全4クルーが準決勝進出決定!

漕艇

 予選が行われた大会初日、早大からは女子3艇、男子1艇の計4クルーが出場した。準決勝進出は1着のみという厳しい条件の中、女子シングルスカル、女子ダブルススカル、男子エイトは社会人相手に健闘むなしく敗退。一方、唯一初日で準決勝進出を決めたのが女子舵手無しクォドルプル。強敵・明大との大接戦をものにし、優勝に向けて盤石の仕上がりを見せた。背水の陣で臨んだ大会2日目は、3艇全てがそれぞれの組の1位となり、あすの準決勝に駒を進めた。

※競技結果は以下に記載の通り。

★接戦をものにし、女王の意地見せる

必死に逃げ続ける女子舵手無しクォドルプル

 女王としての威信を懸け、今大会に臨む女子舵手無しクォドルプル。優勝候補の筆頭に挙げられている早大であるが、予選から最大のライバル・明大との直接対決となった。
 勝った1クルーが無条件で準決勝の切符をつかむ予選のレース。「前半頭取ってからどんどん伸ばしていく」と谷川早紀(スポ3=愛媛・今治西)がイメージしていたように、スタートから攻めの姿勢を貫き、『先行逃げ切り』というワセ女の必勝パターンに持ち込む展開を見せる。このままいくかと思われたが、明大も黙ってはいない。「後半の伸びをもう少し改善したい」(望月みづほ、スポ3=埼玉・大宮)という言葉通り、1000メートル以降疲れが見え始めた早大は、明大からの追い上げを許してしまう。徐々に詰められながらも1/2艇身のリードを奪って迎えたラストクオーター。猛然と追い続ける明大と逃げ切りを図る早大の一騎打ちに突入した。最後は早大が女王の意地を見せ、約0.3秒差で勝利を飾り、準決勝へと駒を進めた。

 収穫も反省点も顕著に表れた初日の予選。「ワセダは強いぞともう一度証明したい」と望月が語るように、最後まで圧巻のレースをしてこそ、女王君臨と初めて言えるだう。頂をつかむために最高の漕ぎを――。進化を続ける4人の精鋭たちに死角はない。

(記事 細矢大帆、写真 廣瀬元宣)

★期待の大型新人がベール脱ぐ

ルーキーながら存在感を示した佐藤紫

 早大入学後、初レースに挑んだ女子シングルスカルの佐藤紫生乃(スポ1=宮城・塩釜)。全日本級でのデビュー戦にも「緊張はしなかった」(佐藤紫)と、U-19日本代表の逸材は全く動じなかった。初日の予選、スタートで前に出た佐藤紫は最初の500メートルを先頭で通過。しかし、中盤に入ると漕ぎに固さが見え始め急激に失速。他艇の追随を許す苦しい展開に。その隙を見計らったかのように、「先輩方はぐんぐん伸びていった」(佐藤紫)と語るほど実力ある社会人たちにあっさりと追い抜かれてしまった。だが最後は佐藤紫らしい『粘りの漕ぎ』で3位を死守した。2日目の敗者復活戦は、終始落ち着いた様相で本来の実力を発揮。試合の主導権を握った佐藤紫は、1着でゴールに飛び込んだ。試合を重ねるごとに成長を感じさせる佐藤紫。ワセ女の将来を背負うルーキーの活躍に期待がかかる。

(記事 新田祐介、写真 細矢大帆)

★ワセ女の底力見せつける

2人の絆で突破した女子ダブルスカル

 前日の悔しさを胸に準決勝進出を狙った女子ダブルスカル。初日のレースについて、「最後追い付いていただけに、差し切れなかったことが心残り」(坂内千紘、商3=東京・日比谷)と、あと一歩のところで立命館大を捕えることができなかった。スタートを無難にまとめた早大だったが、500メートル地点までは激しい突風が選手たちを襲い、思い通りのパフォーマンスができない。その結果、次第に慌て始めて「私の漕ぎが小さくなってしまった」(坂内)と自分自身を見失いかけてしまう。だがその状況に気づいたストロークの土屋愛(スポ2=新潟・阿賀黎明)が的確に声をかけ、坂内は持ち前のダイナミックさを取り戻した。その後は艇を伸ばし、最後は余力を残してフィニッシュ。敗者復活戦トップタイムであすの準決勝進出を果たした。レース後、「二人で漕いで一番でゴールしたい」と優勝への意気込みを語った女子ダブルスカル。立命館大を撃破し、ワセ女の層の厚さを証明したいところだ。

(記事 新田祐介、写真 細矢大帆)

★宿敵対決制し、準決勝へ進出!

