【連載】早慶レガッタ直前特集『逆襲』 第1回 S:土屋愛女子主将×3:榊原春奈女子副将

漕艇

 今季、最強ワセ女軍団の称号を背負うのは昨年度エースクルーとして活躍した土屋愛女子主将(スポ4=新潟・阿賀黎明)と榊原春奈女子副将(スポ4=愛知・旭丘)。名実ともに部を率いる立場になった二人はいま何を思うのか、そしてことし26連覇が懸かる伝統の一戦に懸ける思いとは。

※この取材は3月15日に行われたものです。

「前よりチームが好きになった」

自身初の早慶レガッタに向け気合十分の榊原

――新体制となり部の状況や雰囲気はいかがですか

土屋 以前は先輩後輩で言いづらかった部分とかもあったと思うのですが、私たちの代からそれを変えて、結構いまでは後輩からもアドバイスとかももらえて自由な感じになっていますね。

――そのような雰囲気づくりはやはり先輩から積極的につくりだしているのでしょうか

土屋 いままでは暗黙の了解的な雰囲気があって、後輩もやりづらさを感じていたと思うのですが、それを私たちがルールあるところとないところで決めて、ないところに関しては自由にすることに決めました。私たちもそこでちょっとやりづらそうにしている人が居たら声を掛けるようにしています。

――ルールがないところとは例えばどういった場でしょうか

榊原 お風呂(笑)。基本的にボートに関することよりも日常生活の中から変えようとしていて、1つ例を上げるとお風呂です(笑)。シャワー室と湯船が使えるお風呂があるのですが、いままでは先輩に断らないと湯船に入れないし、そもそも先輩に言いづらいという雰囲気で。私たちが下級生の間は先輩が湯船で後輩はシャワー室、湯船は使えないという感じでした。いまは言わずとも入っていいし、むしろ「一緒に入ろうよ!」みたいな(笑)。

――先輩後輩で仲が良いのですね

土屋 そうですね。

――内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南)の印象を教えてください

土屋 結構、自分たちがやりたいことをやらせてくれるようになりました。

榊原 コミュニケーションを取ろうとしてくれるよね。いまの疲れ具合を聞いたりだとか。やっぱり疲れがたまると、ケガにつながるので。選手にいろいろ聞きながら指導してくれますね。

――選手と密接な関係の中で指導されているのですね。以前は監督が練習メニューを決めていたのですか

土屋 いままでもいまも監督が決めているのですが、いままでは上から言われたものは絶対に従わなければいけないという感じでした。けどいまは榊原が言ったように、ケガの状態も見たりして変更も可能だし、自分たちが勝つために必要なメニューなども付け加えられるようになりました。

――自分たちで考えられるようになってから、やはりやる気にも差が出るのでしょうか

榊原 これは自分たちに必要であるのかないのかということは考えるようになりましたね。各クルーを中心にみんな話し合っています。

――いまは何を中心に練習をしていますか

土屋 いまは遅い回転数で一本一本しっかり伸ばすというのをやっています。たぶん冬の間しかできない練習なので4月のレースにつながるように取り組んでいます。

――厳しい練習の合間に息抜きとしてやっていることはありますか

土屋 女子全体としてやっていることは女子部会ですね(笑)。DVD見たりだとか、一人一品料理を持ち寄ったりだとか、上下関係なくわいわいやっています。あとはやっぱり後輩とお風呂に入って話をしたりとかですね(笑)。

――チームを引っ張る立場になってご自身の変化などはありますか

榊原 前よりチームのことが好きになりました。たぶん、いままでは単純についていくだけだったのが、チームのことを把握して課題に対してどのように取り組まなきゃいけないかというのを考えなきゃいけなくなったのですが、その中でチームの良いところとか一人一人の良いところが見えるようになったからですかね。

