昨年に引き続き対校エイトの5番として出場し、心身共に成長した姿を見せた是澤祐輔(スポ3=愛媛・宇和島東)。王座奪還を目指し隅田川にリベンジしたが、待ち受けていたのは『失格』の2文字だった。慶大よりも先に桜橋へと凱旋(がいせん)を果たすも、まさかの結果に絶望を味わう。早慶レガッタから2週間がたち、いま何を思うのか。現在のお気持ちと今後への目標などを伺った。
※この取材は5月2日に行われたものです。
「力を出し切れた」
自身の成長も感じられたと話す是澤
――早慶レガッタを終え、率直な感想をお願いします
自分たちが準備してきたことに自信はあったのですが、やはりどこかその自信におごりがあったのかなという感想ですかね。理由としては、勝てるとは思っていたのですが、思ったほど(慶大と)差がつかなかったというか、もう少し差をつけることができていれば、あのようなコース取りをしなくても勝てたのではないかなということがありますね。
――この2週間はどのように過ごされていましたか
普通に学校に行って、練習していました(笑)。でも喪失感というか、達成できなかった悔しさというのはかみしめながら過ごしていました。
――新入生も入ってきましたが、先輩として後輩をどのようにご覧になっていますか
ことしは頼もしい1年生がいっぱい入ったので、すごく春が来たなというか、シーズンが始まったという感じがしますね。
――今回の結果についてはどのように受け止めていますか
自分としては、負けは負けなので。自分には来年があるので、ことしの負けをどう生かしていくのかということが一番の課題になると思います。
――今回で早慶レガッタ2度目の出場となりましたが、レース前日は緊張されましたか
全然しなかったです。観漕会では少し緊張したのですが、なぜか分からないですけど全然しなかったですね。
――レース前に内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南)から何かお話はありましたか
ちょっとあまり覚えてないのですが…(笑)。普段通り、いつも通りに自分たちの漕ぎを出そうということで、特別なことは言われなかったですね。
――長田敦主将(スポ4=石川・小松明峰)からは何かありましたか
「全員信じているから頑張っていこう。」ということを言われましたね。
――当日は自分たちの力を全て出し切ることはできたと思いますか
そうですね。レースプラン通りにイメージした漕ぎ通りに漕げたので、力を出し切れたと思いますね。
――当日の隅田川の波はいかがでしたか
アップの時にものすごく波があって、(艇が)沈するのではないかと思いました。すごい水が(艇の中に)入ってきたので。スポンジとかペットボトルを使って、水を出していました。本番も荒れるのかなというふうに思っていたのですが、意外と本番では波が落ち着いていて。アップの時とのギャップで漕ぎやすかったですね。
――昨年の波と比べてもかなり漕ぎやすかったのでしょうか
そうですね。波はあったのですが、やはりきょねんよりも僕たちのまとまりがあったので、あまり波を気にせずに漕いでいくことができました。
――昨年に引き続き5番というポジションで出場されていましたが、ご自身の役割を果たすことはできましたか
冷静に周りを見ることができたというか、きょねんはやはり自分のことで精いっぱいになっていました。ことしは(自分の)前に3人と後ろに4人いて、そこをうまく自分の中でつなぐことができたかなと思っています。言葉でも漕ぎでも全員をつなぐポジションにいるので、そこの仕事は果たせたかなと思います。
「確実にレベルアップしている」
――当日のレースプランは
僕たちがスタートで1艇身出ているんですね。確か厩(うまや)橋まで勝っていれば、ワセダの勝率は70~80パーセントというデータが出ていたので、とりあえずそこまで逃げ切って、先行逃げ切りでいこうと思っていました。本番はレースプラン通りにスタートから逃げ切りでばっちり決まったので、良かったのではないかなと思いますね。
――当日の慶大の印象は
正直それどころではなかったのですが…(笑)。スタート地点に艇を着ける時に慶大は全然着けられていなくて、それで少し焦っているなということは感じられました。スタートもすごく突っ込んできて、あれでだいぶ焦っていたので、そんなに怖くないかなと思っていました。
