いざ『日本一』へ!3艇が準決勝進出を決める

漕艇

 最高峰の舞台、全日本選手権(全日本)が幕を開けた。8月末の全日本大学選手権(インカレ)では男女共に存在感を示した早大。勢いそのままに今大会でも旋風を巻き起こしたい。きょうは予選が行われ、男女計7艇が出場。その中で男子エイト、男子舵手なしフォア、そして女子舵手なしクォドルプルが予選1位で準決勝への切符をつかんだ。残るクルーはあすの敗者復活戦に回り、再び上位進出を狙う。

予選から他を圧倒した女子舵手なしクォドルプル

 大会初日となったきょうは悪天候の影響でレースの距離が通常の2000メートルではなく1500メートルに変更されて実施された。早大の先陣を切ったのは男子シングルスカルの金子怜生(社1=東京・早大学院)。序盤から他艇に後れをとり、そのまま順位を上げることはできず4位でレースを終えた。女子部でこの日唯一登場した女子舵手なしクォドルプルは地力を発揮する。スタートから飛び出すと中盤以降も他艇を大きく突き放す展開。同組の大学勢をまったく寄せ付けずに準決勝へ駒を進めた。2年生コンビの男子舵手なしペアは終盤まで競るが、猛追及ばず2位と悔しい結果に。インカレ5位の男子舵手なしフォアは前半勝負のプランで挑んだ。第1クオーターは2位で通過するが、焦ることなく中盤以降に抜け出しトップでフィニッシュ。「理想的な展開」(木金孝仁、社3=東京・早実)と語り、手応え十分のレースとなった。

インカレの雪辱を果たしたい男子舵手なしフォア

 男子舵手なしクォドルプルは後半に粘りを見せたが追いつくことはできずに3位、男子舵手つきフォアは前半の出遅れを取り戻すことができずに6位となった。共にあすの敗者復活戦で望みをつなぎたい。インカレでは19年ぶりの栄冠に輝いた男子エイト。予選は学生のみの組となった。実力差を見せスタートからトップに立つが、その後はなかなか突き放すことができない。首位でゴールしたものの、いつもより距離が短い中で「うまく対応できない部分が多かった」(是澤祐輔、スポ3=愛媛・宇和島東)と振り返る。課題も残したが準決勝以降のレースで修正することはできるか。学生王者として臨む全日本、その戦いぶりが注目される。

 予選のレースできょう準決勝進出を決めたのは3艇。その他のクルーも健闘し、あす以降登場する選手たちにとって大きな力となったはずだ。全日本は社会人チームも参加し、まさに漕艇界の頂点を決める戦い。今後はさらに厳しい戦いが待ち受けている。インカレで歴史を塗り替えた早大が新たな1ページを刻むことはできるか。見据える先は真の『日本一』だ。

(記事 石川諒、写真 黒田菜々子、栗村智弘)

結果

▽男子部(予選)

【シングルスカル】

金子怜生(社1=東京・早大学院)

6分01秒31【4位、敗者復活戦へ】


【舵手なしペア】

S:有田雄太郎(法2=東京・早大学院)

B:得居亮太(法2=東京・早大学院)

5分22秒76【2位、敗者復活戦へ】


【舵手なしクォドルプル】

S:菅原拓磨(国教3=東京・早大学院)

3:杉田陸弥(人3=栃木)

2:川田悠太郎(国教3=東京・早大学院)

B:寺田圭希(人3=滋賀・膳所)

4分48秒11【3位、敗者復活戦へ】


【舵手なしフォア】

S:東駿佑(政経2=東京・早大学院)

3:石橋広陸(スポ2=愛知・豊田北)

2:木金孝仁(社3=東京・早実)

B:石阪友貴(政経3=東京・早実)

4分47秒99【1位、準決勝進出】


【舵手付きフォア】

C:藤川和暉(法3=東京・早稲田)

S:冨田剣志(スポ2=愛媛・今治西)

3:尾崎光(スポ1=愛媛・今治西)

2:井踏直隆(文構1=東京・早大学院)

B:正木丈治(商1=米国・ウッドブリッジ高)

5分12秒34【6位、敗者復活戦へ】


【エイト】

C:中村拓(法4=東京・早大学院)

S:長田敦(スポ4=石川・小松明峰)

7:角南友基(スポ4=岡山・関西)

6:石田良知(スポ2=滋賀・彦根東)

5:是澤祐輔(スポ3=愛媛・宇和島東)

4:藤井英貴(スポ4=東京・本郷)

3:内田達大(スポ2=山梨・吉田)

