若手の実力を見せつけた大会となった。女子シングルスカル決勝には木野田沙帆子(スポ1=青森)をはじめとするルーキー3人が出場。接戦の末、3人とも表彰台に上る快挙を成し遂げる。一方で男子シングルスカル決勝では杉田陸弥(人2=栃木)が2位、男子ダブルスカルでは早大Aが2位と、男子部も活躍を見せた。
ライバル対決を制し優勝した木野田
女子シングルスカル決勝。早大から出場した木野田、木下美奈(スポ1=山梨・富士河口湖)、そして石上璃奈(スポ1=長野・下諏訪向陽)の三人は、高校時代から様々な大会で何度も対戦した間柄だった。そのライバル関係は早大漕艇部の仲間になってからも変わらない。レースは終始木野田がリード。それに木下が必死に食らいついたものの、逆転はならなかった。石上も立大の選手と激しい3位争いを繰り広げ、約1秒差で何とか逃げ切りに成功。ライバル対決は木野田が制したが、ルーキーたちが表彰台を独占し、早大の層の厚さを他大に強くアピールする結果となった。
接戦を繰り広げ続けた杉田
予選のレースで2位に大差を付けて勝利した杉田は、男子シングルスカル決勝のレースでも実力を発揮。しかし約0.4秒の僅差で優勝を逃してしまう。杉田はレース後、「あと一歩スパートで及ばなかった」と語り、悔しがる姿を見せた。男子ダブルスカル決勝では、得居亮太(法1=東京・早大学院)・有田雄太郎(法1=東京・早大学院)ペアの早大Aがこちらも2位と健闘。決勝の場で白熱したレースを展開した。
デビュー戦を2位で飾った早大A
今大会は、女子部にとって全日本大学選手権(インカレ)に出場する仮のクルーを選考する場でもあった。そのような中で素晴らしいレースを見せたルーキー三人。インカレでも目覚ましい活躍をしてくれることだろう。男子部も優勝こそならなかったが、男子シングルスカル、ダブルスカルの両方で2位に食い込み、その実力を示した。多くの1、2年生が出場した今大会。これからの漕艇部を支える力が目に見える結果を多く残した。早大漕艇部の未来に一筋の光が差し込んだ。
(記事 土屋佳織、写真 戸出彩水、土屋佳織、深瀬真由)
女子シングルスカルで優勝した木野田(右)と2位の木下
男子シングルスカル2位の杉田
男子ダブルスカル2位の有田(左)と得居
結果
▽女子シングルスカル決勝
木野田沙帆子(スポ1=青森)4分20秒21【優勝】
木下美奈(スポ1=山梨・富士河口湖)4分26秒93【2位】
石上璃奈(スポ1=長野・下諏訪向陽)4分30秒83【3位】
▽男子シングルスカル順位決定戦
植原大智(教3=大阪・清風)4分24秒38【1位、全体7位】
▽男子シングルスカル決勝
杉田陸弥(人2=栃木)4分05秒93【2位】
富田剣志(スポ1=愛媛・今治西)4分18秒23【4位】
石阪友貴(政経2=東京・早実)4分27秒55【5位】
▽男子ダブルスカル
早大A(S:得居亮太(法1=東京・早大学院)、B:有田雄太郎(法1=東京・早大学院))3分40秒42【2位】
早大B(S:東駿佑(政経1=東京・早大学院)、B:佐藤修平(文1=秋田))3分45秒76【5位】
コメント
木野田沙帆子(スポ1=青森)
――優勝おめでとうございます
ありがとうございます。
――きょうのレースを振り返って
きょうはきのうのレースとは違って、隣のレーンの木下さん(美奈、スポ1=山梨・富士河口湖)がずっとついてくるというレース展開だったので、自分としては崩すことのできないレースでした。なので高いモチベーションを持ち続けて、一つのレースを戦えたかなとは思いますね。
――逆風への対応は
自分としては風が吹くとオールがあおられてバランスが取りにくくなるので、一本の出力を上げてバランスを取るように意識しました。とにかく一本一本強く押すように心掛けました。
――逆風と順風においてどちらが得意というようなイメージはありますか
自分ではあまり考えたことはありませんが、高校時代から監督やコーチからは逆風の方が向いていると言われ続けてきました。ハイレートで回すことがあまり得意ではないので、低レートで一本ずつ強く押していくスタイルの方が自分に合っているのかなと思います。
――予選で課題に挙げていたペース配分は
きのうよりもイーブンペースでいけましたが、まだ落ち度がありました。ラストスパートは後半250メートルで入れたのですが、今回のように1艇身差もないようなレースのときにはもっと前からスパートを掛けて相手を離していけたら、より前半と後半の差はなくなってくるのかなと思いました。
