今季、ケイオーへの挑戦者としてリベンジに燃えるワセダ。そのチームをけん引していくのが青松載剛主将(スポ4=京都・東舞鶴)である。普段は冷静に構えているが、内に秘める思いは極めて熱い。もうつらい思いはしたくない――。そう語る青松の目は宿敵に完全勝利する未来を見据え、闘志をむき出しにしていた。昨季までの悔しさをバネに、白熱した闘いが予想される早慶レガッタに懸ける強い思いを語っていただいた。
※この取材は3月4日に行われたものです。
「もともとそんなに緊張しない」
和やかな雰囲気で対談は進められた
――主将から見ていまのチームはどのような状況ですか
きょねんと比べると4年生自体はあまり騒がしくない感じなのですが、一人一人が良く考えて動いている分、それが下に伝わってみんなが考えて動けるようなチームだと思います。
――いまのチームの特徴は
きょねん、おととしは結構女子と男子の間でもカベがあったような感じがしたんですけど、いまは特にそんな感じもなくて男子と女子が一緒に練習している雰囲気は、少なからず例年よりはあるのかなと思います。
――現在、どのような練習をされていますか
ここ3週間くらいで男子はだいぶクルーも決まった感じで、長距離を漕ぎ込んでまとまっていく練習をしています。女子はメンバーが決まったばかりなのですが。男子に関しては、しっかり長い距離を漕いで、少しずつまとまっていく練習ですね。やっぱり早慶レガッタは長距離になってくるので、それに向けて少しずつ調節していくところですね。
――練習方法で昨季と変えた点はありますか
特に。いま一応メニュー作りには携わっているんですけど、きょねんに比べると2000メートルTT(タイムトライアル)やエルゴ(漕力を陸上で測定するマシン)に向けては、例年より少し全体の中でも調整はできたかなと思います。そんな特別なことはあまり変えてやってないです。
――部内でのブームは
うーん。最近流行病とかはあります。ウイルス性胃腸炎とか。そういうブームならあります(笑)。1人倒れて、治ったと思ったらまた1人倒れるような感じでした。
――主将になられてから変わったことはありますか
ないと言いたいところですけど、主将という立場になって、言葉遣いとかですかね。自分が全体ミーティングとかで一言言うと、その一言が誰かには重かったりとか印象が悪かったりすることもあるので、そういうのが全体の場ではあまりないようには気を付けてはいます。
――また、何か大変だったことはありますか
もともとちょっと考えることが苦手で、みんなのために頭を使ったりメニュー作ったり幹部でミート開いたりとかするのは結構苦手なんですよね。以前と比べ、そういうところを頭使うようにはなってきたかなとは思います。
――リラックスするための方法はありますか
もともとそんなに緊張しないので(笑)。まあ少しはしますけど。常にリラックスしている感じです。
――特に仲の良い方は
同部屋の人とは、それなりに仲良くやっています(笑)。中村(拓、法3=東京・早大学院)とか。1個下ですけど、同部屋なので仲良く生活しています。
「全員で同じところを見て、同じ目標で漕ぐ」
――今季のケイオーの印象は
まだケイオーは多分、対校エイトとか組んでないんですよね。よく分からないんですけど、結構ケイオーは漕ぎ方が独特なんです。全員が似たような漕ぎ方なので。その漕ぎで統一されているので、川では強いと思います。全員が一緒の漕ぎ方であることが、川でも崩さずにスイスイいくのに必要なのかなって。ワセダは結構川で崩されて、一人一人がバラバラになっちゃうんですけど、(ケイオーは)漕ぎが崩されたところで、その影響が最小限に収まっているのかなという感じですね。
――ケイオーとの交流はありますか
あまりないです。この間U-23の合宿に参加したんですけど、同期の大河原(敦史)とか山本(尚典)とかとは会って、話したりはします。でもケイオーと遊んだりとかはしてないです。
――早慶レガッタに向けて課題はありますか
まだコースでも結構ズレが大きいので、さっき言った一人一人の漕ぎっていうのが合ってこないと、たぶん川でも漕げないと思います。なので、まずコースで安定したコンディションの中で全員が同じところを見てしっかりと漕げれば、崩されても大丈夫なはずだと思うので、しっかりとまとまって全員で同じところを見て、同じ目標で漕ぐことが重要になると思います。
――早慶レガッタと普段のレースとの違いはどこにありますか
