【連載】早慶レガッタ直前特集『起死回生』 第5回 C:佐藤修平× 7:石橋広陸

漕艇

 3年連続7番での早慶レガッタ対校エイト出場となる石橋広陸(スポ4=愛知・豊田北)と昨年度、コックスで第二エイトを見事に勝利へと導いた佐藤修平(文4=秋田)。二人とも4年生であり、この対校エイトが最後の早慶レガッタとなる。最後の早慶レガッタへの思い、最上級生としての役割などを探る。

※この取材は3月14日に行われたものです。

最上級生だからこそ経験を伝える

佐藤は4年目にして初の対校コックスを務める

――まずは、昨シーズンを振り返っていかがでしたか

石橋 僕は全て対校エイトに乗らせていただいて、ただ、思ったように結果が出ずとても悔しかったという印象がありますね。

佐藤 昨シーズンは早慶レガッタのセカンド(第二エイト)から始まり、それからは舵手付きペアで1年生と乗ったんですけど、レベルアップ、ボトムアップという面で自分は注力できたかなと思います。

――その中で出てきた収穫や課題はありましたか

石橋 昨年の課題としてインカレ(全日本大学選手権)で優勝した年よりも力強さはあったんですけど、その分船にロスを与える漕ぎ方になってしまったので、そこを見直そうという反省が出ました。その見直す反省のきっかけが12月に行われたクロアチア合宿でオリンピックの金メダリストのコーチに教えてもらうことで少し改善策が見つかりつつあるのかなという現状ですね。今は良い方向に向かっていると思います。

佐藤 今石橋が言ったように漕ぎの面では大事だと思うんですけど、全体的な意識というか僕ら4年生や1年生含めて全学年がもう一度日本一という目標に向かっていくっていう意識の統一が結構根本的なところですけど、大事かなとは思いますね。

――昨年一番印象に残ったレースは何でしょうか

石橋 早慶戦しかないですよね。あの沈没はなかなか経験できるものではないし、あんなに悔しいものはないのかなっていう。

佐藤 経験しなくてもいいしね。

石橋 最初、監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)から「絶対船沈めるなよ」ってミーティングで言われて、僕たちも高をくくっいて「さすがに沈まないだろ」って思っていたんですけど、スタートつけたところではもう海みたいに荒れていて。これはまずいぞっていう感覚でスタートしました。スタートはいきなり慶大から飛び出して良かったんですけど、インレーンだった分、風と波を全て受けてしまい、最終的に水が入って失速してしまってなんとももどかしい感じで終わってしまいました。なので、今年はそういった環境でもしっかりと漕げるようにしたいなっていうのは今対校エイトで狙っているところですね。

佐藤 自分はセカンドの再レースかなと思います。戸田でやったんですけど。ちょうどいま早慶戦前ってことで、去年のクルーを思い出したりするんですけど、やっぱりあのレースは印象深いというか、今言ったように対校エイトがそういう結果になってしまったので、自分の中ではそこの借りは返したいなっていうのはありましたし、乗っている4年生のためにもっていう気持ちは強くありました。

――オフシーズンはどのような練習をされてきましたか

石橋 僕はずっと東(駿佑副将、政経4=東京・早大学院)とペアに乗っていまして、もともと今ちょうど戸田でやっているU23の選考に東とペアで出る予定だったんですけど、東京五輪でボートの種目が変わってしまってスイープという一本のオールの種目がなくなってしまったので、その関係で毎年あったペアの選考もなくなってしまったので

佐藤 例年ならやっているはずだったんですけどね。

石橋 去年竹内さん(友哉前副将、平29スポ卒)と一緒にペアで出させていただいて、最後の一枠で負けてしまってそこの悔しさもありましたし、竹内さんとペアで冬を乗り越えたからこそ成長したものがあったので、それを東と日本代表に向かって頑張ろうという取り組みをしていたんですけど、2月ごろにあえなく頓挫ということで(笑)。ただ、無くなった分は対校エイトの1年生や2年生といった下級生と乗るようにして、今まで東と僕で培ってきた技術であったり、経験であったりというのを下級生に伝えるようにしました。

