【連載】インカレ直前特集『Challenge』 第2回 C:佐藤修平×S:鈴木大雅×B:伊藤大生

漕艇

 ことしもまた全日本大学選手権(インカレ)の季節がやってくる。男子舵手付きペアには佐藤修平(文2=秋田)を中心に伊藤大生(スポ1=埼玉・南稜)、鈴木大雅(スポ1=埼玉・浦和)が出場。1、2年生で構成された非常にフレッシュな顔ぶれで水上での戦いに挑むこととなった。そんな若きクルーが目指すものとは――。インカレに臨む熱い意気込みを語ってくれた。

※この取材は8月1日に行われたものです。

早慶レガッタを終えて

笑顔でインカレについて語ってくれた伊藤大

――早慶レガッタから3カ月以上がたちましたが、いままでどのようなことに重点をおいて練習されてきましたか

伊藤大 今回初めてスイープ種目に出場するのですが、(鈴木)大雅がスイープ初めてなので漕ぎ方から重視して練習を行っていました。

佐藤修 早慶レガッタがあって、軽量級(全日本軽量級選手権)の大会があったと思うのですが、その時は付き系の出場種目がなくて陸からのコーチングがメインでした。その時にコーチの指標と僕らのイメージをどんどんすり合わせて早慶レガッタ終わってからも、もう一度組み立てようという意識でコーチングを中心にやっていました。

鈴木 早慶戦が終わってから軽量級とかまではまだスイープ種目がなくてシングルスカルを漕いでいたので、そこから基本から組み立てられるようにスイープ種目に移行してからは一からつくっていかないといけませんでした。この時期に基本に忠実な漕ぎができるようになるのは今後漕いでいく中でも良いことだと思うし、逆にここで悪い癖がついてしまうとまた後々直すのが大変なので、基本を大切にしてやっていくことを意識しています。

――前期の生活を振り返っていかがでしたか

伊藤大 初大学で、初めての講義とか受けて毎回こんなに人がいるんだって驚いています。僕はスポーツ科学部なのでスポーツ実習とか野外活動とか体動かすことが多くて楽しい思い出になっています。

佐藤修 2年生の前期ということで1年生の前期ってみんな友達をつくるために自然に集まると思うのですが、2年生の前期になるとみんな自分の居場所を決めているんです。僕は文学部に同期はいないし、最近は後輩も入ってきましたが会わないし、僕とうとう居場所をなくしてしまって(笑)。

一同 (笑)。

佐藤修 文カフェのスピードシートに座っていかにスピードを出して食べるか、そこに重きを置いて過ごしています。

鈴木 高校までチャリ通だったので、ここから1時間半くらい電車とかバスとかを使って通学しているのですが、その時間をどう有意義に使うか。

佐藤修 つり革でけん垂してるんだよね。

鈴木 してないです(笑)。でも確かにちょっとつり革につかまって動じないことによって体幹を鍛えるみたいなことはあるかもしれません(笑)。結局、音楽を聴き続けて終わります。

佐藤修 英語のCDとか良いかもね。

鈴木 何か良い方法を見つけられるように頑張ります。

――伊藤選手、鈴木選手にお聞きします。大学に入ってから感じた高校との差はどのような点ですか

伊藤大 環境から大きく変わっていてお互いにこの近くに住んでいるのですが、目の前で寮に住んでいることがすごく変わった点としてあって、あと大学に入ってとてもマネジメントされているということが大きな違いで、トレーナーさんとかも初めていてそこが差を感じたところです。

鈴木 高校の時は指導者がいなくて全部生徒主体でメニュー組んだり、全部自分たちがやっていたのですが、大学に入るとメニューは考えてくれているし、船のリギングするのも部分部分で見てくれているし。体のケアの部分でもいろいろサポートしてもらっていて、集中できる環境が整っていてそこはありがたくて、全然高校と違うなと思いました。

