。結果は決して芳しいものではないが、徐々に実力を伸ばしていく若手クルーにあって、得たものを結果のみで語ることはできない。1ヶ月後の全日本軽量級選手権から、全日本大学選手権、全日本選手権と、大きな舞台でチームの力となるため、この経験を実力に変えていきたい。

(記事、写真 喜田村廉人)

結果

【シングルスカル】

鈴木利駆(スポ1=静岡・浜松西)

3分53秒97 【5着 敗者復活戦へ】

【エイト】

C:山田侯太(商1=東京・早大学院)

S:冨田剣志(スポ4=愛媛・今治西)

7:川田翔吾(基理2=東京・早大学院)

6:菅原諒馬(商2=東京・早大学院)

5:坂本英晧(スポ2=静岡・浜松北)

4:田中海靖(スポ1=愛媛・今治西)

3:山中裕一郎(スポ2=埼玉・本庄第一)

2:伊藤光(文構3=東京・神代)

B:川田諒(社2=愛媛・松山東)

3分10秒25【4着 敗者復活戦へ】

【敗者復活戦】

【シングルスカル】

鈴木利
3分58秒55 【2着 準決勝進出】

【エイト】

C:山田
S:冨田
7:川田翔
6:菅原
5:坂本
4:田中
3:山中
2:伊藤光
B:川田諒
3分03秒57【6着 敗退】

【準決勝】

【シングルスカル】

鈴木利
4分30秒11 【5着 敗退】

コメント

富田剣志(スポ4=愛媛・今治西)

――結果を振り返って

悔しい部分がありますね、早慶戦が良い結果で終わったので。早慶戦の選考で落ちてしまったメンバーもいるので、自分たちもそれに負けないようにと思ったんですけど、悔しいですね。

――予選と敗者復活戦で何か変えた部分はありますか

予選は強い社会人クルーがいて、1艇上がりだったので、敗者復活でいい結果を出そうと思ったんですけど…。予選は500メートル漕いでからその後の漕ぎを決めようということだったんですが、敗者復活ではスタートからスパートして自分たちのプランを展開しようということでした。周りに影響されないで、自分たちの漕ぎをしっかりやろうということを特に意識していました。

――組んでから1カ月弱ほどで、クルーの完成度はどのくらいまでもっていきましたか

自分としてはこのクルーで基礎を大事にしてもっていきたかったんですけど、基礎が6割、7割くらいできたところでレース仕様の練習に入ってしまいました。その練習の中で、良いときと悪いときの浮き沈みがある感じだったので、やっぱり6、7割だったかなと思います。

――スイープの経験が少ない選手も何人かいる中でのクルーでしたが、特に意識したことは

やっぱり基本ですね。スカルオールとスイープオールでは手の使い方も違いますし、スカルオールだと2本のオールで1人でバランスがとれますけど、スイープだと1本しかないので2人以上じゃないとバランスがとれないという部分があるので、相手のことを考えながら漕ぐということを最初に意識づけておくというか、とりあえず基礎を徹底していこうと思いました。

――次に出場する大会は

自分は諏訪湖招待レースというのに出ます。部全体としては軽量級(全日本軽量級選手権)になりますね。

――ご自身としてレベルアップしたいことは

2000メートルのレースと、今回のような1000メートルのレースだと疲れ方も違いますし、出る課題というか漕ぎも変わってくるので、それを今度は2000メートル仕様にします。1000だと一瞬で終わりますけど、2000メートルに対応できる力を、もう最後ですけど、つけていきたいなと思います。

鈴木利駆(スポ1=静岡・浜松西)

――結果を振り返って

きょう(準決勝)は5艇中1艇上がりということで、上がるのは厳しいかなと思ってはいたんですけど、もうちょっと社会人選手と差を詰めたかったなというのがあります。

――お花見レガッタから1カ月、何かテーマや目標を決めていましたか

お花見からは体力も戻ってきて、お花見よりは高いレートで1000メートルを漕げるようになりました。技術的な面でも、フィニッシュで手が止まってしまうのをしっかりと出すのを意識して練習してきたので、そのおかげでレートが出やすくなって、それが艇速につながっているのかなと思いました。

――昨日の予選の漕ぎはいかがでしたか

きのうはスタートでもっと出せたのに少しセーブしてしまって、そこがもっと意識できれば良いと思いました。

――敗者復活戦の漕ぎは

2本目は(課題を)コーチにも言われて、1本目より高いレートで漕ぐことを意識していて、750メートルでまたレートを上げることができて、そこが良かったなと思います。

――きょうの準決勝のねらいは

きょうは相手が全員社会人で格上だったので、最初から全力で出し切って攻めるということを意識していました。

――次戦への意気込みを

軽量級は大学に入って初めての2000メートルのレースになるので、またしっかり体力を戻して、順位がつくようにしたいと思います。