最後の戦いが始まる。全日本大学選手権(インカレ)の対校エイトには是澤祐輔主将(スポ4=愛媛・宇和島東)、竹内友哉副将(スポ4=愛媛・今治西)、木金孝仁(社4=東京・早実)、藤川和暉(法4=東京・早稲田)の四人の4年生が早慶レガッタに引き続き選出された。対校エイトが見据えるのは、ただ一つ。表彰台の頂点だけを見据え、最後の夏に懸ける4人に心境を伺った。
※この取材は8月25日に行われたものです。
ラストイヤーの生活
コックスとしてかじを切る藤川
――お忙しい中だとは思いますが、オフの日には何をされていらっしゃいますか
木金 僕は同期で遊びに行くことが増えましたね。今まではボート部ではない人たちと遊びにいこうと思っていたんですけど、引退前なので同期の仲を深めないとな、と思って。よく皆で川に行ったりとかサイクリングに行ったりとか、寮でお酒を飲んだりとかして仲を深めています。愛を深めています。
是澤 自分も木金と同じで、4年生になってようやく仲が良くなってきたかなと思います。藤川とかはあんまり来ないんですけど、ここに住んでいるメンバーで集まったりごはん食べたり、いろいろやっていますね。
竹内 僕も日曜の夜とかに寮のソファーで4年生で集まってお酒飲んだり、ユーチューブでライブの映像を見ながらみんなで盛り上がったりしています。きのうは自転車で東京湾の方までこいで、サイクリングに行きました。
木金 ソフトクリーム食べられるからって騙されて、ついていったら東京湾まで行かされるっていう。
竹内 (笑)。ソフトクリームはなかったですね。
藤川 僕は家でぐったりしています。
一同 (笑)。
藤川 あんまり遊んではいなくて。体調悪い日もあってあんまり動いてはいなくて。
木金 その割には寮出てから家に帰るまでの自転車の速度がすごいよね。
藤川 最近はそうでもないよ(笑)。
――オリンピックイヤーでしたが、オリンピックはご覧になられましたか
是澤 そうですね。ワセダの同期の瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)が出ている400メートル個人メドレーとか、陸上の400メートルリレーを見ました。日本人は勝てないと言われていた種目で勝てていてすごいなと思いました。
藤川 自分はボートを見ました。今回の大会はライブストリーミングされていて、エイトの決勝とか軽量級の女子ダブルスカルの順位決定戦を見ました。印象に残ったのが、エイト決勝でドイツかイギリスかというところでイギリスがすごく良いレースをして勝ったというのが印象的に残りましたね。
竹内 僕はカヌーです。ゼミで一緒の同級生の子がその種目で日本代表で、今回は出ていないのですが東京五輪目指している子がいて、アジア人初のメダルをとったというのが印象に残っています。
木金 ちょっと待ってください。僕もかっこいいこと言おうと思ったんですけど。
竹内 パワプロ(実況パワフルプロ野球)しかやってないから(笑)。
一同 (笑)。
木金 どっちかというと甲子園見ていました。でも印象に残っていることは是澤と被ってしまうのですが、リレーが印象に残っていますね。メンバーの全員が個人では決勝出ていなかったんですけど4人になるとバトンとか息を合わせるところで細かく技術を高めていって、しっかり決勝では結果を出してっていうところがボートでも個人が速くなくても、全員が合わされば勝てるんだなと思いました。
――甲子園では何か印象に残っているシーンはありますか
竹内 長くなるぞ。
木金 どれが一番印象に残ったとかはないんですけど見ていて思ったのが、ことしの甲子園は笑顔でプレーしている高校球児が多いなと思って。それを見て思ったのは、チームとしての勝利を追い求めるというは練習の中で大事だと思うのですが、最後のぎりぎりの勝負になったところでは自分がのめり込んで、楽しむくらいになった方が真の力が発揮されるのかなと思いましたし、やっぱり自分もそこまで余裕をもってプレーできるようにしたいなと思いました。
――四年間で変わったなと思う同期の方はいらっしゃいますか
竹内 真面目な回答すると杉田(陸弥、人4=栃木)だね。最初同期で近くのお店で食事に行ったんですけど、その時に注文を自分が間違えて、店員さんが「こうですよね?」って訂正されたら、机たたいて「そうです!」って逆ギレして(笑)。でも今はしっかりしていて、内定も出して、一人前の大人になったなと(笑)。
木金 そこまで変わった人はいないんですけど…。元がやばい人たちの集まりだったんですよ(笑)。更生したというか、普通になったというか。
――一緒に生活をしていて今だから言える、直してほしい部分がある方はいらっしゃいますか
木金 こっち見んなよ!こっちを見んな!絶対来ると思った!
