【連載】早慶レガッタ直前特集『4月17日』 第4回 7:石橋広陸×6:石田良知×B:内田達大

漕艇

 今回は、きょねんの早慶戦から引き続き対校エイトクルーに選ばれた3年生の石田良知(スポ3=滋賀・彦根東)、石橋広陸(スポ3=愛知・豊田北)、内田達大(スポ3=山梨・吉田)にお話を伺った。初の早慶戦で『隅田の魔物』を目の当たりにしたきょねんから早くも1年。3人の現在の心境、早慶戦にかける思いとは。

※この取材は3月12日に行われたものです。

不安はない

この春、再び対校エイトに帰ってきた石橋

――まず、早慶戦のメンバーの選考はどのように行われたか教えてください

石橋 バウサイドは事前に決まっていまして、残り2枠を3人で競って決めるという方法でした。バウサイドですでに決まっていた僕と是澤主将(祐輔、スポ4=愛媛・宇和島東)が同上してシートレースを行うかたちで、2枠は木金さん(孝仁副将、社4=東京・早実)と東(駿佑、政経3=東京・早大学院)に決まりました。

――選ばれたときの心境は

石田 ホッとしたじゃないですけど、選ばれて当然かなと思ったので。何とも思わなかったですね、特に僕は。結構ビックマウスなんで、僕(笑)。当然かな、と。

石橋 きょねんの早慶戦は対校(エイト)だったんですけど、夏だけ対校から外れてしまったので、もう一度戻ってこれたのはうれしいという反面、自分がやるしかないという覚悟を持って挑んでいました。なので、良知と一緒になりますが当然かなという気持ちと、自分がやらなければいけないという気持ちで臨んでいました。

内田 僕はいままで一応、対校エイトには全部乗っていたんですけど、毎回レースをして選ばれていて。でも今回選考がなくてアドバンテージで選ばれたので、選考レースがない分ちょっとうれしいですね。

――きょねんとメンバーは変わりましたが雰囲気など変わりましたか

内田 卒業する4年生が結構にぎやかで、言い合うというか良くも悪くもコミュニケーションをすごくする学年だったんです。きょねんは4年生がリードしてくれたんですが、ことしの是澤主将たちはきょねんの4年生に比べると冷静というか。冷静なんですけど裏にはアツい気持ちがあったり。みんながそういう感じですね。

――お二人は是澤主将と長田敦前主将(平28スポ卒=石川・小松明峰)の雰囲気などの違いは感じられますか

石橋 きょねん僕は長田前主将の後ろで乗らさせてもらっていたんですが、長田前主将はストイックというか厳しさを持っている人だなという感じでしたね。是澤主将はすごく優しくて、みんなの力をまとめて一つの方向に持っていこうとする器量の大きい方だなと思います。

石田 そうですね。長田さんはストイックだなと思います。是澤さんとは僕は1年生の頃からずっと6番ペアで、早慶戦もインカレ(全日本大学選手権)も全部ずっとペアで。長田前主将ほどストイックってわけじゃないですけど、かなり周りのこと見ていてみんな思いだな、と思いますね。

――最上級生になる4年生のみなさんの全体の印象は

石田 僕から言わせてもらうと変なんですけど、ずっと一緒にいるので最上級生になったなというのはあまり感じないです。結構僕らの代と上が仲良くて。つながりがあるというか。そんなに主将になったなとか最上級生になったなって感じじゃないですね。ずっと一緒にいるので。兄弟でやってるみたいな。

石橋 すごくやりやすいなというのはありますね。きょねん、やっぱり長田さんたちの代とは2つ離れてると先輩と後輩で違うような感じがあったんですけど、ことしは1個しか離れてないというのもあって、そんなに先輩後輩でかけ離れているって感じはしないです。良い上下関係の中でやらせてもらってるなという感じはしますね。