土屋 私も結構、榊原と似ていて相手というか選手のことを一生懸命考えるようになりました。いまうまくいっているのか、いっていないのか、もし悩んでいることがあるようであれば相談に乗ったりとか、どうしたらみんなが快適にボートに乗る生活を送れるようになれるのかとか考えるようになりました。

――精神面まで選手のことを気遣っているのですね

土屋 一人一人の個性は把握するようになったよね。

――特に個性的な選手はいますか

土屋 みんな全員が個性的だよね(笑)。高校生の時にシングルに乗っている子が多かったので結構一人一人の個が強いのですが、その一人一人に合った言い方だとか、どうやったらその子のモチベーションが上がるかとか考えていますね。

――例えばどういった声を掛けるのでしょうか。木下美奈(スポ2=山梨・富士河口湖)選手は結構シングルで漕いでいたと思うのですが

榊原 美奈ちゃんには何でも言えるね(笑)。あの子は結構素直なので(笑)。

土屋 そんなに個性的ではないかもね(笑)。石上(璃奈、スポ2=長野・下諏訪向陽)とかは逆に本当に個性が強い(笑)。

榊原 マイペースだからね(笑)。

――石上選手にはどういった声掛けをされていますか

土屋 石上はいろんなことを一気に言われてしまうと、訳が分かんなくなってしまうので1つずつ課題を直していけるように、それ以上のことはあまり言わないようにしています。

「二人合わさって良い方向に進むことができる」

新体制となり今後の抱負を語る土屋女子主将

――主将、副将になって、つらさよりも楽しさが上回っている印象を受けました

榊原 このポジションのことをつらいと思ったことはあまりないですね。まあ、主将がしっかりしているので。

土屋 それはない(笑)。

――土屋さんから見た榊原さんはどのような副将ですか

土屋 結構私が考え過ぎてしまうタイプなのですが、榊原に相談すると、「そんなことで悩んでたんだ」みたいなふうに言われることがたまにあるので、逆に榊原の楽観的な考え方がうまく回るというか。二人合わさって良い方向に進むことができるという感じですかね。

――土屋さんは考えすぎてしまうことが多いのですね

土屋 そうです。「後輩たちはどう思っているのかな」とか考えちゃって。みんながうまくいくためにはどうしたらいいのか、いつも悩んでしまうのですが、榊原に相談すると、「いまのままでいいんじゃない?みんな楽しんでるし!」みたいに返答されます(笑)。ポジティブな感じで答えをくれるので、それを聞いて方向修正したりして悩みすぎないようにしています(笑)。

――では逆に、榊原さんから見た土屋さんはどのような主将ですか

榊原 正直、1年生のころに比べてすごく成長していて、「人ってこんなに変わるんだ」と驚かされています(笑)。

――以前はどのような感じだったのですか

榊原 以前はもっと落ち着きがなくて、まあ元気がいっぱいという感じだったのですが(笑)。「おお、暴走するなよ!」とたまにストップをかけたいときもあったくらい(笑)。それがいまは、1つずつ整理して前よりもだいぶ落ち着いて考えられるようになったのではないかと思いますね。すごく頼もしくなりました。おかげでだいぶ楽をさせてもらっています(笑)。

――落ち着いたきっかけとは何だったのでしょうか

土屋 一番しっかりしなきゃと思ったのはきょねんのシーズンの始まりくらいですね。いままで圧倒的に強かった大石さん(綾美、平25スポ卒=現中部電力)などの選手が抜けてしまって、漕力で言えば私たちが引っ張らなきゃいけなくなって。

