それぞれの集大成、無冠の結果から得たもの

漕艇

 現体制最後の舞台となる全日本選手権(全日本)が終幕した。早大は男子部、女子部ともに表彰台の頂点に立つことはできなかったものの、引退する4年生の選手、また残る3年生以下の選手が、今季のラストレースで奮闘。結果では表しきれない成長を手にし、それぞれの道を歩く決意を確かにした。

 終始晴天、風の流れは穏やか、水はやや順流。絶好のコンディションの中大会最終日は行われた。最初に登場した女子舵手なしペアは、前日の準決勝で苦い思いを味わい、順位決定戦に出場した。優勝の夢が絶たれ、気持ちの部分を立て直すのは難しかったが、レースプランから冷静に弱点を分析。スタートの高いレートで他艇を一気に突き放すと、そのまま1着でフィニッシュする。自分たちのレベルの高さをはっきりと証明してレースを終えた。女子シングルスカルの北村綾香(スポ2=滋賀・膳所)は、スタートで出遅れ4着に終わるも、ケガに苦しんだ一年を全日本8位という好成績で終える。自信を手に、次年度の飛躍が期待できる結果となった。続いて女子ダブルスカル決勝に臨んだのは、佐藤紫生乃女子主将(スポ4=宮城・塩釜)がバウに乗るクルー。「出し切って終わることができた」(佐藤紫)というレースは、中盤から後退し4位に終わったものの、佐藤紫は、「練習がこんなに楽しいと思ったことはない」と、最高のクルーで過ごした日々に感謝した。4年生のラストレースは続き、男子舵手なしペアの石阪友貴(政経4=東京・早実)が、長く同乗してきた東駿佑(政経3=東京・早大学院)と、順位決定戦に臨んだ。1000メートルまでに他艇に大きく差をつけられるものの、そこから驚異的なペースで追撃。3着に終わったものの、「後ろで焦っているクルーもいた」(石阪)と、最後に手ごたえを得てレースを締めくくった。

ラストレースを迎えた佐藤紫女子主将

 2、3年生だけのクルー編成で臨んだ女子舵手なしクォドルプルは、女王の座を懸けて決勝戦に臨んだ。予選ではややばらついていた漕ぎを修正し、スタートから高い回転で、500メートルまでに隣の明治安田生命とともに抜け出す。しかし、土屋愛前女子主将(平28スポ卒=現明治安田生命)をストロークに置く明治安田生命が、高いレートのままコンスタントの漕ぎへと移行。1艇身のリードを許し、状況は劣勢に。幾度も切り替えを入れ逆転のチャンスをうかがったが、余裕を持ってリードを守られ、2位に終わった。次期女子主将を務める木野田沙帆子(スポ3=青森)は、「ワセダのトップクルーにおいても足りないものが多くある」と、この敗戦から来季の課題をはっきりと感じ取った。続いて決勝戦に臨んだ1年生の漕手2人を乗せる男子舵手付きペアは、前日の敗者復活戦でうまくはまった攻撃的なプランでレースに挑む。しかし、「半分賭け」(高山格、スポ1=神奈川・横浜商)というプランを、決勝では満足に遂行できず、4位。全日本大学選手権から順位を上げられず、悔しさの残るレースに終わった。昼休憩を挟み、男子舵手付きフォアが順位決定戦に登場。早大学院出身の5人で構成されたクルーは、5年、6年にわたるチームメート生活の集大成となるレースになった。他校の対校艇も出場するこの種目で、500メートルを残して4着で進むものの、そこから気力を振り絞り、3着でゴール。全体7位で終え、同時に早大の今シーズンが終了した。

早大勢のラストを飾った男子舵手付きフォア

 無冠。苦しみ抜いた早大漕艇部の一年間を象徴するような結果だ。しかし、表彰台に届かなかった選手、決勝に残れなかった選手、誰もが晴れやかな表情で最終日を終えた。「レースを楽しむことができた」と何人もの選手がコメントした。それは決して諦めでも負け惜しみでもなく、一年間の苦労に向かっていった努力、それがもたらした力を発揮したがゆえの達成感の表れだ。それぞれの集大成を示し、4年生は次の世界へ、残る選手は来季へ、歩き出す準備が整ったラストレースとなった。

(記事 喜田村廉人、写真 坂巻晃之介、久野映)

 

☆長田前主将が男子シングルスカルで3位!