――今回の対校エイトメンバーの強みは

石橋 一番変わったのは2000メートルのバックスタイルがあるんですけど、それがきょねんより3、4秒くらい上がっていて。それを平均1秒上げるだけでもすごい大変なんですけど、ことしはそれだけボトムアップができてるというのはことしならではの強みなのかな、と。

――それぞれのシートで必要とされていることは何だと思われますか

石田 僕は6番なんですけど、6番ってパワーというかエンジンなので、ただ黙々とパワー出して、声出して、みんなを盛り上げて、たまに笑かして、パワー出すくらいですかね。技術面はほんとわかんないんで(笑)。

石橋 僕はきょねんと同じ7番に乗らせてもらうんですけど、ストロークの後ろというのもあってストロークのリズムをつなげるのと、サイドの中では一番前になるので、そういうバウサイドのリズムをつくるっていうリズムメークが仕事になるのかな、と思います。きょねんは長田さんに着いていくのが精一杯で、なかなか自分のフルパワーで合わせるというよりかは力をセーブした状態で合わせるという技量しかなかったんで、ことしはしっかりフルパワーで、自分の持っている力を最大限に出して、後ろ6人につなげていきたいですね。

内田 僕はバウっていう一番後ろのポジションなので、まずは艇のバランスをとるってことと、2つ目は一番みんなが見えるポジションなのでそこでみんなの課題を言ったりしたいですね。

――きょねんの早慶戦やインカレの経験から生かしたい点はありますか

石橋 きょねんはきょねん、ことしはことしなのかな、という。やっぱりきょねんより確実に進化しなければいけないと思います。絶対いまのままではエイト連覇や試合に勝つということはできないので、ケイオーに勝つこともそうですけど、経験を生かしつつももっと強みを自分たちでつくっていかなければいけないのかな、と思います。

――いまの時点で不安な点はありますか

石田 僕はないですね。僕は万全ですけどこの二人はわからないですね(笑)。特に不安はないです。

内田 不安は特にないですね。

石橋 僕も不安はないですね。あとはやることやって自分たちのいい部分を出せれば、間違いなく勝てるというのがこのメンバーだったら確信してるんで、あんまり不安はないですね。

早慶戦の勝因はひばりヶ丘の二郎に

クルーの状態を冷静に判断する内田

――お互いのいまの印象は

石田 うっちー(内田)は厳しくなりましたね。先輩っぽくなったなと思いますね。石橋も先輩っぽくなりましたね。僕だけなんですね、ガキのままなのは(笑)。

石橋 けど良知(石田)は競技に対する姿勢が変わったかなと思いますね。きょねんはよく、不満ばっかり言ってたんですけど、ことしは俺がやるぞ、みたいな感じで乗艇中でもどんどん声出して引っ張ってくれてますね。うっちーもいまバウっていう一番大変なポジション乗って視野を広くもって、すごい周りが見ているのかなって。後輩とか下のものを引っ張っていくのに必要な力がどんどんついていっているな、という印象がきょねんと違ってありますね。

内田 良知はここ一番の強さを持ってるし、石橋は安定した強さを持ってるかな、という印象ですね。

石田 適当やな、お前(笑)。

――中間の学年としてチームの中で大変なことはありますか

石田 3年生が一番きついと思うんですよね、上を支えなあかんし、下の面倒見なあかんし、かと言って俺らが一番下じゃないからお手本にもならなあかんけど、上もいるからなんとしてでも支えるためにも俺らの力がいるし、みたいな。まあサッカーでいうボランチですかね、ボランチ(笑)。あ、笑わなくていいですよ。

一同 (笑)。 

石田 サッカーでいうディフェンスとオフェンスを両方やるみたいな。ボランチですよ、ボランチ。僕らは。あんまおもんなかったかな?