――ワセダ対決となりました
同期というだけあって、これからいろんな選考に関わってくる仲間でもあるのでライバル意識はありますが、お互い励まし合いつつ負けないように頑張りたいと思います。
――あらためて見つかった課題は
きょうのような波の立つ状況だと、まだ技術が足りないです。抜き上げを高くすることが苦手なので、どうしても押し込んだ後にオールを弾かれるときとか多く見られました。今回のような状況でも対応できるように特にハイフェザーを意識して、技術的な部分を磨いていきたいと思います。
――これからメインとなる2000メートルへの対応は
自分自身あまり体力がある方ではないと思います。高校時代はあまり長い距離を漕いだことがなかったのに対して、いまは素晴らしい環境に置かれているので、まずは心肺機能を基礎練習から高めて2000メートルにも対応していけたらいいかなと思います。
――これからの全日本大学選手権(インカレ)に向けて何か指針は立ちましたか
とりあえずいまは仮クルーが決まった状況で、望月さん(みづほ、スポ4=埼玉・大宮)とダブルスカルに乗ることになりました。先輩と乗ることができるので、いろんなことを教えてもらってインカレのクルーが決まる時に向けて自分の技術を高めていければいいのかなと思います。
――インカレやその先の大会に向けて抱負を
まずは大会に出られるように頑張っていきたいと思います。もし出られることができればワセダという看板を背負って戦うことになるので、その名に恥じないような漕ぎをするためにスキルアップをしていって、先輩と一緒に戦っていけるような器になっていきたいと思います。
木下美奈(スポ1=山梨・富士河口湖)
――きょうのレースを振り返って
きのうのレースはスタートで失敗してしまったのが課題で、スタートからしっかり決めていこうとしたんですけど。また1本目で失敗してしまったっていうのが大きな課題になりました。そこを今後立て直していきたいのと、あとはラストのところで腹切りをしてしまうというトラブルがあったのですが、コンスタントの伸びは良かったと思うので、そういった小さなミスをなくしていければと思います。
――レースで意識したことは他にはありますか
スタートで失敗してもコンスタントで伸ばしていこうと。スタートからコンスタントに落とした時って周りも(レートが)落ちてくると思うんですけど、そこでいかに粘って1本で進めていくかをきょうは意識しました。
――2位という結果についてはどうお考えですか
やっぱり決勝まで行ったからには1着を狙いたかったので、そこは非常に悔しいんですけど、いまの漕ぎでは1着になれなかったということで、1本1本を振り返ってみると小さいミスがあって、そこを見つけたという点ではいい経験になったかなと思います。
――決勝のレースにはワセダから他に2人が出場しました
高校時代から3人はずっといろいろな大会で当たってきて、その中で私もなんですけど、個々に勝ちたいっていう思いがあったと思います。高校3年の国体では3人とも決勝に進んだのですが、決勝が台風で中止になってしまって。その意味では、リベンジ戦だったのかなと思います。それでこういう結果になってしまったのは残念ですね。
――8月の全日本大学選手権(インカレ)に向けて
まだ仮クルーなんですけど、私は女子シングルスカルで出場することになりました。今回もシングルスカルで出て、引き続きシングルでトレーニングしていくので、課題を克服してインカレで笑えるように頑張りたいと思います。
石上璃奈(スポ1=長野・下諏訪向陽)
――きょうのレースを振り返って
きのうよりは肩の力を抜いてリラックスしてできました。けれど、負けてしまったので悔しかったです。
――意識していた部分は
きょう最初から意識していたのはリラックスすることです。
――反省点は
オールが水面に当たって水を弾いてしまったので、そこが反省点ですね。
――高校と大学で何か変化は
一人暮らしをしているので、自分で料理や洗濯をすることが大変ですね。
――今後の課題や目標は
練習を集中してやって、もっと強くなることです。
杉田陸弥(人2=栃木)
――きょうのレースを振り返っていかがでしたか
きのうは組み合わせが良かったのもあるんですけど、きのうのぶっち切りに対して、きょうは確実に競ることは予選のタイムを見て分かっていました。考えていたプランとしては、最初に出られるだけ出て、相手を見てコンスタントでも頑張って、最後にもう一度スパートをかけていこうとしていました。考えていたようにはできたのですが、やはり隣の法大にあと一歩スパートで及ばなかったかなと思っています。
