【連載】第83回早慶レガッタ事後特集 第6回 6:田﨑佑磨

漕艇

 早慶レガッタでケイオーに3連敗を喫したワセダ。対校エイト6番に乗った田﨑佑磨副将(スポ4=茨城・潮来)はどのように最後の隅田川での一戦に臨んだのか。自身の早慶レガッタラストレースを振り返っていただいた。

※この取材は5月4日に行われたものです。

隅田川をより意識するべき

3年連続で対校エイトに乗り続けた田﨑

――早慶レガッタのレースを振り返ってみていかがですか

スタートしてコース取りからワセダの方が有利なので相手を1艇身強出したところからのレースになりました。スタートして両国橋のところで25度のカーブがあり、そこがワセダとしてはチャンスということでスパートをかけようとしていました。しかし、そこでコース侵害にはならないものの相手に大分被せられてしまい、出し切れずに相手にさらに出られラストまで行ってしまいました。スタートの差を一度縮めたもののそれからは艇身差を縮めることができませんでした。

――コース自体に問題もあったということですか

コースというか、隅田川は良くも悪くも何でもありなんです。一度スタートさせてしまったらレースを不成立にすることはないです。コース取りに激しい部分は多少ありましたが、それにしてももう少し捉え切るべきでした。

――自身としては最後の早慶レガッタとなりましたがそのことについてはいかがですか

終わってみて1年後の早慶戦はОBとして関わるのだなと感じました。臨む時から最後だからという気持ちはあまりなくて、早慶戦で勝ちたいという思いはありました。ただ、終わってみるともうここで漕ぐことはできないんだなとより強く感じました。

――連敗が続いてしまいましたが結果に関してはいかがですか

連敗が続いていいわけはないです。ここまで体力値も漕ぎもコースでやったら負けないとよく言われますがそれはその通りだとは思います。ただ、隅田川に対応するという部分で負けてしまうんだと思います。ただ、ベースとしてコースでの漕ぎをより高めることで隅田川でも通用する強いクルーをつくろうという思いがありました。体力もフォームもコースに合うような漕ぎで突き詰めてきていました。コースでの観漕会(早慶対校競漕大会観漕会)では大きく差をつけて勝ったのに隅田川では負けてしまったということで、距離に差があるにしろ、1艇身負けるということはらいねん以降どうやったら隅田川で一番艇を進められるかを頭を使ってもっと考えていかなくてはならないと思います。フォーム含めて隅田川での荒波の中でどうやったら進められるかをもう一度考えなければいけないと思います。

――早慶レガッタまで長い間練習を積み重ねられたと思いますがどのような練習を積みましたか

通常とは違うのは隅田川での練習、距離が延びるということで長時間レースペースで漕ぐ練習はやってきましたね。

――そういった練習がありましたが勝つためにするべきだった練習などはありますか

隅田川での練習はやりましたが、実際の対校エイトの本番はそれ以上に相当荒れています。前のレースがあるのでその伴走艇などの波もありますし、隅田川の波はなかなか消えることはありません。なので、一番荒れている時間帯に行われるのが対校エイトのレースになります。練習ではつくり出せないような波が本番はやってくるということで、もう少し本番に近い場所での練習を積まなければいけないしそれに対応する練習をしなくてはならないと思います。そして自分がレースを通して今回感じたのは水の流れですね。幅はあれしかありませんがどこを走るかで流れは実は全然違います。水の流れは毎日変わりますが、その日をイメージしたコース取りをもっと考えるべきだったと思います。

「駄目だったか」

――第二エイトはコースで負けてしまいましたがチームとしてはどのように捉えていますか

チームというか自分個人としては、コースで負けたら終わりだなと感じています。自分も負けたので人のことは言えないですが。隅田川で負けるのももちろんいけないことだけど、100歩譲ってもコースで負けるのは聞き捨てならない事態かなとは思います。

――コースではタイムが出ないにしても早慶レガッタでは連敗を喫しているということで、何かしらケイオーから参考にするべきことがあると思うのですがいかがですか

ケイオーの隅田川での強さというのは対応能力だと思います。なぜ隅田川で強くて夏のインカレ(全日本大学選手権)、全日本(全日本選手権)で結果が出ないかというとやる気とかそういう問題だけではなくて、あの漕ぎは荒波に通用する漕ぎということがあります。専門的にはなりますが、エントリーもフィニッシュも大きく取らずに最低限のところでそつなく漕ぐという漕ぎは有効レンジ(ブレードを水面に入れ、漕ぎ進めている長さのこと)が短いのですが安定しているのでうまく波に乗ることができます。一方コースにいったときに漕ぎを変えようとしても、フォーム改善はオフシーズン通して取り組むものなので不可能に近いというところだと思います。あの漕ぎをそっくりそのまままねしようと思ったら夏、ワセダは勝てなくなってしまう。ケイオーの漕ぎをそっくりそのまままねするというよりは何か彼らの漕ぎにポイントを置いて大胆なフォームの対応、彼らの漕ぎを参考にしたテクニカルな攻め方をしてもいいと思います。