佐藤 僕はトレーニングクルーということで下級生とエイトに乗る機会があったことで、漕手全員とクルーを組んでその人の個性や長所、改善点というのを広く見られたかなと思います。そういう点は対校エイト、第二エイト、サードもあるんですけど、ビデオとか一緒に見ながらフィードバックできるので、今もかなり生きていると思います。

――下級生とコミュニケーションをする話がお二人から出ましたが、同級生と話す時と下級生と話す時とでは違いはありますか

石橋 うちら仲悪いから(笑)。

佐藤  確かに悪いね(笑)。

石橋 僕たちの代はそれぞれ考えていることがあるので、それぞれが考えていることをお互いがぶつけ合っていくかたちです。下級生は分からないことが多いので、僕たちが経験したことを伝えていくというかたちですね。意見をぶつけ合うのと、後輩は意見を交換し合うという、そこで多少違いはあるのかなと。今の1、2年生は経験がかなり少なかったので。あと、毎年冬になると学年バラバラでエイトに乗ってみんなで練習するんですけど、今年は全日本選手権が遅かった分、なかなかそういう期間も取れなくて1年生の経験不足が見えるので、僕たちが会話から何とかしたいなという風には考えています。

佐藤 一緒にビデオを見るとか、何気ない会話の中でも何か一つアドバイスできたらなと思ってやっています。

――クロアチアに合宿に行かれたということですが、合宿で得たものはありますか

石橋 僕が感じたのがすごく緻密に練習しているなって思いまして。

佐藤 真面目だな、お前(笑)。

石橋 でも、素直にすごいなって思ったところで。今まで体が大きいので、フィジカルだけであまり頭で考えていないだろうって思っていたら、実は日本人よりも練習メニューであったり、一回の練習の中で絶対ここをやっていこうっていうのだったり、スピードは何パーセントでっていうのはすごい緻密にやっていて、体で劣っているのに頭でも劣っていたら勝てないな、っていうのは実感しました。あと、監督もよく言ってるんですけど、コーチが言った一言が印象的で。シンコビッチ兄弟っていうオリンピック優勝した人がいるんですけど、「努力をし続けることが才能だ」っていう言葉に恰好いいなと感じましたね。で、実際シンコビッチ兄弟の10年前の記録を見させてもらったら、僕たちとエルゴの2000メートルのタイムがそんなに変わらなくて。けど、今では僕たちよりも遥か上のステージに行っているので、努力し続けることでオリンピックのトップレベルなれるんだと期待というか、僕たちも頑張ったらできるんじゃないかといういい刺激を受けましたね。また真面目になっちゃった(笑)。

――佐藤選手はいかがでしたか

佐藤 女の子がきれいでした(笑)。

石橋 それ絶対言うと思った(笑) 。

『熱男』な二人

石橋は3年連続で対校の7番に名乗りを上げた

――お互いの印象についてはどのように思っていますか

石橋 僕から見たら修平は男が格好いい(と思う)男ですね。もう少ししたら新歓用のPVも完成するんですけど、修平がシャッターを上げるシーンとかもあって。

佐藤 いつも通りなんですけどね(笑)。

石橋 でも、そういうのを見ても格好いいなと思いますよね。あと、熱い。それがコールから伝わってくるので、選手も修平のコールに応えたいなというのはあります。一言でいうと松岡修造でいいんじゃないですかね(笑)。早スポのクルー紹介もこれで(笑)。

佐藤 楽しみにしてます(笑)。石橋は今会話にあるように真面目な人で、管理職みたいな人なんですよ(笑)。緻密かつ真面目で。だからこそ、信頼感があります。一緒クルー乗っていて、普段の艇庫の生活の中でも信頼できる男だと思っています。だからこそ、少し面倒な部分はあるんですが、本当にきちっとしている人なので、きちっとしすぎちゃう部分があるんですけど。でも、そこは彼のすごくいいところだと思うので、多分卒業しても付き合っていくんだろうなという感じですね。