一同 (笑)。
是澤 木金が自分の物を管理できないところですね。だいたいその辺に行って、落ちているものは木金の物です。
木金 すいません、本当に。なわばり意識が強くて。猫とかと一緒ですね、マーキングじゃないけど。靴下とかだいたい片方ないですね。
――木金選手はいかがでしょうか
木金 第三者がボート部に関わりに来るときに人見知りを発揮することはやめてほしいですね。きのうも高校生がきたんですけど、あっちも緊張しているし、なぜかこっちも緊張しているっていう。全員が全員ではないのですけど。あとは1年生の時の話ですが、例えば僕が入部したときに初めて寮に入ったんですよ。そうしたら皆が同期歓迎会をやっていて、近くのロイヤルホストに連れて行ってくれて。楽しみだなと思って座っていたら、席に着いた瞬間、一斉に携帯取り出して、見始めて会話が無くなって。僕が一番しゃべるっていう。4年間に不安を覚えたのを思い出します。それよりはみんな仲良くなれて良かったです。
竹内 僕は大事なミーティングをしているときに、いきなりピロリーンって鳴るんですけど(笑)。
木金 俺じゃん!!
竹内 そうなんです。だいたい木金なんです。監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)が良い話をしていて、みんなが集中しているときで静かなのにピロリーンって鳴って。集中が切れるのでやめてほしいですね(笑)。
木金 分かった分かった。分かった。
一同 (笑)。
木金 何で集中攻撃するの。
是澤 だって、後はまともだもん。みんな。
――藤川選手はいかがですか
藤川 今、言ったくらいですかね。
一同 (笑)。
木金 いいこと言ってくれ…。
――個人的にはまっていることはございますか
竹内 サイクリングじゃないですかね。週に2回は行っています。最近は上流の方をずっと上っていくと牧場があって。往復で70キロくらいあって、向こうでソフトクリームを食べて帰ります。
木金 原宿や渋谷でバーニャカウダ巡りを…。
竹内 うそつけ!
木金 言ってみたかった(笑)。おしゃれじゃない?
是澤 おしゃれじゃなくない?
木金 おしゃれじゃない?!
竹内 じゃあ、次で。
木金 ごめんなさい。夏休みで時間も増えてきたというのがあって、一人の時間を大切にしています。本を読んだりとか、ラジオを聞いたりしています。爆笑問題とかトータルテンボスとかの番組を聞きます。
是澤 あまり趣味とかないのですが、個人的にはゆっくり温泉につかるのが好きなので、巡ってはいないのですが近くの温泉に行っています。
藤川 僕はお茶ですかね。
竹内 それは間違いないね。
藤川 2年生の後期になってから二人部屋になったのですが、そこからずっとお茶はコレクションですね。
――ごちそうはされるのでしょうか
藤川 あまり…。
竹内 お茶入れてくれよ!
