エイトが19年ぶりの頂点へ!舵手付きペアも金メダル獲得

漕艇

 4日間激闘の繰り広げられた全日本大学選手権(インカレ)が幕を閉じた。男子部は順位決定戦に挑んだ舵手なしペアが7位、舵手なしフォアが5位に入賞。決勝戦では歴史的瞬間が待ち受けていた。1、2年生という非常にフレッシュな顔ぶれで構成された舵手付きペアが快進撃を見せ、堂々の1位で表彰台の頂点へと輝く。王者・日大の牙城を崩すため、挑戦者として臨んだエイト。強豪集う激戦を死に物狂いで制し、19年ぶり2度目の優勝を果たす。長きにわたる王者・日大の時代に終止符を打った。

 インカレ最終日、午前に行われた順位決定戦。早大からは、舵手なしペアと舵手なしフォアが上位入賞を狙う。準決勝では惜しくも決勝進出を逃してしまった舵手なしペア。スタートから積極的に飛び出し、1位で前半を折り返す。中盤まで粘ったものの、後半は自分たちの作戦通りにはいかず、慶大と中大にかわされ3位でフィニッシュ。悔しさをにじませ、全体7位で今大会を終えた。続いて登場したのは、舵手なしフォア。スタートはほぼ横並びの戦いとなったものの、500メートル過ぎから早大が一気に勝負を仕掛ける。頭一つ出ると、そのまま勢いが衰えることはなかった。スパートで完全に他艇から抜け出すとトップでゴール。全体5位と健闘を見せた。

積極的なレース展開で優勝した舵手付きペア

 男子部で決勝の大舞台へと進出したのは、舵手付きペアとエイトの2艇。1、2年生で組まれた舵手付きペアは、予選同様、決勝でも勢いのある大胆なレースを見せた。「自分たちにやれることを出し切ろう」(伊藤大生、スポ1=埼玉・南陵)と、強豪校がひしめく組の中でも攻めの姿勢を崩さない。1年生漕手をまとめるコックスの佐藤修平(文2=秋田)は冷静に戦況を読む。レースの主導権を握るとそのまま見る見る他艇との差を広げ、トップでフィニッシュ。若手クルーが見事大学日本一の座を獲得した。ここまで、男女共に決勝へ進出した全クルーが優勝をつかみ取る。大きなプレッシャーの中、最後に姿を現したエイトクルー。準決勝を1位タイムで通過し、優勝への期待が高まった。決勝は早大が対抗意識を燃やす王者・日大と今大会初めての直接対決。張り詰めた緊張の中、ついに激戦必至の決勝戦の号砲が鳴った。スタートから全クルーが一気に頭を取りに攻め込む。早大が頭一つ抜け出すも、一切油断のできない緊迫した戦いが続いた。第2クオーターでは一時、日大に先行されたが、早大は焦ることなく自身の漕ぎに集中。再びトップに立つと、ここからは日大との優勝争いが繰り広げられた。エンジとピンクのユニホームがゴールへと近づいてくる。ラスト200メートル、日大の猛追から必死に逃げる早大。ゴール付近の盛り上がりは最高潮にまで達する。大歓声の中、早大が決死のスパートを仕掛け日大を振り払うと、そのまま一気にゴールへと飛び込んだ。レース成立の白旗が上がる。そこには、大きく水しぶきを上げ、喜びを爆発させる早大クルーの姿があった。王者・日大の10連覇を阻止するとともに、早大記録を塗り替え、19年ぶり2度目の優勝という歴史的快挙を成し遂げた。「最後まで全員を信じて一人一人が全力を出し切れた」(和田優希、教4=滋賀・膳所)。まさに9人の強い絆と厚い信頼感で勝ち取った栄冠であった。

19年ぶりに金メダルを獲得したエイト

 異例の失格判定を突き付けられた早慶レガッタからおよそ4カ月。これまでにさまざまな葛藤やプレッシャー、苦悩の日々が続いたはずだ。しかし、あの気持ちを味わった仲間と共に挑んだ戦いだからこそ、ここまで仲間を信じ、自分を信じ、一つになれたのではないだろうか。『One WASEDA』の物語は決してこの4日間だけの物語ではない。まめだらけのぼこぼこの手の平が、これまでの苦労と血のにじむような努力の日々を物語っていた。4年生にとって、残された戦いは真の日本一を決する全日本選手権のみ。「もう一度全員を信じて表彰台の一番上へ」(長田敦主将、スポ4=石川・小松明峰)。歴史にその名を刻み、真の日本一となるまでのカウントダウンはもうすでに始まっている。

(記事 須藤絵莉、写真 新庄佳恵、土屋佳織)

★社会人クルーにも食らいつき学生1位と健闘!