――就活も始まりましたが、就活と競技はどのように両立されていますか

石橋 彼はもう終わっているんですけどね。

佐藤 そうですね。早い職種なので。

石橋 去年それは本当に何回も悩んで、学年ミーティングも重ねたんですけど、必然的に去年までは100%ボートに注いでいた考えを、一部に就活に持ってこないといけない。そこで、両立させるのってすごく難しいなっていうことを感じましたね。だけどウエイトとしては、ボートが50%を切ることが絶対にないように、ボートが70%、80%になるようには心掛けていましたね。やっぱりそこは4年生ならではの苦しみなんだなっていうのは感じているんですけど、逆にそこを楽しんでいて。なめているわけじゃないですけど、なるようになるんじゃないかと。しっかりボートをやってきたからこそ、他の人には言えないような経験だったり、思いだったりというのは伝えられると思うので、朝練習して、昼就活して、夕方からも練習してもう1日終わりっていうふうに、就活はとても大変ですけど、楽しめたもん勝ちかなと考えています。

――佐藤さんは部内でチーフコックスの役職を持っていますが、これはどんな役割なのでしょうか

佐藤 単純に言えばコックスの中で最上級生としてコックスをまとめることと、コーチ陣と我々コックスをつなぐことです。もちろんそんなにいきなりガラッと仕事が変わるわけではないんですけど、一つ一つの言動にさらに責任感が伴うというか、そんな感じですね。ただ、後輩がすごく優秀なので自分全然やってないんですけどね(笑)。

一同 (笑)。

石橋 すごいよな。ジン(徐銘辰、政経2=カナダ・St.Andrew’s highschool)となっちゃん(澤田夏実、スポ3=東京・小松川)は。

佐藤 そこは信頼おいてやっています。

――選手と監督の橋渡し役なのですね

佐藤 そうですね。

石橋 超重要ですよ。

佐藤 漕手が覚える感覚、コックスが覚える感覚、コーチ陣の評価にはギャップがあるのは当然だと思うんですよ。そこを自分が客観的につないでいけたらなというのは思ってます。

――石橋さんはチームの中で意識していることはありますか

石橋 僕は下級生の時から対校エイトというレギュラーポジションでやらしてもらっていたので、まずは自分が対校エイトで推進力になるというか、先輩だから後輩を引っ張っていくっていう前に、まずは自分がボートを早く進めるために努力しないといけないのかなとは思っています。後輩が実績もない人にあれこれ言われても、この先輩大してしてやってないじゃないかと思ったら(言うことを)聞かないじゃないですか。まずは、自分がこれだけやっていてこれだけボートを動かしているんだぞ、っていうのを示すことが重要だと思っています。あとはさっきも言ったんですけど、今までしてきた経験を後輩に伝えて、後輩と先輩の実力差を埋める。そこに貢献できるように今は取り組んでいます。

――お二人はこの一年で変わったこと、成長したことはありますか

一同 変わったこと…(笑)。

佐藤 何?

石橋 変わったこと…。やっぱり4年生になっていろんなことを同時にやらないといけなくなって。ボートだけに集中するっていうのが本当に難しいんだなっていうのを実感しましたね。さっきの就活の話じゃないんですけど。今までは自分が強くなればいいっていう考えで、強くなった結果先輩についていければいやっていう考えだったんですけど、今は自分が強くなるだけじゃなくて、いかに後輩も巻き込んでレベルを上げていくかっていうのも考えないといけないので、そこが難しいところですね。今までは本当に自分が一生懸命練習していればその分成果が出ていたんですけど、それだけではエイトは勝てないので。後輩に「一緒に練習しよう」とか、「ここはこうしたほうがいいんじゃないか」とか言って、後輩を巻き込むことを考えるようになった気はしますね。

佐藤 同じくです。

石橋 修平は下級生とずっと乗っていたしね。

佐藤 そうだね。後輩を巻き込む点においては、さっきも言ったんですけど、水の上だけではなくて、普段の生活や会話からっていうのは心掛けているので。別にいつもボートの話をしているわけではないので。本当に下世話な話をしたり、女の子の話をしたりっていうことばかりなんですけど(笑)。