シングルスカルで3位に輝いた長田前主将

 昨年、早大漕艇部をけん引した長田敦前主将(平28スポ卒=現日本紙パルプ商事)が男子シングルスカルで見事3位に輝いた。予選では2着となり敗者復活戦に回ったが、ここから快進撃を展開する。敗者復活戦では、盤石な漕ぎを披露しトップフィニッシュ。迎えた準決勝でもスタートから他艇を引き離し、決勝の舞台への切符をつかみ取った。決勝は首位に遅れをとり、日本のトップクラスに君臨し続けている武田大作(ダイキ)との3位争いとなる。それでも終始、頭を譲らずにレースを展開し、第3クオーターでは5秒差をつけてリードを奪う。長い手足を生かして艇を中盤以降伸ばし続け、第3クオーターでは約5秒差をつけることに成功。その勢いを最後まで落とすことなくゴールへと漕ぎ進め、見事に全日本で3位という結果を収めた。長田前主将の活躍に早大漕艇部の選手も大喜び。前主将の活躍は早大漕艇部に新たな刺激を与えたに違いない。

女子舵手なしクォドルプル

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結果

【決勝】

▽男子部

【舵手付きペア】

C:佐藤修平(文3=秋田)

S:髙山格(スポ1=神奈川・横浜商)

B:堀内一輝(スポ1=山梨・富士河口湖)

7分57秒76 【4位】

▽女子部

【ダブルスカル】

S:木下弥桜(スポ1=和歌山北)

B:佐藤紫生乃(スポ4=宮城・塩釜)

7分42秒39 【4位】

【舵手なしクォドルプル】

S:木野田沙帆子(スポ3=青森)

3:米川志保(スポ2=愛知・旭丘)

2:石上璃奈(スポ3=長野・下諏訪向陽)

B:木下美奈(スポ3=山梨・富士河口湖)

6分56秒49【2位】

【順位決定戦】

▽男子部

【舵手なしペア】

S:東駿佑(政経3=東京・早大学院)

B:石阪友貴(政経4=東京・早実)

7分16秒70 【3着 全体7位】

【舵手付きフォア】

C:片所宏介(社3=東京・早大学院)

S:有田雄太郎(法3=東京・早大学院)

3:金子怜生(社2=東京・早大学院)

2:得居亮太(法3=東京・早大学院)

B:菅原拓磨(国教4=東京・早大学院)

6分57秒49【3着 全体7位】

▽女子部

【シングルスカル】

北村綾香(スポ2=滋賀・膳所)

8分28秒42 【4着 全体8位】

【舵手なしペア】

S:田口えり花(商3=埼玉・浦和一女)

B:土井鈴奈(教4=埼玉・浦和一女)

7分59秒92【1着 全体5位】

コメント

B:佐藤紫生乃女子主将(スポ4=宮城・塩釜)

――予選、準決勝から決勝までどのような調整をされましたか

予選のときは終始自分たちのいいところを出せずに終わってしまったなというのがあったので、準決勝では自分たちがやってきたことを出し切るという覚悟をもって臨みました。前からキャッチでしっかり船を動かして後ろまで加速し続けるということだったのですが準決勝の方でやることができたので、決勝に向けていいレースが積み上げられたかなと思います。

――大学生活ラストレースとなりました。いかがでしたか

きょうは本当に楽しくて。きつかったのですが、あっという間に終わったなというのがあって。練習もそうですし予選と準決勝を漕いできた中でも一番良いものが出せて、弥桜ちゃん(木下、スポ1=和歌山北)も私も出し切って終わることができたので良かったなと思っています。