石橋 けどさっきも言ったように新4年生と新3年生にそんなに大きい隔たりっていうのがないので僕たちは僕たちで自分たちにできることをやっていけばいいのかな、という。後輩の面倒を見ることだったりボートに対する姿勢を見せたりだとか。何か特別なことをやるというよりかは4年生の力になれるように後輩をうまく引っ張っていけたら、それはそれで自分たちの役割なのかなとは思いますね。

内田 4年生が競技に集中できるように、それ以外のところで頑張ろうと。

石田 ボランチだよね、ボランチ(笑)。

一同 (笑)。

――オフの日はそれぞれ何かされていますか

内田 金曜の午後と月曜にオフがあるんですけど、金曜の午後は疲れて寝ていて、月曜日は、いろんなところにお出かけしたり映画見たりしていますね。あと最近は20歳になったので飲みに行ったり。

石橋 こないだまでU-23の選考があって、月曜日に結構練習があってオフがなかったんですけど、終わってからのはもうほんとに寝てばっかりですね。最近は本読んだりしています。なにかちょっとしたヒントを得たいな、とかなにか競技に生かせることはないかな、とか。スポーツの著名人の、なんかいろいろあるじゃないですか。

石田 まじめなんですよ、頭いいんですよね。

石橋 名監督の書いた本読んで、ああこういう考え方もあるんだな、ボートに生かせないかなとかそういうことをやったりしますね。最近ちょっと外に遊びに行ってないのがすごく残念なんですけど。まあ寮でできることはそういうことをやっています。

石田 そうですね、二郎知ってます?ラーメン二郎。好きなんですよ。好きっていうほど好きじゃないんですけど、まあまあ。

石橋 いや好きでしょ(笑)。

石田 まあ二郎を食べに行きますね、よく後輩連れて。

石橋 相当行ってるよね?

石田 いやそんな、2週間に一回くらい。行くときは週1やけど。

内田 学校始まったらね、めちゃめちゃ行くよね。

石田 そうそう。所沢のキャンパス行くまでに、ひばりヶ丘っていう駅があって、そこに二郎があるんで。俺ら店長と仲良いもんな。僕ら来たらな、他のお客さんに内緒で烏龍茶出してくれたりとか。

内田 早スポの記事もめっちゃ読んでますよ。

石田 たぶん、早慶戦の勝因は、ひばりヶ丘の二郎にありますね。

石橋 宣伝になってる(笑)。超コマーシャルじゃん。

石田 あとは月曜は映画見に行ったり、僕ら映画見るの好きなんですよ。なんかかっこいいじゃないですか、オフに映画行くって。

――みなさんで行かれるのですか

石田 いや、3人で一緒はないな。

内田 日曜の午後練習が終わってそれから個別で飲みに行ったりすると、なかなか。

石田 意外に艇庫でずっと一緒にいるんで意外とオフってないよね。

石橋 たしかにオフってバラバラだよね。

石田 別々よな。嫌いとかじゃなくて別々なんですよ、他の学部の友達とか、他大の友達とかと一緒にいますね。

――食生活で気をつけていることはありますか

石田 僕はないですね。ハイエナなんで。食えるもんは全部食うんで(笑)。

石橋 僕は結構自分で料理をつくったりするので、バランスは気をつけたりしますね。あんまりタンパク質だけになったりしないようにとか肉だけにならないようにしようとか。あと体重も脂肪をあまりつけないようにしようとか、そういうのにこだわったりしますね。

内田 僕は、いっぱい食べて。

石田 こいつ、二郎行きすぎて怒られたんですよ、体重増えたって(笑)。こいつも二郎好きで。

内田 11月くらいに、いま体重70キロくらいなんですけど、二郎行きすぎて77キロになってしまって。ちょっと監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)に怒られましたね。

石田 77いったの?でも72までよな、抑えなきゃアカンの。

内田 うん、絞んなきゃいけなくて。

――どのようにに絞られるのですか

内田 僕、食事制限できないので、食べたらすぐ動いて、みたいな。

石田 かわいそうですよね。

石橋 お前だけだもんね。

石田 そうなんですよ。僕だけ軽量級じゃないんで、上がないので。なんぼでも食べるんで。

石橋 僕も1週間前まで減量してて。ずっと交代浴してました(笑)。お風呂入って、汗流して、なんか美容みたいな感じで。内田もそうですけど、みんな食事制限で減らしちゃいけないっていう認識はあるんで、しっかり食べて動いたり、エネルギーを使ったり、っていう減量をしてますね。