石橋 わかりますよね、価値観が。

佐藤 そういうところからも絆ができるじゃないですか。それがいい考えになればと思っています。

――逆にご自身が下級生だった時に上級生から巻き込まれていったという経験はあったのですか

石橋 僕は逆に自分から結構(先輩に)いっていたタイプだったので、今までずっと7番乗っていて長田さん(敦元主将、平28スポ卒=現日本紙パルプ商事)と竹内さんという偉大すぎるストロークがいたので、長田さんや竹内さんから教えてもらうというより、いかにそこに追い付くかということを考えていたので、どちらかというと巻き込まれるというよりかは、自分から「どうしたらいいんですか」とか、「どういう感覚でやっているんですか」みたいな感じで、自分からいくことが多かったですね。今の後輩に足りないのはそういう部分なのかなとも感じますね。一方的に教えられるのと、「教えてください」って言って教えるのでは受け止め方が違うというか、もしかしたら中には「教えてください」って言わない子に教えても「うるさいな」みたいな感じで思っているかもしれないじゃないですか。けど、「教えてください」って言ってきたってことは、絶対何か変えたいっていう意志があるから、アクションを起こしているわけで。そういう人にはどんどん先輩も教えたいなっていう風になりますよね。

佐藤 熱いね(笑)。

石橋 熱男(笑)。

佐藤 自分も結構自分からいってたなって思うんですけどね。

石橋 結構過酷なところにおったもんね。

佐藤 乗った先輩が厳しかったので、自分からいかないとなっていうのはありましたし、コックスの先輩方にも恵まれていたなと思うので。今社会人一年目の中村拓さん(平28法卒)さんをはじめ、引退された藤川さん(和暉、平28法卒)などなど。色々親身に教えてくださる先輩がいらっしゃったので、そこはよかったなと思いますね。3人で同じ部屋とかなったんですけど、そういう時はすごく助けてもらいましたね。

――現在のクルーはどのような雰囲気でしょうか

佐藤 日本代表選考などがあって抜けることもありますけど、皆勝つために自分の意見を言い合っているかなと思いますね。そういう意見を自分が咀嚼(そしゃく)して、コーチ陣に伝える、っていうリズムはできているかなと思いますね。

石橋 だいぶ元気になってきたしね。泥臭さが必要というか。よく修平が「俺らはディフェンディングチャンピオンじゃねぇぞ」っていう風に船で言うんですけど、僕たちは今乗っているメンバーってずっとエイトで勝ち続けているメンバーというよりかは、割と新しい人が乗ってきているメンバーなので、そこを泥くさく1分1秒でも速く追求していかないといけないと思うんで。そこを修平がだいぶ盛り上げてくれているので、そこをもっと漕手で盛り上げていけたら、と思いますね。

――技術面もしくは精神面における、ご自身の艇での役割はありますか

石橋 僕は今7番というポジションで、7番というのは1番難しいポジションじゃないかなというように思っています。やはり前提としてストロークに合わせないといけない。その上で後ろの6人にどうやってストロークのリズムを感じさせてあげながら、後ろの暴走を止めるかという。後ろ6人が勢いのあるエイトは強いのですが、勢いだけではやはり勝てないのでそこをコントロールするのが7番の仕事だと思います。そこをうまくストロークに合わせながらコントロールするところがすごく難しいですし、一番前に乗っているので、リズムが大事なので、いかにしっかり水をつかんであげて長く押すリズムを刻めるかというのが7番の宿命なのかなと思ってやっています。

佐藤 本当に個性が強いメンバーで、やはり自分の意見もしっかり持っている人たちなので、自分は客観的に見て意見を取っていかないといけないなと思いますね。なおかつ他は先輩方がみんな乗り越えてきたところだと思うのですが、4年生はみな就活も頭にあるので、そういうところは1個下の3年生の人たちとうまく連携を取って盛り上げようとしています。(コックスは)全体像を常に見ていくポジションだと思います。