藤川 来てくれれば…。
一同 (笑)。
早慶レガッタを糧に
最後の夏に対校エイトとして挑む木金副将
――改めて、早慶レガッタを振り返っていかがでしょうか
藤川 結果はああなってしまったのですが、自分の人生を振り返ってあそこまで何かに打ち込めた経験がなかなかなかったので、そういった意味ではすごく良かったです。あとは、あのときに試行錯誤したことが今もインカレのクルーやこの前の東日本(選手権)でも活きてきているので、決して全部が無駄にはならなかったなと思います。良い結果でしたね。
竹内 あまり記憶がないのですが、あのときは悔しかったですけれど、らいねんも3年生以降に僕たちの思いや改善点が引き継がれていくし、これからもうワセダが負けることはないので。それはそれで良かったんじゃないですかね。
是澤 自分の人生の中で一番プレッシャーのかかった大会で、緊張はしなかったのですが終わった後の喪失感がすごくて。あのとき、こうすればという後悔はなかったのですが、やっぱり勝ちたかったというのが本心です。でもあれ以上の絶望する体験というのはないので、そういった意味ではインカレのレースなんて何とも思わないし、どれだけ相手が速かろうが度胸だけはついたので、それに比べればインカレも全日本(選手権)も余裕じゃないかと思います。
木金 是澤と同じく、僕も終わったときは他のことを何も考えられないような状況でした。何でかというと、その時にできることは全てやったと思っていたし、試合前もチームは完璧な雰囲気ができていると思って。そこでいざ絶対に勝てると確信をもって臨んで、ああいうかたちになってしまったので、自分としては準備してきたことがどこにも結果を残せなかったという虚無感がすごくありました。だからこそ自分が4年生になって残せるのはインカレと全日本しかないと思っているので、その時に残せなかった分が今になって自分を追い込む原動力となっています。
――前期を振り返ってどのような印象を持たれますか
木金 僕の印象としては、もちろん試合は勝たなければならないのですが、しっかり目標を定めてステップアップしてこれたのではないかなと思います。早慶戦がしっかりとある程度の目標を達成して、軽量級(全日本軽量級選手権)は調子が悪かったのですが全て出し切った感はあって。そこから東日本選手権を経て少しずつ技術的にステップアップしてきて、しっかり課題を意識しながら1つずつつぶしながら夏まで進めてきているなとは感じます。
是澤 部全体として早慶戦はモチベーションの高い大会だったので確かにそこでモチベーションが下がったとは思うのですが、逆にあそこで負けたことによって、次自分たちが何をしなければいけないかということが明確になって、木金が言うように東日本、インカレとステップアップしてこれていると感じています。すごくいい準備の期間だったのかなと思いますね。
竹内 早慶戦は確かにプラスの出来事ではなかったのですが、去年も同じような展開でインカレ勝てたので、あのようにマイナスの出来事をプラスに変えられればいいなと思っています。その中で、衛生管理であったり、病人だったりと少し足を引っ張られている感じが今はあるので、それを全部改善していけたら、インカレでは面白いことになるのかなと。
藤川 去年やおととしといった例年とは違うシーズンになると思いますが、それでも東日本選手権だったり軽量級だったり関西選手権だったり、要所でそこそこの目標は達成できていると思うので、決して悪い方向には向かっていないんじゃないかなと思います。
――改めて感じる漕艇部の良さはどの部分だと思われますか
藤川 自分が思うのは監督さん(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)の知識の深さがすごいなと思います。今までは新しい部品が届いても使い方が分からなくて、間違った使い方をしていたところを監督から指示を受けて正しい使い方できちんと使えている。そういうところが監督さんの知識の深さがすごいなと思います。
竹内 大まかにいうと、この環境とメンバーかなと思います。練習とかきついかもしれないのですが、オフとか休みの時とかは常に自分から楽しもうとしているような感じもありますし、人生楽しまないとつまらないと思いますので、そういうところが良いかなと。苦しいことも前向きにとらえて、楽しもうとしているかなと思います。
