全クルーが準決勝、決勝に駒を進める

漕艇

 おだやかな春の気候も終わりを迎え、風かおる新緑の季節が訪れた。ホームの戸田を離れ、岐阜レガッタに出場した早大。男子シングルスカルは、予選で冨田剣志(スポ2=愛媛・今治西)が最後まで力強い漕ぎを披露し、準決勝進出を果たした。寺田圭希(人3=滋賀・膳所)は予選で惜しくも敗者復活戦に回ったが、粘りのレースで見事準決勝進出を決める。女子シングルスカルでは、田口えり花(商2=埼玉・浦和一女)が全体2位のタイムで準決勝へと駒を進めた。クルーを組んで間もない女子ダブルスカルは、予選こそ安定感のある漕ぎを見せられなかったが敗者復活戦で修正し、決勝進出を決める。女子舵手付きクォドルプルも着実に順位を上げ決勝へ。全クルーが見事準決勝、決勝進出を決めた。

最後まで力強く艇を押し進めた冨田

 先陣を切ったのは男子シングルスカル。惜しくも敗者復活戦に回った寺田は予選での課題を払拭(ふっしょく)し、最後まで粘り強い漕ぎを見せる。スタートから果敢に攻め、そのまま他艇を引き離すとトップでフィニッシュ。見事準決勝進出を決めた。冨田も序盤から積極的なレースを展開し、ラストはし烈な2位争いを繰り広げる。スパートで相手を振り切り、あすの準決勝へと駒を進めた。続いて登場したのは、女子シングルスカルの田口。組内の棄権者が多く2艇レースとなり、一騎打ちの戦いに。後半までつばぜり合いの戦いを演じたが、徐々に差をつけられてしまう。最後はレートを上げ切れず、あと一歩及ばなかった。しかし、全体2位の好タイムをたたき出し、見事準決勝進出を決めた。

好タイムで確実に準決勝を決めた田口

 このままの勢いに乗りたい女子ダブルスカル。レース前日に急きょ組まれたクルーだったが、修正を繰り返し積極的なレースを披露する。予選では練習不足の影響もあり、なかなか流れに乗ることができない。しかし、敗者復活戦では息の合った漕ぎでラストの接戦を制し、あすの決勝戦への切符を手にした。女子舵手付きクォドルプルは、スタートスパートからコンスタントへの切り替えがうまくいかず、序盤やや出遅れてしまう。三上千沙(スポ2=青森)の的確な指示で立て直し、ラスト猛追するも先頭に追い付くことは叶わなかった。しかし、スパート勝負では3位以下を引き離し艇を押し進め、確実に決勝進出を決める。

 漕ぎ慣れた戸田の地を離れ、普段と異なる環境でのレースは選手を戸惑わせたことだろう。どのような環境においても落ち着いて艇を進めていくことが勝利へのカギとなる。岐阜の地でもワセダの風を吹かせることができるか。全クルーがつかみ取ったあすのレースでは、きょう得たものを全て出し切ってくれるにちがいない。

(記事 須藤絵莉、写真 土屋佳織)

結果

▽男子部(予選)

【シングルスカル】

寺田 3分47秒11【敗者復活戦へ】

冨田 3分46秒40【準決勝進出】


▽女子部(予選)

【シングルスカル】

田口 4分03秒00【準決勝進出】


【ダブルスカル】

早大 3分41秒30【敗者復活戦へ】

S:北村綾香(スポ1=滋賀・膳所)

B:波多野響子(教3=福岡・東筑)


【舵手付きクォドルプル】

早大 3分34秒40【決勝進出】

C:三上

S:土井鈴奈(教3=埼玉・浦和一女)

3:田口

2:北村綾香(スポ1=滋賀・膳所)

B:波多野響子(教3=福岡・東筑)


▽男子部(敗者復活戦)

【シングルスカル】

寺田 3分42秒55【準決勝進出】


▽女子部(敗者復活戦)

【ダブルスカル】

早大 3分47秒50【決勝進出】

S:北村

B:波多野


コメント

寺田圭希(人3=滋賀・膳所)

――きょうの予選と敗者復活戦を振り返っていかがですか

予選はスタートで少し大きなミスをしてしまって、そこから差をつけられてしまい、頑張って追いつこうとしたのですが、最後は追いつけずにゴールしてしまいました。しかし敗者復活戦では、スタートからしっかりとミスしないように気を付けて慎重に攻めていこうという感じで漕いで、スタートから離してゴールできました。

――きょうのレースプランはどのようなものでしたか

スタートで離して、その後は楽に進めていこうという感じで試合展開を考えていました。敗者復活戦では、それがうまくいったと思います。

――普段、漕ぎ慣れている戸田のボートコースを離れての試合となりましたが、何か違いなどは感じましたか

コースが感覚的に真っすぐでないというか、山と川が平行ではないので、その辺が少し難しかったのです。ですが、予選でうまく感覚がつかめたので、次は真っすぐに進めたいと思います。

――きょうのレースを終えて、修正点や課題などは見つかりましたか

後半、落ちてしまうところがあるので、しっかりと落とさないように伸ばしていくということをやっていきたいです。

――逆に良かったと思う点はありましたか

スタートから勢いがあったというのは良かったと思います。

――あすの準決勝に向けて意気込みをお願いします

準決勝では速い相手が多いですけど、落ち着いてスタートからトップを狙っていきたいと思います。

波多野響子(教3=福岡・東筑)