6年ぶりの圧倒的勝利を

パワーが持ち味の石田

――精神面や技術面などで1年前から成長した点はありますか

石田 やっぱりきょねんの早慶戦の失格っていうのは結構大きかったんですよね。まああのあと立ち直してインカレ向かいましたけど、早慶戦って特別なので。みんな艇乗ってて、『雪辱〜!』って僕が言うと、すごくみんなやる気になるというか。きょねんのあの記憶すごいんで。勝ったのに負ける、っていうのは。やっぱりそれが脳裏にあるので、根性はきょねんよりすごいと思いますね。死ぬ気で勝つ、って感じですかね。

石橋 僕は、早慶戦の負けから始まり、軽量級も負け、インカレも選考で負けてしまったので、対校から乗ってなくて。結局この2人だけ優勝して僕はずっと陸で見てるだけで。それで全日本(選手権)も勝てなくて新人(全日本新人選手権)も勝てなくてという感じで。ワセダとしては2015年は良いシーズンだったと思うんですけど、僕にとってはほんとに挫折のシーズンだったので、そこを絶対這い上がろうという感じでした。そこで精神的にすごく強くなったのかなと思います。得られるものもすごく多かったですし、たぶん負けたからこそ気付けるものもすごく多かったので。きょねんももちろん覚悟を持ってやっていたんですけど、それ以上の覚悟を持って、自分がやらなきゃいけないという気持ちで、いまは常日頃練習していますね。

内田 僕はインカレで優勝して、クルーとしては成長したんですけど、自分自身は成長してないかな、と思います。やっぱり競技成績も、個人の競技成績はいまちょうどカベに当たっているかな、という。レースについて深く考えたりだとか、メンタルトレーニングの授業取ったりだとか。精神面は成長したかは分からないですけど、いろいろ勉強したな、と思います。

――技術面での変化は感じられますか

石田 変わりませんね。周りはほめてくれるんですけどね、上手くなった、って。うれしいですけど、あんまりわかんないですね、技術とか。何にも考えずにやっています。この二人とはちょっと違うんですよね、考え方が(笑)。

石橋 技術はそうですね、まだまだ下手ですけどこの冬で一番スイープが上手くなった自信はあるくらい成長できたのかな、と思います。11月から竹内さん(友哉副将、スポ4=愛媛・今治西)と一緒にペアでやらさせてもらっていて、竹内さんはすごく技術にたけているので、そこから毎日厳しく教えてもらっていました。その3か月を過ごせたというのは僕の中ですごく大きな成長できる点だったなと。教えてもらったのを早慶戦のエイトに生かしたいですね。まだまだ技術は未熟ですけど、きょねんよりははるかに成長した自信はあります。

内田 僕自身、すごくスイープに慣れてきて、そこは成長したかな、と思います。きょねんは結構、監督に怒られることもあって。お前のせいでみんな漕げないんだよ、みたいな。半べそかいたときもあったんですけど、ことしはそんなに怒られてないです。

――昨シーズンに点数をつけるとすれば、何点でしょうか

石田 僕なら、92点です。結構、きょねん満足したんです。満足し終わったわけではないのですが。何か足りないなと考えると、やはり脳裏にある早慶戦に負けたことを思い出します。でもインカレでは優勝できたので自分に92点をあげますね。

石橋 僕の昨シーズンは0点、いや赤点なのかなと思います。やはりこの2人と違って何も成し遂げていないですし、成果を上げていなかったので、点数をあげて10点、本当に0点に近いぐらいですね。きょねんは自分のボート人生の中で一番つらいシーズンだったので、全然満足できなかったです。でもその経験があったからこそ、いまがあるのかなとも思うので、とりあえず10点あげます。本当に満足は一切できなかったシーズンです。