――前期を終え、寮生活にも慣れてきましたか

伊藤大 はい。毎日が修学旅行みたいです。

佐藤修 嘘つけ(笑)。

伊藤大 本当ですよ(笑)。僕ら8人部屋ですし。

鈴木 最初はちょっと心配していましたが、いまは普通に楽しいです。不自由なくというか。

「充実している」

後輩を引っ張る立場となった佐藤修

――オフの日は何をされているのですか

伊藤大 最近だとよくみんなでパーティーゲームやボードゲームをしています。ちょっと前にはみんなで温泉に行きました。みんなでいろいろすることが多いです。

鈴木 だいたいそこに混ざっています。そうじゃなかったら実家が近いので帰ってゆっくりしたり。あとは高校、中学の時の友達、同期とご飯に行ったりしています。

佐藤修 僕はあんまり艇庫が好きじゃないので(笑)。
オフの日は外に出ようかなと。この前も結構遠くに、江の島まで行っていました。

――ワセダを選んだ理由は

伊藤大 僕はスポーツ科学部という学科に憧れて。ボートを続けると決めていたので、ワセダのスポーツ推薦で入りました。

鈴木 ボートを続けるつもりはあんまりなかったのですが、長崎国体(第69回国民体育大会)であまり良い結果が残せなくて。やっぱり続けようかなと思っていた時に声を掛けてくださったのがワセダの監督さん(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)でした。それで、続けるならワセダでやろうと。

――では、実際ワセダに入ってみていかがですか

伊藤大 楽しい毎日を過ごしています。(学部の)内容についても結構前から調べていたのですが、実際に入ってみたら各種目のプロフェッショナルがいて話を聞くだけで楽しいし、野外活動などで一緒にスポーツをしたりするのもすごく楽しいです。友達をつくればそのスポーツもだんだん分かってきて。充実しています。

鈴木 この部活の雰囲気、オンオフをしっかりつけようという雰囲気がすごく良いなと思っています。先輩などもみんな、ボートについて話せばいつまででも話してくれるくらいボートが好きで、そういうところもいいなと。

――1年生のお二人にとって佐藤選手はどのような先輩ですか

伊藤大 よく見てくださる良い先輩です。コックスだから当たり前、と言われてしまうとそれはそうって面もありますが、それ以上に(陸に)上がってからも一人一人から話を聞いて次の練習までにいろいろ考えてくださっていて、本当に頼りになる先輩です。

鈴木 いま伊藤が言ってくれたことはもちろん、艇の上でもすごく熱く鼓舞してくださって、自分がつらいときにも助けられています。精神的に盛り上げてくれるというか。

――では佐藤選手にとって、伊藤選手、鈴木選手はどのような後輩ですか

佐藤修 まあ、第一印象としてはまだ幼いなというところがあって。でも実力はすごいものを持っている二人なので、どうにか心も体ももっと大人にしてあげたいなという気持ちです。あとは、この夏スイープ種目が初めてなのですが、この夏にどうにかこのクルーで頑張りたいと思います。自主練などもすごく頑張る二人なので、そういった面ではかなり信頼しています。あとは、オフにはもっとアクティブになってほしいですね。ずっと艇庫にいるので大丈夫かなって思います(笑)。

――皆さん、それぞれに仲の良い先輩や後輩はいらっしゃいますか

伊藤大 4年生の和田さん(優希、教4=滋賀・膳所)、2年生の山崎さん(直、商2=東京・早大学院)などですね。

佐藤修 4年生のコックスの中村さん(拓、法4=東京・早大学院)とは、プライベートでもかなり仲が良いですね。後輩は、僕はあんまり後輩とつるむ方ではないですが…。でもこの二人とは仲良いですよ。

鈴木 2年生の高山さん(順、スポ2=秋田)というトレーナーさんと仲が良いです。あとは4年生の和田さんとか。高校の時、生物だったんですけど、妙に生物トークで盛り上がったりしました(笑)。

――お互いに尊敬している点は

伊藤大 (佐藤)修平さんは、艇の上ですごく熱くなれるところです。僕がなかなか熱くなったりするタイプではないので、そういうところがいいなすごいなと思います。鈴木の尊敬するところは、すごく真っすぐなところです。とりあえずどんなときでも折れないでいられるところを尊敬しています。

