シーズン開幕!女子部と男子部に明暗

漕艇

 漕艇シーズンの開幕を告げる大会、それがお花見レガッタだ。「この大会の順位は全日本選手権の順位と似ている」と谷川早紀(スポ4=愛媛・今治西)が意気込むように、今季の指標となるレースとも言えるだろう。女子部は舵手付きクォドルプルが2艇決勝に進出するなど好発進。男子部はシングルスカルでルーキーたちが躍動するも、早慶レガッタを控えるエイト2艇が決勝進出を逃すなど、不安を残す結果となった。

 スポーツ推薦で入学の決まった新一年生が次々と好記録を出し、順調な滑り出しを見せた早大。その中で注目が集まったのはやはり、早慶レガッタを控える女子舵手付きクォドルプル、男子エイトの二種目であった。まず登場したのは女子舵手付きクォドルプル。伝統の一戦にも出場する早大Aが予選を全体1位で突破すると、早大Bも負けじと準決勝進出を決める。迎えた準決勝、得意のスタートで飛び出した早大Aは、前半500メートルで他艇を一気に引き離す。その後明大Aに差されるも、決勝を見据え余力を残しフィニッシュ。女王の強さを象徴する、圧巻のレース運びだった。一方早大Bは「隣が相当追い上げてきていて内心焦った」と辛島瑞加女子主将(スポ4=東京・富士見)が語るように、決勝進出を懸け、猛追を見せる学習院大との一騎打ちに。クルーの心一つに、全員で仕掛けたラストスパート。その気持ちが上回り、0.7秒差というきん差での勝利。この結果、二艇が翌日の決勝へ駒を進めた。

盤石の漕ぎで決勝進出を決めた女子舵手付きクォドルプルの早大A

 続いて出漕したのは花形種目・男子エイト。早慶レガッタでは第二エイトとして登場する早大Bは課題のスタートで4位と出遅れる苦しい展開に。中盤以降徐々に勢いを取り戻すものの、なかなか前との差が埋まらない。必死のスパートで3位に浮上するも反撃はここまで。準決勝進出を逃し、翌日の順位決定戦へと進むことになった。一方、2週間後の大一番で奪還を誓う早大Aは、予選から王者・日大と激戦を繰り広げる。しかし早慶戦での3750メートルを想定し練習を積んでいた早大Aは、「高いレートに慣れていなかった」(中村拓、法3=東京・早大学院)と、スピード勝負の中で粘りを見せられず。王者に次ぐ2位通過で準決勝へ進んだ。続く準決勝でも明治安田生命、明大Aと激しい2位争いを展開する。最後の最後までもつれるデッドヒートを繰り広げたが、勝負どころでクルーの一体感が欠け4位。「ユニホーミティが不足している」(中村)。粗さと課題を露呈したレースとなり、コンマ差で決勝進出を逃した。

接戦の末、惜しくも決勝進出を逃す男子エイトの早大A

 良い面も悪い面もあらわとなったシーズン開幕戦初日。逆に言えば、非常に収穫の多い一日になったといえるだろう。「どこにも負けないようなタイムを出せればいい」(中村)。至らなかった点を克服し、いまできる最高の力を出す。これが大会最終日の早大に求められることだ。まだまだ今季も始まったばかり。各々高い目標を見据え、早慶レガッタ、そして夏へつながるような漕ぎを見せてほしい。

(記事 細矢大帆、写真 末永響子、荒巻美奈)

※記事中の学年は4月以降の新学年となっています。

結果

【予選】

▽男子シングルスカル2部

石田良知(スポ1=滋賀・彦根東)3分52秒60(準決勝進出)

内田達大(スポ1=山梨・吉田)3分46秒19(準決勝進出)

杉田陸弥(人2=栃木)3分55秒21(順位決定戦へ)

武田直己(基理3=東京・青山学院)3分58秒87(順位決定戦へ)

石橋広陸(スポ1=愛知・豊田北)3分44秒29(準決勝進出)

寺田圭希(人2=滋賀・膳所)3分54秒64(準決勝進出)