是澤 ボート部の一番いいところは、自分たちで何とでもなるというか自由にできるということがいいと思っています。結構ボート競技って日本ではあまりメジャーな競技ではないので指導者から一方的に言われることが多いと思うのですが、ワセダはそうではなくて。自分たちでもっとこうしたほうがいいんじゃないかというのを考えて監督やコーチから指示を受けてもっとこうしようと、自分たちで積み重ねるというところがすごく好きです。練習に関しても、ある程度のメニューが決まっていてそれ以外のメニューは自分たちで増やすこともできるので、そういったところも自分たちで組み立てていくというところが好きですね。
木金 僕は助け合えるチームかなと思います。競技としてもそうなのですが、ボートって他の球技とかは試合開始して調子が悪いなと思ったら変えていけるのですが、ボートは0メートルからスタートしたら2000メートルで試合が終わるまでメンバーがその9人とかで最後まで行くしかないので。メンバーの変えがきかない分全員で助け合うことが求められているからこそ、この組織も助け合うという精神が流れているのかなと思います。人数が多ければ多いほどレベルの差ってばらつくので、置いていかれてしまう部員も出てくるものだと思うのですが、そういうときに上級生が下級生に練習を付き合ってあげたりだとか、同じ船のメンバーだったら助けてあげたりとか。あとはうまくいかなくて悩んでいる部員には寄り添って話を聞いてあげたりだとかは、4年間を通して多かったなと思うので、そこは良いところだなと思います。
――その中で4年生として意識している部分はございますか
木金 今、自分で言ったんですけど助け合えるところを体現しようかなと思っています。僕は副将ではあるのですが是澤とか竹内みたいに高校時代から実績を残してきたわけではなくて実力もないと思っています。その分、できない人の気持ちっていうのは自分が一番分かるんじゃないかなと思っていて、だからできない人を見離すのではなくて何でできないのか、とか聞いて、一緒に考えるというのはやろうかなと思っています。だからこそ同じメンバーで固まるのではなくて、常に均等に見てあげるという意識は持っています。
是澤 誰に対しても平等に接するということが一つと、自分で言ったことは必ずやり遂げるということを意識しています。やっぱり4年生のことはみんな見ているし、4年生が頑張らないとその部活が頑張れる環境にいかないと思うので、僕らが頑張ることによって下の学年が頑張ってくれて、下が頑張るのを見て僕らがまた頑張るという良いサイクルに入っていけるように、常に人に対しては平等に、自分が言ったことに対しては責任をもって行動するよう心掛けています。
竹内 自分は後輩にも同期にもがみがみ言う方なので、例えばチームでやると決めたこと、生活面でもボートのことでも、やると決まったことができていない人をムチでたたいて、それと同時にアメも与えつつ(笑)。やってはいますね。
木金 ムチでたたかれすぎて血だらけになっています(笑)。
竹内 (笑)。木金にアメは与えてはいませんね。
僕は言ってもらいたい方なので、きょうとかは俺を罵倒してくれと言って。竹内のような、言ってくれる存在というのはありがたいと思っていて副将同士で竹内とバランスが取れているなと思っています。ありがたい存在ですね。
藤川 是澤と同じなのですが、平等に接するところなのかなと思っています。艇の事故を起こすことがあって、起こす人はケガをされているのですがそういう人に対して差別して、他の人をひいきするのは好きではないので、あまりそういう感情を持たないように平等に接するように意識しています。
再びの頂点へ
再びの頂点へ熱い闘志を燃やす竹内副将
――インカレに向けて今はどのような部分に焦点をあてて練習されていますか
是澤 今はとにかく完成度をあげるというところに重点を置いていて、人数が増えれば増えるほど一人一人の動きを合わせることが重要になってくるので。具体的にいえばブレードの抜くタイミングと入れるタイミングっていうのを完璧に合わせるのと、あとは前に出る動作があるんですけどそこがあってくるとブレードを入れたり抜くタイミングがあってくるので、そういうちことに重きを置いて練習しています。
――是澤主将と竹内副将は昨年も対校エイトクルーでしたが、昨年と比べて異なる点はありますか