――木下弥選手とのペアはいかがでしたか

練習がこんなに楽しいと思ったことがないっていうくらいに良い意味で楽しくて。ただ消化する練習ではなくて、いい中でもさらに良くしていくためにどうしていこうかというのを常にフィードバックし合いながら漕げたのが良かったと思います。弥桜ちゃんは良い意味で合わせがいのないくらいにとても良いリズムを常に刻んでくれていたので、私も安心して漕ぐことができたし、弥桜ちゃんのためなら本当に何も出ないっていうくらいまで追い込めると思っていました。弥桜ちゃんも私のことを信頼してくれているというのも分かったし、気持ちの問題で二人で頑張っていくんだというのを練習の段階から確かめ合いながら漕げていたと思います。私はこの1年間ボートが苦しくて、ワセ女として勝たなければならないという思いもあったのですが、2カ月弥桜ちゃんと組んでみてボートってやっぱり楽しいなって思わせてくれたので…弥桜ちゃんには本当に感謝しています。

――主将として引っ張ってきた1年間、どのような年になりましたか

去年の先輩方はオリンピアンの先輩もいて絶対的な選手が二人いたので、その二人が抜けてしまって私たちの代は勝てるのかと思われていた方々もたくさんいましたし、私自身も不安で押しつぶされそうな感じで焦ってしまって、自分の漕ぎもうまくいかないこともあって、苦しい時期が本当に続いて。ちょっと良くなったらまた課題が見えてくるかたちだったのですが、同期をはじめみんなが支えてくれて私がリーダーシップを発揮できる部分もあって、苦しい中でも最後はしっかりインカレ(全日本大学選手権)も全日本(選手権)も勝ちにこだわってできるシーズンだったと思います。監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)やOG・OBのみなさんとか家族とか、ここにいるみんなとか全員に支えられて過ごせた一年だなと思いました。

――漕艇部で過ごした4年間を振り返っていかがでしょうか

一緒に居過ぎて…。普段生活しているときはお互い日本一を本気で目指しているがゆえに衝突もあったし、一緒に乗ってるクルーの中でもギクシャクしたこともあったのですが、やっぱり最終的に戻ってくるところはここだなと思っています。それを受け入れてくれる後輩もいて、言葉で表すことが難しいのですが、自分が帰るべき場所はここなんだなと思っています。

――同期の方々に改めて伝えたいことや思いはありますか

私たち4人は全員性格が違くて。でもそれぞれに良いところがあって、違うからこそ見えるところって良い悪いどっちにしろあると思うのですが、私を含め4人の良いところが最後の方にかけては特にお互いを支え合ってボート生活を送れたので良かったと感じています。ここの部は引退するのですが、早稲田大学漕艇部の同期っていうのは一生変わらない同期で、引退してもこれからも四年間頑張った同期として一生付いてまわることだと思うので、これからも女子だけではなくて男子も、ずっと一緒に居続けたいなと思います。

――最後に、後輩のみなさんに伝えたいことはございますか

本当に個性豊かでいろんな子がいて、でもそれがワセ女だと思うし、みんなの良さが結集されてこそ勝てるのがワセ女だと思っています。毎年インカレは勝てるのですが、全日本は主力メンバーを注いでも勝てないときもありますし、厳しい戦いにはらいねんもなると思うのですが、その中でも絶対に勝てる力のある後輩たちだと思いますので頑張ってほしいと思います。さっきも言ったのですが引退はしますが、後輩はずっと後輩で変わらないので、応援しているから頑張ってほしいというのと、本当に感謝しかないのでありがとう、というのと大好きだよ、というのを伝えたいです。

B:土井鈴奈(教4=埼玉・浦和一女)

――1日目、昨日の敗者復活戦とここまでの二戦を経て、本日のレースにむけての意気込みはいかがでしたか

私たちはインカレからずっと組み続けているクルーで、インカレでは優勝という結果を残しているのでこの全日本でも優勝を目指すって気持ちでいました。でも運や天候に負けてしまった部分もあって予選でいい結果を残せず、敗者復活戦でも力及ばず負けてしまって、全日本優勝を目指していた分切り替えがよりやりづらくなってしまっていた部分はありました。でももう1回きょう切り替えて、最後いいレースをしようと二人で話して臨みました。

――田口選手(えり花、商3=埼玉・浦和一女)とは具体的にどのようなお話をされましたか

順位決定の場ではあるんですけれどしっかりそこで勝って終わりにしようっていうのは話していました。あと、いい意味であまりプレッシャーを感じずにできるレースだったので、いい意味でリラックスして自分たちのできる一番いいレースができたらと言っていました。