目標の学生1位の座を勝ち取った

 全日本大学選手権と同時開催されているオックスフォード盾レガッタ。前日の敗者復活戦でプラン通りにレースを展開させ勝ち抜いた早大は準決勝に挑んだ。同組に青松載剛前主将(平27スポ卒=現東レ滋賀)が乗艇する東レ滋賀も存在する中、序盤から積極的なレース運びを披露。社会人クルーには及ばないものの粘りの漕ぎで学生対決を見事に制し、順位決定戦へと回った。午後に行われた順位決定戦ではスタートから後れをとると、その差をなかなか詰められない。必死に食らいつくも、最後まで頭をとらえられず3位でフィニッシュ。全体7位でレースを終えたが、それでも学生1位と健闘を見せた。未経験者や多くの1年生を含むクルーで臨んだ今大会。この結果を自信に変え、早大漕艇部に新たな風を吹かせるに違いない。

(記事 黒田菜々子、写真 土屋佳織)

舵手付きペア

エイト

結果

▽順位決定戦

【舵手なしペア】

S:有田雄太郎(法2=東京・早大学院)

B:得居亮太(法2=東京・早大学院)

7分12秒62【3位、全体7位】


【舵手なしフォア】

S:東駿佑(政経2=東京・早大学院)

3:石橋広陸(スポ2=愛知・豊田北)

2:木金孝仁(社3=東京・早実)

B:石阪友貴(政経3=東京・早実)

6分22秒68【1位、全体5位】


▽決勝

【舵手付きペア】

C:佐藤修平(文2=秋田)

S:鈴木大雅(スポ1=埼玉・浦和)

B:伊藤大生(スポ1=埼玉・南陵)

7分29秒28【1位】


【エイト】

C:中村拓(法4=東京・早大学院)

S:長田敦(スポ4=石川・小松明峰)

7:角南友基(スポ4=岡山・関西)

6:石田良知(スポ2=滋賀・彦根東)

5:是澤祐輔(スポ3=愛媛・宇和島東)

4:藤井英貴(スポ4=東京・本郷)

3:内田達大(スポ2=山梨・吉田)

2:竹内友哉(スポ3=愛媛・今治西)

B:和田優希(教4=滋賀・膳所)

5分45秒26【1位】


▼オックスフォード盾レガッタ

▽準決勝

【エイト】

早大

C:藤川和暉(法3=東京・早稲田)

S:冨田剣志(スポ2=愛媛・今治西)

7:尾崎光(スポ1=愛媛・今治西)

6:井踏直隆(文構1=東京・早大学院)

5:正木丈治(商1=米国・ウッドブリッジ高)

4:丹下翼(スポ3=愛知・旭丘)

3:飯尾健太郎(教1=愛媛・今治西)

2:金子玲生(社1=東京・早大学院)

B:山口幹太(法1=青森)

6分26秒32【2位、順位決定戦へ】


▽順位決定戦

【エイト】

早大

6分25秒55【3位、全体7位】


コメント

S:長田敦主将(スポ4=石川・小松明峰)

――19年ぶりのエイト優勝ということで、いまの率直なお気持ちをお聞かせください

本当にめちゃくちゃ嬉しいです。

――日大の10連覇阻止ということもありましたが、実際の日大とのレースはいかがでしたか

10連覇のプレッシャーはすごく日大もあったと思うんですけど、僕自身ここで勝たなければ、ワセダでボートを漕いできて後悔しそうだったので、本当にきょうは勝てて嬉しいですね。接戦だったんですけど、うち(早大)は最強のメンバーがそろっていると思っていたので、クルーを信じて最後まで飛び込んでいきました。

――きょうのレースプランはどのようなものを考えていましたか

とりあえずどの大学も最初の500メートルは何が何でも頭を取りにいくと思っていたので、僕たちもそれを跳ね返すつもりで、最初はちょっとオーバー気味に攻めて、あとは我慢比べになると思っていたので、プラン通りというか、予想していた通りにレースが進んだので良かったですね。

――レース前は皆さんとどのようなお話をされていましたか

僕たちはいままで3位で、表彰台が精いっぱいだったんですけど、ここまで予選、そして準決勝は1位通過してきて。そんなこともプラスには考えていたのですが、あくまでチャレンジャーとして決勝のレースに臨めて、そういう気持ちがあったからこそ、前半から攻め込むというレース展開に持ち込めたのではないかと思います。