▽女子ダブルスカル

早大C(S:石上璃奈(スポ1=長野・下諏訪向揚)、B:田口えり花(商1=埼玉・浦和一女))4分03秒72(順位決定戦へ)

早大B(S:木野田沙帆子(スポ1=青森)、B:三上千沙(スポ1=青森))3分54秒32(準決勝進出)

早大A(S:木下美奈(スポ1=山梨・富士河口湖)、B:波多野響子(教2=福岡・東筑))3分50秒00(準決勝進出)

▽男子ダブルスカル

早大(S:松永正太郎(政経2=東京・早大学院)、B:石坂友貴(政経2=東京・早実))3分30秒19(順位決定戦へ)

▽女子舵手付きクォドルプル

早大B(C:奥山瑞恵(教4=東京・富士見)、S:辛島瑞加(スポ4=東京・富士見)、3:坂内千紘(商4=東京・日比谷)、2:土井鈴奈(教2=埼玉・浦和一女)、B:波多野)3分41秒05(準決勝進出)

早大A(C:亀本咲季子(人2=埼玉・浦和一女)、S:土屋愛(スポ3=新潟・阿賀黎明)、3:谷川、2:佐藤紫生乃(スポ2=宮城・塩釜)、B:望月みづほ(スポ4=埼玉・大宮))3分34秒67(準決勝進出)

▽男子エイト

早大B(C:藤川和暉(法2=東京・早稲田)、S:正垣克敏(スポ4=熊本学園大付)、7:小坂紀夫(商4=東京・本郷)、6:藤井英貴(スポ3=東京・本郷)、5:江原大二郎(商4=埼玉・早大本庄)、4:木金孝仁(社2=東京・早実)、3:菅原拓磨(国教2=東京・早大学院)2:鈴木朋也(スポ4=東京・早大学院)、B:川田悠太郎(国教2=東京・早大学院))3分05秒75(順位決定戦へ)

早大A(C:中村、S:竹内友哉(スポ2=愛媛・今治西)、7:青松載剛(スポ4=京都・東舞鶴)、6:田﨑佑磨(スポ4=茨城・潮来)、5:是澤祐輔(スポ2=愛媛・宇和島東)、4:長田敦(スポ3=石川・小松明峰)、3:角南友基(スポ3=岡山・関西)、2:小林大河(国教4=東京・早実)、B:和田優希(教3=滋賀・膳所))2分55秒40(準決勝進出)

【準決勝】

▽男子シングルスカル2部

石田 3分56秒89(決勝進出)

内田 3分55秒26(決勝進出)

石橋 3分59秒56(順位決定戦へ)

寺田 3分59秒56(順位決定戦へ)

▽女子ダブルスカル

早大B 4分04秒58(順位決定戦へ)

早大A 4分05秒71(順位決定戦へ)

▽女子舵手付きクォドルプル

早大B 3分44秒75(決勝進出)

早大A 3分41秒71(決勝進出)

▽男子エイト

早大A 2分55秒48(順位決定戦へ)

コメント

C:中村拓(法3=東京・早大学院)

——予選のレースを振り返って

発艇台が壊れるというアクシデントがあって、その影響で万全な状態でレースに臨めませんでした。若干調整に失敗してスタートから出るという自分たちのプランをできず、思うようなリズムをつかめなかったというのが率直な感想です。結果こそ2位でしたが、まとまって漕げたなという感覚はあまりしませんでしたね。他艇と比べてもふたを開けてみればレートが低かったのも事実です。1000メートルに向けて練習をしていなかったので、高いレートに慣れていなかったということはありますが、そこが良くなかったかなと思います。

——王者・日大への意識はありましたか

結構強くありましたね。中盤までは競っているような感じでしたが、終盤で出られてしまいました。みんなやはり意識しているということもあって硬さもありました。

——準決勝についてはいかがですか

予選の反省を生かしてレートを上げて挑みました。序盤で高いレートで攻めて2位争いに食い込むことができたのですが、そこからもう1回ギアを切り替えて攻めなければならないところで粗さやレート慣れしていない部分が出てしまいました。うまく後半までつなげることができませんでしたね。それが終盤の勝負で勝てなかった最大の原因だと思います。