驚異的な追い上げを見せる男子エイト

 初日の予選では、社会人を相手に敗戦を喫した男子エイト。2日目は準決勝への切符を手にすべく、敗者復活戦に臨んだ。このレースには宿敵・慶大も参戦しており、早慶レガッタ以来の直接対決となった。「1位になるためにはまずケイオーをたたこう」(コックス中村拓、法2=東京・早大学院)。追い詰められたこの状況を打破するためには、打って付けの相手だ。レース序盤は、スプリントの強いケイオーが一歩リードする展開に。しかし中村が「第2クオーター、第3クオーターで勝負することができた」と振り返るように、中盤以降徐々にケイオーを追い上げ、敵にプレッシャーをかけていく。すると慶大は早大の追い上げに焦りが生じ、腹切り(オールが水にとられ艇が不安定になること)という致命的なミスを犯す。「一気に突き放してやる」(竹内友哉、スポ1=愛媛・今治西)。全日本デビュー戦ながら司令塔のストロークを務めた竹内が勝負を仕掛け、逆転に成功。その後は他艇を寄せ付けず1着でフィニッシュし、危なげなく準決勝進出を決めた。
 準決勝は社会人も含め強豪ぞろいとなっており、決勝への道はそう容易いものではない。それでも「攻めて攻めてぶつかっていく」と竹内が闘志を燃やすように、クルーの視線の先には、表彰台のメダルしか映っていない。「番狂わせを起こしてやろう」(中村)――。挑戦という2文字を胸に、9人はあすの大一番を迎える。

(記事 細矢大帆、写真 廣瀬元宣)

結果

▽女子舵手無しクォドルプル

(S:山根、3:谷川、2:辛島、B:望月)

予選 7分19秒47…1着(準決勝進出)

▽女子シングルスカル

(佐藤紫)予選 8分34秒89…3着

敗復 8分14秒53…1着(準決勝進出)

▽女子ダブルスカル

(S:土屋、B:坂内)予選 8分3秒72…2着

敗復 7分46秒92…1着(準決勝進出)

▽男子エイト

早大B(C:中村 S:竹内 7:白濱 6:長山 5:和田 4:森下 3:杉山 2:
鈴木 B:武田)

予選 6分19秒27…2着

敗復 6分20秒23…1着(準決勝進出)

コメント

▽大会一日目

【女子舵手無しクォドルプル】

3:谷川早紀(スポ3=愛媛・今治西)

――明大との一騎打ちとなりましたが

朝日レガッタから戻ってきて時間もなかったので、不安はありましたが、とりあえずは勝てて良かったです。

――朝日レガッタ後の調整に関して

結構きつかったです。ロングでのUTメニューがなく、朝日レガッタが終わっていきなり2000メートルを2本漕ぐようなものだったので(笑)、大変でした。

――クルーとして調子等はいかがですか

山根さん(由絹、スポ4=岩手・宮古)が前に乗ってくれているので、安心感はあります。本当についていきます!という感じですね。

――朝日レガッタのクルーとの違いはそこにありますか

はい、そうですね。

――きょうのレースプランは

レースプランは、スタートでもっと出て突き放していきたかったのですが、そこでちょっと出られませんでした。それでも第1クオーターで抜き返して、前半頭取ってからどんどん伸ばしていくというイメージを持っていました。

――後半追い上げられた点について

私自身もバテてしまって、1000メートルまでは動けましたが、それ以降全然漕げなかったので、もう少し粘るところで粘らなければいけないと思います。

――今後のレースに向けての課題は

とりあえず明後日準決勝で同日に決勝も行われるので、あまり疲労をためず、決勝では勝ちに行く気持ちをずっと持ち続けたいと思います。

――決勝ではどのようなレース展開にしたいですか

スタートでしっかり出て、また追いつかれてもどんどん伸ばし、絶対に勝ちにいきたいと思います。

B:望月みづほ(スポ4=埼玉・大宮)

――きょうのレースを振り返って感想をお願いします

組んでから間もないクルーで、しかも明大とだったので、その点はかなり不安がありました。実は300メートル地点では出られていたんですが、それ以降は自分たちのペースで漕げて、500メートル地点では出ることができたので良かったです。やっぱりコックスのいない艇ということで、戦況の分析も自分たちでしなくてはいけなかったんですが、私がバウという一番状況が見えるポジションだったので、トップになったら「出たぞ」というつもりでした。そして、500メートル地点で「1位になったよ」と言うことができて、前の3人も元気を出して漕ぐことができました。初めての2000メートルレースで、後半ばててしまい、明大に追い越されてもおかしくない状況だったので、あさっては後半の伸びをもう少し改善していきたいです。