――優勝した瞬間のお気持ちというのはどのようなものでしたか

正直、優勝した実感が湧いたのは、結構1位でゴールテープを切ってから後だったんですけど、早慶戦(早慶レガッタ)があって、それ以来、審判艇が白旗を上げてレースが成立するまで何があるか分からないというか、素直に喜べなくなっちゃったので。でも今回は、ちゃんと白旗が上がって、本当に有無を言わせない、見ている人からも圧倒的勝利で終われたので、すごく良かったと思います。

――レース後は皆さんと何かお話されましたか

はい。クルー全員にまずは「ついてきてくれてありがとう」と伝えました。

――今回は女子部も優勝されて、男子部もエイトの他に舵手付きペアが優勝しました。主将としてどのように思われますか

すごくプレッシャーもありましたし、僕自身一人ではここまで来ることはできなかったな、というところが率直なところですね。主将に就任して約1年たつのですが、その時にいまの幹部で集まって、すごく大きな目標を立てたのですが、それに全員がついてきてくれた結果が、きょう良いかたちで出たのではないかなと思っています。

――長田主将にとって残すレースもあと全日本選手権(全日本)のみとなりましたが、どのようなレースを予想しますか

強豪チームが増える分、予選も準決勝も本当に厳しい戦いになると思うのですが、そこでも僕たちは全日本で優勝したという経験がないので、あくまでチャレンジャーとしてもう一度全員を信じて表彰台の一番上へ上れるように頑張りたいです。

――全日本でのチームでの目標は

全日本は、まず最終日に決勝に残ってメダル獲得、表彰台が男子部の目標になります。

――最後に全日本に向け、意気込みをお願いします

いま表彰台とかメダル獲得と言ったのですが、ここまできたら応援してくれる人全員の期待に応えて、何が何でも1位取りたいと思います。僕のボート競技最後のレースになるので、ぜひ応援に来てください!

4:藤井英貴副将(スポ4=東京・本郷)

――いまのお気持ちはいかがですか

「嬉しい」の一言ですかね。

――決勝レース前に話し合われたことはありますか

信頼し合おうということだけですかね。仲間を信じることだけです。

――レースプランはどのようなものでしたか

レースプラン的にはしっかり前半で頭取ろうというところを意識していました。あとは戦略です。でも基本的には俺たちはまとまりで、信頼関係で勝つということだけです。

――決勝レースを振り返っていかがですか

厳しいレースだったのですが、最後の日大との差って、どれだけ自分というよりかは仲間を信じて勝負できたかというところだったので、そこはレースプランであり大事にしてきた部分が発揮できたかなと。

――大学に入ってからボート競技を始めて、全日本大学選手権(インカレ)で優勝できたことについてどのように感じていますか

前提として早慶戦までは自分が未経験としてどうやって結果を出すかってことばかりを考えてきた一方で、このインカレっていうのは自分自身としては未経験っていう、ある意味レッテルっていうのから外れて一人の漕手として戦えるかを求めてきました。まずその結果が報われたっていうのはすごく良かったと思います。ただ対外的にはやっぱりOBの方は「未経験のお前が勝ったからこそ、ここにいたからこそ、ワセダの意義がある」と言ってくれて、これから藤井が未経験の星になって、俺を追っかける人が出てくるってことを言ってくださったので終わってみて良かったなと思います。

――ご自身の立場から後輩に伝えたいことは

常に言ってはいるのですが、ある意味未経験っていうのをうまく言い訳に使って成長することもできるのですが、やっぱりいざ本当に日本一を目指して勝負するときは未経験っていうのは全く関係ないので。日本一に対して自分がどれだけ貢献できるのか考えたり、力があるのかを考えて練習していけたらいいと思います。

――全日本に向けて取り組みたいことはありますか

個人としてはボートの技術的な課題はいっぱいあるので、そこは個人的に解決していきたいです。具体的にはキャッチなのですが、そこを改善していきたいです。クルーとしては信頼できてまとまってきたので、おごらずにしたたかにやっていけたらなと思います。

――全日本に向けて抱負をお願いします

全日本で(優勝を)取れればレジェンドになれるので、しっかりと全日本も全力で結果を出したいと思います。

C:中村拓(法4=東京・早大学院)

――学生日本一のコックスとなりました。いまの心境を教えてください

まだ実感がないです、うれしいですけどね。本当に漕手が良いレースをしてくれたので、自分は仕掛けるタイミングを間違えないようにレースを運ぶだけでした。本当に良いチームに恵まれたと思います。

