【連載】早慶レガッタ直前特集『4月17日』 第1回 C:亀本咲季子×3:土井鈴奈×2:佐藤紫生乃女子主将

漕艇

 昨年の早慶レガッタでは26連覇、全日本大学選手権(インカレ)では史上初の全種目優勝を成し遂げ、女王の名に恥じぬことのない活躍をした女子部。ことしの女子部を率いるのは佐藤紫生乃女子主将(スポ4=宮城・塩釜)、亀本咲季子(人4=埼玉・浦和一女)、土井鈴奈(教4=埼玉・浦和一女)だ。27連覇を狙うことしの早慶レガッタでは舵手付きクォドルプルからエイトへの種目変更に。女王は隅田川で初めてのエイト種目にどのように対応していくのか。またラストイヤーへのシーズン幕開けを迎えるいま、何を思うのかをお聞きした。

※この取材は3月12日に行われたものです。

「エイトでもやることは同じ」

今季主将として女子部を率いる佐藤紫女子主将

――例年女子は舵手付きクォドルプルでしたが、なぜことしからエイトへと種目が変更したのでしょうか

佐藤紫 まず、ケイオーさんの方から提案がきて、監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)とコーチ陣の間で話し合って同意し、エイトになったという経緯があります。

土井 あと人数が(ケイオーは)いままで8人そろわなくて少なかったのですが、いまは女子部員がちょうど8人いてエイトが出せるという条件がそろったので持ち掛けたんじゃないかなと思います。

――ことし勝てば27連覇となりますが、その上での種目変更に不安はありますか

佐藤紫 クォド(舵手付きクォドルプル)でもエイトでも目指すべきところや、やることというのは一緒だと思います。不安はないので私たちができることをしっかりやって、本番に備えようと思います。

――種目変更に対してどのように対応されてきましたか

佐藤紫 大きな変更というのはありませんが、スカル種目がスイープ種目になって少し動きが変わってくるので、そこの慣れのために男子とは違ったメニューを組んでもらっています。少し低いレートで長い距離を漕ぐような練習をメインにしています。 

――メンバーの選考はどのように行いましたか

佐藤紫 全員シングルスカルの艇に乗り、1400メートルのタイムトライアルをしました。その順番の上位8人で切っていく予定だったんですけど、ケガ人とかもいてきちんと上から切るということはできていないです。

――エイト種目は昨年度の全日本選手権(全日本)が最後だと思いますが、そこでの経験をどのように生かしたいですか

佐藤紫 全日本が終わったときに、最後の最後までまとまりきれてなかったかなと思うことがあったので、今回は全員が同じ方向をみていかなくてはいけないという意識を常に持ってやっているようにしています。

土井 きょねんの全日本はインカレ(全日本大学選手権)のメンバーが多く乗っていて個々の力はありました。それにも関わらず、全日本のエイトで勝てなかったのが本当に悔しくて。何でかなと考えたときにやはりユニホーミティーがまだまだ足りなかったと感じたので、今回はユニホーミティーをワセダの中で高めて、一つのクルーを完成させたいです。絶対にこのクルーでユニホーミティーが高いクルーができれば、インカレや全日本につながってくると思うので、そこを大事にしていきます。

亀本 私も個々の力を引き出しつつ、艇の司令塔なので自分自身がぶれないように常にみんなが同じ方向を向けるようにやっていこうと思います。

――1、2年生も同じクルーに乗っていますがどのようにまとめていきたいですか

佐藤紫 新4年生になって1番上(の学年)になりますが艇の上では対等な立場であるので、上からものを言うのではなくてクルーの中にいる一人の選手として1、2年生から思っていることや改善した方が良い点を言える雰囲気をつくっていきたいです。 

――大会でエイト種目未経験者もいますが、その方たちに対してどのように対応していきますか

佐藤紫 スイープを漕いでいない状態というか、自分の中で感覚を探している途中で最初からいろいろ言われると逆に混乱してしまうと思います。自由に漕がせて、その中でその子の中で発見するものとか安定するものを見つけられたら良いなと思っています。その過程で質問してくれることもあると思うので、そのときにはしっかり答えてあげられるようにという意識はありますね。