——決勝進出を逃す結果となりましたが

調子は悪くなくて、出るからには優勝を狙っていこうと思っていたので悔しさもあります。でもまだ終わりではないので、あす一位をまた取りにいくくらいの気持ちで頑張ります。そこから得るものを得て早慶戦につなげていければいいかなと。いまはポジティブに捉えています。

——きょう見つかった最大の課題は

スピードレースでも戦えるような高いレートへの対応力、それからクルーのユニホーミティが不足しているというのが見えました。早慶戦に向けてロングの練習をしてきたので難しいところですが、その対応がもう少しできなければいけなかったかなという反省はあります。レート38というのは早慶戦では高いレートですが、今回はさらにもう一段階上をいく必要がありました。早慶戦本番はそれよりは低いレートでいくので、よりその段階での精度を上げていけたらなと思います。

——あすのレースに向けて

いい順位はつきませんが、どこにも負けないようなタイムを出せればいいと思うので、しっかりタイム一位を狙っていきたいです。気持ち一つに頑張りたいと思います。

3:谷川早紀(スポ4=愛媛・今治西)

——予選のレースを振り返って

予選はスタートで勢いよく飛び出して、後半は一回突風が来た後に全員の統一感がなくなってバラバラになってしまいました。それぞれ立て直しはしましたが、全員ですることができなくて、そのままゴールしてしまったかなという反省があります。

——その中で予選は全体1位のタイムでした

自分たちとしてはラストスパートも入れていなかったのですが、それでも全体のトップタイムだったのでみんなテンションが上がっていました(笑)。

——準決勝についてはいかがですか

まず予選の反省を生かし、風が強く吹いてきたときに誰でもいいからコールを入れて立て直そうということを決めました。もう一つは前半500メートルだけ飛ばしてあとは流すというレースプランだったので、予定通り伸び伸び漕げて良かったのかなと思います。

——2位になったには想定内ということですか

そうですね。それはそれでいいだろうという感じですね。決勝進出できればいいと考えていました。

——明大Aへの意識はありましたか

特に…(笑)。特に意識はしていませんでしたが、1位通過できればそれに越したことはありませんけど…。でも前半はしっかり勝てたんで(笑)、良しとします!

——今大会の位置づけは

まず早慶戦の前哨戦ということで、勝って次の試合に進みたいというのはあります。もう一つは、お花見レガッタの順位が全日本選手権の順位に似ている印象があるので、冬場練習したことを発揮できる一番最初の試合ということで臨んでいます。冬場の練習がどうだったのか試せるレースという感じですね。

——あすのレースに向けて

決勝は負けたくはないので優勝目指してやっていきますが、そんなに焦らずにやってきたことを出せればいいかなと思います。

S:辛島瑞加女子主将(スポ4=東京・富士見)

――きょうのレースを終えての感想は

私たちのクルーにはダブルエントリーしていた波多野(響子、教2=福岡・東筑)がいるので、体力的にも大丈夫かなということは心配していたのですが、きのうそういうことは言い訳にせずに自分たちにできることをやろうという話をしました。その上で決勝に行こうということだったので、それができてひとまずほっとしています。

――今大会はどんなことを目標に設定されていましたか

決勝に進出してメダルを獲得するということです。

――そのなかで順調に予選を突破しました。予選のレースを振り返って

シーズン始まって初めてのレースということで、焦ってしまって空回りしてうまく艇を進められなかったということが反省点としてありました。

――反省点を受けて準決勝のレース前にクルーで話し合ったことはありましたか

ただでさえ疲れているので、いろいろ直すところを決めてしまうとあまり良くないなと思いました。技術的なことになってしまうのですが、しっかりオールを入れて、押し切るということを確認しました。先に足の方が切り始めちゃったことで水の中に入っている長さが短くなって、結局うまく進まなくて空回りするということが1本目ではありました。自分の長さを最大限に使うために適切なところで(オールを)入れて押し切るという1点をやり切ろうと決めて臨みました。