榊原 3年生ながらもエースっていうね。

土屋 そういうのは私たち二人ともわかっていたのでどうすれば効率よく強くなれるかなという。

榊原 先輩もいるし後輩もいるけど、漕ぎは自分たちがっていうプライドもあるし、実際やはりそうだったと思うのですが、その中でどうコミュニケーション取るかっていう。

土屋 先輩にも言いづらいし、後輩にも威張れないという立場になったときにもっと自分たちが考えなくちゃ大変なことになってしまうと思って。

――3年生の時から部のことを考えられていたのですね。これから共に部の中心となる4年生はどのような学年ですか

土屋 1年生の時は本当にどの学年よりも個性的な学年で、しかも暴れん坊(笑)。

榊原 本当に迷惑ばっかり掛けていたね(笑)。

――何かエピソードなどはありますか

土屋 誰と誰がけんかしたとかは普通にあって(笑)。もう取っ組み合いみたいな(笑)。あ、男子ですよ(笑)。女子は女子で一人一人個性が強くて、私たちの代にもう一人、湯淺(恵美子、社4=大分・日田)というマネジャーの子がいるのですがマイペース、すごいマイペースで(笑)。榊原もオリンピックに行っていて私たちと話す機会とかもあんまり無くて、私は前はもっと攻撃的で(笑)。

榊原 何でこの子はこんなに暴力的な言葉を使うのだろうとは思っていましたね(笑)。

――土屋さんにそのような印象はありませんでした

榊原 ないですよね、いまは(笑)。

土屋 そんな感じだったので、その三人は本当に全然かみ合わなくて(笑)。

榊原 たまに帰ってきたら、カオスみたいな(笑)。「もう何これ」って感じで(笑)。

土屋 だったのが(笑)?

榊原 いまになったらもう好きになったよね(笑)。

――いまのお二人の様子を見て、すごく良い関係だというのが伝わってきました

土屋 男子も結構落ち着いてきた人が多くて、私たちの代は部のことを考える熱い人が多いのですが、その人たちがしっかり一人一人考えてくれるようになって。

榊原 主将とかそういったポジションにない人でも考えてくれるのですごく助かっています。

土屋 みんながちゃんと役割分担してね。

――ご自身の役割は何だと考えていますか

榊原 私は、ボートの上においては引っ張っていきたいなと思ったり、あとはみんなが楽しめるような雰囲気づくりですかね。締めるというよりは緩めるみたいな。

――榊原さんは結構ムードメーカーなのですか

榊原 そういう訳ではない(笑)。

土屋 ムードメーカーではない気がする(笑)。まあでも(笑)。

榊原 なんやなんや(笑)。

土屋 春奈は何か言ってどうにかするというよりは、どちらかというと、自分がやっている背中で伝える感じ(笑)。

榊原 そうですね。あまり言わないかも。私みたいな選手は言葉で相手の選手を責めてもあまり良くないと思うので、やっていたら気付いてくれるかなみたいな(笑)。

――実際、気付いてくれますか

榊原 まあ、気付く子は気付きますね。言葉にしなくても。

――土屋さんはご自身の役割をどのように思っていますか

土屋 私は、全然まだ目標とする主将像になっていないのですが、水上では威厳を見せて、めりはりを付けられる主将になりたいなと思っていて。全然まだ威厳とか出てきてないのですが(笑)。

榊原 (無言で首振り)

土屋 出てきてる(笑)?

榊原 うん(笑)。

土屋 みんなに慕ってもらえる主将になりたいなとは思います。

――お二人の考えるこれからどのような部にしていきたいといった理想像はありますか

土屋 私はいまの女子部の雰囲気が結構いいなと思っているので、この雰囲気を継続したいです。結構いまの雰囲気いいよね?

榊原 うん、いい。

土屋 もっと一人一人ライバル意識、競争意識を持てたら、シーズン中に成長の幅が広がるかなって思います。

「団結して頑張りたい」

信頼関係と固い絆で結ばれている二人

――シーズン開幕の第一歩となる早慶レガッタですが、女子の選考はどのように行ったのですか

土屋 榊原はきょねんU-23に出たのもあってジャパン合宿とかたくさんあって忙しかったので、選考免除というかたちでした。私はU-23の選考に通過したら免除ではないけど、考慮はしてくれるよって言われていて、上がることができたので選考しなくていいことになって、あとはみんなシングルで1500メートルのレースをして速い順にという感じです。