佐藤修 (伊藤)大生は、手足が長いところです。うらやましいです。大雅はやっぱり体がごついところですね。はい、尊敬します(笑)。まあ、真面目に真摯(しんし)に取り組むところは、二人ともかなり尊敬しています。ひた向きですね。

鈴木 修平さんはどんな時も投げずに、親身になって一緒に悩んで話し合って、解決策を探そうとしてくれるところです。伊藤は、国体の時にクルーが一緒だったのですが、その時から背中を見ながらすごいやつがいるな、と。普段はへらへらしているのですが、水上に出ると人が変わります。そういうところがすごいなと思いますね。

――では、逆に直してほしいところは

伊藤大 修平さんに直してほしいところは、まだ見つかっていません。

佐藤修 名言だ(笑)。

伊藤大 修平さんは、いつも後ろから熱い言葉を掛けてくれる人で、すごく尊敬していて、頼りにしている人です。大雅に直してほしいところは…何かあった気がある(笑)。でもまあ、いまは思いつかないということで。クルーとしても日常生活でも仲良くしています。

鈴木 修平さんは、とりあえず見つかってないです。伊藤は直してほしいというか、すごく特徴的な走り方をするんですよ。ひょこひょこと(笑)。同期と「また伊藤走りしてる」って笑っています。だから、直してほしいというかフォーム改造をしてほしいですね(笑)。

佐藤修 うーん。まあ言ってしまえば、1年生全般に言えることですけど、静かなんですよ。僕らの代はもっとにぎやかなので、そこら辺のギャップが大きいというか。真面目なことを言うと、日頃の受け答えやあいさつをもっと大きな声でびしっとやってくれるともっと気持ちいいなと思います。で、それを練習にも持ってきてくれたら、もう何も言うことはないです。感無量ですよ。

目標は日本一

一つ一つの質問に丁寧に答える鈴木

――インカレは部の中でどのような位置付けの大会でしょうか

佐藤修 早慶レガッタも一大イベントですけど、部としてはこの夏のインカレに向けて全てを考えてやってきている本当に集大成のような大会です。

――佐藤選手は2年目の出場になると思うのですが、昨年のインカレを振り返っていかがでしたか

佐藤修 高校の時はボートをやっていてその時は漕いでいたので、大学に入ってボート部に入部してそれから少したってからコックスになったので、初めてのコックスとしての大会がきょねんの夏のインカレでした。4年生も乗っていたのでその時はかなり重くて相当後ろからたたき込まれたし、プレッシャーも本当にあって怖さしかなかったのですが、先輩についていけたら、その思いでした。

――昨年はフォアとして、そしてことしはペアとしての出場となりますが、何か違いなどありますか

佐藤修 専門的なことになるとやっぱりバランスがかなり不安定になるし、二人もまだ慣れていないところがあるので、そこをしっかり考慮しながらテクニカルな面での練習だったり、きつい長いメニューだったり。そういうところをうまく支えていけたらなと思います。

――後輩の伊藤選手、鈴木選手を引っ張っていく立場だと思いますが何か意識されていることはありますか

佐藤修 さっき大雅が言ってくれたのですが、かなりペアという種目は難しくてスイープ始めたてで乗れるようなものではあまりないので、どんなにうまくいかなくても絶対にどんなときでも僕は冷静にいきたいです、投げ出したくはないのでそういうところだと思います。

――1年生のお二人にお聞きします。初めてのインカレとなりますがいかがですか

伊藤大 戸田で漕ぐという環境自体は変わっていなくて、高校の時もインターハイ(全国高等学校総合体育大会)に全国選抜で出て、全国の空気感とか味わってきてぎりぎりで負けてきて悔しい思いばっかりしてきているので、今回のインカレこそまた日本一目指して挑むという大切な大会です。