――「うれしい」というお言葉がありましたが、最もうれしかったポイントはどこにありますか

深いですね(笑)。やはり9人でいままでで一番良いレースができたことですね。自分もきょうは全く迷いなくコールすることができたので、本当に120パーセントの力を出して勝ち切れたことがうれしいです。クルーの一体感を感じられたのは、本当に最高でした。

――今大会に臨むにあたって、どのような思いを持っていましたか

自分自身にはやはり早慶レガッタの苦い思い出がありました。「自分があのレースを壊してしまったな」という感覚があったので、何とか自分自身のためにも漕手たちや他選手たちのためにも絶対に勝ちたいと思っていました。本当にもうこれ(インカレ)で終わってもいいくらいの気持ちで、全てを懸けて戦いました。

――早慶レガッタの苦い思い出から4カ月間、どのような意識を持って取り組んできましたか

早慶戦は全く別物のレースで、自分のミスもコース侵害という特殊なもので、そこはいくら反省しても結果は変わらないので、そこはとにかく切り替えて次のレースを見据えていました。「あの失敗はこのためにあったんだ」と思えるように取り組んでいました。

――予選はスタートが決まり、準決勝ではスパートが決まったような印象を受けましたが、決勝に向けてどのようなレース展開を考えていましたか

まさにおっしゃる通りです。予選は序盤からアグレッシブに攻めて自信のある後半につなげようというイメージを持っていましたが、あまりにも前半が良すぎて逆に後半少し(ペースを)落としてしまいました。逆に準決勝は「スパートを絶対に決めるぞ」という意識は良かったのですが、スタート3本を少し失敗してうまくリズムに乗れないままレースに入ってしまいました。なので、両レースの良いところをとって、前半を予選のイメージで、後半を準決勝のイメージで戦えば絶対に良いレースができると考えていました。

――実際にその作戦は成し遂げられましたか

まさに狙い通りの展開でした。とにかくスタートから頭を取って、ぎりぎりのレースになることは分かっていたので、相手が仕掛けたらこちらも負けじと仕掛けていきました。理想的なレース展開になったと思います。

――その中で第2クオーターでは日大に一度先行を許し、第3クオーターで再び頭を取る展開となりました。どのようなコールを意識していましたか

日大が迫ってくることは分かっていたので、自分は冷静にいることを意識していました。自分たちは600メートルや1100メートル地点といったクオーターが終わった100メートル後に仕掛けるポイントを持っていました。そこでうまくいけば相手に大きなダメージを与えられると考えていました。相手が仕掛けてきたときは足蹴り3本などの最小限の労力でうまくしのいで、自分たちの決めたポイントで一気に突き放すイメージを持っていました。焦らずに1シートでも2シート分でも前に出ていようという意識を持ってコールしていました。漕手には「自分の漕ぎに集中しろ」と伝えてあったので、自分はとにかく日大に主導権を握らせないように、レース展開を失敗しないように横を確認しながら進めていました。タイミングを見失わないことだけを意識していました。

――準決勝では一橋大と競る展開となりましたが、決勝ではあまり意識はしていなかったのでしょうか

そうですね。準決勝ではスタートがあまりうまくいかなかった中で、何とかスパート決めて勝てていました。あのレースでは優勝することはできないなという反省があったので、最初から頭を取って主導権を握ることを意識していました。中盤から右レーンの一橋大はかなり差が開いてきたので、そこからは日大を意識していました。

――どの段階から勝てると感じましたか

1500メートルくらいからですね。スタートから出て主導権をずっと握っていたという確かな感覚は自分の中であって、詰めてきても並ばれる程度で飛び出されることはなかったと。このままいけば勝てるという感覚はありました。そしてスパートで少し差が開いてきたので、そこでようやく勝てるかなと感じましたね。

――先日の取材時から選手それぞれに自信がみなぎっているように感じました。司令塔を務める上でクルーづくりの中で何か意識されていたことはありましたか

ベースとしては漕手8人でまとまることに尽きます。自分の経験上、どんな状況でも8人でまとまって漕げないと勝てないというのは分かっていました。上級生の多いクルーだったので、完全に上からコントロールしてしまえば楽なんですけど、それではクルーの本当の良さやスピードは出ないと考えていて、下級生の意見も聞きながら全員で漕ぎも含めてクルーをつくっていくことを大切にしていました。漕ぎは8人、クルーは9人で一つになれるようにしていました。あとは日本一を成し遂げるには異次元のスピードを出さなければいけないと言い続けてきました。練習からスピードはかなり出ていましたが、それに満足せずに常に上を狙い続ける姿勢は意識できていたと思います。