――スタートを何度かやり直したことで、何かワセダに影響はありましたか
どうですかね、体が少し冷えたくらいじゃないですかね(笑)。結構水かぶっていたので。
――今回の自分たちのレースをどう評価されますか
出来としては、インカレ(全日本大学選手権)優勝という視点で見ると、もう一つ足りないかなということがあるのですが、昨年とかおととしのワセダに比べるとやはり確実にレベルアップしているので、上出来じゃないのかなとは思いますね。
――ことしの早慶レガッタはどのような気持ちで臨まれましたか
いつも通り楽しくやって、最後に勝ってみんなで『紺碧の空』を歌いたいと思って漕いでいましたね。
――ゴール直後のお気持ちはいかがでしたか
完璧に勝っていたと思っていたので、ボートを漕いできて良かったなと思えましたね。
――その後の判定を聞いてからはいかがでしたか
何があったのかよく分からなかったのですが、確かに言われてみれば少し外に出ていたかなということは思っていたので、それのことかなと思って。やり切れないというか、仕方ないなと思いましたね。
――その後のクルーの皆さんの様子は
みんなすごく落ち込んでいて、特に4年生とかは泣き止まない感じでした。僕としては、4年生の人と漕いで優勝できなくて申し訳ないという気持ちがあって、さっきの喜びに比べるとどん底でしたね。
――昨年から自分が成長したと思える点はありましたか
漕ぎは、うまい方ではないですけど、間違いなくうまくなっていると思います。昨年とかは結構力で押そうとして、水を1枚で完璧に捉えきれずにぶれて漕いでいました。ことしは1枚でぴたっと入れて最後まで押してきれいにいくっていうことを冬場からやってきたので、それができたのはすごく良かったですね。あとメンタルがだいぶ強くなりました。粘りというか、諦めかけるところで持ち直せるか、ということができたかなと思います。
――今回練習してきた中で、かなり効いたと思えるような練習はありましたか
腹筋はやはり毎日1000回くらいはしているので、3750メートルで長くても結構ぶれずに漕げたので、それは効いているのかなと思います。
――内田監督のご指導はいかがでしたか
隅田川の対策として、波に当たらないようにブレードをしっかりと上げ切るということですね。あと専門的なのですが、疲れてきて体が回り始めると、艇も動き続けるので、バランスが悪くなるので、それを真っすぐ横に力強く押していくということを意識してやると結構良かったですね
実力的には勝っていた
次なる目標を熱く語ってくださった
――観漕会でも勝利を挙げ、早慶レガッタ当日の記者会見で慶大の吉田航主将が「実力的に負けていた」というふうにおっしゃっていました。そのことに関してはどのようにお考えですか
トータルで一度も(慶大に)詰められるということがあまりなかったので、実力的には僕たちの方が1枚、2枚勝っていたのではないかなと思いますね。
――その事実は今後に向けて明るい兆しをもたらしていると思うのですが
一応失格にはなってしまったのですが、ここ3、4年勝てなかったのに、勝つというか早くゴールできて、その分夏に期待してもらっているので、さらに頑張りたいなと思いますね。
――夏までに何か修正点や課題は見つかりましたか
やはり自分も部員も含めて、夏で1番を取るクルーというのはテクニックもそうですけど体力が絶対的に必要なので、そこの体力差をこれからどう埋めていくかということを考えていかないといけないなと感じました。
――今後の目標をお願いします
このシーズンは絶対にインカレ優勝、エイト優勝ということ。そして来年の早慶レガッタを今度は完全に勝つということで、それを目標にしていきます!
――ありがとうございました!
(取材・編集 須藤絵莉、写真 渡部歩美)
◆是澤祐輔(これさわ・ゆうすけ)
1994年(平6)9月5日生まれのA型。身長183センチ、体重78キロ。愛媛・宇和島東高出身。スポーツ科学部3年。2014年度成績:第83回早慶レガッタ対校エイト2位、第41回全日本大学選手権M8+3位、第92回全日本選手権M8+7位、第55回全日本新人選手権M8+3位