最終日を迎えた第38回全日本軽量級選手権。早大からは男女合わせて4クルーが準決勝に挑んだ。敗者復活戦で勝ち上がった舵手なしペア早大Bは順位決定戦に回り全体7位に入賞するも、その他の艇は社会人クルー相手に厳しいレースとなり準決勝で敗退。全艇が表彰台を逃す結果となり、今大会を終えた。
上位2着が決勝進出となる男子舵手付きペア。強豪・明治安田生命に続くタイムで第1クオーターを通過するも、すぐ後ろに迫っていた慶大に抜かされてしまう。差を詰めたいところであったが、疲れが見える終盤に蛇行が見られ、思うように艇を伸ばすことができず。そのまま3着でゴールし、決勝進出を逃した。迎えた順位決定戦では、中盤から交わされてしまい、順位を一つ落としてのフィニッシュ。それでも、「ステップアップできた」(有田雄太郎、法3=東京・早大学院)と振り返るよう、準決勝での課題をうまく修正し全体7位で今大会に幕を下ろした。続く男子シングルスカルは2艇が登場。最初に出漕した内田達大(スポ3=山梨・吉田)はやや遅れてのスタートとなり、前艇に引き離されてしまう。ラストはスパートが光り、追い上げを見せるも序盤につけられた差は大きく3着でのゴール。惜しくも決勝進出とはならなかった。予選を1着で通過し、準決勝を迎えた伊藤大生(スポ2=埼玉・南稜)はレースプラン通りスタートで飛び出し首位に立つ。しかし「歯が立たなかった」(伊藤大)と中盤以降は社会人クルーの漕ぎに対応し切れず、4着でレースを終えた。
全体7位に入賞した男子舵手なしペア早大B
前日の敗者復活戦で勝ち上がった女子ダブルスカル早大A。女子部で唯一、準決勝に進出しただけに落とせないレースであった。しかし、スタートから他艇に先行を許してしまうと、中盤以降もリードを広げられてしまう。ラストはリズム良くスパートをかけ艇を伸ばしていくも前艇を捉え切ることはできず、結果は3着でのフィニッシュ。惜しくも決勝進出とはならなかった。「自分たちのできることをやったつもりでいた」とストロークの佐藤紫生乃女子主将(スポ4=宮城・塩釜)振り返るよう、力を出し切れたレースだけに悔しい結果となった。
最後まで粘り強く漕ぎ進めた女子ダブルスカル早大A
社会人クルーも多く出場し、強豪が集った今大会。最後まで粘り強く漕ぎ進めるクルーの姿が見られるも、早大からは表彰台に上ることができず悔しさが残る結果に終わってしまった。「一人一人の底上げをして、全体で強くなっていかないといけない」(佐藤紫)。勝負の夏に向け、おのおのがこのレースで得た収穫を生かし、課題と向き合わなければならない。『One WASEDA』として総合力で再び頂点に輝くため、早大漕艇部は鍛錬の時期を迎える。
(記事、写真 黒田菜々子)
★社会人クルー相手に、2艇が決勝に挑む(小艇タイムトライアル)
全体3位となった木下
全日本軽量級選手権と同時に行われた小艇タイムトライアル。前日の予選でタイム順により木下美奈(スポ3=山梨・富士河口湖)が決勝に姿を現した。スタートから社会人クルーにリードを大きく奪われてしまう苦しいレース展開となる。中盤も大きく艇を伸ばしていく相手に対し、粘りの漕ぎを見せるも最後まで捉えられず。全体3位でレースを終えた。一方、予選では盤石のレース運びを披露し、予選タイム2位で決勝に進出した米川志保(スポ2=愛知・旭丘)は第1クオーターまでは漕ぎ進めるも、途中棄権となった。
(記事、写真 黒田菜々子)
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▽男子部(準決勝)
【シングルスカル】
早大A 内田達大(スポ3=山梨・吉田)
7分38秒92 【3着 敗退】
早大B 伊藤大生(スポ2=埼玉・南稜)
7分35秒15 【4着 敗退】
【舵手なしペア】
早大B/br>
S:有田雄太郎(法3=東京・早大学院)
B:金子怜生(社2=東京・早大学院)
7分20秒99 【4着 順位決定戦へ】
▽男子部(順位決定戦)
【舵手なしペア】
早大B
S:有田雄
B:金子
7分35秒14 【全体7位】
▽女子部(準決勝)
【ダブルスカル】
早大A
S:佐藤紫生乃(スポ4=宮城・塩釜)
B:田口えり花(商3=埼玉・浦和一女)
7分53秒89 【3着 敗退】
【小艇タイムトライアル】
早大D 木下美奈(スポ3=山梨・富士河口湖)
8分43秒73 【3位】
※早大A 米川志保(スポ2=愛知・旭丘)は途中棄権