――シングルと4人で乗るのは違うと思いますが、やはりシングルで速い方が舵手付きクォドルプル(女子クォド)でも速いのでしょうか

榊原 そうですね、際立って特徴的な漕ぎをしていているけど、速いとかいう子がいない限りは。結構癖のない子が多いので。

――女子クォドで出場する選手一人一人の印象を教えてください

榊原 じゃあ(シートの)前から順番に愛からで。漕ぎで言うと、ついていきやすいです。あと私は自分の中の感覚的なものを言葉にするのがすごく苦手で、各クルーのどこを変えたら良くなるというのを把握できないのでそういった面ですごく頼れる存在ですね。彼女の言ったアドバイスに従えばなんかよくなります(笑)。

――自分で漕いでいて全体のこともわかるのですね

土屋 分かるよね?

榊原 いや、私は分からないよ(笑)。

土屋 あ、でも私がやるようにしているのは出艇前にどこを意識しているのかどう思っているのかというのは一人一人聞くようにしていますね。

榊原 クルーリーダーっていうのもあるのですが、すごくしっかり聞いてくれますね。

――では続いて榊原さんの印象をお願いします

土屋 春奈は圧倒的パワー系なので、もう部の中でダントツです。なので、私が思っている役割分担っていうのは、私がリズムよく漕いで、榊原に力というか漕力になってもらいたいというのを思っていて、後ろで漕いでもらっていて、声とかは出さないですけど、すごく安心します。

――脚がすごく長いので、一漕ぎが大きそうですよね

榊原 (笑)。

土屋 そうなんですよ。後ろからすごい力感じますもん(笑)。

――一漕ぎが大きいとやはり速くなりますよね

榊原 まあそうなのですが、シングルのときは自分の幅でピョーンピョーンって漕いでもいいのですが、クルーボートに乗ったときはもみんなに合わせなくちゃいけないので、長さを合わせながら、シングルで漕いでる長さがない分、パワーを凝縮させるのは考えながらやっています。

――すごく調整なさっているのですね

榊原 そうです。まあでも土屋がストロークのときは結構のびのびやっていますね。土屋のほうが長いので。

土屋 え、そうかなあ。

榊原 いや長い長い(笑)。

土屋 なんか、いつも喋らない春奈がレースのときとかに声を出してくれるとすごい力出ちゃって。3倍増しくらいに(笑)。

榊原 うれしいですね(笑)。

土屋 声普段出さないもんね。

榊原 うん、無言です(笑)。まあ、土屋が言ったことに対してとかコックスが言ったことに「はい」とかそのくらい(笑)。

――答えるだけという感じですか

榊原 あまり私自身分かっていないし、やっぱり私が言っても…。分かっていないし(笑)。

――榊原さんは結構感覚派なのですか

榊原 いや、感覚的に優れていないから分からないのかなと自分では思っているのですが、どうなんでしょう(笑)。

土屋 そうなんだ。でもシングルに乗ったら分かるよね?

榊原 そうですね。クルーボートが苦手なのかも(笑)。大きさが違うからかな?

――ではそれをまとめ上げているのが土屋さんなのですね

榊原 そうなります。

土屋 そうなるの(笑)?

榊原 そうなるよ(笑)。

――それでは石上さんの印象はいかがですか

土屋 石上はさっき言ったようにすごくマイペースなのですが、ああ見えてすごく負けず嫌いですよ。

榊原 内に秘めていますね。石上は。

土屋 石上は本当に結構上位に入るくらいの負けず嫌いですね。その石上の熱い部分を石上が混乱しないように引き出せたら、戦力になれると思います。

榊原 普段彼女も静かなのですが。たまに、すごい「ムン!!」みたいな声を出すんですよ(笑)。それを聞いて「キター!石上キター!!」と私も思うのですが、すごいパワフルです(笑)。