土井 スイープとスカルとで少し動きは変わりますがやることは変わらないです。後輩たちはすごく力を持っているのでまずは伸びるように漕いでもらって力を出してもらいたいです。何か特別言うことはあまりないです。

「女子部は何色でもそろっている」

一つ一つの質問に丁寧に答える土井

――新体制となりましたが雰囲気はいかがでしょうか

土井 2人(佐藤紫・亀本)が幹部で、私は幹部ではないのですが、女子部の雰囲気としては紫生乃(佐藤)についていきたいというのは後輩から感じますし、私も思っているのでそういう部分ではいいんじゃないかなと。特にエイトの組み立てのときも後輩たちから声がでていたので大丈夫だなと思いました。 

――お二人はどのように思っていらっしゃいますか

佐藤紫 前より後輩が話してくれるようにはなったよね。

亀本 いや分からないけど(笑)。

佐藤紫 うそ(笑)?私は話してくれるようになったと思います(笑)。悪い雰囲気ではないのかなと思いますが、まだまだ強いチームになるために仲良しチームじゃなくて、勝てるチームになるために必要なことを11月までのシーズンで完成させていければと思います。

――4年生のカラーはいかがでしょうか

佐藤紫 1つではないよね(笑)。いろんな色が混じっていると思います。難しい(笑)。

亀本 いろんな色が混じりあってる。

一同 (笑)。

佐藤紫 4年生だけじゃなくて女子部みんないろんな色だから何色でもそろっています、みたいな感じですね(笑)。

――個性が強いのでしょうか

佐藤紫 そうですね。いろんな色がありつつ、みんなの良いところや、色を引き出していければいいんじゃないかなと。1つの色ではないところは良いところだと思っています。

――お互いの印象を教えてください

土井 (佐藤紫は)強い女って感じです。芯を強く持っているなというのは練習を見ていても、普段の生活でもすごく感じます。

亀本 何だろう。小さいシロクマが大きい氷に立ち向かっていくけど諦めない。

佐藤紫 それすごくいい(笑)。

土井 でもたまに、すごく可愛いんですよ。言っていいのか分からないけど、すぐ泣いちゃうんです(笑)。

佐藤紫 そうなんです。すぐ泣くんです(笑)。嬉しくても悲しくても泣くときが多いです。

――亀本さんに対してはいかがでしょうか

佐藤紫 ぶれないなと思います。決めたら絶対やり通すし、何が正しいかを考えるのですが、決めたら一心不乱に突き進むので頼りがいがあるなと思います。

土井 すごく責任感が強くて(亀本は)コックスという立場なのですが、本当に漕手のことを一番に考えてくれます。一緒の艇に乗っていても主将(佐藤紫)が言ったのですが頼りがいがあるなと思います。

佐藤紫 こういう取材とか写真のときに常に髪の毛をセットするというちょっとお茶目な一面も。

――今回もセットしてくださったのですか

亀本 しました(笑)。

――土井選手に対してはいかがですか

佐藤紫 鈴奈はいろんなところを見てくれるなというのを最近感じています。幹部だから忙しいというのは自分では感じていないのですが、端から見て、いっぱいになってしまっているときがあって。そうやって私が後輩と話しができないときも鈴奈は後輩に目を配ってあげています。リハビリがあって一緒に練習できていない子の状況も聞いて工夫してくれるので、練習のときももちろん頼りがいがあるのですが練習以外の面でも支えられているというか、私たちに必要な情報をわたしてくれるので頼りになります。