内田 僕は、クルーで成長できた分と自分が成長できなかった分で、70点ぐらいでしょうか。クルーとしては僕も90点くらいですね。足りなかったところとしては、やはり課題はあったので、8人の軌道が完全に合っていたわけではなかったのでそこを入れて90点にしました。

――現在の課題はどの部分でしょうか

石田 ユニホーミティーですね。僕のポジションは前から見て1番が竹内さん、7番が石橋、6番が僕なんですが、ここ(石橋と石田の間)がずれると、だめだなと思っています。竹内さんがリズムをつくって、それを石橋がつないでそれをまた僕がつなぐので、ここが結構大事だと思います。僕はずらさないように後ろに伝えるのが課題です。なんとしてもずらさないで後ろにつなげる、という。

石橋 僕も絶対にリズムをつなぐというのが今後の課題なのかなと。そこから絶対的安心感をクルーに持たせられればいいのかなと思います。昨年の長田さんはこの人のストロークに乗っていけば必ず勝てるという雰囲気があったので、僕も「石橋に付いていけば勝てる」と言われるくらい実力がつけられたらいいのかなと思います。ここからあと1か月あるので、しっかり練習して頑張ります。

内田 僕個人の課題としては、フィジカル・テクニック・メンタルすべてが課題ですね。足りないところだらけなので。やはりあと1か月で、フィジカルはそんなに変わらないと思うので、テクニックなど、チームの課題も多いのでそこを直して行けたらなと思います。

石田 (内田は)こんな厳つい顔をしていて、メンタルめっちゃ弱いんですよ。かわいいところをたまに見せる(笑)。1人で悩んでるんですよ。

内田 (石田も)性格はめっちゃ豪快なのに、レース前になるとめちゃめちゃ繊細になって(笑)。「やばい、吐き気がする」とかずっと言ってて、緊張する繊細さも持っています(笑)。

石田 こいつ(内田)もですよ!こんな厳つそうなのに、たまにしょんぼりしたりするんですよ!めっちゃ怒られてて、しょんぼりしてた。

内田 何でだろう、やたら怒られる。

石田 しかも僕らの前で怒られるから、めっちゃしょんぼりしてる。

内田 僕、ボートでも怒られるけど、髪型でも怒られる。

石田・石橋 出た!それ言おうと思ってた!(笑)。

内田 僕、髪が伸びるのが速くて、1か月に1回のペースで切らなきゃいけないんですけど、床屋で切ると高いので、もったいないって思って自分で切るんですよね。

石田 ヘアサロン内田、店長(笑)。

内田 気づいたら結構がっつりモヒカンになってることがあって。

石橋 ハサミ使わないんですよ、全部バリカンでやるんですよ。

石田 だいたい僕らも納得する出来なんですけど、たまにまあまあ、ってことがある(笑)。5回に1回は「おお~!」ってなります(笑)。「攻めるねえ!」みたいな。きょねんのインカレ前の半袖で写ってるのもモヒカンっぽくなかった?

石橋 きょねんの早慶戦前に写ってる写真見たら、ネイマールみたいになってると思いますよ!

内田 監督にそこでめちゃめちゃ怒鳴られて、すみません、と。

石田 そうしたら(内田が自分の)ツイッターで、「髪型なんてどうだっていいじゃん」ってつぶやいていました(笑) 。でも最近は腕をあげて、自分でやったか分からないくらいです。あとLINEで「アルバイト募集」とかいって、内田の見えない頭の後ろのカットをしてくれる人を募るという(笑)。3分で時給900~1200円ですよ(笑)。

石橋 分給じゃん(笑)。

――お二人は繊細な面があるということで、石橋さんはメンタルの面ではいかがですか

石田 僕、繊細かなあ?(笑)。繊細ではないですよ。

石橋 僕はめっちゃがさつです。竹内さんとペアに乗ってるときも怒られてますね。

石田 僕らの中では1番真面目だと思いますけどね。きれい好きというか、几帳面というか。部屋めっちゃきれいだし。

石橋 そういうところもあるんですけど、両極端です。気分屋というか、疲れてるときは「このくらいでいいや」ってがさつになってしまうときもありますし。よく分からないです(笑) 。