――実際レースを振り返っていかがですか

今まで以上に田口と二人で声を掛けあって励まし合いながらできたレースでした。私たちは全日本のこれまでのレースで、500メートルまでは頭を取るんですけどそのあと相手に出られてしまうっていうレースを続けてしまっていたので、いつも出られてしまうところできょうは絶対に出られないという気持ちでやりました。1000メートルで出し切るくらいの気持ちでいて、もちろん後半体力的にきつい部分はあったんですけれどそのときに二人で声を掛けあって励まし合いながらっていうのが今までで一番できました。

――ではレースプランとしては、前半で前に出るというものだったのですか

はい、そうです。スタートが済んで軌道に乗ると落ち着くところがあるんですけれど、そこで落ち着かずにどんどん攻めていこうというレースプランでした。

――もちろん周囲の環境やコンディションもあるかと思いますが、本大会で一番いいタイムが出ましたね

自分たちが目標としているタイムには届かなかったのですが、やっぱり冬っていうこともあってなかなかタイムが出にくい中で自分たちの中で一番いいタイムが出せたことは評価してもいいのかなと思います。

――大学生活最後のレースとなりましたが、振り返っていかがですか

引退してボートの大会を思い出すってなったときに、おそらく思い出すのがきょうのこのレースなんだろうなって思いますし、きょうはそういうレースができたかなと思います。いつもスタートから応援してくれている人の声ってなんとなく聞こえているんですけれど、きょうは全部の応援の声が「この人の声だ」って全部わかるくらいはっきり聞こえて。ラストでは応援団の方がいて下さって、観客の人もたくさんいてっていうのを見ながら「これが最後なんだな」って苦しい中で思っていました。いつもレースが終わるとレースのさなかのことってあんまり覚えていないのですが、きょうのレースはスローモーションみたいに全部はっきり覚えているので、すごく心に残るいいレースだったなと思います。

――この四年間を振り返って改めていかがですか

私は高校の時からずっとボートをやっていて、それまで全くスポーツをやっていなかったのですが「自分を変えたい」って思ってボートをはじめて、頑張ってきたのを高校三年間だけじゃもったいないっていうのともっとやりきりたいっていう思いで大学でも続けることにしました。本当に、ボートをやって良かったなと思う四年間でした。苦しいことやつらいこともたくさんあって多分日数にするとそっちの方が多いと思うんですけれど、その分嬉しかったことの振れ幅はすごく大きかったです。本当に嬉しいことはみんなで喜んで、自分の事だけじゃなくて仲間のことでも、ここまで本気で喜んで本気で悔しがってって経験ができたことも、この部活ならではだったと思います。今はまだあんまり実感がないのですが、本当に貴重な経験ができたとあとから思うんだろうなと思います。

――共に切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間への思いは

みんながいなかったらこんな経験はできなかったですし、自分一人ではできない事をこの部でたくさんさせていただいたことに感謝でいっぱいです。同期もですしお世話になった先輩・後輩やOB、コーチや監督、それからこうやって応援に来て下さる応援団の方や早スポの方とか、ほんと皆さんに感謝の気持ちしかないです。

――最後に、後輩に伝えたいことはありますか

せっかくこうやって女子部員が増えて部としても組織がどんどん大きく、力強くなっているときなので、みんな自分の事ももちろんしっかり頑張りながら、周りをしっかり見れる視野の広い人になってほしいなって思います。自分だけで勝てるものではなく、いろんな人の支えがあって練習ができ試合ができていることを忘れず、周りを見て支え合って頑張ってほしいです。これからはOGとして支える立場になるので、みんなの事を精いっぱい応援していきたいと思います。

B:石阪友貴(政経4=東京・早実)

――ラストレースを終えて、いかがですか

やっと終わったなという感じです。みんなが言うように、本当に長いシーズンでした。インカレが終わってから2カ月あったので、やっと引退レースが終わったなと思います。

――きょうのレースプランは

プランはあまり決めていなくて、最初の500メートルで相手の艇を射程圏内に捉えつつ、コンスタントで詰めていくという、いつものプランを想定していました。

――レースを振り返っていかがですか

ラストスパートが良かったと思います。自分たちが早めにラストスパートに入って、後ろで焦っているクルーもいましたし、ラストは手応えがありました。

――7位という結果についてはいかがですか

微妙な結果ですが、結果に満足するというよりは、レースが楽しかったなという気持ちです。

――この4年間を振り返っていかがですか

最後のシーズンも長かったですが、4年間も長かったです。いろんな人を巻き込んで、いろんな人に支えられて、ここまで来たなと思います。

――未経験からここまでボートをやってきたことについてはいかがですか

自分が未経験だからどうこう、と思っていたのは、最初の2年間くらいだけでした。その後の1年半は、逆に未経験者の自分がいくところまでいければ、他の未経験者やハンデを持ってる人の勇気になるかなと思ってやっていました。