2:竹内友哉(スポ3=愛媛・今治西)

B:和田優希(教4=滋賀・膳所)

4分18秒56【1位、準決勝進出】


▽女子部(予選)

【舵手なしクォドルプル】

S:土屋愛(スポ4=新潟・阿賀黎明)

3:榊原春奈(スポ4=愛知・旭丘)

2:米川志保(スポ1=愛知・旭丘)

B:木野田沙帆子(スポ2=青森)

4分58秒84【1位、準決勝進出】


コメント

3:榊原春奈(スポ4=愛知・旭丘)

――きょうのレースを振り返って

スタートで若干トラブルがあったのですが、そこを冷静に、特にバウの木野田(沙帆子、スポ2=青森)が対応してくれて、無事に予選を上がれたかなと思います。

――レースプランはどのようなものでしたか

天候の影響もあって2000メートルから1500メートルになりましたが、2000メートルで予定していたのは、スタートを普通に漕いで、300メートルからは落ち着いて漕ぎ始めて、750メートルで出たんですけど、第3クオーターの1250メートルを省略してラストスパートをかけました。

――1500メートルに変わったことを受けて、何か影響はありましたか

やりにくさは感じなくて、むしろレース自体が早く終わるので、終わった後もみんな普段より疲れていないと思いました。自分たちは第3クオーターを省略しましたが、他のクルーは凝縮していたかもしれないので、もしそうだったら他のクルーの方が疲れているかもしれないですね。だからその点では有利でした。

――悪天候による影響はありましたか

体が冷えやすかったんですけど、ちゃんと防寒着を着ていって、スタート前に岸にいるサポートメンバーに渡したりしていました。その辺の手間はあったのですが、それ以外は問題なかったです。グリップが滑ることも特になく、そんなに船に水もたまらなかったので、わりといつも通りいけましたね。

――準決勝に向けての意気込み

2位上がりで、気持ち良く漕ぐことはできなかったので、みんな憂さ晴らしをしたい気持ちはあると思うので、がっつりいきたいと思います。

2:木金孝仁(社3=東京・早実)

――きょうのレースプランは

朝起きた時に1500メートルに変更になったということを聞いて、距離が短くなった分スプリント勝負だろうということで、レートを38から42に上げて、前半の1000メートルで勝負を決めにいこうと話していました。

――レースを振り返っていかがですか

第1クオーターはどこのチームも同じようなことを考えていて。特に社会人と日体大がすごく突っ込んできて、頭をとられるかたちになったのですが、そこから焦らずに相手がコンスタントに(スピードを)落としてきたところで自分たちの強みであるハイレートのコンスタントで差し返して、750メートル付近で主導権を握ってそのままスパートで突き放すという理想的な展開でできたので良かったかなと思います。

――1500メートルで実際にレースをしてみていかがでしたか

楽しかったですね。2000メートルは、限界だと思ったところからさらに漕がなきゃいけないのですが、1500メートルは「体がきついぞ」と思ったところでゴールなので(笑)。自分的には、いつも1500メートルだったらもっと楽しいのかな、と思いましたね(笑)。

――直前で距離が変更になったということは、むしろプラスに働いたということでしょうか

僕らクルーにとっては、タイプが合っていた、ということもありますし、事前にレースプランの変更も慌てずに練れたので結果につながったのだと思います。

――きょうのレースのタイムについて、どのような印象をお持ちですか

正直、750メートルからラスト500メートルで勝ちを確信していたので、最後もっと狙いにいけば良かったな、という反省はあります。

――レースで良かった点は

(他チームに)出られてしまったのですが、みんなで焦らず750メートル地点で全員で足蹴りを入れて日体大を捕えることができたのが良かったと思います。

――次の試合への改善点があれば教えてください

インカレから、第3クオーターが弱いということが分かっていたので、そこを直そうと話していました。きょうは1500メートルのレースでしたが、第3クオーターがまだまだ(スピードが)上がり切っていないので、そこを上げるには第2クオーターから第3クオーターに変えるときの足蹴りの入れ替えのタイミングを合わせるというのがとても重要になってくると思うので、どこで合わせるのか明確にできるように、みんなで詰めて話し合っていきたいなと思います。

――準決勝への意気込みをお願いします

インカレでは準決勝で敗れて悔しい思いをしましたが、全日本では緊張もある中でしっかり社会人を抑えて良い漕ぎができて、この2週間やってきたことは間違いないと確信しました。この頑張りを是非表彰台という結果に結び付けたいと思います。