竹内 プラスの面では、石田良知(スポ3=滋賀・彦根東)がストロークになって、それはすごいプラスかなと思いますね。今は思うようには漕げてはいないと思うのですが、話はそれるのですがあいつがたぶん今、戸田にいるボート選手の中で一番オリンピックの可能性に近い男なので、あいつをストロークに乗せてあいつの爆発的なパワーに合わさればことしは絶対いけるかなと思います。そこがまずプラスなのかなと思います。
是澤 悪いところを挙げるならば去年よりムラが激しいというか、うまくいく日があれば、とんでもなくうまくいかない日もあって。波が多少あるのですが、竹内が言うようにここ一発の爆発力は去年よりかなり上回っていて、それがかみ合えば面白いことになるのではないかなと思います。
――藤川選手はコックスとして対校クルーを見てどのように思われますか
藤川 自分は対校に乗ったのが新人(全日本新人選手権)と早慶戦とでこれが3回目になるのですが、対校エイトっていうクルーと他のクルーとの違いは感じています。技術的にもそうですし雰囲気も違っていて、勢いがやっぱり他のクルーとは違うなと思います。
――このクルーの強みというのはどの部分でしょうか
木金 夏に対校エイトで出場するのが初めてだったので、今までもそうだったのかもしれないのですが、お互いがしっかり声を掛け合えることかなと思います。誰か一人が声を出して、他のメンバーが内にこもっていることもあるのですが、このクルーは個人個人で発信して、受信し合っているかなと。それがあることによって技術の成長スピードも大きく変わってくると思います。
是澤 精神的なことでいえばここ2年くらい同じ船で漕いできた仲間たちなので、お互いを認め合って、受け入れることができていているところです。良いことばかり言って練習してよかったね、で終わるのもいいとは思うのですが、このクルーはいいところも悪いところも全て言い合って、受け入れることができて、やはりお互いに努力してきたことを知っていて乗っているので、その言っていることを受け入れられるし、言われると悔しいので、もっと頑張ろうという気持ちになって、そういったところで相乗効果が出るんじゃないかなと思います。
竹内 僕は勢いとクレイジーさだと思います。絶対日大には負けないです。日大は日本代表をそろえてきてかっこよく、きれいに漕いでいるのですが、俺らの勢いには絶対に勝てないので。
――ストロークが石田選手ということですが、今までと変わった点はございますか
是澤 今までのストロークっていうのはうまくて技術も体力もあってっていう感じではあったのですが、良知は何だか新しいタイプで(笑)。技術は分からないと本人も言っていて(笑)。
一同 (笑)。
是澤 体力はもちろんあるのですが、練習のボルテージがどんどんあがっていくというか。今までは一定にクールに保つ人が多かったのですが良知は練習の後半になればなるほど気持ちをもっていって、最初のタイムより10秒くらい速いこともあります。気持ちという面では変わりましたね。
――先輩として心掛けていることはございますか
竹内 経験値が少ない分、自分のこともして、ストロークでリズムの管理もしてみんなの管理もしてってやるとパンクしてしまうので、良知がストレスなく漕げるように後ろがしっかり合わせてあげるとか気を付けています。良知、どこに乗ってもバカみたいに声出すので。普通、ストロークって声出すとリズムが狂うんですよ(笑)。黙って漕ぐんですけど、あいつずっとしゃべっているので、あいつがしゃべらなくてもいいように後ろから声出してあげてバックアップできたらいいなと思います。
――ご自身の役割はどのような部分でしょうか
木金 技術的なことで言うと2つあると思っていて、前の4人のリズムを後ろ3人につなぐというのが一番大きなやることだと思っています。それが今はうまくいかなくて四苦八苦しているのですが、それがうまくつながれば夏は勝てると思っているので意識してやっています。あとはミドルフォアなので、8人の中で水中を出せるようにというのは意識していますね。そのための全体練習の後に補強もやっていて、最終的には是澤君を曲げられるような意識を常に持ちながらやっています。結構、是澤を意識しながらやっていますね。真ん中の二人で進めていけるようにやっています。