――きょうで引退となりますが、後輩に期待することはありますか

4年間レースを何十本と漕ぎましたが、僕の中で早慶レガッタはとても大切な大会でした。僕は一回も隅田川で勝てなかったので、一緒に乗って負けた後輩や隅田川で漕げなかった後輩には、来年や再来年があるので、しっかりやってほしいと思います。

B:菅原拓磨(国教4=東京・早大学院)

――率直ないまのお気持ちは

引退してしまったんですけど、結果はともかく僕はこのクルーでやれてよかったなと思っていて、悔いはないというのが率直な感想です。

――試合内容としてはいかがでしたか

きょうのレースでは3着で、僕たちは4位以内を目標としていて全体の7位なのでよくはなかったと思います。ただ、最初に出られてしまって最初4位だったのですが最後には1艇差せたのでよかったです。先ほども言ったのですが、やることやった上でのこの結果なので悔いはないです。

――ラストレース前、クルーのみなさんになにか声掛けなどはしましたか

きょうで最後ということで僕の中でいろいろ思うことがあり、クルーも学院時代からずっと一緒にやってきたメンバーなのでこみ上げてくるものはありました。でも、みんなにはいつも通りやり切ろうと声は掛けました。僕が何を言っても変わらないぐらい、みんなの腹は決まっていたので特に言葉では言いませんでしたね。

――一緒に戦ったクルーの後輩たちに、何か特別な思いはありますか

僕がすごく尊敬する先輩に、後輩を大事にしろというのはすごく言われていて、僕自身もそれを意識してきました。特別な思い入れを持って接していた後輩たち、というのがきょうのクルーになって、彼らは僕を勝たせたいと言ってくれていたんですけど、僕は彼らが少しでも成長できて、いいものを残せたらいいなと思ってやってきました。勝たせたいと思ってくれてることはもちろんありがたいし、そういう特別な思いも大切なのですが、言葉だけではなく、実際の行動が一番大事だと思うので、それをやり切れたところがよかったです。あと、一言で言うならば感謝していますね。彼らは、高校生のときに日本一を取っていて、僕は高校の大会で6位しか取ってないので逆に彼らから学ぶことは多かったです。僕は、彼らをまとめるところにいたので、そこはまとめ切れたと思っています。

――4年間を振り返っていかがでしょうか

僕は、1年間留学に行っていたので、ここでは1年間漕いでないんですけど、二流の選手で終わってしまって対校エイトにも乗れていないし、最後の全日本でも7位という結果は選手として特筆する点ではないんですけど、特に意識していたのは、ポテンシャルがないなりに努力をして自分の100パーセントの力を出し切るということを目標にしてやってきました。今シーズンは、早慶戦も勝って、インカレでは準決勝で負けてしまったんですけど最後はこうやって最終日まで残ることができて、大きな成長だと思っているので、四年間かけてコツコツ積み上げてきたものが間違いなく出たなと思います。

――今後の早大漕艇部に望むことはありますか

僕が一緒に乗ったクルーに伝えたことは、反省点を見つけて課題を見つけてそれを潰して少しずつレベルアップしていくということです。僕たちはいつもそれをやっているんですけど、やってはいるんですけど、形だけになってしまいがちなんです。PDCAを意識してやっていて、ミーティングして練習に生かして、と何度もやってきたんですけどなぜ伸びないかというとそれができていないです。僕はインカレで思うような結果がでなかったときにコーチと一緒に詰めに詰めて、それでここまで実力が伸びて手応えも感じることができました。すごくシンプルなんですけど、とても難しいことなんですが、それが達成できたということが僕が後輩に残したレガシーだと思っています。それが来シーズンに生かせなければ意味がないと思ってるし、早慶戦の連敗も止まらないと思います。僕と一緒に乗っていた三年生がこれから部の核になっていくと思いますが、その核となるメンバーがちゃんと僕から学んだことを生かせれば、いいシーズンが迎えられるのではないかと思います。