――女子ダブルスカル予選のレースはレートを下げない積極的な展開でした

5番レーンに大石さん(綾美、平25スポ卒=現中部電力)がいらっしゃって、他にも社会人が2チームいたので、絶対に簡単に勝てるレースではないということで、勝っていても負けていても最後まで(力を)出し切ろうというのは話し合ってから出艇しました。

――敗者復活戦のレースを振り返って

本当はスタートでもっと出て、落ち着いて船を伸ばして確認するっていうイメージだったのですが、思ったより朝の2本(のレース)の疲労が二人とも溜まっていて(笑)。スタートであまり動けなくて、少しバタバタしてしまいました。でも半分越えてからはだいぶ波に乗れたかなと思います。ずっと少し相手に出られていたのですが、スパート前に1回出ることができて、そのままの勢いで行けたので良かったです。

――レース終盤の競り合いはいかがでしたか

実はきのう(現クルーで)初めて船に乗って、きょうレースだったので、あまり細かいことを決めてもしょうがないかなと思って、まずどんなに焦っていてもスパートを決めてダブルスパートも決めて、最後の10本を勝ち上げて相手より先にゴールに刺さろう、と。きょうの2本(のレース)ともそこが良かったのではないかと思います。そこは二人の、1日しか乗っていないんですけど(笑)、強みかなと思います。

――女子ダブルスカルのお二人はクルーを組まれたばかりだそうですが

組んだばかりなんですけど、2週間女子クォドルプルでバウペアを二人で漕いできたので、私は北村(綾香、スポ1=滋賀・膳所)の後ろで漕ぐことについてはあまり違和感がないし、彼女は高校時代シングルスカルですごく速い選手で、自分のリズムを上手に出してくれます。私はどちらかというと後ろから(艇を)進める方なので、それがうまくかみ合ったんじゃないかなと思います。

――女子クォドルプル予選のレースはいかがでしたか

正直私と北村は(女子ダブルスカルのレース直後で)アップ中は息がすごく上がっていて、全然落ち着いてはいなかったんですけど、その中で土井(鈴奈、教3=埼玉・浦和一女)がクルーキャップとして皆のことをまとめて、コックスの三上(千沙、スポ2=青森)が落ち着こうという雰囲気をつくってくれたのですごくレースに入りやすかったです。課題はいくらでもあるのですが、きょねん中日本レガッタで1勝もできずに敗者復活戦にまわって敗退、ということを私と土井は経験しているんです。それもあって今回は決勝に上がれたということはすごく評価していいと思います。

――スタートで出遅れた原因は何でしょうか

コックスの三上が言うにはスタートのスパートまでは良かったのですが、コンスタントに持っていく時に相手に出られてしまったみたいです。原因としては切り替えがまだまだ未完成かなと思います。ガッとペースを上げてだんだん(漕ぎを)大きくしていくんですけど、そこで相手の方が力強く大きく漕げているかなという感じがするので、そこをいかに落ち着いて良いパフォーマンスを出せるかだと思います。

――今大会に対する意気込みをお聞かせください

お花見レガッタからケガの影響もあってクルーも変わったんですけど、岐阜まで連れてきてくれる人がいないとできないことなので、船を運んでくれるマネージャーとコーチと監督と、あとは来たメンバーがしっかり楽しんで、でも中部でもワセダの風を吹かせようという意気込みで来ました(笑)。北村はつらかったこともあると思うのですが、私は逆に土井と2人でクルーの最上級生としてクルーをまとめて皆で同じ方向を向いていこうと思って来ました。

――あしたのレースに向けて

まずは(女子舵手付き)クォドルプルで社会人に勝てるレースをして、そのあとのダブルスカルは一回落ち着いて、まだ10代も乗っているので(笑)、若々しく楽しみたいです。今大会はあと2本レースが残っているので、その2本とも楽しんで帰れるように頑張りたいと思います!

北村綾香(スポ1=滋賀・膳所)

――女子ダブルスカル予選のレースを振り返って

最初のスパートは500メートル地点の少し手前に入れるんですけど、そこでしっかり勝負していこうと考えていました。

――敗者復活戦のレースはいかがでしたか

ずっと競っていて気持ちは焦っていたんですけど、後ろから響子さんが的確な声掛けをしてくださったので最後刺し切って勝つことができました。

――レース終盤の競り合いについて

最後のパワーが二人の良いところだと思いました。

――波多野さんとクルーを組まれた感想は

私もダブルスカルのストロークは初めてで、すごく心配していたのですが、ずっとクォドルプルで響子さんが後ろから支えてくださったのもあってダブルスカルもしっかり漕ぎ通すことができたと思います。

――女子クォドルプル予選のレースはいかがでしたか

本当に、良かったです!

――今大会に対する意気込みをお聞かせください

私は先輩と一緒に出場するのは初めてなので、いろいろ先輩から勉強させてもらって少しでもこれからに力にできたらと思って臨んでいます。

――あしたのレースに向けて

普段の練習では見つけられないような課題をきょうの3本のレースのなかで見つけられたので、それを少しでも改善できるように、ラスト2本、頑張りたいと思います!