鈴木 僕は全国とか一回くらいしか経験なくて、インカレも付きペアという初めての種目で出場して、大学も1年目だしあまり守るものもないので。インカレの最終日って人がすごく集まるじゃないですか。あの中で漕ぎたいな、あの中で漕げたらいいだろうなという感じです。

――このクルーの強みは

佐藤修 若いところですかね。かなりフレッシュで勢いがあると思います。

伊藤大 勢いしかないですよね(笑)。

佐藤修 そうだよね(笑)。でも攻めるところは緻密に攻めていきたいと思います。

――個人としての強みはそれぞれどこだと思われますか

伊藤大 自分で自分のことを強いと思ったことはないです。でも最近思うことはとことん負けず嫌いだなと思っていて、それが唯一の強みかな。

佐藤修 僕はそんなにラダーという本業は得意じゃないので(笑)、声を止めないというところだと思います。

鈴木 自分がやるレースは高校の時からそうなのですが、スタートから出られないというレースがすごく多くてそういう面もあって後半まで諦めずにずっと粘って漕ぐというところは結構自信はあって強みだと思います。

――現在の調子はいかがですか

佐藤修 ぶっちゃけ言っていいのかな。現在の調子はちょっと悪いです(笑)。最初組み始めの頃は毎ラウンドごとに良くなっていったのですが、最近慣れてきて考えられるようになってきてちょっと調子は悪いです。でも落ちるところまで落ちたら上がるんじゃないかという考えなので、これから調子は上がっていくと思います。

――修正していくべき課題はどこですか

佐藤修 バランスですね。

伊藤大 バランスと僕が漕ぎを合わせて全員でもっときれいにバランスが取れるようになればいいと思います。

鈴木 練習中、ちょっと中盤だれてしまったり長いメニューだったりすると中盤に出力が落ちてあまり良くないスピードになっちゃたりするので、バランスも絡んでくるのですが、そういうところの粘りとかを直していけたらいいなと思います。

――目標を教えてください

伊藤大 日本一です!

――最後に、インカレに向けて意気込みをお願いします

伊藤大 毎年なんですけど、インカレでは付きペアは出場数が少ない種目なので、その分レベルが高いところしかないのでその中でも意地でも競り勝って上にいくというイメージを持っていきます。

鈴木 多大は経験豊富な漕手を結構乗っけてきているのですが、ご覧の通り僕たちはそこまで太いわけではないのですが(笑)。さっきも言ったように若さという意味ではダントツで若いと思うので勢いでぶつかってそこで勝っていければと思います。

佐藤修 他の大学は上級生が乗ってくるので、日頃の練習からラストスパートを意識していつもコールをするのですが、どんな状況でも最後に逆転するという気持ちは常に持っています。彼らが漕いで僕がかじを取ったらそこに待っているのはゴールではなく金メダルだということで!

――ありがとうございました!

(取材・編集 寒竹咲月、久野映、写真 土屋佳織)

◆佐藤修平(さとう・しゅうへい)(※写真左)

1995(平7)8月24日生まれ。秋田高出身。文学部2年。ポジションは男子舵手付きペアのコックス。その明るさからムードメーカーとなり、クルーの精神的支柱になっている様子が伺えた。インカレに臨むのは2年目となり、後輩をまとめる良き先輩として頼もしい姿を見せてくれるに違いありません!

◆鈴木大雅(すずき・たいが)(※写真中央)

1997(平9)3月13日生まれ。埼玉・浦和高出身。スポーツ科学部1年。ポジションは男子舵手付きペアのストローク。自身の強みを最後まで諦めずに漕ぎ続けることだと語ってくれた鈴木選手。持ち前の粘り強さを生かし、勝利に向かって大きな追い風になってくれることを期待しましょう!

◆伊藤大生(いとう・だいき)(※写真右)

1996(平8)9月13日生まれ。埼玉・南稜高出身。スポーツ科学部1年。ポジションは男子舵手付きペアのバウ。オフの日にはパーティーゲームやボードゲームを部員の皆さんとしていると話してくれた伊藤選手。目標は「日本一」と力強く語ってくれた姿が印象的でした!