土井 (亀本に対して)何がくる?(笑)。

亀本 いや、動物ではない(笑)。とっても優しいけどちょっとバカで。非常にまっすぐだけど、まっすぐすぎて抜けている。

土井 なるほど。純粋なのかな。

亀本 いや純粋ではないけど(笑)。一生懸命がゆえに。

――どういう面で見られますか

亀本 いろいろあるのですが、1つのことに全力投球しすぎて手が抜けないというか、手を抜くことを覚えない。

土井 いろんな人から言われます(笑)。

佐藤紫 ちょっと無理を押してでも練習しちゃうとか。

土井 頑張ることと手を抜くことは違うんだよ、とは良く言われます。前よりも少し手を抜くようにはなったかなとは思います。

亀本 前よりは良くなった。

――ご自身ではどのような役割だと思われますか

佐藤紫 後輩から見た私はたぶん冷酷そうで、あまり後輩とかから優しそうと思われるタイプではないと思うのですが、最近は「紫生乃さん印象と違いますね」と言われることが多いですね。優しくはないけど話しにくくはないかなと思っています。結構(私は後輩のことを)いじったりしているのですが、後輩も私のことをいじってくるんです(笑)。私は全然気にしないので話しやすくていいのかなと思っています。

土井 私は紫生乃とは逆で見た目はそこまで気が強そうではないので(笑)。どちらかというと優しい先輩の部類に入るのではないかなと思うので、それを生かして後輩と良いコミュニケーションをとれるようには考えています。ただ逆にそれがいき過ぎて煽られることが多いです(笑)。私はそれで楽しいので良いのですけど、煽られてるよね、私?(笑)

佐藤紫 煽られてる(笑)。

土井 でも楽しく生活できているので良いかなと思います。

亀本 私はつかめない存在だと思うんですよ。

佐藤紫 それ全然後輩とコミュニケーション取ってないみたいだよ(笑)。

土井 でも後輩に対して優しいよ。

佐藤紫 後輩から亀ちゃん頼れるって思われてるって。

――エイトメンバーの印象を教えてください

亀本 田口(えり花、商3=埼玉・浦和一女)はストロークをやることでもっと成長してくれたらと思います。

土井 (田口は)声を出してくれる存在で、的確な指示を言ってくれるときは良い働きをしてくれるので、そこはこれからも続けていってほしいなと思います。

佐藤紫 田口は次3年になるのですが私が引っ張っていくというのが伝わってくるので、クルーに良い影響を与えようとしているところはどんどん続けていって欲しいです。

佐藤紫 美奈ちゃん(木下美奈、スポ3=山梨・富士河口湖)は冷静。良い漕ぎを出すために考えて漕いでいるという感じがわかるし、彼女はあまり声で引っ張るというタイプではありませんが、自分の漕ぎで淡々と漕いでいくことによってクルーのスピードをあげていくというところに貢献していると思います。安定した良い選手だなと思います。

土井 やることをしっかりやるというのを体現してくれる選手だと思います。彼女を見ていると見習わなくては、と思うことが多いです。

佐藤紫 米ちゃん(米川志保、スポ2=愛知・旭丘)は次2年生で、自分から発信していくことにまだ慣れていないのですが意見を聞くと的確な答えが返ってきます。良い視点から良い意見を言ってくれるのでクルーを大きく変えられるヒントを与えてくれて、しかもエンジンなので良い水中を出してくれて。(米川の)意見とパワーでクルーが良い方向に向かっていると思います。かれんちゃん(工藤かれん、スポ2=愛媛・松山東)は器用な選手だなと思います。どこに乗っても誰にでも合わせてあげられるし、バウというポジションは艇の後ろだけに浮くこともあって難しいポジションだと思うのですが、常に安定した動きをしてくれます。(工藤は)次2年生なのですが若さをパワーに声とか出してくれるし、私はかれんちゃんの前に乗っているのですが、個人的にコールをすると良く反応してくれるので器用だなと思う選手です。

土井 部やエイトの中で割と身長が低い選手なのですが本当に器用な選手で感覚も良くて。意見を求めるとなるほど、と思わされることも多いです。2年生でそれが出来ているので、これからパワーもつけて強い選手になっていくのではないかなと思います。

――オフの日は何をされていますか

亀本 就活をしています。あとは友達と遊んでいます。友達が家に来るか、一緒にご飯を食べるかをしていますね。

土井 私は理系なので研究室が毎日あってオフの日も研究室に行くことが多いですね。あまり遊んだりはできていないです。

佐藤紫 1人でいることが多いです。公務員の試験を受けるのでその勉強とか、最近のオフは天気が良くなくてネットで買い物をしています。最近だと服とかお香とか(笑)。

土井 お香?(笑)