――3年生がやはり重要になってきますか

佐藤 いやー、重要ですね。

石橋 超大事。

佐藤 超大事。本当に。やはり後輩たちがバンバン自分の意見を素直に言える雰囲気がなければ、回らないので。そういうところは話を聞くようにしています。

――内田達大主将(スポ4=山梨・吉田)はどんな主将でしょうか

佐藤 イチローみたいな人。顔もちょっと似ているんですけど(笑)。独特の感性があって、なおかつストイックで、自分の信念があって。ボート談義をすると、すごくあいつとは面倒くさくなっちゃうんです(笑)。やはり自分の信念があるので、僕も自分の信念を持ってしゃべるし、そうなってくるとひとつになってきます。中途半端にしゃべると、うまくいかないね(笑)。本当にイチローみたいな人。

石橋 熱い人には応えてくれるけど、やっぱりそんな何も感じない人にはもうお前いいよみたいな感じです。やっぱりそういうキャプテンだと分かっているからこそ、いかにみんなが一人一人が「絶対に早慶戦優勝するんだ」「日本一になるんだ」という熱い思いを持って、内田にぶつかっていかないといけないのかな。そこは僕たちのリーダーとして認めた以上、僕たちがやっていけないといけないところです。

佐藤 プライベートは全然そんなことないですよ。なんかすごく抜けているような、ほわんほわ~んって。

石橋 ファッションセンスも独特だし。

佐藤 独特なんですよ。でもボートの上ではそんな感じ。

――オンオフが切り替えられる方なのでしょうか

佐藤 そう、そんな感じ。

石橋 オフがなんか、オフ!って感じはするっちゃしますね。その分オンがすさまじいので、やはりそのオンの入れ方はすごいなと思いますね。

――シートには6人、4年生が乗ることになります

石橋 僕はとっきー(得居亮太、法4=東京・早大学院)以外は結構ずっと一緒に乗っていて。東とは先ほども言いましたU23でも一緒に乗っていましたし、良知(石田良知副将、スポ4=滋賀・彦根東)とは6、7番でコンビ組んでいましたし、うっちー(内田)もうっちーで対校エイトで一緒でした。とっきーとは初めて乗ったのですが、とっきーって意外に感覚鋭いなと思いました。今とっきーがバウからみんなにアドバイスをくれるので、すごく頼もしいバウだなと思います。ちゃんと4年生それぞれ役割を果たしていていいんじゃないかなと僕は思います。

佐藤 2年生の新人戦でもエイトに乗り、ちょいちょいトレーニングボートなどでも4年生とは乗りました。昔より今のほうが大人になったなと思います。発言だったり、相手の意見を聞いてあげたり。自分も含めてみんなできるようになったかなと思いますし、やりやすくなったかなと思います。一回り大人になったかな、階段上っているのかな。まだまだですけど、これから練習していけばもっと上に。

石橋 まだ本番じゃないですからね。早慶戦が始まってようやくよーいドンだと思うので。正直まだ今なにも始まっていないと思いますよ。このあと30日後が勝負じゃないですか。そこからがたぶん2017年のスタートだと思います。まだ今序章です。Episode 0ですよ、『スターウォーズ』で言うと。

一同 (笑)。

佐藤 『スターウォーズ』で言わなくても良くない?(笑)。

――恒例になっていますが、今はまっていることはありますか

佐藤 はまっていること。毎回恒例だよね。どう?(漕艇部の新入生歓迎用の)PVづくり?

石橋 PVづくりははまっているというか、仕事だし(笑)。はまっているって言ったら、野球関連の動画を見ちゃうことです。今WBCもあって…

佐藤 そうだね、あれは見るね。

石橋 僕ら二人とももともと野球やっていたので、そこ結構気になっちゃいますね。この間の日曜日の夜も、寮のテレビで一緒に座ってみていました。もともと好きですけど、やっぱり今野球熱いから。そろそろ草野球大会を開催しないと…

佐藤 キャッチボールしたいね。

石橋 キャッチボールしたい!僕キャッチャーミットとか持ってきたんですよ。なのにほとんど使われてない…(笑)。1回是澤さん(祐輔前主将、平29スポ卒=現明治安田生命)と木金さん(孝仁、平29社卒)と三人でキャッチボールしただけで。そういうところで部員同士で交流できるといいですよ。今みんな夜の街へ出掛けてしまって…。