――クルーの調子はいかがですか

私自身、節々が痛いな、疲れが取れにくいなとこともあったんですが、計量が終わってご飯を食べたらすごく元気が出ました(笑)。クルーのみんなも力が出せているので、調子は悪くないと思いますね。

――朝日レガッタ、早慶レガッタから成長した点を教えてください

ミドルペアの二人が朝日レガッタに出て、アウトペアは早慶レガッタに出たんですが、やはりきょうのような競るレースで勝てたのは大きな収穫です。朝日レガッタでは競って負けているので、そういう意味でも良かったと思いますね。個人的には、きょねんの全日本新人戦の決勝レースがすごく活きたなと感じています。ああいう競ったレースでは絶対負けないという自身があったので、私自身も朝日レガッタのクルーも成長したなと思いました。

――あさっても明大との一騎打ちになりそうですね

そうですね。でもはっきり言って、むこうはあす(敗者復活戦)もう一本漕いで、計量もあるので減量も続きます。私たちはその分、あすは休んで適度に食べられるので、前向きに捉えていますね。きょうのレースで明大には、ワセダに勝てるぞと思われているかもしれませんが、あさってのレースでいやいやワセダは強いぞともう一度証明したいです。きょうは後半力を出しきれなかった分、私たちにも伸びしろは十分あります。明大に大きな差をつけて勝って、インカレ(全日本大学選手権)、全日本(全日本選手権)と夏の展望が良くなるように頑張りたいです。

【女子シングルスカル】

佐藤紫生乃(スポ1=宮城・塩釜)

――早大生として初のレースでしたが

初めての大学でのレースなので、期待と楽しみがあった。また、社会人のみなさんと戦うということですこし怖さもあった。でもスタート(の位置)についた時は、緊張はしなかったです。

――ご自身の漕ぎはできましたか

自分は最後粘って粘ってという漕ぎをするタイプ。(予選のレースは)スタートが出ることができたが、中盤に失速してしまった。先輩方はぐんぐん伸びていって・・・。気が付けば、3、4番手争いをしていた。

――後半500メートルはレート(漕ぐ回数)が高めだったが

(上位の選手が)見えなくなってしまったので、追い付くというよりは隣のレーンの明治安田生命の先輩にはどうにかして勝ちたいと思いました。力がないので、レートで勝負するしかなかった。

――今大会の目標は

とりあえずあすの敗者復活線は確実に上がることを大前提として、最終日はなんとか粘って順位はつけたいと思います。

▽大会二日目

【女子ダブルスカル】

B:坂内千紘(商3=東京・日比谷)

――前日に比べて、余裕のあるレース展開でしたが

結構予選のタイムとかを見て、余裕をもってあしたに向けて調整するイメージでいこうと思っていたのですが、案外最初の500メートルは突風の影響であまり気持ち的には余裕もないまま1000メートルを迎えてしまった。しかしそれ以降は土屋愛(スポ2=新潟・阿賀黎明)が声をかけてくれて、大きく漕ぐことを意識していけたら船をのばすことができた。

――前半は慌ててしまったということですか

そうですね。前半は少し慌て気味で、結構私の漕ぎが小さくなってしまったでも、ラスト1000メートルは伸ばしていけましたし、タイムの落ちもなかったのでよかったのかなと思います。

――後半は流しているようにも見えましたが

(レース前に、)1000メートルで(他艇を)離していこうと二人で言っていた。残り500メートルからのラストスパートはすると疲れるので、明日に備えて安定させて伸ばしていくという意識に切り替えて漕ぎました。

――今大会のクルーの目標は

最初に二人で、絶対に決勝にいくぞと言いました。予選で失敗しても最後に決勝に出られればいいという気持ちで臨みました。

――最も意識している相手はいますか

予選で負けた立命館大です。最後追い付いただけに、差し切れなかったことが心残りですね。

――最後に意気込みを

敗者復活戦でトップのタイムだったので、準決勝では予選のタイムが同じくらいの組に入れた。あまりスタートから焦らずに、きょうの課題であるスタートの後小さく漕いでしまうことを改善するために、怖がらずに大きく一本強く長く漕ぎたいです。決勝に向けて、良い感覚を準決勝で出していって、決勝では今までの色んな失敗とかを全部改善して、二人で漕いで一番でゴールできたらなと思います。