石田  僕は繊細じゃないですよ(笑)。部屋も汚いですし。

――早慶レガッタで注目してほしいポイントは

石橋 特に桜橋じゃないでしょうか。最後みんなの応援が聞こえてきて、最初に桜橋を通り抜けるかどうかで勝負が決まるので、やはりケイオーも先にいきたいと思ってると思うので、そこでのワセダのスパートを見てもらえればな、と思います。ことしはあと、オーロラビジョンがやってきますからね、隅田に!トラックやライブ会場にすごく大きい液晶あるじゃないですか、あれをいま導入しようということになっていて。きょねんまではたしか実況だけだったんですけど、ことしはスタートから全部配信されて、桜橋にいる人も、スタートからどんな展開で桜橋まで来るのか見られるので、そこがことしの早慶戦の見どころなのかな、と思います。音声だけじゃなくて、実際ボートが競ってるところも見ていただきながら、それぞれのコックスの声とかも入ってくると思います。藤川さん(和暉、法4=東京・早稲田)は必殺のコールを用意していると思うので(笑)。

石田 「カミソリエントリーからの、じいじの誇りのレッグドライブ」ね。孫の代まで誇れるようなレッグドライブをするということです(笑)。聞けるかな?僕らレッグドライブが強いので孫の代まで引き継ごう、ということで。

石橋 良知はたまに「We areまとまる君」とか、言いたいことは分かるのですが、ふっと力が抜けちゃうようなことを言います(笑)。

石田 盛り上がるんですよ。じりじり競って抜かしたいときとかは「じりじり君!」とか言います。

内田 こっちまでは聞こえなかったよ(笑)。

石橋 うっちーはことしバウだから目立つよね。

内田 バウは背中に『W』の文字を背負うんですよ。ちょっとおいしいところですね。そこも見てください。

――選手から見て、早慶レガッタのコース特有の見どころは

石田 とても揺れてうねりがすごいですね。実際エイトの艇が真っ二つに折れたことがあるくらいです。そのくらい水流がすごいです。

石橋 普通のコースって2000メートルの直線じゃないですか。でも早慶戦の隅田川は両国橋をわたるときの大きなカーブだったり、きょねんいろいろあった言問橋だったり、カーブが重要になってくるので、そこは早慶戦でしかないと思います。多分どこの大学も経験できないんじゃないでしょうか。普通は戸田とかでやるので。こう大曲で、うまく戦略立ててカーブを曲がってレースをするっていうのは、早慶しかできないのでは、と思います。

内田 あとは、2艇しかいないので普通の4~6艇いるコースに比べて、勝つか負けるかの勝負が見られると思います。

――レースプランはございますか

石橋 スタートの時点でケイオーが先行しているというのは最初から決まっていることなので、それに追いついて追い抜かすだけなのかなと思います。

石田 スタートして大体3分半くらいで両国橋が見えてくるんですが、そこまでに前に出てれば勝てるのではないかと。

――レースのキーマンになるであろう選手は

石田 僕は全員がキーマンだと思いますね。誰というわけではなくて、まとまりでしか勝てないので、9人全員がキーマンかなと思います。あとはコックスの藤川さんのコールを信じるだけですね。いつくるか分からない「じいじの誇りのレッグドライブ」に従うだけですね。

石橋 良知が言ったように全員が大事なんですが、やはりまずコックスもそうですし、ストロークがとても大事なので竹内さんのリズムが後ろ7人の運命を引っ張っているので、ストロークでいかに勝つスピードを出せるかにかかっていると思います。そこを注目してほしいなと思います。「じいじのレッグドライブ」から竹内さんが漕いで、僕と良知がつないでからどんどん一気にスピードが上がると思うので、そういうところを見ていただけたらなと思います。