S:木野田沙帆子(スポ3=青森)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

今回は出艇クルーが少なくて、全体で2本だけのレースになってしまったんですが、予選のレースで少しばらついてしまったところがあって、決勝ではそれを改善しようと思って臨んだレースでした。予選での明治安田生命とのタイム差は3秒で、そのばらけがなくなれば3秒を縮められると思って臨んで、確実に予選より漕ぎは良くなっていたんですが、社会人相手だった分、第2クオーター、第3クオーターで安定した漕ぎが出せずに、結果予選と同じ3秒差で負けてしまいました。悔しい部分もあるのですが、私たちは2、3年生なので、来年につなげていければいいなと思います。

――明治安田生命のスタートスパートが長く、そこで1艇身の差をつけられてしまいました

もともと攻めたレースをしようと話し合っていて、相手に出られても攻めていこう、相手が攻める前にこっちから攻めようという方針で、私たちもこまめに切り替えを入れてスピードを上げようとしていたんですが、やっぱり明治安田生命の方が一枚上手でした。

――前半で出られることはある程度想定済みでしたか

そうですね、リードされても追いつくということは考えていました。

――クルーの仕上がりは

1カ月ちょっとくらいしか練習してないクルーで、その中でもユニフォーミティーは出てきていましたし、試合前の練習も、ピークと同じくらい出力を出したローイングができていたので、それに関してはすごい良かったかなと思います。

――切り替えのタイミングはどこでしたか

細かく決めていたのは、クオーターごとだったんですが、最終的には明治安田生命と競ったことにより、決めていたタイミングよりも多くなりました。

――全員が3年生以下のクルーで得たものは

4年生がいない分得たというよりは、今回のレースにおいて学んだというか、来年があるので…。このクルーで得たというよりは、このレースで、ワセダのトップクルーにおいても足りないものが多くあって、漕ぎの乱れだとか、押しのタイミングだったりとか、細かい部分がずれて明治安田生命に負けてしまったので、そこはトップクルーの弱点はワセ女の弱点ということで、それを次以降につなげていけるようにできればいいかなと思います。

――今回は米川(志保、スポ2=愛知・旭丘)選手を3番に置き、木野田選手をストロークにするというシート順でしたが、その手ごたえは

私はダブル(スカル)のときもストロークをさせていただいたんですが、木下弥桜(スポ1=和歌山北)と、(クォドの)後ろ3人の漕ぎが違う中で、1カ月やって、米川も、後ろの二人も合わせてやってくれました。米川は人一倍力のある選手なので、私と合わせるのはすごく難しいと思うんですけど、その中で彼女なりに頑張ってくれたなと思います。

B:木下美奈(スポ3=山梨・富士河口湖)

――本日の決勝はどういった意気込みで臨まれましたか

優勝を狙っていたレースでした。チャレンジャーではあるんですけど、優勝するぞという気持ちを持って今まで4人で取り組んできました。

――4人でどのように今まで練習に取り組んできましたか

私たちは練習の様子を撮ってそれを後から見て意見交換やコミュニケーションを取るビデオミートを多めに行ってきました。同期3人と後輩1人のクルー編成でしたがたくさん互いに意見も言えてコミュニケーションの面を磨くことができました。

――本日のレースを振り返って

予選では1着でしたが、クオーターごとのタイムを出した時に第2クオーターでのタイムが他艇よりも遅かったのでそこを意識していたのと、ラストの部分を課題に決勝のレースは臨みました。コックスがいない分、後ろから私がその役目を果たしていて、早めに勝負を仕掛けようとしていたんですけど一歩及ばなかったです。

――明治安田生命の印象をお願いします

やっぱり第2クオーター以降が強いと思います。第1クオーターまではタイム的にも並んでいたんですけどそこでコンスタントレートに落としたことでじわりじわりと突き放していける、そこで勝負をかけて突き放していける部分が明治安田生命の強いところでした。