是澤 自分はクルーキャプテンなので、クルーキャプテンとしては目標を立てること、それに向けて技術だったり体力だったりという、どの部分を重点的にやっていくのかというのを分かりやすく説明することがまず一つと、漕ぎに関しては1年生のときから5番で出場しているので船を感じてストロークペアのリズムをつなげることと、2000メートルの距離を一番強く長く押し続けることだと思っています。
竹内 後ろから2番目で声も通りやすいですし、みんなの動きも見やすいので、そこで自分から声を出して発信して盛り上げることが一つです。あとは技術的には一番後ろって船がアップダウンして漕ぎづらいところで、後ろが内田(達大、スポ3=山梨・吉田)なのですが、内田と自分が長い範囲を押せれば、他のクルーが漕げていないところを僕ら二人が漕げて、それで艇速に還元できればなと思います。
藤川 自分が持っている情報のフィードバックというところと、パワーはすごくあるのですが、技術的にまだ甘いところがあるクルーなのでそこを詰めていくことが大事かなと思います。あと、今はコックスが持っているところってものすごく多くて。レートも前より良く出るようになって、500メートル漕がなくても100メートル漕いだだけで、500メートル漕いだら何秒進むかとかも表示されるものもあって、そういう情報の何を言うか言わないべきかを考えてっていうのをやらなければいけなくて、そこを意識してやっています。
冷静な判断力でクルーを率いる是澤主将
――日大にはどのような印象をもたれていますか
竹内 日大はとにかく実際に強くて速くて、どのクルーも自信を持っていて、という印象です。どんなレースプランがきても、自信があるのでそれに対応して2000メートルを漕ぎ切ってきますね。
是澤 エイトのレースだと1000メートルまでだいたいリードを奪ってそのままゴール、っていうのが日大のレース展開だと思うので、それができるくらいのテクニックと体力は持っていると思っています。逆に去年みたいにそこさえ通用すればラスト500メートル僕たちが日本で一番速いはずなので、いかにそこで我を追っていくかということが勝負だと思います。
――日大に勝つためのカギはどういった部分でしょうか
藤川 まとまりかなと思います。ここ一発のパワーはあるので、それを出した後にまとまれるかだと思います。出して、相手を抜いて終わりではなくて、ここで出たからもっと離して、差をつけようという気持ちの面でもまとまりが大事だと思っています。
木金 自分はコンスタントでどれだけ同じリズムをつなげていけるかだと思います。是澤も言っていたのですが僕も同じことを思っていて、前半の1000メートルでどれだけついていけるかだと思っているので、ついていくには自分たちも常に最高速度を出さなければならないし、最高速度を出すためには強くて長いリズムをとにかく同じ動きを繰り返して全員でつなげるのを愚直にやっていくしかないと思います。あとはそこまでついていったら最後の500メートルで絶対に負けない瞬発力は持っていると確信しているので、肝に銘じながらやっています。
是澤 戦略的には1500メートルまでついていくことだと思うのですが、カギになるのは気持ちの部分だと思います。確かに日大は速いので勝つには難しい相手なのですが僕たちは速いというよりは強さを目指しているので、どんなに風が吹こうが波が高かろうが、必ず最初にゴールするのは僕たちだという気持ちをもって練習しているので、そこの気持ちに関しては負けないと思うし、気持ちがあるからテクニックも体力もあがっていくと信じているので、カギは9人の気持ちかなと思います。
竹内 僕も是澤と同意見で、今までのレースで勝つ前に、スタートにつけた時点で勝つと分かるんです。去年のインカレもスタートに着けた時点で勝ったって分かったんですよ、実は(笑)。前の晩から言っていたんですけど。その気持ちを9人がもって、信じきって2000メートルを漕げれば、勝てると思います。結局その気持ちをもつための練習をこれから1か月で精度を上げればいいかなと思います。
――みなさんにとって、インカレとはどのような大会になりますか
藤川 醍醐味を味わえる大会だと思っています。ボートって極端ですけど大学生でしかできない競技かなと思っていて、そういった意味では大学生が大学生のために行う大会なので、自分はボート競技とはというのを感じられる大会かなと思います。