内田 僕は藤川さんかなと思いますね。カーブが多いので藤川さんの指揮で決まる部分が多いと思います。良知が言ったように、コックスが特に。

――ケイオーの印象はいかがでしょうか

内田 きょねんと比べて漕ぎ方は変わっていますね。ニュージーランドの大学に留学した人たちがその真似をしたのかな、と。僕らの漕ぎもことしは少し真似してきています。

石橋 僕は正直そんなにケイオーを見ていなくて。もちろんケイオーには勝つのですが、それだけではなくて早慶戦に勝ってインカレで優勝するのが一番大事なことだと思っています。僕はいつもクルーのみんなに「日大を意識しろ」というようにしているので、とりあえずいまの自分たちの良いパフォーマンスを出すことをクルーとして考えてます。

石田 そうですね、印象というほどケイオーを意識していないです。

石橋 多分、対校エイトでそんなにケイオーを意識してる人はいないと思いますね。

石田 日大なので。ぶっつぶすのは。

――では、早慶レガッタとは

石橋 僕にとってはやはり憧れの舞台ですね。やはり早慶に進学したきっかけもこの早慶レガッタですし、早慶にしか味わえない舞台だと思うので、名誉だなと思います。それくらい特別な大会ということではないですかね。

内田 僕はチャレンジャー精神を貫きたくて、いつもは勝ちたいという気持ちでいくのですが、早慶レガッタは負けられないという気持ちが強くて、そういう意味では普段のレースとは認識が違いますね。負けられない戦いです。

石田 通過点といいますか、通過点だけれども特別というか。あと2回レガッタには出られる機会があると思うので、それまでに答えを見つけます(笑)。

内田 人生と一緒だよね。

石橋 勝たないと分からないと思います。

――最後に、早慶レガッタにかける思いを

内田 きょねん失格になった時点で僕の中の早慶レガッタは止まっていて。きょねんからの目標である『圧倒的勝利』を達成しない限りは早慶レガッタの借りは返せないと思います。なのでケイオーをぶっつぶして『圧倒的勝利』を達成することが僕の意気込みです。

石橋 早慶戦に来てくださるワセダファンに勝利をお見せしたいです。2011年に戸田で勝ってるのですが、最後に隅田で勝ったのは2010年なんです。となると6年ぶりに勝利をお見せできると思うので、とにかく応援してくださる皆様に勝利をお見せします。それだけは絶対やり切りたいと思います。

石田 難しいですね、なんて言えばいいのか。ことしネットで全国中継されるということで、滋賀県にも石田良知を知ってもらえればなと。すごい声出している、叫んでいる奴がいる、とね(笑)。

――ありがとうございました!

(取材・編集 鎌田理沙・寺脇知佳)

◆石橋広陸(いしばし・ひろむ)(※写真右)

1995(平7)年4月25日生まれ。180センチ。愛知・豊田北高出身。スポーツ科学部3年。ポジションは対校エイトの7番。几帳面で真面目な石橋選手が、冬で鍛え上げられた技術でエイトを勝利へと導きます!読書で培った思考力がレースでどう生きるかも、とても興味深いですね!

◆石田良知(いしだ・りょうち)(※写真中央)

1995(平7)年10月26日生まれ。185センチ。滋賀・彦根東高出身。スポーツ科学部3年。ポジションは対校エイトの6番。パワー型のワセダの6番は、掛け声でチームを鼓舞する元気印!お気に入りだと言うトンカツ(勝)君Tシャツを着て、早慶レガッタへの準備は万端です!

◆内田達大(うちだ・たつひろ)(※写真左)

1996(平8)年1月7日生まれ。173センチ。山梨・吉田高出身。スポーツ科学部3年。ポジションは対校エイトのバウ。自分で髪のカットをするという器用な内田選手。早慶レガッタ前もセルフカットで気合いを入れるのでしょうか?本番では、バウの内田選手の背中の『W』が一番にゴールに着くのを楽しみにしています!