――レース後はどういったお気持ちでしたか

やっぱりすごく悔しかったです。明治安田生命に及ばなかったけれども、組み立ての頃より着実に進歩しているのは感じていますし、今回のレースは全員がコールに反応して攻めていこうという気持ちを持ってまとまることができました。ただ、これから勝っていくためには、この結果をしっかりと受け止めてレベルアップをして、また来年度にリベンジを果たしたいです。

――部に残るメンバーでのクルー編成でした。今後の課題と収穫は

収穫は、みんなでまとまることができたことと、ここぞという時に攻める姿勢を貫き通せたことです。私もこのレースに臨むまでに3人のことを信頼できたので、そういった関係が築けたことも収穫かなと思います。課題は後半の少しのばらつきであったり中盤ですね。

――4年生と臨む最後の大会となりました

そうですね、直接的には全日本では先輩方と乗ることはありませんでしたが、今までに一番お世話になってきた先輩方です。艇やマネージャーと漕手といった立場が違っても4年生たちを輝かせるためにも結果を残したいなと思っていました。

――4年生に対してはどういった思いがありますか

やっぱり何よりもお世話になったというのがあります。それは水上や練習でもそうなんですけどプライベートとか陸の上でも意見を言って頂いたり、アドバイスを頂いてすごく支えていただきました。

――特に部を率いてきた佐藤紫生乃女子主将(スポ4=宮城・塩釜)にはどういった思いがありますか

もう本当に、拝みたいくらいです(笑)。わたしは紫生乃さんがいたからこんなにも頑張ってこれたと思っています。2年連続でインカレに一緒に出場させて頂いたんですけど、私が2年生の時は先輩しかいない艇で。その中で紫生乃さんにうまく声かけをして頂いたり、たくさん気にかけて頂きました。そういったしおのさんにすごく精神面で支えられる部分が大きかったですね。ここまでまとまることができたのも主将、副将、4年生の先輩方がいてくれたからだと思います。

――来季の意気込みをお願いします

今シーズン終えてみて、最後に全員で納得いく気持ちで終わりたいというのもあるんですけど、何よりも結果が欲しいときょうのレースを終えてみて思いました。私もまだまだ未熟ですが、男子も女子も優勝したいという気持ちがあります。そのためにも4年生の幹部代がしっかりしなきゃと思いますし、個人としては主将が引っ張ってくれるところで副将の私がうまく支えていければと思います。最終学年の自覚を持って女子部を率いていきたいです!

3:金子怜生(社2=東京・早大学院)

――きのうのレースを踏まえて改善しようとした点や何かクルーで話したことはありますか

きのうのレースは前半1000メートルでは結構良いペースだったのですが、第3クオーターでの失速がかなり大きかったので、それはきょう改善しようとして臨みました。

――順位決定戦ということでしたが、どのような気持ちで臨みましたか

5位から8位が決まるので、もちろんその中で1番を取るつもりで頑張りました。

――実際にレースを振り返ってどうお思いですか

全日本で臨んだ4レースの中で毎レースしっかり課題を見つけてそれを次のレースで改善しようとしてるのですが、きのうの反省を踏まえてきょうというのは出来たかと思います。

――ゴール直後かなり悔しそうな様子でしたが、詳しく教えて下さい

悔しいというよりはすごく出し尽くした気持ちで、ローアウトという言葉がありますけど、まだ気絶していないのでローアウトではないにしても力が入らないという感じで、しっかり今出せるものは出せたという達成感はしっかりあります。もう終わってしまったので4年生の菅原拓磨さん(国教4=東京・早大学院)が残してくれたものをらいねんの全日本で生かすなどしてこの悔しさをぶつけたいです。

――引退する先輩に対してはどのような気持ちですか

特に高校が早大学院出身で同じで、後ろに乗っていた菅原さんは僕が高校1年生の時の主将だったのでわりと思い入れが強く、何とかして菅原さんが納得するレースをして送り出したいと思っていました。

――冬季中の目標とらいねんに向けてお願いします

今までやってきたことは決して間違ってなかったので、しっかりそれを糧にしながらもう一回、自分を客観的に見つめ直して何が足りないかなどを冷静に判断して頭も使いながらなお一層フィジカルの面も今回の大会で弱いと感じたので見直していきたいと思います。