――ワセダレコードを大きく更新しての優勝となりました

欲を言えばコースレコードを出したかったというのはありますが、若干逆風の中で5分45秒というタイムを出せたことはそれなりに良い結果だと思います。でもやはりタイム以上に勝てたことがうれしいというのが率直な気持ちです。

――ストロークを務める長田敦主将(スポ4=石川・小松明峰)とは何か話していましたか

基本的には自分の指示に従ってくれるといいますか、自分のことを信頼してくれているというのは感じます。そして何より彼もクルーが一体感を持たないと艇は進まないと分かっているので、すごく共有はしやすかったです。ただきょうの本番前は「逆風だからオーバーペースになって後々バタバタしないようにしよう」という話だけしていました。

――予選から決勝まで、組の中では常に1位を維持してきました。その点について何か感じたことはありますか

狙い通りといいますか、それが本当に流れとして「いけるんじゃないか」という良いムードにつながっていったのは確かですね。実際準決勝は2位上がりだったので、無理にスパートを入れて一橋大に勝つ必要もありませんでした。でもここを1位で突破するかしないかでは精神状態が違ってくると思うので、ラストスパートのコールを入れました。予選も良いレースができたので、結果としては狙い通りにいきました。

――学生日本一の次は真の日本一の称号が待っています。その全日本選手権に向けて一言お願いします

学生ナンバーワンになったのはすごく自信になりました。ここからは本当の日本一を取りたいと思うので、満足せずにもう3週間だけ踏ん張って頑張りたいと思います。

B:和田優希(教4=滋賀・膳所)

――エイトの優勝おめでとうございます。いまの率直なお気持ちをお願いします

自分が対校エイトに乗っていたのが2年前で、当時の先輩の新藤さん(耕平元主将、平26スポ卒)に「もっとがつがつワイルドに攻めろ」というのを言われ続けてきて、きょうはそれができたかなと。実際に新藤さんも来られていて、優勝した瞬間も見てもらって、本当に涙が出るというかうれしかったです。

――実際に来られたということですが、何か掛けられた言葉などは

自分から「どうでした、ワイルドでした?」って聞いたら「おまえ、最高にワイルドだったよ!」と言ってもらって最高の気持ちでしたね。

――19年ぶりの優勝ということですが

自分たちも長く優勝していなくて1996年ぶり以来ということは頭に置いてやっていました。レースの前から「絶対勝てるな」という自信をみんなが持ってやっていたので、「これは19年ぶりの優勝を成し遂げられるな」と確信するような勢いがありました。長い間達成できていなかった悔しさと今回の優勝というのがつながって、自分としては、みんながそれを意識できたから優勝できたんじゃないかなと思っています。

――レース展開を振り返っていかがですか

19年前も頭から出て逃げ切って優勝ということだったので、俺たちもそれをやれば勝てるというふうに神話じゃないですけど「昔はそれをやったから俺らも一発かましたろ」とスタートからハイピッチでいきました。漕ぎ込みの成果が良く出ていて最後まで落ちることなく、まさにラストスパートで日大を差して、完全に勝利を確信する展開にまで持っていくことができました。本当に良かったです。

――一時は日大に追い越される場面も見られました

自分はバウなのでずっと見られるんですけど、出られたという感覚はなくてむしろ並んでいても漕ぐタイミングでどちらが先に少し出るかというのもあるので、ずっと並んでいるか、むしろ若干こっちが出ているかという感覚で漕いでいました。コックスの中村(拓、法4=東京・早大学院)も言っていたんですけど、日大と並んでいた時に向こうもすごい焦っていて勝負どころの掛け声とかも漏れていてどこでくるかも全部分かっていました。拓にも勝負入れてもらっていたんですけど、自分も相手が入れた瞬間に「ここ勝負だ」と自分から入れていました。「ここが勝負だぞ!」としっかりクルーに伝えて、きょうは本当にクルー全員で一体感が出て、最後まで長く漕げたかなと思います。勝てたのは最後まで全員を信じて一人一人が全力を出し切れたこと、そこに尽きると思います。

――ともに勝利を勝ち取ったクルーに対して伝えたいことは

良い刺激になったので、そこに感謝するということで「ありがとう」ということと、全日本もあるのでこの息を殺さずに「全日本でワセダの波をつくろうな」ということですかね。