佐藤紫 あまり寝れないんですよ。それで調べてお香が良いっていうのを見て、すぐに影響されて注文して。昨日から使っているんですけど良い感じです。気持ちの問題だよね(笑)。でも良いのかなと思う気持ちが大事。ストレスとかからくるものではないですよ(笑)。

感謝を漕ぎに込める

司令塔として女子部をまとめる亀本

――インカレでの経験をどのように生かしたいですか

佐藤紫 きょねんは全種目総合優勝が目標だったので全部が絶対に優勝するんだ、という気持ちで臨んでいました。乗っている人は他のクルーのことも気にかけていたし、インカレに出られなかった人も一丸となって絶対に目標を達成するんだという気持ちで頑張っていました。でもあの優勝はみんなが絶対やるんだという気持ちがあったから達成できた目標だったと思うのですが、全日本ではクルーが変わって次につなげるということができなかったので、インカレの一体感を早慶戦やインカレとレースが続いていく中でしっかり再現できるように頑張っていきたいと思います。

――インカレでは史上初全種目制覇を成し遂げられましたがそのときの勢いをつけられていると思われますか

佐藤紫 つなげられているかは分かりませんが、全員がもう一度あれをことしやり遂げたいという思いはもっていると思います。このチームは常に勝ち続けないといけないと思うので。勢いというよりかは気持ちを持ち続けて練習することはできていると思います。

――自信というよりも勝ち続けなければいけないというプレッシャーの方が大きいのでしょうか

佐藤紫 前はプレッシャーの方が大きくて気負ってしまうことがありました。でもいまは、連覇にこだわる必要はあまりないなと思っています。その代で最高の漕ぎをすることが目標なので、人が入れ替わっている中で連覇できればいいのですが(勝ちに)執着しすぎず、この代で一番良いと思えるようなクルーをみんなでつくっていければ良いのではと思います。

――現段階でどのように思われますか

佐藤紫 同じような生活をしていると変化が見出だせなくて難しいのですが、1日でこれをしようとか、練習中もこれがダメだったから次はこうやって変えていこうという意見が出てくるので、1つずつつぶしていけている点では伸びしろがあるチームだなと思います。

――早慶レガッタにおいてそれぞれのポジションで果たしていきたいことを教えてください

佐藤紫 クルーキャップを務めているのですが、いろんな意見とかいろんな選手がいる中で自分もその中の1人なので、クルーを外から見ることも、中から見ることもできる人間になりたいと思います。みんなが熱く盛り上がっているときに逆に冷静になってみたり、反対にみんなが冷静になっているときに熱くなってみたりクルーに常に刺激を与えられる選手になっていきたいなと思います。

土井 私は4番でエンジンとなる真ん中のポジションで他の選手と一緒にしっかり艇速に還元できるポジションだと思っています。まず自分の力を出すというところをやっていきたいです。あとは声を出せば前にも後ろにも聞こえるところに自分はいるので、少しクルーが悪くなったなと思ったときは気付いて、立て直しできるようにしたいです。声を出して盛り上げていきたいなと思います。あとは紫生乃がクルーキャップなので、ついていくというのはもちろんですが、それだけではなくて自分が思っていることを伝え、後輩が思っていることをすくいあげて、みんなで良いクルーをつくっていきたいなと思います。

亀本 私はこのクルーにおいて私だけ3回目の出場になるので、他の人たちよりも隅田の状況とか隅田で勝つためにはどの程度までクルーを完成させなければいけないのかが一番見えていると思います。ポジション的にも完成形に向かって私自身がぶれずにみんなを導いていく必要があるので、隅田川のコースをまっすぐ進めることもそうだし、クルーをつくっていく上で勝つためのクルーつくりにおいても私が佐藤と一緒に引っ張っていきたいです。みんなはまだそんなに隅田川のレースを経験したことがなく、経験した選手も1回ずつしか乗っていないので私が一番しっかりして客観的にクルーを見て、どこがいま足りなく伸ばさなければいけないのか、良いところでこのまま伸ばさなければいけないところを踏まえて、クルーを完成形に向けてつくっていかなきゃいけないと思います。