――きのうとは変わって、競るレースとなり惜しくも2位となりましたが
自分は大学からボートを始めて、レースの経験が少ないのもあって。半艇身差くらいでスタートから中盤あたりまで着いていってたのですが、中盤からもっと足蹴りを入れて、もうちょっと詰められるようなレースにできれば、きょうも勝てたのではないかなと思います。
――きのうのレースから修正した点はありますか
コーチの方に上半身中心に漕ぎ気味だと言われたので、もっと足から押すようにしました。レース前日なのでそこまで変えられませんでしたが、体幹や腹筋を固めないといけないと思います。なので、きょうは足から押すように意識はしていました。
――今大会を終えて何か課題は見つかりましたか
いまの自分としては、大きな失敗もなく出し切れた感はあるのですが、やはり2位ということ、さらに1位とは0.2秒くらいしか変わらなかったのが一番悔しかったです。いまの自分では、技術なりフィジカルなりが足りないので、そこを上げつつも、もっとレースに出て、夏のインカレ(全日本大学選手権)でもっと良い結果残せたらなと思います。
――8月のインカレに向けて意気込みをお願いします
きょねんはエルゴのタイムが全然足りずに出場できなかったんですけど、ことしは2000メートルのエルゴで7分を切ってクリアできました。まだクルーとか確定してないんですけど、おそらく出場はできると思うので、この一年インカレを目標に頑張ってきたので、憧れのインカレでとにかく出し切りたいと思ってます。
S:得居亮太(法1=東京・早大学院)
――きょうのレースを振り返って
結果は2位で、きのう負けた立大にまた負けてしまうという悔しいレースでした。
――練習では勝っていた立大に惜敗という結果になりましたが、それについて率直な気持ちを聞かせてください
やはり、ちょっとスタートで出られてしまったので、そこは課題かなと思いました。
――きのうもスタートが課題というふうにおっしゃっていましたが、ほかに改善点などはありますか
ちょっと途中でレートが少し落ちてしまったところがあったので、その場面で粘れれば、もうちょっとついていけたかなと感じます。
――きょうのご自身の調子やこれからの課題について何かあれば教えてください
きのうあたりから調子も上がってきていて、コンディションも良くて、いいレースはできたと思うんですけど、やはりフィジカルの差というか、立大と力の差を感じてしまったので、やはりこれからしっかり体づくりをしていきたいと思います。
――これからは、高校までとは違い、2000メートルへの対応が必要になってくると思いますが、それについてはどうお考えですか
そこは慣れかなと。慣れていきたいですね。
B:有田雄太郎(法1=東京・早大学院)
――きょうのレースを振り返って
きのうの反省点を生かして前半飛び出てから後半粘ったのですが立大にスタートから置いていかれて2位という結果になりました。でもきのうよりは前半しっかり漕ぐことができたので良かったと思います。
――練習で勝っていた立大に惜敗し2位でしたが
漕ぎの技術は同格くらいだったかなと思います。自力の差、ポテンシャルの面で若干劣っていたのが反省点で、これからしっかりやっていきたいと思います。
――きのうからの改善点は何かありますか
きのうは若干水が重いと感じていたので、きちんとケアをしてできるだけ休養してから、またメンタル的にもしっかり準備して臨みました。
――きょうのご自身の調子についてや課題はありますか
高校3年間はしっかりとボートを漕いできたのですが、半年程のブランクがあったので徐々に取り戻しつつはあるのですが、これからもう少し取り戻して完璧にして、強化していきたいです。
――今後の2000メートルについての対策はありますか
2000メートルも1000メートルもつらさは変わらないと思っています。高校の時に1度だけ2000メートルを経験したことがあるのですが、どういうところで仕掛けるか、頭脳戦ということも入ってくるのでフィジカルだけでなくテクニックも強化していきたいと考えています。
――今後に向けて意気込みや抱負をお願いします
インカレ(全日本大学選手権)よりも全日本新人選手権の方で対校エイトでしっかりと日本一を目指していけるように頑張っていきたいと思います。