漕艇シーズンの幕開けとなる大会、お花見レガッタがことしも戸田の地で開催された。早大からはフレッシュな顔ぶれがそろい、男女合わせて7艇が出場。男子部は全ての艇が順位決定戦へと回ることになる。しかし女子シングルスカルの木下弥桜(スポ1=和歌山北)はあす行われる決勝への切符をつかみ取り、昨年度に続き女子部の戦力の厚さを予感させる結果となった。
早大勢の先陣を切ったのは女子シングルスカル予選に出場した大野絢乃(スポ1=愛媛・松山東)だ。スタートから先行を許すと最後まで捉えきれず、順位決定戦回る。続く南菜月(教1=新潟南)と木下は予選を2位で終えるもタイム順でそれぞれ準決勝に進出。木下は大学初レースながら安定したレース運びで2位と健闘し、早大勢で今大会唯一の決勝進出を決めた。南は逆風の影響から、予選で見せた積極的な攻めを見せられず5位に。あす行われる順位決定戦では本来の力を発揮し、上位を狙いにいく。
大学デビュー戦を堂々とした漕ぎで飾った木下弥
一方、男子ダブルスカルは新1年生を中心に3艇が登場。早大Aは序盤の遅れを取り戻せず3位で、早大Cはゴール手前で東北大学Aからの猛追にあうも逃げ切り2位でそれぞれレースを終えた。その中で早大Bはスタートで飛び出すと、一気に他艇を引き離す。そのまま一度も先頭を譲ることなくフィニッシュし準決勝へと駒を進めた。迎えた準決勝では社会人クルーも含む組み合わせの中、最後まで粘り強く艇を進めるも6位。決勝進出とはならず悔しさをあらわにするも、「もっとパワーをつけていく必要がある」(土屋夏彦、スポ1=山梨・吉田)と新たなステージで戦うための材料も見つかった。最後に出漕した男子エイトでは、序盤は横並びの状態になるも徐々に離されてしまい5位でレースを終え、あすの順位決定戦へと挑む。
準決勝進出を決めた男子ダブルスカル早大B
結果として決勝へと駒を進めたのは1人であったが、新入生が厳しさを増した新たな舞台で、多くの収穫を得たことも事実だ。あすは早大漕艇部に新たな風を吹き込む新入生、そして挽回を図る男子エイトの全員が、最高の力を出し切り笑顔でシーズン初戦を飾りたい。
(記事 黒田菜々子、写真 黒田菜々子 新庄佳恵)
※記事中の学年は、新年度のものです
結果
▽男子部(予選)
【ダブルスカル】
早大A
S:髙山格(スポ1=神奈川・横浜商)
B:堀内一輝(スポ1=山梨・富士河口湖)
3分44秒80 【順位決定戦へ】
早大B
S:土屋夏彦(スポ1=山梨・吉田)
B:川田諒(社1=愛媛・松山東)
3分38秒73 【準決勝進出】
早大C
S:藤井拓弥(社1=山梨・吉田)
B:菅原諒馬(商1=東京・早大学院)
3分40秒51 【順位決定戦へ】
【エイト】
早大
C:片所宏介(社3=東京・早大学院)
S:富田剣志(スポ3=愛媛・今治西)
7:尾崎光(スポ2=愛媛・今治西)
6:寺田圭希(人4=滋賀・膳所)
5:飯尾健太郎(スポ2=愛媛・今治西)
4:山口幹太(スポ2=青森)
3:有田光佑(創理4=東京・早大学院)
2:伊藤光(文構2=東京・神代)
B:正木丈治(商2=米国・ウッドブリッジ高)
3分10秒22 【順位決定戦へ】
▽女子部(予選)
【シングルスカル】
大野絢乃(スポ1=愛媛・松山東)4分46秒85 【順位決定戦へ】
木下弥桜(スポ1=和歌山北)4分21秒57 【準決勝進出】
南菜月(教1=新潟南)4分20秒58 【準決勝進出】
▽男子部(準決勝)
【ダブルスカル】
早大B
S:土屋
B:川田諒
3分50秒10 【順位決定戦へ】
▽女子部(準決勝)
【シングルスカル】
南 4分47秒64 【順位決定戦へ】
木下 4分35秒27 【決勝進出】
コメント
S:土屋夏彦(スポ1=山梨・吉田)
――大学生として初めてのレースでしたが、予選と準決勝を振り返っていかがですか
やっぱり、高校までの感じとは違いましたし、大人たちと試合をして自分の実力のなさを実感しました。