――クルーの強み、または課題はありますか

亀本 あきらめない姿勢ですね。どんなにみんなでバランスが良くなく、漕げていないと思っていてもみんなで変えようとしている姿勢があるのでそこは良い点だと思います。

佐藤紫 常に良いときでも悪いときでももっとよくしようと考えてできているのでそこは良いところだと思います。直すところは、波があるよね、まだ。

亀本 波というか、そんなに良くないときに良いところにもっていくときに少し時間がかかってしまいます。それはクルーを組んでから日が短いからだと思うのでそこはすぐ良い状況にもっていきたいです。隅田(川のレース)まで短いと思うので自分たちのコンディションを良くして調整していこうと思います。

――隅田川でのエイトは初めてですが、どのようなものと予想されますか

佐藤紫 隅田(川で)は予想外のことが起きて当たり前だと思うのでどんなことがあっても常に冷静に、起こり得ることを全て考えていかなくてはならないと思います。

土井 戸田のコースと比べて波があるコースだと思うので、戸田のコースでレースをするとき以上にユニホーミティが大事になってくるので今の練習のうちから8人全員で合わせていきたいと思います。

亀本 隅田(川)のスタートの時間は順流で、水がいつもに比べて流れてしまいます。波が縦の高い波かつ軽くてスカスカしてしまうので水の固定感が全然感じられなくて、すごく漕手は(漕ぐのに)難しいと思います。ですがそういう環境に適応できるために普段のコースの練習から水をもっと固定して突き放すという感覚を今のうちから練習の中でつかんでいこうと思います。

――舵手付きクォドルプルとエイトはやはり違いますか

佐藤紫 エイトで隅田にいったことがないので分からないのですがきっと違うよね。

亀本 多分エイトの方が長さが2倍近くあるのでその分ぶつかってくる波も2倍になるし、あらゆる方向から今までの2倍の波がぶつかると考えると相当ぶれない姿勢および艇が重要になってくると思います。

佐藤紫 エイトは長く、前の人に当たっている波と後ろの人に当たっている波が違うと思うので(亀本が)言ったようにぶれずにどんな時でもしっかり掴んでいくというのを徹底していかなくてはならないと思います。

土井 クォドだったら持つオールが二本でバランスを自分で取りに行けるのですが、スイープだと一本なので少しの動きで変わってくるのでエイトだとより全員の動きが大切になってくると思います。

――レースプランは考えていますか

佐藤紫 プランはまだ考えていないのですが圧倒的に勝ちたいと思っているのでスタートから一気に突き放しにかかろうと思います。1000メートルだったらすぐに終わってしまい、スタートが大事なのでそこをしっかり決めていきたいです。

――全日本の際に「個々の力のレベルアップが大事」とおっしゃっていましたが、レベルアップできていると思いますか

佐藤紫 できているんじゃないかな。個人的には年末に虫垂炎で手術して、そこからあまり本調子に戻せていないままいまに至るので、女子全体では個々にレベルアップが出来ていると思うのですが、私自身はまず自分が納得できるような漕ぎができないと示しがつかないと思うので個人的な実力も向上させていきたいと思います。

亀本 レベルアップはできていると思います。いきなりクルーボートに乗せたときも、1モーション目から高いユニホーミティができているので、そこはすごく個々のレベルが上がった結果としてクルーとしてもユニホーミティが保てているのだと思います。タイムトライアルの結果を見ても例年に比べて伸びている感じがあるので自信をもってやっていければいいと思います。

――早慶レガッタでシーズンの幕開けとなりますが、4年生にとってはラストイヤーとなります。どのように過ごされたいですか

佐藤紫 ボートをしない自分を想像しづらいのですが、何においても最後となるので、そのときにやれることをやりきりたいです。あと学年が上がるにつれて自分がボートをできることに対しての感謝の気持ちが芽生えるようになって。応援してくれる人とかこういう環境を整えてくれる人がいるから良い環境でボートを続けられているので、そのことに対して常に感謝の気持ちを忘れずにその気持ちを一つ一つのレースで表現していきたいと思います。