――実際に準決勝のレースを振り返っていかがですか

プラン通りでした。レース前に最初の500(メートル)で勝負をつけようという話もしていたんですけど、どんなに疲れてもいいから力を出し切って相手より自分たちが出ていたら、絶対に大丈夫だということを確認していたので、最初の500で勝負を決められたということが大きかったです。

――終盤は追い上げにあう中、3位に食い込む粘り強さも見られましたね

隣が相当追い上げてきていて内心焦っていたのですが、コックスのコールに答えていたら艇が伸びて、自分たちでしっかり漕げば大丈夫という自信もあったので、そういうところをみんなで共有できたことが粘りにつながったのかなと思います。

――予選からの修正点を含めてレースに得点をつけるなら

65点くらいですかね(笑)。

――あすの決勝ではどんなレースをしたいですか

常に勢いよく攻めていくということが私たちの中で決めているポイントだったので、あすのレースも最初の500でレースを決めるレース展開にしていければと考えています。

――あすへの意気込みを

ワセダでワンツーフィニッシュを獲ってシーズンに良い弾みをつけたいと思います。

――女子部の主将としてきょうの女子部全体の成績をどのように評価していますか

上級生だけでなく新しく入ってきた1年生も1レース1レースするごとに自分たちで考えてやれていてレベルアップしていたと思います。2クルーが決勝に進めたということで、全体として結果も得られて、新入生も自立した考えで艇を進めるということに対して自分なりのアプローチができていました。自分で考えることができるということは夏に向けて大きな意味を持ってくると思うので、部員のいいところが見れたことが収穫でした。

――お話に挙がった新入生に期待することは

今回ダブルを3つ新入生で組んでいたのですが、それぞれがライバル意識を持って戦ってほしいという気持ちがあります。始まりは一緒なので、ここからどう頑張るかで伸びしろは変わるので、同学年同士でどんどん争ってがんばってほしいなと思います。

5:江原大二朗(商4=埼玉・早大本庄)

――レースを終えての感想はいかがですか

いま自分たちが出せる力は出せたような気がしますが、やはりセミファイナルに進めなかったことが少し悔しいです。

――きょうのレースプランや目標はどんなものを考えていましたか

タイムがとても重要になるレースだったので、タイムを意識していました。他の艇を気にするというよりは自分たちに集中して自分たちの漕ぎをしようというレースプランですね。まずスタートでしっかりと自分たちのリズムをつくって、中盤は自分たちの漕ぎをして、ラストスパートでもう一度自分たちを追い込むというという予定でしたが、自分たちに集中しすぎた分、追い込みきれなかったかなという印象です。

――きょうのレースで一番のポイントだった点はどこだったと思いますか

僕たちはスタートがすごく課題でして、スタートをポイントにしてレースに臨みました。

――実際にそのスタートを振り返っていかがですか

スタート時間がだいぶ延びてしまったのですが、それにしては集中してスタートできたと思います。でも他の艇に出られてしまったので、まだまだだったかなと思います。

――予選19位という結果について

12位以内に入ってセミファイナルに行きたかったのですごく悔しいですけど、しっかりと受け止めて次につなげたいです。

――挙げられる課題は何でしょうか

すこし抽象的になってしまうのですが、アグレッシブさに欠けたかなと思います。消極的なレースというか、自分たちに集中しすぎた分追い込みきれませんでいた。もっともっとアグレッシブにいけたらいいと思います。

――早慶レガッタ前、最後の実戦の場となるあすの順位決定戦ではどんなレースを見せたいですか

19位ですのでおそらくあしたはファイナルDでのレースになると思うので、ファイナルDの中でしっかりと1番を狙って、相手を見ながらレースをするという経験をしたいなと思います。

――第二クルーのクルーキャップとしていまのクルーの状態をどのように捉えていらっしゃいますか

きょうの結果からすると矛盾してしまうのですが、かなり上々と言いますか、雰囲気も良く気持ちも一つになっているので、最後もう一歩技術が成長して、気持ちがもう一段階一つになれば必ず勝てるのではないかという状態にあると思っています。

――改めてあすのレースへの意気込みをお願いします

きょうのレースを反省して、必ず次につなげて1着でゴールしたいと思います!