――和田選手にとって次に控える全日本の大会が学生最後の大会となりますが、意気込みをお願いします

そうですね、日大に勝って、久しぶりに桜が散ったということですが日大も一橋も学生は全力でリベンジに来ると思いますし、NTT(東日本)や東レ滋賀、明治安田生命といった実業団の強豪が並ぶのでしっかり表彰台にエイトで上ってというのもあるのですが、やはりいまの勢いを殺さないことを第一に実業団も飲み込んで優勝したいです。

5:是澤祐輔(スポ3=愛媛・宇和島東)

――終わってみてどのようなお気持ちですか

優勝できたことは嬉しいのですが、自分が狙っていたのはコースレコードだったので、あと3秒足りなかったことが少し悔しいです。

――きょうのレースプランは

他大がスタートを取ってくるとは思っていたので、自分たちはそこを決めて1シート分くらいリードを取ろうという感じでした。

――実際のレースではいかがでしたか

自分は相手の気配を感じるというか、相手が上げてきそうなところで、自分たちが常に常に先行するというのを意識しました。それと、ずっと思っていたのですが、全員が一つになるというのを意識しました。

――19年ぶり2度目の優勝ということになりましたが

自分が1歳のころに優勝しているということで、実感はありませんがすごいことなのだなと思っています。ですが、実感がまだなくて、もう一本レースやりたいなという気持ちです。

――コースレコードを出すためには何が必要でしたか

コンディションによっても違いがあるのですが、もう少し中盤で攻められたら、ラストスパートであれだけ頑張らなくてももう少しリードを保ったまま入れたのではないかと思います。悪くはなかったですが、次の全日本選手権ではやりたいと思います。

――ОBの方々からも応援されていたと思いますが、ワセダの伝統などは感じましたか

自分が感じたのは、例年3位で負けていたのですが、負けているとОBの方々も「もっとこうしたらよいのではないか」とか、「何でもっと考えて漕がないんだ」など文句が多かったです。それは僕たちにもっと頑張ってほしいという思いとか、もう少しできるんだということを伝えてくれていて、ОBの方々は全面的に「頑張れ、頑張れ」と言うのではなくて、陰ながらメモしたり、本当に陰ながら応援してくれるような、どこかではワセダのことを思ってくれる熱い方が多いので、伝統のこの部を思う気持ちというのは受け継がれているのではないかなと思います。

――ワセダ全体としてきょうを振り返ると

チームの考え方が変わってきていて、各クルー個人個人で存在しているわけではなくて、チームの中からクルーを組む。実は個人ではなくてチームで戦っていて、同じ練習もしていて、誰かが優勝したというのはみんなに優勝するチャンスがあるということなので、実力が上がってきているなと思います。

――全日本選手権に向けて意気込みをお願いいたします

次は本当の日本一を目指して、僕たちならそれができると思うので、もう一回初心に戻ってやっていきたいと思います。

2: 竹内友哉(スポ3=愛媛・今治西)

――終わってみて感想をお願いします

勝って泣きそうになってしまったのは初めてですね。高校の頃はシングル(スカル)で勝ったりしたのですが、結構自己満足に近い感じでした。今回は本当に女子から始まって全部勝っていくし、プレッシャーでしたがこれが監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)の言う『One WASEDA』だなと思いました。純粋に嬉しかったです。

――ワセダのチーム力の源は

まずは内田監督になって、内田監督の言う『One WASEDA』に乗っかっていったというのと、あとは藤井さんがよく言っているのですが、とにかく長田さん集中ということを意識してやりました。みんながとにかく監督と長田さんに集中してやっていたので、それがすごくあったなと思います。

――レース前のお気持ちは

うちのクルーは結構ビックマウスが多くて、僕は結構メンタルが弱いのですが、仲間が「いけるいけると」言うので、自分も洗脳された気分でやりました。一回も負けるというふうには思いませんでしたね。

――思い描いていたレース展開にできましたか

かなり近いものだったと思います。とにかく我慢我慢で、19年前優勝した時は、1000メートルで少し出てそのまま我慢してと言っていたので、それに似たようになりましたね。