土屋 (笑)。

榊原 乗ってくるとすごい声を出してくれます。

――皆さんもやる気を出されているのですね

榊原 そうですね。石上はマイペースでとにかくパワフル(笑)。彼女インターハイも優勝しているのですが、全然おごらないので。

土屋 本当に謙虚だよね。

榊原 うん。で、マイペースで乗ってくるとすごく出してくる。

――自分に厳しい方なのですね

土屋 すごい努力家だよね。一方で冷静な面もあるので、自分が1年生の中でどれくらいの実力かというのを意識していて、いつも課題とか探していますね。シングルに乗っている石上ってすごい努力家だなと思ったことがあって、ビデオチェックをしたりだとか、自分の漕ぎをコックスとか他の陸で見ている人に聞いたりだとか、みんなにアドバイスもらって頑張って直そうとしている姿を見て、頑張り屋さんだなって思いますね。

――木下さんはいかがですか

土屋 美奈ちゃんはいい子(笑)。

榊原 人をよく見ているというか、チームメートのことを把握するのがうまくて、誰とでもうまくやれる子ですね。

土屋 水上での感覚とかも結構優れているので、いま一番後ろに乗っているのですが、見た感じのアドバイスと漕いでいる間隔とかを後ろから言ってくれるので助かっていますね。やっぱり後ろからの声が一番通るので。

榊原 逆に土屋の声は前に流れちゃうもんね。伝言ゲームみたいにしないと。

――レース中はどのような掛け声をされているのですか

榊原 雰囲気が乗ってきている時にもっと良くしようとする感じですかね。「ここで行こう!」とか「スパート掛けよう」とか「さあ行こう!」とかですかね。

――早慶レガッタに向けてクルーをどのような雰囲気に持っていきたいですか

土屋 とにかく女子のクルーはポテンシャルが高いので、なるべく一人一人が伸び伸びとやって、たぶんその子たちがみんな伸び伸びとできたら何もしなくても艇は進むので(笑)。コックスも含めて、みんな自分のやり方で気持ち良くやってくれたら一番いいのかなと思います。

――それぞれが個々の力を発揮できたらそれが一番ということですか

土屋 そうですね。変に何か言ったりしちゃうとその子たちの長所も抑えてしまうことになるので、アドバイスするところはするし、褒めるところは褒めて気持ち良くやらせてあげたいです。

――普段の練習から個性を伸ばすということを大切にしているのですね

榊原 そうですね。みんなあまり自分を抑えずにいてくれることを意識しています。

――レースプランなどは考えていらっしゃいますか

榊原 まだだね(笑)。

土屋 実はいま私が腰を痛めてしまって、練習していないです。でも3日くらいで治るので(笑)。ぎっくり腰みたいな感じで(笑)。本当はまだみんなで乗ったのは1モーションだけです(笑)。

榊原 1モーションでこんなに語っちゃったね(笑)。

土屋 そう、こんなに語ったのに実はまだ1モーションしか乗ってないっていう(笑)。

榊原 まあとにかく濃い練習ができたっていうね(笑)。

土屋 そう、濃い練習が出来た。水温低いときってタイム出にくいのですが、夏に劣らないくらいのスピードと勢いがあったので。

――それは期待できますね

土屋 その時に「この子たちって何も言わなくても進むんだな」って思いました。

榊原 確かにそうだね(笑)。

土屋 進む方向だけ示してあげて、みんながそっちを向くことが出来れば艇は絶対進む。たぶん、みんな一人一人がどうすれば一番速く艇が進むかを考えているので、その子たちが考えたようにやればという感じです。

――2月15日に『隅田見聞』に行かれたということですがいかがでしたか

榊原 その時は確かメンバー決まっていなかったよね。

土屋 私と榊原は決まっていましたが、選考がその次の日くらいにあったので。決まってなかったので何とも言えないのですが、個人的にはいままでに2回早慶戦に出ていて、ここで漕ぐのは最後なんだなと思うと切なくなりました(笑)。

榊原 切なくなってたんだ(笑)。

土屋 と、同時に緊張しました(笑)。

――川と戸田のコースはやはり違いますか

榊原 私は早慶レガッタに出るのは初めてなのでまだ一回も漕いだことがないのですが「うわ、やっぱり違うな~」って(笑)。見ながら「こんな所でやっていたのか。すごいな先輩たち」と思って(笑)。

――やはり漕ぎづらいですか

榊原 そうなのかな。そうだよね?