【男子エイト】

C:中村拓(法2=東京・早大学院)

――予選のレースを振り返って

NTT東日本が強いのはわかっていて、序盤からしっかりくっついていこうとは考えていました。案の定、500メートル地点では1艇身ほど離されてしまいましたが、攻めのレースが展開できたかなとは思います。

――敗者復活戦にはどのような気持ちで臨みましたか

敗者復活戦はあすに準決勝、決勝と2レースあるので、疲労をためずにまずは上がるというイメージでいくのか、それともそういうことを考えずに1位を狙って良いイメージを持ってあすにつなげるのか話し合いました。結果、自分たちはそこまで余裕があるわけでもないし、良いイメージを持つためにも全力でケイオーを倒しにいこうという結論になりました。そこでしっかりまとまれて、結局その意識統一が勝ちにつながったかなと感じます。ケイオーのスタートのスプリントが早いということはわかっていて、最初は頭取られましたが、中盤に追い上げて相手のミスを誘えたというのはありました。

――中盤以降切り替え等はありましたか

きょうはずっと自分たちのレースプラン通りになっていって、第2クオーターから第3クオーターで勝負することができたので、良かったです。

――ケイオーへの意識はありましたか

ケイオーが来るということはわかっていたので、特別ケイオーへの意識があったわけではありませんが、1位になるためにはまずケイオーをたたこうというイメージは持っていました。

――いまのクルーの調子は

レースを行うごとによくなっています。予選、そして敗者復活戦でさらに良くなっているという感じで、良いイメージを持っていると思います。このまま勢いに乗って、準決勝の相手は決して簡単な相手ではありませんが、決勝に残ることができるように頑張りたいと思います。

――いまの課題は

ポイントになるのはコンスタントの入りで、自分たちがしっかりファイナルを押し切って良いリズムを作っていくイメージを持つことです。そこがまず決まれば、あすは楽にいけるかなと。あすの準決勝は絶対にスタートから攻めて、置いていかれないようにしなければならないので、スタートは一気にいかなければなりません。しかしそこでスタートの勢いのままいってしまうと後々苦しいと思うので、スタート攻めた上で、コンスタントに切り替わるところで押し込んで良いリズムを作っていきたいです。そうすれば中盤で、良いリズムからさらにギアチェンジすることができるので、まずはそこがポイントかなと思います。

――あすのレースへの抱負を

楽なレースではありませんが、しっかりスタートから食らいついていって、番狂わせを起こしてやろうと思います。

S:竹内友哉(スポ1=愛媛・今治西)

――きょうのレースを振り返って

きのうの晩に皆で体力を温存していくか、ケイオーを倒しにいくかという話をミートでして、結論としてそこは皆応援してくれているし、倒しにいこうという話になりました。案外、東工大が前半から攻めてきたので、全員で勝ちにいくというミートが行えていたことは良かったです。

――序盤ケイオーと競る展開になりましたが、ケイオーへの意識はありましたか

スタートでケイオーから1艇身くらい出られて、ちょっとまずいなと思いましたが(ケイオーが)腹を切って、これはいけるという感じになり、そこで一気に突き放してやりました。

――竹内選手にとって初の全日本級の大会でしたが

いきなりエイトのストロークということでプレッシャーはありますが、9人のうちかなりのメンバーが早慶戦のセカンドのメンバーです。勝ったメンバーがそろっていて後ろからすごく勢いを感じるので、自分はもう思い切って漕ぐだけです。

――唯一の1年生ということについてプレッシャーはありませんか

プレッシャーはありますが、やってやろうという気持ちの方が強いです。

――エイトという初のスイープオールでの大会となりますが

スイープオールで漕ぎ始めてまだ1ヶ月もないくらいなんですけれども、先輩も色々教えてくれるので、助けられています。

――特に誰に教えていただいていますか

長山さん(文哉、基理4=東京・早大学院)ですね。お世話になっています。

――スイープオールでの練習で特に意識している点は

どうしてもいままでと違って、自分の動きがわかりづらいというのがありますね。あとはどうしても短い漕ぎになってしまうので、長く大きく漕ぐようにしています。課題としてはエントリーや抜き上げといったテクニックの部分が、まだまだ周りに追いついていないと思うので、そこに尽きますね。

――あすのレースに向けて抱負を

あすは2艇が決勝にいけるのですが、準決勝の組み合わせでは自分たちよりだいぶ持ちタイムの良いクルーが2艇います。前半から攻めて攻めて、ぶつかっていきたいと思います。