コメント
S:佐藤紫生乃(スポ4=宮城・塩釜)
――今までのレースを振り返っていかがでしょうか
まず予選はコンディションに翻弄(ほんろう)されてしまって二人の良いところが出せずに終わってしまったので、予選はなかったことにして敗者復活戦で1から全部自分たちが出せることを出そうということでやってみました。予選よりは格段に良くなったのですが、ワンストロークの中での後半の突き放しが甘かったと感じました。きょうは絶対に落とせなかったレースだったので最後まで出し切るところをするために、きのうレース終わってからエルゴメーターで確認をして、スタートは今までのなかで一番良かったと思っていて、ラストもすごく良いリズムで上げられたので良かったとは思うのですが、その中でああいうかたちで負けてしまったというのはコンスタントでの一本の質が周りのクルーよりも劣っていたんじゃないかなと感じています。自分たちのできることをやったつもりではいたのですが、それがつもりで終わってしまっていたみたいで。なかなか合わせる期間も少なかったのですが、その中でももっと一本の質ということを求めてやっていければ良くなったんじゃないかなと思います。
――きょうのレースプランは
レースプランは初日からあまり変わっていなくて、スタートでとりあえず飛び出して頭を取りにいくということと、500メートルごとに3本で伸ばすということです。どうしてもリズムがシャカシャカと軽くなってしまっていたので、重たく伸ばしていくということを意識しました。あとは700メートルと1250メートルで勝負の3本といいますか、ここで決めるという3本をいれてやりました。あとはスパートです。
――明大が2着という結果でしたが、明大は普段から意識される学校でしょうか
練習中には明大に負けたくないから頑張るとかそういうのはなくて、むしろ自分たちの中で高め合いをしているという感じなのですが、やっぱりインカレ(全日本大学選手権)とかだと明大はライバルとして一番に挙げられる学校だと思います。
――軽量級(全日本軽量級選手権)の結果を女子部として振り返っていかがでしょうか
今シーズンに入って初めての全日本級のレースだったのですが、あまり振るわず、小艇トライアルの方は決勝に2人いったのですがその他はあまり良い成績を残すことができずにワセ女らしからぬというか。気持ちを入れ替えて1からやっていかないと夏の立場も危ういなと本当に感じています。上級生が、とかいうのをなくして全員が気合いを入れ直して1からやるということをしないと、これからはっきりいって勝てないと思うので、一人一人の底上げをしてワセダ全体で強くなっていかないといけないなという危機感は本当に持っています。
――夏に向けて
おのおのクルーや個人で課題は持っていると思うので、結果もなかなか出なかったのですがそれをただマイナスで捉えるのではなくて、プラスで自分たちが成長できる材料だと思って、軽量級の負けがあって良かったなと感じられるようにこれから全員でまたやっていければいいと思います。
内田達大(スポ3=山梨・吉田)
――きょうのレースを振り返っていかがですか
きょうは前半の1000メートルで出遅れたのがちょっと痛かったかなと感じました。後半は追い上げることはできたのですが、やはりその前半に付けられた差というのが大きくて捉え切ることができなかったですね。
――レースプランなどは考えていましたか
初日の予選のレースで後半にばててしまったので、スタートから後半まで保てるようなレースがしたいと思っていました。でも、レース展開を見て勝負しようと思っていたので、そんなにレースプランは細かく決めていませんでした。
――今回のタイムについてはどのように捉えていますか
やはり遅いかなと思います。自分としてはまだまだ縮められる部分もありましたし、足りないところが多かったかなと思います。
――具体的に目標にしていたタイムはありましたか
7分10秒前後を目標にしていたのですが、全然届かなくてまだまだ未熟だなと思いました。
――早慶戦を終えられてからはどのように過ごしていましたか
早慶戦のエイトからシングルになって、最初は不慣れなこともあったのですが、たくさん練習して慣らしていこうと思いました。あとはレースに対する気持ちというものを自分なりに高校のころの一番生き生きしていたころを思い出そうと思っていました。
――最後に今後のチームとしての目標、そして個人としての目標をお願いします