――19年ぶりの快挙ということに関しては

なかなか男子のエイトで金メダルを持っている人は少ないと思うのですが、その数少ない一人になれたというのがすごく光栄なことだと思います。

――ОBの方々からも応援されていたと思いますが、ワセダの伝統などは感じましたか

あまりプレッシャーなどはありませんでした。自分はあまり勝ったことがないので、本当にチャレンジャーの気持ちで勝ちにこだわっていけたかなと思います。

――きょうのクルーのコンディションとしてはいかがでしたか

きょうはみんなベストなコンディションだったと思います。それと予選と準決勝にはない集中力があったなと思います。

――日大は意識しましたか

日大がやってくるのは大体予想できていました。きょねんも先行逃げ切りできていたので、とにかくみんな我慢だと思っていたと思います。

――きょうのレースの点数をつけるとしたら

僕は100点満点だと思います。自分に甘いのかもしれませんが(笑)。

――きょうの収穫は

みんな8人で漕げば、死ぬほどしんどくはないということですね。中村さんが「ここ行くよ」と言った時に、一人でも漕がないと絶対に進まないのですが、きょうは8人全員が本気で漕いでいるなと思いました。一人一人の能力では日大に劣っているのですが、8人でまとまれば強い相手でも勝てるなと思いました。

――全日本での意気込みは

ことしはかなりワセダがきているので、全日本を取るとしたら、ことししかないと思います。僕は3年なのですが、早慶戦の時からことしが自分のラストイヤーだとみんなに発信してやっていました。とにかく全日本では僕は優勝できると思うので、頑張りたいと思います。

――女子部も含めてワセダのチーム力については

監督が言っているのですが、トレーナー、マネジャー、漕手、それぞれのポジションの人が自分の仕事を全力でやることで、良い結果につながるということですね。それぞれが勝ちにこだわってやっていた結果がきょう出たのだと思います。

6:石田良知(スポ2=滋賀・彦根東)

――いまの気持ちをお聞かせください

嬉しいですね。いやもう嬉しいです。それしかないですね。

――終盤までもつれながらリードを守り切ったレース展開でしたがそれについてはどう思われますか

もう僕らは仲間を信じるしかないので、前に出られても絶対に勝てると分かっていました。多分、他大になくて僕らのチームにあるのが仲間を信じることなので、それは日大にはないと思って。もう(自分のクルーを)信じていたので、絶対出られるだろうなと思っていましたね。それだけです!

――次の大会である全日本選手権に向けての意気込みを聞かせてください

僕らの目標が、インカレのエイトでの優勝、全日本で表彰台なので、(インカレで)学生の中では制覇したので、この流れでいくと社会人(も含めた全日本)でも制覇できるかなと思います。まあもちろん、優勝ですね。絶対に優勝です!

3:石橋広睦(スポ2=愛知・豊田北)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

予選でやられていた仙台大が相手だったのですが、前半から出ていこうというレースプランでそれを実行できたのは良かったと思います。

――チームメートの活躍はどのようにご覧になりましたか

今回は対校エイトに乗ることはできなかったのですが、レースを見て駆け引きからレースプランを考えるという点では、次の全日本にも生かせると思います。

――今後に向けて意気込みをお願いします

2週間後の全日本ではしっかり表彰台を狙えるように頑張っていきたいです。

3:内田達大(スポ2=山梨・吉田)

――きょうのレースプランは

最初から力を出して、500メートルで1、2シートくらい出て、その後も先行を許さないで、ラストには自信があったので、スパートをしっかり決めるというものでした。

――勝負の分かれ目になったのは

後半の1000メートルです。1000メートルで日大が少し出て、ラストの500メートルで並んでそこからのスパート勝負だったので、スパートが分かれ目になりました。

――実に19年ぶりのエイト優勝となりましたが

本当にうれしいです。まだ実感が湧かないので、結果に関しては夢心地な部分もあります。19年前の話を聞くと、(ことしと)共通している部分があるようです。その時の主将も長田さんと同じ石川県出身で、僕の同期の石田良知の出身校、彦根東の人もいて、僕と同じ山梨出身の人も1人いて、コックスの人も内部生でした。19年前は1996年で、僕も1996年生まれなので、何か縁があるなと思いました(笑)。

――次の全日本選手権に向けて

今度は企業団も入ってきてさらにハイレベルな戦いになると思います。きょうのレースを振り返っても日本一きついレースで、さらにきついレースになるので、今回チャンピオンになってうれしいのですし自信はついたのですが、油断はできないです。僕の座右の銘でいつも心にあるのは『挑戦』の二文字なので、最強のチャレンジャーであることを貫き通して、勝ちにいきたいと思います。

C:佐藤修平(文2=秋田)