――事前取材では「負けることは飽きた」と話されていて本当に強い気持ちで臨んだ一戦だと思いますがどんな気持ちになりましたか

「駄目だったか」と。本当に負けるのは飽きましたね。早慶レガッタは関わる人が多いのですが対校エイトは(早慶の)2艇だけな訳でいろいろなことを思いました。でもやっぱ「駄目だったか」という思いでしたね。本当にいろいろな練習をしてきたので悔しいとか腹立たしいとかいう気持ちではなくて、これだけ準備したから順当にいけばいい勝負ができると思っていたので「だめだったか」と思いました。

――スタート地点に立ったときに自信を持って臨みたいとおっしゃっていましたが実際立ってみていかがでしたか

不安はありませんでした。そこまできたらやるしかないという気持ちでしたね。

――気持ちでは負けていない中で結果は伴いませんでした。問題点はどのようなところに感じましたか

8人の漕手がいる中で一人一人どこに重点を置いたローイングをするというのは違います。その中で自分が思うのはまとまりかなと思います。3750メートルのレースで差が1メートルということは拮抗(きっこう)した試合になってしまったということ。これをどうやったら打ち破れるかと考えると、艇速を一気にどこかで上げなくてはいけません。それをどうやったらできるかというと、ある一定以上の人数が同じ思いで水を押さないと伸びてこないと思います。まとまりにもいろいろありますが、コンスタントの中での切り替えの制度だったりはもっと改善していけたと思います。

「結果にこだわりたい」

強い口調からは早慶レガッタへの悔しさがうかがえた

――これからの後輩に早慶レガッタで勝つために伝えたいことはありますか

隅田川でのレースだということにもっと重きをおいて欲しいです。たしかに3750メートルのレースには変わりはないのですが、それを隅田川でやるということを忘れないで欲しいです。隅田川への対応はもっと頭を使ってやっていってほしいと思います。

――田﨑選手自身の話題に移りますが今シーズンの目標はどんなことですか

ことしも(インカレで)勝ちたいです。できればエイトで勝ちたいですね。ただエイト選考はしっかり準備をしないと勝てない中で、ことし自分には教育実習もあるのでより気合いを入れて臨まないとエイトにも乗れないと思います。気合いを入れて今シーズンに臨みたいと思います。

――副将として今シーズンやっていきたいことはありますか

副将になって一番強く思ったのは「田﨑という副将がいなかったらできなかったな」と思われる運営をしていきたいと思います。日々のコミュニケーションも監督との連絡もそうですね。

――チームの現在の印象はいかがですか

きょねん夏は舵手付きペアに乗っていて先輩との関わりもなく、本当に好き勝手やらせてもらって勝つことができました。ただ、早慶戦の話にもなりますが、もうちょっとクルーに口出しても良かったなと感じています。青松(載剛主将、スポ4=京都・東舞鶴)がクルーキャップとしていますが、もっと口うるさくしても良かったなと思います。きょねん感じたことだったりをもっと伝えるべきでした。エイトに乗った際にはそこは注意していきたいと思います。

――対校エイトに乗られたときはどんなクルーをつくっていきたいと思いますか

エイトに乗ったとき自分はただのクルーの一人として乗ることになると思います。そういったときにはこの人と乗りたいと思われるような存在になっていきたいです。エイトに乗れなかったときは自分がクルーキャップになると思います。そしたら何が何でも金メダルまで連れていってやらなきゃなと思います。

――今シーズンの意気込みをお願いします

夏の大会でケイオーを倒すのは大前提として、そろそろ勝たないといけないと思うので結果にこだわりたいと思います。

――ありがとうございました!

(記事・編集 辛嶋寛文、写真 細矢大帆)

◆田﨑佑磨(たさき・ゆうま)(※写真右)

1993年(平5)1月25日生まれのO型。181センチ、82キロ。茨城・潮来高出身。スポーツ科学部4年。2013年度戦成績:第40回全日本大学選手権M2+優勝、第90回全日本選手権M2+4位