チームとしての目標は、やはりインカレ(全日本大学選手権)で優勝することです。個人としては、ことしできなかった日本代表になることです。
S:有田雄太郎(法3=東京・早大学院)
――きょうの準決勝、順位決定戦を振り返ってみていかがですか
今回の大会で4本漕いだのですが、一本ずつ確実にステップアップしていけたなと。クルーの2人でコーチとかと実感しながら漕ぐことができました。1日目の反省を2日目に生かして、2日目の反省を3日目に生かしていけました。きょうは比較的スタートも決まったのですが、お互いがもともと対照的な漕ぎでお互い歩み寄ってやっていくことをキーワードにしていたのですが、ちょっと長さを意識したあまりに歩み寄りが足りなくて方向が曲がってしまって蛇行が目立ちました。そこが負けてしまった敗因になったかなと。順位決定戦では、比較的曲がることも少なく、2人で歩み寄ってしっかりできたので、ステップアップできたのだと思います。
――「対照的な漕ぎ」とおっしゃっていますが、具体的にそれぞれの漕ぎの特徴とは
長く最初からつかんで押していくというのが自分の漕ぎで、金子(怜生、社2=東京・早大学院)の場合は最初のエントリーを強くやってから短めに押す、という感じですね。言葉にするのは難しいですけど、もともと身長も違ってレンジが違うのでなかなか苦労したのですが、そこは練習の中で徐々に詰めてくることができました。しかし、準決勝ではそれが荒くなってしまったかなと感じますね。
――それでは普段のそれぞれの漕ぎを変えながら合わせたということでしょうか
そうですね。お互いがやりたい漕ぎというのを徐々に中和させつつやっていきましたね。
――今大会の目標や意識されていたことはありますか
春の早慶戦では、セカンド(第二エイト)のクルーでお互い7番と6番で一緒に漕いでいました。きょねんの早慶戦の7番と6番で漕いでいた東(駿佑、政経3=東京・早大学院)と石阪さん(友貴、政経4=東京・早実)のペアが、軽量級で3位入賞していたので、それで自分たちと比較していて、それをまずは目標に「二人を超えたい」という気持ちで出ていたのですが、漕ぎが合わなかったりの障害があった中で二人には及ばなかったかなと。でも、二人の記録や実績を超えたいと思ってやっていました。
――今後の目標をお聞かせください
これからインカレまでしばらく期間が空いてしまうのですが、金子と自分は今回で得たことは大きかったです。お互いの違った漕ぎで、自分の足りないものだったり自分に長けてるものだったりを実感できたので、そこの長所と短所を克服したり伸ばしたりして、夏のインカレに向けて頑張りたいと思います。
伊藤大生(スポ2=埼玉・南稜)
――スイープ種目からスカル種目へと変わったことで何か意識したことはありますか
高校のときはずっとシングルスカルに乗っていたので、スイープとスカルは同じくらいの期間漕いでいます。その延長線上ということで特に変わったことはないです。
――予選はラフコンディションでしたが振り返っていかがですか
逆風が強かったので、単純にレース時間が長いなと(笑)。あとは突風が吹いてきたので漕ぎづらくなる中で、ずっと立大の方がとなりにいられたので精神的にも大変なレースになりました。
――準決勝を振り返って
前半はレースプラン通りにいけたのですが、やはり社会人の方の1000メートルからの追い上げに自分のレースプラン通りでは全く歯が立たなくて。全体としては自分の思っていたレースプラン通りにはできたのですが、社会人の方のラストの上げ方などに対応できなかったというのが感想です。
――今大会全体を振り返っていかがでしょうか
一番つらいといわれるシングルスカルで今回は出場したのですが、艇数も多くてやはり大変でした。ですが冬に向けての目標があったので、それにつなげられるレースはできたかなと思います。
――社会人の方と漕いでみて、何か吸収できる部分はありましたか
一本一本のコンスタントの質が全く違うなと思ったのと、あとは勝ちへのこだわりっていうのもきょうの準決勝で1位の方の漕ぎを見ていて思いました。中盤から一気に上がってきたので、勝ちへの執着心が伝わってきました。
――夏に向けて
まだ漕ぎが下手なので、まずは漕ぎのスキルアップを重点的にしたいです。あとはほとんど先輩たちと一緒に乗ると思うので体力面で負けないように頑張って行きたいと思います。