5:是澤祐輔(スポ3=愛媛・宇和島東)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

きのうの台風の影響で2000(メートル)から1500(メートル)というふうに急きょ変わって、ちょっとそれにうまく対応できない部分が大きかったです。というのも僕たちの強みであった中盤のドライブの鋭さというのがちょっと表現できなくて、中盤メイジに付いてこられてしまったので、ちょっと課題の残るレースだったかなと思います。

――レースが1500メートルに変更となり、レースプランはどのような変更があったのでしょうか

距離が短くなった分、勝負は早めということで、いつもは600(メートル)と1100(メートル)で勝負をかけるんですけど、それを600(メートル)はそのままで、1100(メートル)から850(メートル)に短くなって、スパートも1000メートルを過ぎた所からということで、全部前倒しして勝負していきましたね。

――きょうのレース時のコンディションはいかがでしたか

水面は結構落ち着いていたのですが、500(メートル)を過ぎた辺りから、風向きが逆風になったかなと思います。あんまり覚えてないですけど(笑)。それくらいですね。

――特に影響はなかったですか

はい、そうですね。

――インカレが終わってからいままででどのような練習をされたのでしょうか

一回速いレートで漕ぐのをやめて、有酸素能力をもう一度戻すために長いストロークでゆっくり漕ぐ練習を1週間ほどして、それからもう一回レースペースにつなげるような練習をしました。技術的な面では、インカレで優勝しましたが、ブレードの乱れがあって、例えば(シートの)前の人が(ブレードを)入れたのに遅れて入るみたいな。そういう細かい乱れをなくすことを意識しました。

――今大会はどのような目標で臨みますか

目標はやっぱりこの前できなかったコースレコードというものをもう一度狙おうと思っていたのですが、距離そのものが短くなってしまったので、ちょっと難しいですね。

――先ほど課題が残ったとおっしゃっていましたが、具体的にどのような課題が見つかりましたか

いつもレートを38でいっていて、きょうも38でいこうと言っていたのですが、予想していたよりも2枚高いレート40でハイピッチで漕いでいました。ハイピッチで漕いだわりにスピードが出なかったので、もう一回レートを38に戻して長いストロークでスピードを出し続けるということをあしたとあさってで修正していきたいですね。

――準決勝に向けて意気込みをお願いします

Aファイナルにいくのもこの前のインカレと一緒で19年ぶりか20年ぶりみたいなので、まずは準決勝を1位通過して、20年ぶりにAファイナルに進出したいと思います。

S:菅原拓磨(国教3=東京・早大学院)

――1500メートルでのレースとなりましたが、いかがでしたか

500メートル減ってレース自体は4分の3になってしまったので(レース)プランを変えようか迷ったのですが、結局変えずに真ん中の500(メートル)だけ切り落として、スタートのスパートもラストのスパートも距離を変えないでそのままいこうっていうことを全員で一致していたので果敢に攻めるようにいきました。

――天候の影響はありましたか

特にないですね。別に台風の影響で風が強かったとかはなくて漕ぎやすいコンディションだったかなと思いました。変わったのは1500メートルだけで、それ以外は大きな違いはなかったかなと思います。

――レースプランはどういったものでしょうか

予選ではかなり格上の相手がいました。インカレでも3位に入ってくるようなクルーがいたので、その人たちに付いていくということを意識していて。中大と龍谷大がやっぱり速いという前評判があって、一橋大と東京外語大もインカレでは準決勝に残っていて、僕たちは敗復(敗者復活戦)で負けてしまったので、相手としては格上の相手に囲まれたかなと思ったのですが、とりあえず中大と龍谷大にスタートで食らいついて、先頭集団に離されないでいれば2位争いや3位争いにいけるのではないかなと思っていました。プランとしてはスタートスパートを300(メートル)だったのを400メートルに伸ばして、レートを40オーバーでいってなるべく良いタイムを狙っていくことを意識して、ラストスパートも400(メートル)入るのでコンスタントレートは36なのですが平均して見ると38、9くらいで漕げる内容にしました。

――試合全体を振り返ってみていかがですか

結果的に3位で先頭集団に食らいつくという面では第1クオーターはできたのですが、第2クオーターに入って離されてしまって龍谷大と並んでいたのがセカンドの500(メートル)で出られてしまって3位争いを東京外語大と一橋大とやっていました。その面では僕たちの課題はコンスタントにあってスタートは格上相手に食らいつけたと思うので、そのあと離されてしまってそこが課題になってしまいました。でも一橋大とか東京外語大というインカレで20秒くらい差があった相手に対して大きく詰めて勝つことができたのはかなり大きな成長じゃないかなと。いままでの中で一番良いレースができたというのはみんなの意見の一致があったので悪くはないかなと思います。ただ、龍谷大には勝てる相手だったと思うので課題のコンスタントがあるかなと。そこがあしたのカギになると思います。