土井 きょねんは女子も男子もすごくいい結果を残したのですが、私個人でいうと選手として功績に関わることが出来なくて、うれしさ半分悔しさ半分で昨シーズンは終わってしまいました。ことしはラストなので、まずは選手として試合に出られるように実力をつけていきたいです。昔は自分が勝てばいいと思っていた時代もあったのですが、学年が上がるにつれて自分だけではなくこの部で勝ちたいという思いが強くなってきました。実際にきょねんレースに出ていないときでもみんなが勝ってほしいという思いが強かったです。ことしも女子も男子も全員でまずは早慶戦から勝って、それをインカレ、全日本とつなげていきたいです。

亀本 私はきょねん、全日本では優勝できなかったことが心残りになっているので、ことしインカレで優勝することはもちろん、絶対に全日本で優勝したいなという気持ちはあります。私だけが優勝すればいいのではなくて、私が勝っていても他のみんなが負けていたら全く嬉しくないので、チーム全員で勝てるように幹部として、コックスとして自分の役割を果たしていくと共に、毎年コックスと同じことをしているだけでは組織が発展していかないと思うので私自身で亀本咲季子の負荷活用をしていきたいと思います。あと後輩に与えてあげられるのがことしで最後なので、後輩が上手になるように私がちゃんとサポートして引退できたらいいと思います。

――レガッタに向けての意気込みをお願いします

佐藤紫 さっきも言ったのですが、圧倒的な差で勝ちたいと思っているので、私たちが出していけるスピードを最大限に出していけるようにこれからもっと練習して早慶戦を迎えられるようにしたいです。あとは、伝統あるレースなのでワセダの誇りやプライドを持ち、ケイオーさんがいることでできるレースなので、しっかりケイオーさんに感謝するし、運営してくださるマネージャーさんやOG・OBの皆さまに、関わってくれるすべての人に感謝してワセダの男女での『圧倒的勝利』を見せたいと思います。

土井 紫生乃からもあったのですが早慶戦は私たちの想像できないくらいの数の人たちが関わってくださっていて、そのことによって運営ができている大会だということを常に忘れずにレースに臨みたいです。また、個人的には最初で最後の隅田川でのレースになるのですが選手が勝って帰ってきてくれるとサポートしている側もとても嬉しいので、しっかり勝って今回の大会に関わってくれたみんなを笑顔にできるように『圧倒的勝利』をしたいなと思います。あとは最後なので楽しんでレースをしたいと思います。

亀本 私もみんなと被るのですが、早慶戦ができているのは私が想像している以上のいろんな方々のサポートのおかげです。その人たちへの最大の恩返しは『圧倒的勝利』なので絶対に勝ちたいと思います。エイトになって初めての早慶戦ということなので、私が勝ち方を体感して来年乗る人たちにつなげていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 茂呂紗英香)

◆佐藤紫生乃(さとう・しおの)(※写真左)

1995(平7)年1月7日生まれ。宮城・塩釜高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはエイトの2番。後輩から見た自分の印象を冷酷そうと言う佐藤紫選手。反対にうれしいときも悲しいときもすぐに泣いてしまうというかわいらしい一面も。隅田川では佐藤紫選手のゴール後のうれし泣きが見られることでしょう!

◆亀本咲季子(かめもと・さきこ)(※写真中央)

1994(平6)年4月11日生まれ。埼玉・浦和第一女高出身。人間科学部4年。ポジションはエイトのコックス。佐藤紫女子主将をシロクマに例えるなどユーモアがあり、的確な表現をする亀本選手。部員のことを普段からよく見ていることが伝わってきました。レース当日も持ち前の観察力から出される的確な指示でクルーを勝利へと導いてくれることでしょう!

◆土井鈴奈(どい・すずな)(※写真右)

1994(平6)年9月3日生まれ。埼玉・浦和第一女高出身。教育学部理学科生物学専修4年。ポジションはエイトの4番。オフの日も研究室へ行く文武両道な土井選手。取材では常に明るい笑顔で答えてくださいました。早慶レガッタでは艇の主動力として圧倒的な漕ぎを見せ、ワセダのサポーターを笑顔にしてくれることでしょう!