佐藤 日曜の夜にキャッチボールはしないでしょ(笑)。

石橋 日曜の夜というか、オフみんなどこかへ行っちゃうからさ(笑)。

――草野球大会をやろうという話にはならないのですか

石橋 なりますよ!早慶とかでやろうぜという話にはなるんですけど、立ち消えしてしまうんです。

――他にオフの日は何をされていますか

佐藤 俺はそんなに最近はアクティブなことはしていないけど、週一で映画を見ています。この前『ラ・ラ・ランド』を見ました。

――石橋さんは去年読書が趣味と話していました

石橋 そうだ、去年は本を読んでいました。小説好きなので。あとずっとドラマ見ていたんですよ。『24』をシーズン1からシーズン9まで全部見切りました。プリズンブレイクもシーズン1からシーズン4まで全部見ていました。

佐藤 俺のお正月の過ごし方や。

石橋 ずっとそれをやっていました。アマゾンプライム大活躍していましたね。この間まで『ウォーキングデッド』を見ていました。意外にやってるね(笑)。僕ドラマ鑑賞好きなんです。

――では早慶戦について聞かせていただきます。ことしのメンバー選考はどのように行われましたか

石橋 ことしもある程度決まっていた人がいて、決まってなかったのがストロークサイド1人とバウサイド2人だったので、そこをペアでシートレースをして決めました。ほとんど毎年一緒です。そんなに特に変わったことはしてないです。

――現時点ではどのような練習をされていますか

佐藤 土台作りかな。まだメンバーが確定したわけではないので、メンバーが変わっても同じようなスピードを出せるように丁寧に、丁寧に土台作りをしています。今週末に歓漕会があるけど、そんなにという感じです。

石橋 今は本当にゆっくりと積み上げている段階ですね。ここからあと1、2週間後から一気に急ピッチで仕上げていくところじゃないですかね。

――去年の早慶レガッタの話が先ほども出ましたが、早慶レガッタにはどのような印象を持っていますか

石橋 僕今までと言われると失格と沈没しかしてないので、いまだにゴールをしていないんです。正直2年連続で慶大に負けたという悔しさがあんまりないんです。失格の時も勝ちましたし、去年も力不足で負けたというか沈没してしまって。慶大どうこうというより、本当に恐ろしい場所だなということしか考えていないです。とりあえずことしはゴールしたい…まずはゴールをするというのが目標です。

佐藤 まずは晴れてほしいなと。あとは楽しみたいなという思いが強いですね。変にプレッシャーを感じずに楽しんだ者勝ちだと思うし、やはりそこでレースをできるのは自分たちしかいないので、応援してくださる人の分も頑張りたいなと思います。

石橋 普通に考えてゴールできないってやばいですよね。マラソンで42.195キロ走ってこれゴールじゃないと言われたらたまったもんじゃないですよ。それくらい特殊な大会なんでしょうね。だからこそそこに出られる誇りというものがありますし、高校生からも早慶戦に憧れてきましたという人もたぶんそういうところを見てくると思います。

――高校の時に早慶レガッタを見たことはありますか

佐藤 高校はなくて、大学1年の時に自分から見に来ました。

石橋 その時にたまたま会ったんです。僕も新歓担当として桜橋の下で応援していて、そしたら修平が見に来ていて。ボート部だったの?って話して、今度艇庫来るとなって…

佐藤 そしたら入っちゃいました。

石橋 入る前にいたんですよ、彼。

佐藤 1人暮らしをしていたのですが、そこを解約して。

石橋 それくらい人を動かすものが早慶レガッタにあるんですよ。

佐藤 その通り!

石橋 僕も早慶レガッタがあったから早大を選びました。最初慶大に行こうと思っていたのですが(笑)。

佐藤 ミーハーなんで(笑)。

石橋 早慶レガッタに出たくて、早大でも慶大でも正直どっちでもよかったんですけど、今は早大に来て本当に心から良かったなと思います。

――初めて早慶レガッタを見た時は、感動や衝撃が大きかったですか

佐藤 衝撃のほうが大きかったかな。学生のアマチュアスポーツで、しかもめっちゃマイナーなボートで、こんなに歓声を受けながらレースをすることはたぶん日本でないと思いましたし、早大を背負っているというのはやっぱりかっこいいなと思いました。自分としては田舎者なので、よっこら出てきて早大にようやく入ったと思ったら、次は早大を背負って戦っている人達が目の前にいるわけですから。それはかっこいいなと思います。