――優勝おめでとうございます。率直ないまのお気持ちは

いままで結構大会にも出られないことが多かったし悔しい思いが多かったんですけど、自分のやってきたことはある程度間違ってなかったのかなと少しは自信になりました。

――レースを振り返っていかがでしたか

きょうはどちらかというと苦手な順風で前がレート入れるところがかかりにくかったんですけど、いままで練習でそれを対策してきたので、それで1年生2人がよく前をかけて漕いでくれました、それに尽きます。

――レースプランは

「頭は取ろう、スタートは出よう」とそういう意識だったので、そこから周りの艇はついてくると思うんですけど、「焦らずいこう」と常に意識しました。

――優勝を決められた瞬間の心境はいかがでしたか

あまり覚えてないんですけど(笑)、感無量という言葉がふさわしいと思います。

――今大会はどのような大会になりましたか

まだ夏は全日本もあって終わってないので、次のステップへ向けてワンランクは進めたかなと思います。

――1年生2人にメッセージをお願いします

きょうが結成してから一番の仕上がりだったので、「良い漕ぎをしてお疲れ様」と言いたいです。

――全日本に向けて意気込みをお願いします

まだまだ課題はたくさんあるので、これからまた1年生クルーのチャレンジャーとして謙虚に練習を積み重ねて全日本に向けて頑張りたいと思います。

B:得居亮太(法2=東京・早大学院)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

準決勝の時と同じく、最初からアグレッシブに攻めていくということを2人で決めていて順位決定戦の時もそれが出せて、最初の500メートルでトップを取れたんですけど、後半はやっぱりまだ自分たちの実力のなさが出て、他の艇に抜かされて最終的に3着でゴールしてしまったという感じでした。結構、悔しいレースでしたね。

――序盤から攻めるというレースプランだったのでしょうか

そうですね。とにかく最初に出て、コックスがいない艇種なので前に出ると心理的に有利になれるので、最初は前に出るということを2人で決めていてそこからは逃げ切ろうという作戦だったんですけど、そこがうまくいかなかったです。

――今回の決勝でのレースを踏まえ、改善点などは見つかりましたか

やっぱりまだまだ漕ぎが雑な部分があって終始一定のリズムで漕げないので、2000メートル通してずっと良いリズムでコンスタントに漕げるように全日本までに仕上げていければいいかなと思っています。

――7位という順位はどのように捉えていますか

きょねんのインカレは8位で順位自体は一つ上がったんですけど、女子部が『全種目優勝』したり、男子舵手付きペア、エイトが優勝したりするとやっぱり悔しいというか、自分たちも頑張らないといけないなと思います。

――今回のインカレはどのような大会になりましたか

きょねんの1年生の時のインカレは、よく分からないじゃないですけど、しっかり心構えというものも特にできないまま、特攻する感じでいって8位が取れてしまった感じでした。ことしはしっかり目標も決めてそれに進んでやっていったんですけど、まだそれができなかったので1年生の頃に比べたら成長したと思うんですけど、やっぱりまだまだ甘いなという印象です。

――次戦の全日本に向けて意気込みをお願いします

全日本は社会人クルーも出てきて、より競争率が高くなると思うのですが、3週間で大きく変われると思うので、2人の目標である全日本の表彰台に向けて頑張っていきたいと思います。

B:伊藤大生(スポ1=埼玉・南稜)

――前々から口にされていた目標である日本一の夢をかなえたいま、どのようなお気持ちですか。

高校の時に達成できなかった夢というのが日本一であって、それをなし得られたことが本当にうれしいです。

――レース前やレース中のお気持ちは

コックスの佐藤さんが「できることをやろう」と言ってくださったので、緊張はしていたんですけれども、それだけを頭に入れて、自分たちにやれることを出し切ろうと思っていました。漕ぐ時は、前の鈴木(大雅、スポ1=埼玉・浦和)も、(佐藤)修平さんを信じて漕ぎました。

――本日のレースを通して得たことは

小さなことでも、続けていれば身になるのだなと。いままであまり努力が(結果として)実ってこなかったので、きょうはそれが実って、ここまでやってきて良かったなと思いました。</p>

――エイトの優勝を見た時のお気持ちは

単純に「乗りたい」と。自分も将来乗るんだと監督や周りにも言われていて。乗りたいと思ったんですけれど、自分があれに乗る自信、乗れる実力がないなとも思いました。本当に感動できるレースだったので、これを目標にしてまたこれから頑張っていきたいです。

――次の目標は

またすぐに全日本があって、そこで付きペアで出場するのでそこでまた優勝、いやまずは自分たちにできることを一つ一つ地道にやっていきます。