――本大会ではどのような目標を掲げてレースに臨みましたか
Bファイナル出場以上を掲げていたのですが、Cファイナルに回ってしまったので、Cファイナルでは1位を取れるように頑張りたいです。
――具体的に高校生のレースと異なる点は何でしょうか
気持ちの面でも大きいですし、高校までは簡単に勝てていたのですが、やっぱり大人相手では簡単に勝てません。負けている状況が多いので、そういった面で力が出せなかったかなと思います。
――改善していきたい課題は見つかりましたか
純粋にパワーが足りないなと思ったので、もっとパワーをつけていく必要があるなと感じました。
――予選を勝ち抜いて準決勝に進んだことは自信につながりましたか
やっぱり目標がBファイナル以上だったので、力が足りないなと深く実感しました。
――ご自身の強みは何だとお考えですか
パワーは高校ではあった方だと思うのですが、いまのままでは大学生では通用しないし足りないと思うので、その長所を伸ばしていきたいと思います。
――スポーツ推薦で早大に進学した理由は何でしょうか
4月に行われる早慶レガッタに高校時代から憧れていて、自分も出場したいと思って早大に進学しました。
――寮での生活はいかがですか
先輩方も優しくしてくださるので、ボートに集中してできる気持ちの良い環境だと思います。
――4年間を通しての目標、理想の選手像などはありますか
早慶戦のファースト(対校エイト)での出場はもちろん、全日本(全日本選手権)やインカレ(全日本大学選手権)優勝は早大全体としても掲げている目標なのでそれを自分の力でたどり着くことができたらいいと思います。是澤主将(是澤祐輔、スポ4=愛媛・宇和島東)のような、力強い漕ぎができる選手になりたいと思っています。
――最後にあすのレースに向けて意気込みをお聞かせください
準決勝で力を出し切ることができなかったので、あすはCファイナルを必ず勝ち上がりたいと思います。
南菜月(教1=新潟南)
――大学初レースでしたが、予選を振り返っていかがでしょうか
シングルスカルが久しぶりだったので、あまり感覚とかがなかったのですが前半から積極的にいくっていう目標は達成できたので、そこは良かったなと思います。
――高校時の頃とはレースの雰囲気に違いは感じられますか
雰囲気違いますね。威圧感というかオーラが違います。
――準決勝を振り返っていかがでしょうか
準決勝は風と波がすごくて、私は相手よりも自然が敵になってしまって結果もあまり良くありませんでした。今後は早慶レガッタとかも(隅田川は)強風とか高波を相手にしていかなければならないので対応できるような選手になっていきたいです。
――風の影響は強かったのでしょうか
逆風と、私は小柄な方でパワーを出せる漕ぎができないので、きちんと4年間で鍛えて強風や高波にも自信をもってレースをできる漕手になりたいとは思っています。
――ご自身の強みはどの部分でしょうか
私は体力型だと思うので、きょうはあまり後半に伸びなかったのですが最後までテンポを崩さずに伸ばしていけるところかなと思います。
――早大を選んだ理由は
個人的な理由なのですが、高校の先輩(渡邊楓、文2=新潟南)がいらっしゃって以前インターハイ(全国高等学校総合体育大会)までずっとダブルスカルを組んでいて。それで最後の大会でふがいない結果で終わってしまったので、今度はきちんと大学で良い結果を出せるようにしたいと思って早大を選びました。
――4年間でどのような選手になっていきたいと思われますか
早大って女子の中でも『女王』と呼ばれている位置にあるので、私たちの代でその座が崩されないようにきちんと伝統を受け継いでいけるような漕手になりたいです。
――あすに向けて意気込みをお願いします
あしたは予選と準決勝同じ組で漕いだ選手がいるので、まずその選手に勝つことと、きょうの準決勝があまり良くなかったので、きちんと自分の悪かった部分を見直してあしたにつなげていきたいと思います。