――お二人にとっては最後の早慶レガッタとなります

石橋 ラストイヤーだからこそ楽しめばいいんじゃないかなと思います。去年思っていたのは、沈没した時に是澤さん、竹内さん、木金さん、藤川さんたちの代で、最後の代なのに沈没してしまったということで、上の代の人たちに申し訳なかったという感じがありました。逆に今、僕が最上級生になって、下級生には最上級生の思いをそんなに背負ってほしくないなと思います。僕たちも僕たちでその分楽しむので。3年生も、2年生も思い切って来てほしいなと思います。そこの相乗効果で乗り切れると思っているので、本当に楽しんだ者勝ちじゃないですか?荒波を。

佐藤 あとは、クルーで、部活全体で信頼関係をがっちりつくって、全員で臨めたらと思います。やはりサポートしてくれる人がいないとできないので、そこは全員分頑張れたらいいなと思います。

――勝負を分けるカギはどこだと思いますか

石橋 どこと言うよりかは、それぞれのポイントで波が来て。例えば最初の神田川ですごく揺られるので、そこはコックスのカギだと思いますし、それぞれコックスがカギになるところと漕手がカギになるところがあるので、そこをうまく連携して乗り越えられたらスピードに乗っていけるのかなと。失敗するときって、コックスだけが頑張っちゃう、漕手だけが頑張っちゃって分裂してしまう時なので。コックスだったら神田川というポジションがありますし、漕手だったら最初の超大きいカーブ。それぞれ重要なここが勝負というポイントがあると思うので、そこでうまく連携して乗り越えられたらいいなと思います。

――慶大に対する印象は

石橋 絶対聞きますよね(笑)。ことし速いなと思いますよ。たぶん去年より速いです。

佐藤 確かに速いと思った。

石橋 本当に隅田川は早大が速い、慶大が速いではなく、隅田川をいかに難なく漕ぎ切ったほうが勝ちだと思うので。慶大うんぬんではなく、僕たちがいかにコースをクリアしていくかだと思います。

――最後に意気込みをお願いします

石橋 正直ラストイヤーという感じが全然しなくて…

佐藤 単位やばいからね。

石橋 俺単位超優秀だから大丈夫(笑)。本当に出られるということにやはりうれしさを感じているので、ただただ最後隅田川の桜橋を一番に駆け抜ければそれでもう満足かなと思います。やはり親や学校の関係者の方や、OBOGなどいろんな人が見てくれているので、最後僕たちが勝ってみんなが喜ぶ姿を見たいです。僕たちも喜びたいですし。そこを僕たちは2年前に失格でしたけど、味わったので。あの時の歓声はたまったものじゃなくて、もう人生であんなに達成感を得た瞬間はあるのかと言う感じでした。それを最後、修平と、他のメンバーと一緒に味わえたらいいかなと思います。

佐藤 最後までワセダらしく、自分たちのクルーらしく臨みたいと思います。変にかっこつけることなく、ね。自分らしさをバーッと出して、僕もコール一つにしろ魂乗せてぶつける。それを隅田川でやりたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 加藤佑紀乃、新開滉倫)

◆佐藤修平(さとう・しゅうへい)(※写真左)

1995(平7)年8月24日生まれ。173センチ、55キロ。秋田高出身。文学部4年。ポジションは対校エイトのコックス。『スターウォーズ』シリーズが大好きで、なんと2万円程するライトセーバーの模型を所持しているほど。趣味にもボートにも熱い佐藤選手のコールが漕手の闘志に火をつけてくれることでしょう!

◆石橋広陸(いしばし・ひろむ)(※写真右)

1995(平7)年4月25日生まれ。180センチ、72キロ。愛知・豊田北高出身。スポーツ科学部4年。ポジションは対抗エイトの7番。佐藤選手のことを熱い男と話していましたが、石橋選手もそれに負けないくらい熱くボートのことを語ってくださいました!なお、石橋選手は『ハリーポッター』シリーズが好きとのことです。