土屋 うん、波が高いとか。陸から見ると全然うねっていないように見えても、すごく巻いていたりとか、返しの波とか来たりして、「波があるなあ」と思った記憶があります。

――水が流れる方向と逆に進むのですか

土屋 なんか時間帯によって違うみたいで、私たちの時間帯は逆流って言っていました。なんか、男子の時間帯は順流らしくて。

榊原 結構潮の満ち引きで変わっちゃうので。

――それではその分重くなりますよね

土屋 そうですね、でもその分つかみやすくなるので。

榊原 そうだね、感覚的にはやりやすいと思います。タイムは遅くなりますけど。

――戸田とどちらの方が疲れますか

土屋 あっち(隅田川)(笑)。1000メートルだけど、なんか重みが違う。いままで負けたことがないプレッシャーと、腹切りとかミスオールしてはダメだっていうプレッシャーがあって、終わった後は本当に疲れますね。

――早慶レガッタはずっと勝ってきているので、プレッシャーなどはあまりないと思っていました

土屋 いや勝っているからこそのプレッシャーですね。

榊原 「ここで負けたらやばいよ」っていうね(笑)。

――ちなみにことしは26連覇が懸かりますが

土屋 そうですよね。26年分の重みが(笑)。

榊原 いったい何人がその中で関わっているんだろうっていう。

――榊原さんは初めての早慶レガッタですがやはり緊張しますか

榊原 緊張しますね。土屋さん、いろいろ教えてください(笑)。

土屋 何もない、何もないよ教えること(笑)。

――これから練習で隅田川を使ったりするのですか

土屋 しますね。きょうは男子が行ってきて、私たちは来週、再来週くらいに行く予定です。

――では腰が治ってからですね

土屋 はい(笑)。もうだいぶ良くなったので来週には大丈夫です。

――最後に早慶レガッタへの意気込みをお願いします

土屋 出た!これが一番難しいですよね(笑)。

榊原 最初で最後なので、思い切り楽しんで勝ちたいです。

土屋 女子の優勝というよりは全員で男子も合わせて完全優勝したいというのがあって。ことしは同期全員が出ます。いままで榊原も出てないし、他の選手も出なかったりで、そろうことはなかったのですが、ことしは全員で出られるので。そこがことしはすごくわくわくします。団結して頑張りたいなって。あと、最後の年なので4艇身くらい(差を)つけて勝ちたいです。

榊原 (笑)。

土屋 圧倒的な強さを見せつけたいです!

――ありがとうございました!

(取材・編集 三佐川唯、写真 土屋佳織)

◆土屋愛(つちや・あい)(※写真左)

スポーツ科学部4年。新潟・阿賀黎明高出身。ポジションは舵手付きクォドルプルのストローク。マイブームは後輩におすすめしてもらったお店にご飯を食べに行くことだとか。最近では渋谷の牛カツを食べに行ったそう!とてもフレンドリーで後輩の面倒見の良さが伝わってきました。

◆榊原春奈(さかきばら・はるな)(※写真右)

スポーツ科学部4年。愛知・旭丘高出身。ポジションは舵手付きクォドルプルの3番。四人兄妹の三番目。兄妹そろって背が高いそうですが、スポーツをしているのは榊原選手だけのようです。「レース中は無言」とおっしゃっていましたが、取材中は笑顔で質問に答えてくれました!