――インカレから今大会まで調整したことはありますか

インカレは組むのが遅くて距離が足りなくて、そろって漕げないところがあったのですが、インカレで一区切りにしないでずっとインカレ前からやってきたことをインカレ終わってからも淡々と続けていって、ようやくクルーとして仕上がったかなと。レースに出られるレベルにまで仕上がったのがこの全日本(選手権)で、仕上がっているのでそれなりにインカレよりも良いタイムが出るのは当たり前だし、インカレで勝てなかった相手にも勝てるようになったのも当たり前なのですが、僕たちの目標はあくまで最終日に残ることでトップ8に入ることなので、タイム的には全体で10位なのですがまだまだいけると思うので気を引き締めてやっていきたいです。

――あすに向けて意気込みをお願いします

トヨタ自動車が個人的に因縁のある相手で、6秒差なのですが負けられないかなと。10秒はいくらでもひっくり返ると思うので、100パーセント漕ぎ切って一本もミスをしなければ勝てると思うので、しっかりと果敢に攻めていければなと思います。

C:藤川和暉(法3=東京・早稲田)

――きょうのレースを振り返って

焦りが出てしまったレースだったなと思います。

――きょうのレースプランは

スタートスパートを350メートルまで入れてコンスタントを残り400メートルまでやり、最後400メートルでラストスパートをかけるというプランでした。

――悪天候により2000メートルから1500メートルになったことで何か変えた部分は

スタートスパートの距離とコンスタントのレートを変えました。

――それによってレースにも変化はありましたか

スタートスパートを伸ばしたことによってメイジさんとかにくっつけられてしまったなというのはあります。

――チームのコンディションは

コンディション自体は良かったと思います。ただアップで気持ちが上ずってしまって、普段のように丁寧にアップができませんでしたね。

――ご自身の役割を評価すると

きょうは全然良い役割を果たせなかったです。漕手が焦っているというのは感じたんですけど周りも見なければならず、見れば見るほど自分自身が焦ってしまったことが一つと、もう一つは的確なコールができなかったな、ということですね。ただ足蹴りを入れるだけとか技術的にどこができてないとか、どこをどうするというコールがあまりできなかったなと思います。

――きょうはどのような声掛けをしましたか

途中でエントリーがずれていたのでセット、そのフォワード中の動作を合わせるように声を掛けたりしました。

――あすに向けて意識したいことは

自分たちは6分50秒台というのを目標に2週間やってきたので、あした2000メートル漕げるか分からないんですけど、そのペースに近づけるように少しでも踏ん張れるように声掛けていけたらなと思います。

S:有田雄太郎(法2=東京・早大学院)

――きょうのレースはいかがでしたか

インカレで勝った相手に対して、スタートで自分たちの漕ぎができなくて、相手に逃げ切られてしまったので、非常に反省する点の多いレースだったと思います。

――レースプランはどういったものだったのですか

最初の1000メートルで逃げ切ろうと思っていたのですが、結果的にスタートからうまく逃げ切ることはできませんでした。

――距離が1500メートルに縮まってのレースとなりましたが

本来なら自分たちは、後半になるにつれて体力が落ちていくことがあったのですが、今回に限ってはもし2000メートルだったら、京大を追い抜くこともできたと思うので、やはり最初に頭一つ抜け出せなかったことが大きいと思います。

――レース中、審判に何度も蛇行を注意されていましたが、何が原因だったのでしょうか

もともとレース中に曲がっていってしまうことが課題で、2カ月半やっていた中でそれは仕方がないと思ってはいたのですが、相手と競っていたということもあって、注意されてしまったかたちだと思います。

――インカレを終えてから、どういった調整をしてきましたか

インカレの前日までは全然できあがっていなかったのですが、インカレ4日間を通してすごく成長できて、インカレを終えてからは、その成長できたところを自分たちにとっての最低ラインとして、しっかりとエントリーのところから押していくということをフォーカスしてやってきたのですが、今回はそれができなかったので、あしたはそこを表現できるようにしたいと思います。

――次のレースに向けての意気込みをお願いします

次のレースはインカレで負けた相手も同じ組にいて、接戦になってくると思うのですが、自分たちの本領を発揮できれば勝てる相手だと思うので、全力で頑張りたいと思います。