竹内 藤川が言ったことをもっと深く言うと日大とワセダの対校戦かなと。僕は結構、日大に知り合いがいるのですがジャパン選考も日大に負けて、根に持っているのでそれを全部晴らして、僕たちのガッツポーズをちゃんと見せたいですね(笑)。
是澤 毎回、迎えるまでは暑い中ずっと漕がなきゃいけないし、うまくいかないときももちろんあって、何で漕いでるんだろうな、っていうときもあるのですけど、いざ始まって会心のレースができると終わってしまうのが惜しいような感じです。1日1本じゃないですか。僕が思ったのは今まですごく漕いできたのに何で3本くらいしか漕がないのかなと思っていて。
一同 (笑)。
是澤 去年のクルーとかはそうで、レースするのが楽しいので、レースをするたびに新しい発見があって、優勝したときはもちろんうれしかったのですがこれで区切りがでるのがもったいないなと思うのが印象的ですね。
木金 ことしの夏は自分にとってこの4年間やってきたことの全てを出し切る場所だと思っているので、ここで絶対に結果を残さなければいけないし、しっかりそこで勝って、去年みたいに全員で喜べる大きなチャンスだと思ってます。自分はこのチームが大好きなので、しっかり買って全員で喜び合いたいなというのは思っているので、絶対に勝ちたい大会だと思っています。
――インカレに向けて意気込みをお願いします
木金 自分の4年間でラストのインカレなので、何が何でも勝って、全員で笑って終わりたいなと思います。
藤川 結果を残したいです。早慶戦もああなってしまいましたし、今までメダルを取ったことがないので自分はここで金メダルを取って、また次の大会につなげられたらと思っています。
竹内 僕はかっこつけたいなと思っていて。勝たないとかっこよくないので、勝つだけかなと思います。あとは一つ心残りがあるのが、僕が1年生の時の新人と去年のインカレと、表彰台の真ん中に立ったんですけど、そういえばメダルを自分がうれしくて自分だけメダルをかけてたなと思ったので、親とか助けてくれた仲間とか金メダルをかける機会がないようなメンバーにかけてあげたいなと思うので、頑張りたいと思います。
是澤 ラストの大会なので集大成というのもあるし自分の中でこの1年間結果を残せてこなかったなというのが正直な感想です。やっぱり監督やコーチに金メダルをかけてあげたいので死に物狂いで、ぶっちぎって何とか優勝したいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 黒田菜々子)
最後のインカレに挑む4年生。力強いポーズをしてくださいました!
◆藤川和暉(ふじかわ・かずき)(※写真中央前)
1995(平7)年1月27日生まれ。東京・早稲田高出身。法学部4年。ポジションは対校エイトのコックス。早慶レガッタ前対談の際にもお茶をコレクションしているとおっしゃっていた藤川選手。銀座や代官山までお茶を探しに行くそうです。その徹底ぶりはボートに関しても同様でした。藤川選手のかじ取りは必ずクルーを栄光に導くことでしょう!
◆是澤祐輔(これさわ・ゆうすけ)(※写真右)
1994(平6)年9月5日生まれ。愛媛・宇和島東高出身。スポーツ科学部4年。ポジションは対校エイトの5番。常に冷静で丁寧に言葉を選んで取材に応じてくださる是澤選手。言葉の端々にからワセダに対して、そして日本一に対しての熱い思いが伺えました。本番では1年生の時から変わらない5番から勝利のガッツポーズをあげてくれるに違いありません!
◆木金孝仁(きがね・たかひと)(※写真中央後ろ)
1994(平6)年5月14日生まれ。東京・早実高出身。社会科学部4年。ポジションは対校エイトの4番。今回も面白いお話しをたくさんしてくださった木金選手。「助けあえることを体現したい」とおっしゃっていたことから後輩思いの姿が伺えました。対校エイトクルーとして挑むラストイヤー、最高の結果を残してくださることでしょう!
◆竹内友哉(たけうち・ともや)(※写真左)
1994(平7)年7月20日生まれ。愛媛・今治西高出身。スポーツ科学部4年。ポジションは対校エイトの2番。勝ちに対して強い思いが感じられた竹内選手。趣味のサイクリングでは往復70キロほどの場所まで行ってしまうそうです。最後のインカレ、強い思いで金メダルを勝ち取ってくれることでしょう!