北村綾香(スポ2=滋賀・膳所)

――きょうのレースを振り返って

予選の準決勝での反省を生かしてしっかりコンスタントに漕ごうと思っていたのですが、スタートを出遅れてしまって自艇で集中し過ぎてしまったかなと。

――きょうのレースプランを教えてください

きのうはスタートから500(メートル)までを少し力み過ぎてしまったので、そこをリラックスしてしっかり艇を伸ばすというプランでした。でもスタートをもう少し頑張れたかなと反省しています。

――スタートを出遅れてしまった原因は

スタートでつくったスピードを少し早く落としてしまったかなと。

――きょうのレースの4着という結果については

やはり順位決定戦なので1着でゴールしたかったなという気持ちはあってすごく悔しいのですが、全日本という舞台で順位をつけられて自信になりましたし、これから頑張っていこうと思う結果になりました。

――全日本選手権では順位をつけることが目標だときのうもおっしゃられていました

正直ことしいろいろあって、自分の実力もわからない中で「順位がついたら嬉しいな」と思う程度だったのですが、練習する中でその思いがどんどん強くなって。8位というまだまだな結果なのですが、それでも着実に一歩進めたと思える良い大会になりました。

――今回の大会全体を振り返って

完全復活してから初めての全日本というこの大舞台だったのですが、これからまだまだ強くなりたいなという気持ちが再確認できた大会でした。

――来季は学年も上がりますが、どのような先輩になりたいですか

今の3年生は実力のある方ばかりなのですがその方々に負けず、また入ってくる1年生も強い子たちなのでその子たちに「すごい先輩だな」と思われるような実力のある選手に。またうちの学年は温かいというか、そういう仲の良さを女子部全体に共有できるような先輩になりたいと思います。

――きょうで引退となった4年生に向けて一言お願いします

今の4年生にはつらい時支えてもらったり、嬉しい時もすごく喜んでもらったりいろいろな感情を共有できる先輩方だったので、引退されるのはすごく寂しいなという思いです。1年半というそんなに長くない期間なのですが、一緒に練習できて良かったなと思います。

――来季に向けて意気込みをお願いします

この冬にしっかり土台を作って、らいねんはもっともっと上を目指して頑張っていきたいと思います。

S:高山格(スポ1=神奈川・横浜商)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

決勝に出場できたのに4着という結果で、表彰台に届かないで終わったのですごく悔しいレースでした。

――きょうのレースプランは

レースプランは敗者復活戦に回ったところでガラッと変えました。レートが基本から上がって、かなり攻撃的な、半分賭けくらいのレートでレースをしました。敗者復活戦ではそれがうまく決まって、高いレートで行ってスパートもしっかり上がるというレースが出来たのですが、今回決勝になって昨日の疲れもあって若干合わなくなってしまい、いまいち決まらない、二人がはまらない状態でのレースになってしまいました。レースプラン自体は敗者復活戦と同じ攻めるかたちで漕いだのですが、レースプラン自体を守れなかったのが悔しいです。

――ミーティングではどのような話をされましたか

もともと二人の漕ぎがあっていないというのが課題としてあったのですが、それがいまいち修正されないままになってしまって、レートを上げるというある意味で強行的な手段にでて、それがうまく決まった敗者復活戦があって、それは自信になりました。でも、決勝ではそれがうまく出来なくて、やっぱり自分たちの弱さはこういうところだなというフィードバックがありました。

――今回の結果をうけてどう思いましたか

理想としては敗者復活戦に回らずに決勝に行ければよかったんですけど、そこは結果論で、うまくいかなかったことを話してもどうにもならないと思います。でも敗者復活戦の内容としては自分らが一番成長したようなレースだったと思うのですが、そこで疲労がたまって決勝にひびいたので、すべてがいい方向には向かわなかったのですが、全部悪かったわけではないので、何とも言えないです(笑)。

――今回浮かんだ改善点などはありますか

やっぱりクルーで合わせるという基本と、水中でどれだけ押せるか、1本1本で船を進めるというところが足りなかったので、そこが課題です。

――来年に向けての目標など

早慶戦でとにかく対校に食らいついて、先輩たちにも食らいついて、対校に乗りたいと思います。