やっぱり距離も全然違いますけど、あんな所でやって、お客さんとか見てくれる人もたくさんいるので、規模も距離もコンディションも違いますね。
――距離に関してはどう思いますか
正直、距離が長くなったので嫌だと思ったんですけど、実際700メートル程度しか変わりません。勝てる時は勝てるし、距離が変わったところで結果は変わらないと思うので、とりあえず勝つだけですね。
――ご自身、隅田川での早慶レガッタの勝利を経験されていませんが、昨季までの敗戦をどう捉えていますか
単純に悔しい。レースに負けた瞬間が一番悔しいんじゃなくて、ゴールした後、桜橋に艇を戻す時に、見に来てくれた人とかが「頑張れよ、またらいねんもあるぞ」とか「お疲れ様、良く頑張った」とか声を掛けてくれるんですけど、その時が一番むなしくて、悲しくて、つらかったです。なのでもうそんな思いはしたくないですね。
――1年生の頃から対校エイトに乗られていますが、ことしはどのような気持ちで臨みますか
もちろん自分自身のレベルアップもするんですけど、主将という立場でありクルーキャプテンという立場でもあるので、自分に必死にならずに、みんなの個性を生かしてしっかりまとめることが大事かなと思います。やっぱりまとめようとすると結構みんな個性が強くて大変なんですけど、その一人一人の個性をつぶしてしまうとまとまった時に絶対に個々が力を出せないと思うので、個性を生かしてしっかりまとめていきたいと思います。
「ケイオーには目もくれず、スタートからぶち込んでいく」
今季は主将として、個性を生かしつつチームをまとめ上げる
――どのようなレース展開が理想ですか
それはもう最初から突き放していくレースが一番理想的ですよ。もうケイオーには目もくれず、スタートからぶち込んでいくつもりです。
――今回のレースでのキーマンは
クルーをまとめるという点でいくと、僕かコックスの中村かな。3750メートルで結構コースもカーブが強かったり流れもあったりして、コックスの技術とか声掛ける能力とか勝負勘とかは絶対必要なので、その二人のどっちかじゃないですかね。みんな絶対にサボらないので、そこは心配してないですけど。
――その中で、ご自身の役割は
クルーキャプテンなのでみんなをしっかりまとめて、狙うポイントは絶対に漏らさずにいきたいです。きょねんは技術的なところでどこを狙えばいいかなというところがあったんですけど、そこだけは絶対に漏らさずにいきたいです。自分の伝えたことがあまりうまく伝わらなかったりもするので、しっかりそこはもう1回話し合ってイメージを共有することで、全員でまとまっていければいいなと思います。
――ワセダに入って成長した点はありますか
目に見えて見える数値で、エルゴというものがあるんですけど、その数値が明らかに伸びたりしているので、高校の頃より強いなと思えるのはそこの数値くらいですかね。あまり大学入ってからは、インカレ(全日本大学選手権)で優勝とかもしたことがないので。陸の数値とかで見えたりすると、強くなったなという実感ができて、個人的には好きですね。ウエイトトレーニングとかも(笑)。一応スクワットとかは部の中では一番だと思います。またあした測定があるので、一番を狙っていきたいです。
――ご自身、最後の早慶レガッタとなりますが、ワセダへの思いをお聞かせください
あまり僕自身が最後だから頑張るとかは好きじゃないので、毎年思っているとは思うんですけど、早慶戦はぜひ勝ちたいんで、自分のいままでの経験とかを振り絞るだけですね。あとは少しずつ男子と女子、対校とセカンドもまとまってきているとは思うので、僕だけが頑張るのではなく、全員で頑張りたいです。僕がたたき上げて全員をやる気にしたいです。
――最後に、レースを観戦しに来られる皆さんに意気込みをお願いします
ワセダを見に来てくれた人には少なからず、足を運んで残念だ、という思いにはさせません!それだけです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 須藤絵莉、写真 末永響子)
◆青松載剛(あおまつ・のりたか)
1992年(平4)4月7日生まれのA型。174センチ、74キロ。スポーツ科学部4年。京都・東舞鶴高出身。ポジションは対校エイトの7番。一見クールな青松選手ですが、部内の誰よりも負けず嫌いな一面も。ゲーム好きで、オフの日はほとんどゲームをして過ごすそう。笑顔の裏に秘める早慶レガッタの苦い思いをことしのレースでは力に変え、我々を熱狂させてくれることでしょう!