予選敗退も展望は良好

漕艇

 ホームの戸田を離れ試合が行われたのは愛知池漕艇場。大学チームの参加こそ少ないが社会人の強豪が名を連ねる中日本レガッタに、ワセダからは女子舵手付きクォドルプルが出場した。夏へとクルーを完成させていく中で確認地点となる今大会。結果は振るわなかったものの、これまでの成果と現時点での課題をしっかりと把握できる試合となった。

戸田で行われたお花見レガッタでは6位という結果に終わった

 大会1本目となる予選、中間地点である500メートルを4艇中2位の好タイムで通過するも実はこれがオーバーペース。中盤から他チームに漕ぎ抜かれ、いつしか追いかける展開に。終盤のスパートで差を縮めたが、順位は変わらず3位でフィニッシュ。午後の敗者復活戦へ回ることとなった。

 1本目の反省を生かしたい敗者復活戦は、予選より多い5艇でのレース。5着以外は決勝に進める条件下であったが、苦しい戦いを強いられる。「反省を踏まえ2本目は落ち着いてスタートし、コンスタントで伸ばしていけた」(奥山瑞恵、教4=東京・富士見)と改良されたレースを展開するワセダは終盤、トヨタ自動車との4位争いに。しかし、トップボールが競り合う白熱した展開を制することができず、最下位でフィニッシュ。まさかの初日での敗退となり、目標の決勝進出を果たすことはならなかった。

惜しくも決勝進出はならなかった女子クォドルプルクルー

 結果だけ見れば惜しい大会となった中日本レガッタ。しかし選手たちは至って前向きだ。「夏に照準を合わせているので、この点から見れば土台づくりが成功したと思います」(辛島瑞加女子主将、スポ4=東京・富士見)と話すように本番はまだまだこれから。夏にかけて全日本軽量級選手権、全日本学生選手権、全日本選手権と大会が続くが、その土台に何を積み上げていくかは今後次第。頂上目指して漕ぎ続ける彼女たちの戦いは、まだ始まったばかりだ。

(記事 扇山友彰、写真 末永響子、漕艇部提供写真)

結果

▽女子舵手付きクォドルプル

【予選】

早大(C:奥山、S:辛島、3:土井鈴奈(教2=埼玉・浦和一女)、2:波多野響子(教2=福岡・東筑)、B:坂内千紘(商4=東京・日比谷))3分34秒40【3位、敗者復活戦へ】

【敗者復活戦】

早大 3分37秒03【5位、敗退】

コメント

S:辛島瑞加女子主将(スポ4=東京・富士見)

――今回のレースを振り返って

結果を残せなかったことは非常に残念です。しかし、パフォーマンスとしては全力を出せましたし後悔はありません。

――お花見レガッタ(お花見)を終え、クルーで意識していたことは

お花見まではクルー練習期間も短かったので、勢いを大切にしていました。そこから中日本に向けて、まず艇を止める動きがあったのでこのマイナス要素をつぶしていくことに取り組みました。具体的には、ファイナルまで押し切って艇速に合ったエントリーをすることでした。この取り組みは、レースの1週間前から効果が実感できるようになりました。

――戸田のコースと愛知池漕艇場の違いは

景色はいつもと違いますし、水も戸田よりは軽かったですが漕ぎやすかったです。

――惜しくも初日での敗退となってしまいましたが

結果は情けないものになりましたが、内容には一定の満足はしています。今回足りなかったのはマイナス要素をなくすまでしか手が回らず、強みをつくれなかったことです。しかし漕ぎの土台はつくれたと思うので、勝つために技術の上乗せをしていけば必ず勝ちクルーになると思います。夏に照準を合わせているので、この点から見れば夏に向けて土台つくりが成功したと思います。また4年、2年のクルーでしたが、このクルーで勝ちたいと心から思えるクルーでした。私はストロークでしたが、後ろに乗っている後輩からのパワーを感じると私もそれに応えるという非常に良い雰囲気でした。後輩と良い関係が築けましたし、夏につながると思います。

――強豪との対戦となりましたが、刺激等受けましたか

社会人のレベルの高さを実感しました。 戸田にいると感じられない、危機感を持つことができました。また今後の軽量級(全日本軽量級選手権)、インカレ(全日本学生選手権)に向けて、意識するべき相手のリサーチができたことは収穫でした。

C:奥山瑞恵(教4=東京・富士見)

――今回のレースを振り返って

出場クルー数は少ないものの、強豪チームぞろいだったので、激戦になると覚悟していました。それでも決勝には必ず上がる!と決めていたので、敗者復活で敗退という結果は非常に悔しいです。ただクルーの仕上がりは良好で、特に2本目の試合は全員が力を出し切れたので、これが現段階での実力なのだと真摯(しんし)に結果を受け止めています。

――構想していたレース展開は

私たちはスタートが強みでした。スタートで一気に出て、400~600メートルを大きく漕ぎ、700メートルのスパートで再び一気に上げ、さらに後ろ3人でバックアップしてストロークを支えながら、ラスト100メートルは動いて力を出し切るといった展開です。

――そのレース展開は果たせましたか

1本目は練習で出たことがない程のレートでスタートし、コンスタントにスムーズに移行出来ないまま、オーバーペース気味で漕ぎ、中盤でどんどん他チームに置いていかれました。ラストスパートで差を縮めるも、追い付くことができずに終わってしまいました。
その反省を踏まえ、2本目は落ち着いてスタートして、コンスタントで伸ばしていけたと思います。ずっとトヨタ自動車とトップボールの差を抜いたり抜き返されたりと競っている状況の中で、全員が冷静にコールに反応してポイントを押さえ、全力を出しきることができました。悔しい結果でしたが、これが私たちの実力なのだと受け止めることができました。

――練習の中でクルーにあった具体的な課題は

艇を止める要素をなくし、プラスアルファで強みのポイントをつくることが課題でした。
一人一人左右の力にムラがあり、蛇行したり、傾きながら漕いでいたりすることが多かったので、アップから左右同時に真っすぐ漕ぐことを徹底し、ノンフェザーや1本ローで8枚のオールで押せるところを確認していくことで、次第に真っすぐ進むようになりました。
特にレートの上げ際や切り替えのコールには、8枚のオールでフィニッシュを押し切るところをポイントにして意識の共有を図りました。

――敗因はどこにありましたか

アウェーでの試合ということで、いつもの練習環境とは違うことを意識した気持ちの切り替えが甘かったと思います。前日練習やレース前のアップでしっかり調整し切れていなかったところもありました。 また、レースでは小さくまとまってしまったかなと思います。社会人チームの1本1本の伸びと加速感の違いが、一緒に並べて顕著に感じるところでした。私たちは基礎となる土台はだいぶ固められていましたが、シートを長く使う、キャッチしたらすぐに押す力に変えていく、レッグの力をボディに伝え加速感を増す、といった部分を詰めてダイナミックに漕いでいくところが足りなかったと思います。

――今回のクルーで学んだことは

最上級生と下級生が乗るクルーで、後輩を引っ張りながらも、何でも言い合える雰囲気をつくることの大切さを実感しました。また基礎的な土台の部分はだいぶ固まってきたと思うので、それを生かしつつ、どんどんプラスアルファの強みを見つけて、夏の勝利へ結びつけていきたいと思います。