全種目優勝ねらう女子部が好発進!

漕艇

 大学日本一を決める全日本大学選手権(インカレ)が、『ボートの聖地』・戸田ボートコースで幕を開けた。早大からは男女合わせて11クルー、総勢38名が出場する。大会初日は各クルーの予選が行われ、女子部が堂々の全種目準決勝進出を果たす一方、悲願の優勝をねらう男子エイトは強豪に善戦するも予選通過ならず、あすの敗者復活戦にまわった。

★女王の貫禄見せつける

 早大勢の先陣を切ったのは、今大会3連覇をかけて女子シングルスカルで登場した大石綾美女子部主将(スポ4=愛知・猿投農林)。先月のU23世界選手権で銅メダルを獲得し更に波に乗っている大石はスタートから首位を独占する。「2000メートル集中できた」という言葉通り、その後も圧巻の漕ぎで着実にリードを広げると、2位に20秒以上差をつけてゴール。チームの目標である『全種目完全優勝』に向け弾みをつけた。今回のレースで見つかった「どうしても中盤だれてしまう」という課題を修正し、あさって行われる準決勝に臨む。

(記事 高原亜弥、写真 細矢大帆)

★他を寄せ付けない漕ぎで準決勝進出

 2位に大差を付けゴールしたものの彼女たちの表情が緩むことはなかった。クルーを組んでまだ二週間も経たないという女子ダブルスカルの土屋愛(スポ2=新潟・阿賀黎明)・佐藤紫生乃(スポ1=宮城・塩釜)クルー。「差が付きすぎたということもあって100パーセントの力を出し切るのは難しかった」ときょうのレースを振り返った土屋だったが、逆風が吹く中でも序盤から息の合った漕ぎで見事準決勝へ駒を進めた。『全種目完全優勝』が目標の女子部にとって、予選突破はあくまでも通過点。「準決勝は疲れが残らないように一本一本確かめるようにやりたい」(土屋)とその視線は早くも決勝のレースを見据えている――。

(記事 小川朝煕、写真 細矢大帆)

★2連覇に向け好発進

 前回覇者として予選に登場した女子舵手付きクォドルプル。強みであるスタートスパートで一気に他艇の前に出るとその差を徐々に広げていく。相手を完全に引き離し、大きなリードを奪ったまま2位の仙台大に約20秒差をつけてフィニッシュ。先行逃げ切りに成功した『ワセ女』が圧倒的な強さを見せつけ、準決勝進出を決めた。一見危なげないレース展開に見えるが、その一方で後半に失速するなど不安要素も残る。コックス大泉環(文構4=埼玉・大宮)が「準決勝で良いリズムをつくって勝ちにいく」と語るように、決勝を見据えたレースで弾みをつけインカレ2連覇を狙う。

(記事 加藤千暁、写真 細矢大帆)

★スタート成功も、後半の失速響く

 インカレ7連覇中の日大、昨年同大会で4位の好成績を収めた一橋大と同組になった早大。強豪校がひしめく中で、力を注いでいたスタートスパートでは好位置につける。そこから1000メートル地点までは先述の2校と競る展開となるが、中盤の勝負どころで攻めきれなかった。「リズムが崩れてきた」(新藤耕平主将、スポ4=山梨・富士河口湖)と、徐々に他艇に引き離され、結局1位の日大と約8秒差の3位に終わった。この結果、準決勝進出をかけて明日の敗者復活戦に回ることとなった男子エイト。まずはスタートで頭一つ飛出し、主導権を握ったまま後半につなげたい。

(記事 栗坂美祐、写真 細矢大帆)

結果

▽女子シングルスカル(大石)…1着【準決勝進出】

 男子シングルスカル(川田)…4着

▽女子ダブルスカル(S:土屋、B:佐藤紫)…1着【準決勝進出】

男子ダブルスカル(S:丹下、B:菅原)…6着

▽男子舵手なしフォア(S:小林、3:江原、2:長山、B:佐藤琢)…1着【準決勝進出】

▽男子舵手付きフォア(C:藤川、S:小坂、3:寺田、2:出町、B:武田)…2着

▽男子舵手なしクォドルプル(S:白濱、3:藤井、2:角南、B:杉山)…2着

▽女子舵手付クォドルプル(C:大泉、S:榊原、3:山根、2:望月、B:辛島)…1着【準決勝進出】

▽男子対校エイト (S:長田、7:新藤、6:竹内、5:是澤、4:山下、3:和田、2:鈴木、B:青松)…3着

コメント

大石綾美女子部主将(スポ4=愛知・猿投農林)

――きょうの試合を振り返って

タイムを狙って行こうとしたんですけど、想像以上に逆風が強くて、水が重く、進めるのが大変でした。でも、2000メートル集中できたので良かったと思います。

――ダブルからシングルに変更されたのはどうしてですか

ことしの目標は全種目優勝することなので、どの種目でも優勝できるようにと編成が考えられました。

――大差での勝利でしたが感想はいかがでしたか

自分の漕ぎとしては、中盤だれてしまう等、まだまだ課題は残っているので、準決勝では集中して頑張りたいです。

――あさっての準決勝に向けての意気込みをお願いします

優勝という目標に向かって、一戦一戦大事にして行きたいと思います。

新藤耕平主将(スポ4=山梨・富士河口湖)

――きょうのレースを振り返って

スタート出て、そこは練習で結構強化してきた部分なので、そこは上手くいきました。スタート出ていったところで、できることができなくて、そこからリズムが崩れてきて、攻めきれなかったです。

――攻めきれなかった原因は

全て漕手8人は高橋のことを信頼しているので、要因というわけではないですけど、そこで勝負所を誤ったということですね。

――漕いでいる感覚としては悪くなかったということですか

そこで良いリズムに乗せきれずに中盤、悪いリズムになってしまったところをさっと(相手に)出られました。「もっとできるぞ」といういい意味での期待感もある危機感ですね。

――明日はどのように修正を

きょうはあしたあるぞといういい意味で失敗できる日でしたけど、あしたは本当に負けたら終わりなんで。さっきいったスタートが終わったあとのできるところ、攻めきる、勝負をそこでつけてしまうというイメージでスパートをかけると。あとはそのスパートからいい船のリズムでコンスタントに入るという2つを上手く修正できたらいいなと思います。

――下級生のクルーが多いように感じますが、主将としてどうサポートしていますか

特にないですね(笑)。というのは、なしペアという一番難しい船で選考をやって、レースを漕いで勝ち残った8人の漕手なので、そういうレース勘とかいうのは気にするところではないというか。ちゃんと一人前の選手、しかもうちの中で一番強い8人なので、4年生だからどうというのはなく、1年生でも(思ったことを)言ってもらう、そこはフラットな関係だと思います。

――新藤さんから見たクルーの特徴、強みは

さっきの話でいくと、学年うまく漕手は2人ずつ分かれていて、そこにコックスの高橋が引っ張るという感じなので、まさにワセダの顔というか。組織の図式がそのままエイトに表れています。強みは、長田と僕のストロークペアで作る加速的なリズム感だと思うので、そこが上手くはまれば6月のように日大も目ではないという風に思っていますし、そう期待されてこういうシート配置になっているので、期待に応えて長田、僕、高橋の前の3人で上手く引っ張っていけたらと思います。

――明日以降に向けて

きょうは組み合わせが悪かったんですけど、言い直せば日大を倒すチャンスを1回もらったということになります。1回目はだめでしたけど、あした上がればあと2回あるので、あしたしっかりミスなく完璧に決めて、その次に日大を倒したいと思います。